純情ハートとウマ娘(凍結)   作:ゲーミング

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 アオハル杯取り敢えずチームランクSまで持ってったけど、アレだね、URAとかなり差別化されてて楽しいんだけど、URAより時間かかるのヤバい。下手したらアオハル杯の方が強い育成出来る可能性高いけど、その分試行回数が減る感じが否めない。まぁ、回すんですけどね。
 タイキほんっと可愛い。

 前置きは終わりだ。ここから本編だ。


第百五話

 タキオンと出会って早1週間が経った頃、ファン感謝祭までの残り時間もまた無くなっていた。のだが。

 

「今日からこのチームに入る事になったアグネスタキオンだ。よろしく頼むよ」

 

「……はぁ!?トレーナー!?」

 

「ごめ、ごめん、ごめ」

 

「おいおいおい、やったわこの新人」

 

 流星の如く突如現れた『流れ星』の新たな星。それはアグネスタキオンだった。ファン感謝祭まで残り1週間もないと言うのに、此処に来て新たなチームメンバーが加入した。という事は今まで合わせていたダンスやポジション、そして歌詞の振り分けが一からやり直す事になると言う事で。

 

「ははは!中々賑やかなチームだね!モルモットくん」

 

「……トレーナーがモルモットになってしまった……?」

 

「トレーナーちゃんの呼び名が増えてるねー?」

 

「マヤノ、違う、違うよマヤノ。そーいう事じゃ無いんだよ」

 

 テイオーは頭を抱え、オグリは新人の呼び名が増えた事とモルモット呼びの理由を気にし、マヤノは務めてマイペースを保っていた。ゴルシに締め上げられている新人から目を逸らしながら。

 

「タキオンさんの得意距離はなんですか!私は短距離です!」

 

「ん、私かい?私は中距離と長距離だね。短距離は……走った事がないね、モルモットくん試さないのかい?私の可能性を」

 

「それ、どか、どの、ごじゴルシ首、首が……!?」

 

「可能性の扉でも開く気か新人ッ!あんまりウマ娘が増えたらお前のキャパがオーバーしちまうだろうがよっ!つうかこのタイミングって何だお前!?もう少し待てよ!?」

 

「そうだよトレーナー!ミニライブどーするのさ!」

 

「マヤも流石に助けてあげられないかな〜。でもトレーナーちゃん事だし、何かあったんでしょ?」

 

「……まぁ、トレーナーだしな」

 

「トレーナーさんですからね!だってトレーナーさんですから!」

 

「かん、なんで、なんで二回言ったの!って言うかたすけ」

 

「残念だったな!今お前を助けるウマ娘は居ないんだよバカ野郎!」

 

 実際ゴルシ達の言う通りだったが、新人の行動も仕方無かったと言える。何せこの一週間起こった出来事がこの騒動に繋がっているのだから。

 

「良いモルモット(トレーナー)を捕まえれたと言う訳だ。私の方からは離れないが、モルモットくんはどうだろうね……そんな心配、要らないと思うけど」

 

 誰にも聞こえない呟きと共に、タキオンの赤い瞳が妖しく煌めいた。その瞳の中には今もゴルシに締め上げられ、ソレを止めるオグリ達が映っていた。

 

 

◆❖◇◇❖◆

 

 

 先ずはタキオンがどう言った経緯で加入する事になったのか、その説明が必要だろう。と言う訳で場面は巻き戻り、タキオンと知り合って次の日の朝からになる。

 

 つまりタキオンがチームに加入する事になった理由一日目だ。

 

「やぁモルモットくんおはよう、今朝は随分遅いんだね?」

 

「……なんで校門前で待ってるの?」

 

「それは勿論キミに朝の挨拶をする為さ。私の方から来るのは珍しいんだよ?」

 

「何も誇る事じゃ無いからね!?」

 

「さて、取り敢えず私の研究室に行こうか、二人で可能性()の話をしようじゃないか!」

 

「やらないよ!」

 

 二日目。

 

「やーやーやー元モルモットくん」

 

「……なんで昨日よりずっと早く出て来たのに校門前でスタンバってるの?」

 

「それは勿論キミと話をする為さ、キミが頷くまで私は睡眠時間を削って校門前で待機するが、キミは何も気にしなくていいよ?」

 

「……え、なにこれ、僕脅されてる……?」

 

