純情ハートとウマ娘(凍結)   作:ゲーミング

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 違和感、錆び付いた翼。

 オグリキャップ視点。


第十話

 私は良く流されてしまう。

 トレーナーにまたレースに出して貰えると言って貰えたが、ソレを断ろうとした。

 けれどゴールドシップやトウカイテイオー、マヤノトップガン達とトレーニングを行うのが楽しくなってしまい、言うタイミングを逃してしまった。

 

 そして次の日には私が出走する予定のレースをトレーナーが決めてしまっていた。

 

 ……出来れば一言相談が欲しかったのだが、出るレースは芝1600mらしく得意な距離だから良かったのだが。

 

 思えば初めてのレースを行った時も芝1600mだった気がする。

 

 体力も随分落ちてしまったが、出るからにはレースには勝ちたい。

 負けていいレースなんてものは存在しないのだから。

 

 

 そう思ってトレーニングを受けにトレーナー室へ向かえば居たのはトレーナーでは無くてリギルのトレーナーだった。

 体調を崩しトレーナーは休んでいると言っていたが、その原因は私では無いのだろうか。

 

 私は……どうしたら良いんだろう。

 

 

 

 

◆❖◇◇❖◆

 

 

 

 

 不安を胸に今日も場の空気に流される様にトレーナー室へと足を進めていた。

 この扉を開けたら、またリギルのトレーナーが居るのか、私のチームトレーナーは居るのだろうか。

 

 意を決して扉を開く。

 

「お、オグリキャップ、おはよう」

 

「……あぁ、おはようトレーナー」

 

 トレーナー室に居たのは私のトレーナーだった。

 けれど何処か疲れている様な気がして少し心配になる。

 

「……トレー」

 

「トレーナーいる〜?あ、居た!体調は大丈夫?」

 

「……うん、ごめんね」

 

 私が声を掛ける前に私より少し遅れてきたテイオーに先を越されてしまう。

 私の言葉は誰にも届かずに空気に霧散して行った。

 

 謝るトレーナー、先程より弱く見えた。

 

「もぉ、ボクのトレーナーになったんだから体調くらい自分で管理しなきゃダメでしょー!」

 

そういう事になってるんだ……。うん、もう大丈夫だから、とり、う゛う゛ん゛……取り敢えず昨日やったトレーニング教えて貰っても良い?」

 

「えっとねー、初めに柔軟して、競走したり……なんだっけ、ミニハードル?とかで走ったりしたよ?」

 

「……そっか、そうかぁ……そうなんだ……」

 

 テイオーの言葉を聞いたトレーナーは考え込む様に顔を伏せた。

 その様子に何処か違和感を覚え声を掛けようか迷う。

 

「トレー」

 

「マヤちんとーじょー☆トレーナーちゃんおっはよー!マヤちんだよー♪」

 

「……おはよう、マヤノトップガン」

 

 ……またも言葉を遮られてしまった。

 私のタイミングが悪いんだろうか、今度はもう少し早口で呼ぼう。

 

「ねぇねぇ、今日はどんなトレーニングするの?マヤちん楽しみで全然眠れなかったんだよ〜」

 

「マヤノ爆睡してたじゃん。トレーニング終わってお風呂はいってそのまま寝てたよね?」

 

「もう眠いから寝た時間短かったって事で☆」

 

「それはもう疲れてるんじゃ無いのか?」

 

 昨日のトレーニングは別にハードでは無かったが体力を使ったのは分かる。

 

 ふと何も喋らないトレーナーが気になり声を掛ける。

 

「……トレーナー?」

 

「大丈夫?」

 

「トレーナーちゃん♪」

 

 そうして漸くトレーナーは顔を上げる。

 前と同じ前髪で目線は隠れていたが。

 

「……今日のトレーニングは……」

 

「うんうん!何が来てもムテキのワガハイは大丈夫だよ!」

 

「……各自自主トレを行って欲しい」

 

「……えぇぇ!?」

 

「トレーナーちゃん!?」

 

「……やっぱりまだ体調が……?」

 

 心配になりテイオーやマヤノも声を掛けて居たがトレーナーは変わらず。

 

「……実は今日のトレーニング考えて無くて、でもおハナさんや先輩には話を通してあるから、その……出来たらそっちのチームに混ざってトレーニングをして欲しいんだ。本当にごめん」

 

 その言葉を皮切りにトレーナーは足早に部屋から出て行く。

 心配したテイオーもマヤノも追い掛けようとしたが。

 

「大丈夫だから、だから、自分達のトレーニングに、その……集中して欲しい」

 

 

 その言葉を最後に今度こそトレーナーは私達の前から姿を消した。

 私の所為なのだろうか、私がこのチームに入ったからトレーナーは体調を崩しトレーニング表も書けない程追い込まれてしまったのだろうか。

 

 ……私は、どうしたらいいんだろうか。

 

 

 既にテイオーもマヤノも『スピカ』や『リギル』のチームトレーナーの元へ行ってしまった様で、私は一人『流れ星』の部屋でポツンと立ち尽くしていた。

 

 何か行動しなければならないのに、上手く足が動かなかった。

 それでも——それでも私は足を動かして何とか部屋から出て、ターフへ足を進めた。

 

 

 やる事は単純だった、兎に角走る。

 落ちてしまった体力を戻し、最後に勝って故郷に帰ろう。

 もう走る事は無いかもしれない、けれどそれでも負けたまま故郷に帰る事はしたくないと思い直した。

 

 主にゴールドシップとのトレーニングで。

『負けっぱなしで良いのか?悔しく無いのか?アタシは負けると結構悔しいから競走とかは結構頑張るぞ?』

 

 競走で負けた後に、ゴールドシップに将棋盤を磨きながら言われてしまい無性に納得が行かなかったが確かに負けっぱなしは悔しい。

 だからもう一度本気で走りたいと思い直したんだ。

 

 蹄鉄を嵌めた靴でターフを走って行く。

 何度も、何度も、何回でも。

 トレーナーは他のチームにトレーニングを頼んだと言っていたが、私はトレーナーに勧誘されて入った。

 だからトレーナーのトレーニングを受けたかった。

 

 新人だからとか、そんな事はどうでもいい。

 

「……はっ……はっ……!」

 

 周りに誰も居ないのに上手く走れないのは何故だろう。

 

「は……はっ……ふ……もう、一回……」

 

 何度でも繰り返す。

 何度でも。

 

 そうして何度も繰り返すと、太陽は傾き夕陽色にターフは染まっていた頃だった。

 

「お一人ですか!良ければ競走しませんか!」

 

「っ……ふぅ……私は構わない……が」

 

「あれ?オグリキャップさんじゃないですか!私分かりますか?そう!全生徒の模範にして学級委員長であるこの私!サクラバクシンオーです!」

 

 学級委員長がそこに居た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 短め。
 サクラバクシンオーさん登場。

 この間のレジェンドレースでめでたく星三になったけど未だに上振れた星二に勝てないのは何でか……。

 作者の初めてのうまぴょいはサクラバクシンオーでした(確か)

新人トレーナーの妹ウマ娘予測アンケート

  • 1番人気ライスシャワー
  • 2番人気キタサンブラック
  • 同じく2番人気メジロドーベル
  • 大穴カレンチャン
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