「脅しだなんて人聞きの悪い。私はただキミの良心に問い掛けているだけさ」

 

「それを世間一般では脅しって言うんだけど、知ってる??」

 

「知らないね、私のデータには無いモノだよ。取り敢えず朝早いんだ、研究室に行こう」

 

「だから行かないって!人の話聞いてる!?」

 

「私の話を聞いているなら聞くが、キミは聞いているのかい?」

 

「質問を質問で返すな!」

 

「キミが頷けば良いだけだろう!?急に怒らないでくれたまえ!チョット怖いじゃないか!」

 

「ご、ごめん……?」

 

「良いよ、許してあげようじゃないか。さ、研究室に行こうか」

 

「……うん、ありがとう……って、だから行かないってばぁ!」

 

 と、一日目と同じ様に校門前で待機していたタキオンに捕まり、二日目は時間をずらしたと言うのに待機していた。それもその筈、タキオンは新人が来る時間になるまで校門前で待機しているのだから。日が出る前から。

 

 三日目を迎えた。けれど三日目は先日とは違い、早くに来る用事がなかった為に新人はテイオー達の授業が終わるギリギリの時間にトレセン学園にやって来た。

 

「……おはよう元くん」

 

「最早誰だよ……というか目の下のクマ凄いね……もしかして寝ずに待ってたの?」

 

「……私の研究では初めは遅くて、そこから更に早く起きて、トレセン学園に来るのを繰り返すと思って、午前3時から立ってたんだが……まさか元モルモットくんが授業の終わるギリギリに来るとは思って居なかったよ……ふぁ」

 

 新人を研究室に連れ込み、可能性()の話をする為だけに早寝早起きと言う枠すら超えて最早寝ずに待機しているとは新人も想像しておらず、間接的にだがタキオンの体調を損なわせてしまった。その事に負い目を感じてしまったのか新人はほんの少しタキオンに歩み寄る。

 

「……今日はもうトレーニングとダンス練習で一日終わっちゃうから、明日……朝でも良ければ話に付き合うよ。後僕の事元とか、モルモットって呼ばないで」

 

「……キミがそう言うなら明日の朝待っていようか……因みに何時かな?時間指定してくれると個人的には有難い」

 

「じゃあ、そうだなぁ。午前8時とか?そこら辺だったら僕も起きれるだろうし」

 

「……分かっ……ふぁあ……私は帰ろう。幸いな事にトレーナーが居ないからね、毎日が日曜日だ」

 

「……それは幸いなの?」

 

 新人の質問に答える前にタキオンは帰路に着いた。タキオンの根性と言うべきか、自分と話したいと言う事に対しての執念に若干の恐怖を覚えながら新人はその日をオグリ達とのトレーニングに費やした。

 その間も新人は次の日タキオンと話す内容に若干の期待感を抱きながら。そうして迎えた四日目。

 

 四日目なのだが。

 

「……タキオン来ないんだけど!?なんで!?今日まで毎日僕が来るより先に校門前に立ってたじゃん!?」

 

 なんとタキオンは約束の時間になっても来なかったのだ。先日の寝不足が祟って未だ寝ているのかと想像すると、新人にも責任があると感じそれ以降の思考を停めた。

 そもそも新人の事を校門前でずっと待っていると言う事は授業に出ていないと言う事なのだが、最早それに対して突っ込むのも野暮に思えた。

 

 そうして待つ事1時間後。

 

「やぁモルモ……ううん。トレーナーくん。キミのタキオンだよ」

 

「……おはよう、今日は僕が待たされるとは思って無かったけど、まぁいいや……それで?研究室って何処さ」

 

「…………」

 

「なんで無言なんだよ!可笑しいでしょ!?」

 

「いやぁ……ちゃんと自分で言った事は守るんだなぁと思ってね。てっきり私が寝坊したから今回は無しになるかと思っていたから」

 

 タキオン自身寝坊した事に対して若干思う所がある様で、いつものペースが狂っていた。けれど約束を守ろうとする新人に対してタキオンは少なからず好意的であり、その事を含めながら一呼吸置いて。

 

「じゃあ私の研究室へ行こうかモルモットくん!」

 

「さっき言い直せたのになんで言っちゃうのかぁ!」

 

「ほらほら、時間は有限だよ!時は金なりと言うだろう?」

 

 そう言ってタキオンは新人を研究室と呼称している空き教室へと手を引くのだった。コレが新人がタキオンをチームに勧誘する事になった切っ掛けの一つ。それに続くのが今後の会話である。四日目は兎に角可能性と言う夢の話を互いにし合い、最終的に新人がトレーニングの時間に遅刻しテイオーからの電話でお開きとなった。

 その際に後日続きを話すと約束して。

 

 

 そして運命の五日目を迎えた。

 

 

◆❖◇◇❖◆

 

 

 前まで行っていたやり取りはなく、校門前で待機していたタキオンと合流してそのまま研究室へと新人は足を運んだ。怪しげな薬品の類と、何と書いてあるのか読めるが理解出来ないラベル達。その中から何の変哲もない紅茶のパックを取り出した。

 

「モー、トレーナーくん、時にキミは紅茶を入れたりするのは得意かな?」

 

「なに急に……別に得意でも無ければ苦手でも無いけど」

 

「そうか、なら入れてくれるかい?ポットの中のお湯を紅茶の入った容器に入れるだけさ。ビーカー……コップはこっちで出すからさ」

 

「ねぇ、なんで紅茶飲むのにコップ寄り先にビーカーって言ったの?研究とか言ってたけど、まさかビーカーに紅茶入れて飲んでる?ちゃんとコップ使おうよ……?」

 

 タキオンに頼まれたので新人は渋々紅茶を入れる。ポットからお湯を出し、紅茶を作っていく。ある程度時間を待ち、タキオンからコップが渡され、それに紅茶を入れていくが。

 

「砂糖を入れてくれ」

 

「どのくらい?スプーン何杯分?」

 

「一対一だ」

 

「……は?」

 

「紅茶と砂糖、同じ量入れてくれ」

 

「んな飲み方してたら身体壊しますよ!?」

 

「意識を覚醒させるにはソレが一番なんだよ。それに甘くないのは飲みたくないもん」

 

「もんって……はぁ、まぁ良いけどさ」

 

 新人は割とマジめにタキオンの身体を気遣うが、本人が良いと言っている手前、気にし過ぎるのは余計なお世話だと割り切り入れていく。一対一で紅茶の中に同じ分量砂糖が入る。紅茶をスプーンで掻き混ぜるが、底に溜まった砂糖が溶ける気配は一向にしない。諦めてその状態の紅茶をタキオンに渡す。新人は紅茶に砂糖は入れずにそのままの味で飲み始める。

 

「……所で、昨日は私の夢を話していたが、トレーナーくんの夢はなんだい?やはり強いウマ娘を育てて名を売る事かい?」

 

 飲んでいた紅茶をいつの間にか用意していたソーサーの上に置き、タキオンは新人に視線を送る。紅い液体に映り込む自身の顔を見ながら、新人は答える。

 

「……いっぱいあるけど、最終的に……伝説を作って、それを僕自身の目で見たいんだよ。そう、僕は伝説を作って見たい。その為にチーム全員の夢を叶える。そうしたらきっとその先に僕の夢があると思うから」

 

 紅茶に映った顔から視線をズラし、タキオンの紅い瞳に視線を合わせる。新人の夢に果ては無い、新人自身が夢を見る事を辞めない限り、増え続ける一方だろう。けれど最終的に行き着くのはゴルシに導かれて抱いたトレーナーとして始めたの夢である。

 コレばかりは今後幾つ夢を見たとしても、追い掛けたとしても消えない夢だった。

 

「……そうか、伝説……ねぇ」

 

「タキオン無理って言う?」

 

「私が?モルモットくんの夢をかい?何をバカな。良い夢だと思う、本当に……うん、とても良い夢だ。可能性に満ち溢れ、そして結果も決して一つじゃない。私は良いと思う、私は好きだよモルモット(トレーナー)くんの夢」

 

「……そっか、ありがとう。タキオンが言ってた名を売るって奴はどうしてそうなったの?もしかして」

 

「まぁそうだね。前のトレーナーが他のトレーナー達に話していた事を私が聞いてしまっただけだよ。私と可能性を追うのでは無くて、私を使って自分の可能性を追うトレーナーだったからね。悪くは無かった、うん。確かに彼のトレーニングは並のトレーナーよりも優れていた……と言うよりも私に合って居ただろうね。けれど……絶望的なまでに」

 

 タキオンはそこで一度言葉を停めた。紅茶を飲む為に。その言葉の続きを大人しく新人は待つが、紅茶をソーサーの上に置いても続かなかった。ある種の遠慮なのだろうか、新人もタキオンの元トレーナーも同じトレーナーであるが故に、ソレを言っていいものか考えていた。けれど新人はそんな事関係無かった、何せトレーナーと言う職業に憧れたのは初めての夢が叶わないと知って妥協案という訳では無かったが、そう言った経緯で目指した男だ。

 自身が同じトレーナー達から誤解や誤認によって嫌われているのも理解している、それをどうやって改善したらいいかと夜寝る前に毎晩考える。けれど良い考えは浮かばずに、結局いつもと変わらない夜を過ごし朝を迎える。そんな新人からすればタキオンが言おうとしてる事など何一つ恐れるモノでは無かった。

 

「タキオン」

 

「ん、なんだいモル……トレーナーくん」

 

「トレーナーの事嫌い?」

 

「……それは前のトレーナーかい?それとも今までの」

 

「トレーナーって言う肩書きを持った人間」

 

 卑屈になる訳でも無く、何の悪びれもせずに新人は聞いた。投げられた質問にタキオンは目を瞬かせるが、直ぐに顔が歪み悪い笑みへと変わった。

 

「余りにも主語が大きいね……そうだねぇ。私の夢を聞かないトレーナーは嫌いかな」

 

「……じゃあ僕の事は嫌いじゃなさそうだね。だっていっぱい聞いたし」

 

「はは!確かに、そうだね……うん、確かにそうだ。ねぇモルモ……ううんトレーナーくん」

 

「モルモットでいいよ、今更頑張ってトレーナー呼びしなくていいよ。君が、タキオンの夢が叶うなら僕も喜んで実験動物にでもなるし」

 

「…………そうかい。ねぇモルモットくん」

 

「なに?」

 

「…………私のトレーナーになって欲しいな。それとも私みたいな異端児は嫌かな?」

 

 それはお願いだった。良心への訴えでも無ければ、利点を説明した上での会話でもない。単に自分のトレーナーになって欲しいという一人のウマ娘としての願い。

 そしてそんなウマ娘の前に居るのは願いを叶える星をチーム名にする様な人間であり、アグネスタキオンと言うウマ娘に惹かれたトレーナーでもあった。

 

 故に答えは。

 

 

 

「良いよ、タキオン。僕のチームに入って欲しいって僕が君を勧誘する。タキオンの言う可能性を追い続けたいって言う夢を僕のチームで叶えてよ。その手伝いはするから……だから僕にも見せてね、タキオンの夢」

 

「勿論だとも。ドーピングなんてシラケる真似はせず、ただウマ娘として可能性を開く為に研究をしている私だよ。願掛けとしては最上級じゃないか、所属するチームが『流れ星』なんてさ」

 

「……僕自身至らない点は沢山あるけどね。それでも良ければ、今から皆に挨拶しに行こうよ。タキオン」

 

「……善は急げ、かな」

 

「意外とそう言う格言的なの好きなの?」

 

「いや?前のトレーナーがよく言って居たからね、知らない内に私も言う様になっただけさ。便利だから使っているけど」

 

 そう言って新人とタキオンは笑い合い、手を取り合った。こうしてアグネスタキオンは晴れて新人の作ったチームである『流れ星』に一員となったのだった。

 

 その結果が冒頭なのだが、この時の新人はタキオンの夢がどの様な形になるのか楽しみで仕方が無かった。

 

 

「あ、そう言えばファン感謝祭で僕のチームミニライブやるけど、タキオンはダンスとか得意?」

 

「ウイニングライブのダンスなら一通り覚えているけど、得意と言う程では無いかな。取り敢えず振り付けを覚えてからトライアンドエラーの繰り返しだよ」

 

「……良いね、そういうの僕好きだよ」

 

「……奇遇だね、私も自分の事ながら好きだよ」

 

 

 




 と言う訳でタキオン加入です。姉御系ゴールドシップタグの代わりにアグネスタキオン入れます。
 昨日投稿出来ずに申し訳ない、毎日投稿ってなんだっけ……。

 タキオンの絶望的なまでに……の続きは皆さんのご想像にお任せします。
 にしても初期に比べると本当にこの新人同一人物か?いや同一人物か。噛むし吃るし女顔だし。
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