純情ハートとウマ娘(凍結)   作:ゲーミングラーメンほうれん草増し増し

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 Q、FGOのイベントが進まないのは何故?
 A、魔人セイバーおきたさん欲しいからガチャ引いて出なかったからフリクエと強化幕間回って石回収してるから。

 爆死の悲しみはここに捨てて、本編入ります。感想欄でガチャ自慢したら呪う。



第百十三話

「……祭りも終わっちゃったね〜」

 

「そうだね、楽しい時間は直ぐに過ぎるって言うけど実際その通りなんだなってココ最近良く思うよ」

 

「キミ達少しだらけ過ぎじゃないかい?特にモルモットくん」

 

「なんか疲れてるんだよね。何処かの誰かさんの薬飲んでから早寝早起きが板について来ちゃって、昼寝しようにも夜しか寝れなくなってるから」

 

「いい事じゃんトレーナー、と言うかタキオンそんな薬あるの?」

 

「単なる副作用だよ、元々は眠気を飛ばす為の薬だったんだが……トレーナーくんがお茶と間違えて飲んでしまってね。試作品は自分自身で初めに試そうと考えていたんだが」

 

「……単にトレーナーの自業自得じゃん」

 

「……やめてよ、思ってても言わないでよ」

 

 ファン感謝祭と言う祭りが終わり、ある種の達成感と共に燃え尽きていた新人とテイオーはチーム部屋の机の上に二人揃って頬を載せていた。タキオンは机の端で優雅に紅茶を飲んでいるが、紅茶の底はいつも通り溶けきらない砂糖であり、テイオーと新人にドン引きされていた。

 

「そーいえばトレーナーさ」

 

「なーにテイオー」

 

「あのウマミミカチューシャどうしたの?」

 

「…………それ今聞く?」

 

「聞きたいんだもんいーじゃん」

 

「まぁ、僕の部屋に飾ってあるよ。バクシンオーがあと六個有るからって言って自分のカチューシャ態々またくれてタキオンとマヤノが作ってくれたからね……捨てるとかはしてないよ勿体ないし。改めてありがとうねタキオン」

 

「……そう素直に感謝されると照れるね。」

 

 これでバクシンオーから貰ったカチューシャは二個目になった新人だったが、自分の使っていたカチューシャをそんなにポンポン上げていいものなのかと疑問にも思っていた。バクシンオーだからいっか、なんて思考でその考えは終わってしまうのだが。そして此処で新たな問題がテイオーの中で出て来た。

 

 ——そう言えばボクからトレーナーに上げたものって無くない?——と。

 

「トレーナーにボクの服あげよっか?日常的にそのカチューシャ付けてみてよ」

 

「要らないしいやです。と言うかテイオーの服じゃ着れないって」

 

「誰の胸がゴルシより小さいって!?」

 

「誰もそんな事言ってないよ!?」

 

 突然訳の分からない事を言い始めたテイオーに驚いて身体を起こす。横に座っていたテイオーは立ち上がっており、胸を隠していたが残念ながら隠す程無かった。

 

「サイテー!何処見て喋ってるのさトレーナーのえっち!」

 

「おはようトレー」

 

「いやいやいや!テイオーの目を見て話してるだけだよ!?っていうかゴルシより小さいなんてウチのチームじゃ当たりま」

 

「全員の見てるの!?」

 

「……何の話をしてるんだ?」

 

「私に振られても困るよオグリくん」

 

 何故か始まったテイオーと新人の喧嘩にオグリがタキオンに状況を聞くが、余りにもバカらしかったのでタキオンは説明を放棄した。頭の上で?を浮かべながらもオグリは二人を会話に意識を向けた。

 

「見てないし気にもしてないよ!」

 

「でもボクの服着れないって言った!バクシンオーのカチューシャは付けてるのにぃ!」

 

「カチューシャはね!?流石に服貰っても困るんだよ!日常的に着て欲しいとか、また噂されるじゃん!」

 

「……トレーナーの噂また増えたのか?」

 

「この前廊下で偶然耳に挟んだけど、今は女装癖持ちの新人トレーナーって言われてるらしいよ。ちなみに何故かファンクラブも有るらしい。これも噂だが、秋川理事長や駿川たづなも加入していると聞くから信憑性は無いがね」

 

 尚ファンクラブを立ち上げたのは秋川理事長だった模様、初めはたづなと二人で女装した新人を応援していたのだが、先のミニライブで多くのファンを獲得していた。因みに新人のお友達(ご飯係)もまたファンクラブに入会している。非公式なのだが、秋川理事長が作った為に半分公式に足を突っ込んでいる。

 

「と言うか何でそんなに僕を女装させたいのさ!」

 

「可愛いから!」

 

「僕は男の子だよッ!」

 

とう!

 

 新しく直してもらった窓ガラスから大胆に突入して来たのはいつも通りゴールドシップだった。また新人の給料から弁償代が引かれる。

 

「新人が女装したいって言ってるって!?」

 

「ドアから入れよバカ!」

 

「聞いてよゴルシ!トレーナーがさぁ!」

 

「女装したいって?」

 

「言ってない言ってない言ってない!」

 

「つまり女装したいって!?」

 

「コイツ人の話聞かねぇなオイ!」

 

 乱入して来たゴルシにより更に会話は複雑となっていった。最早収拾がつかない。ファン感謝祭が終わったという事は、次に来るのはオグリ初のGIであり晴れ舞台となる菊花賞なのだが、最早その為のトレーニングの事すら後回しになっていた。

 

「人の話を聞かないって事は私達ウマ娘の話は聞くんだろうか」

 

「……一応言っておこうか、ああなったらもう誰の話も聞かないと思うよ」

 

「……そうか、所でなんでテイオーと新人は喧嘩……喧嘩?してるのか……?」

 

「ん、喧嘩……と言うよりかじゃれ合いだろうか。テイオーくんなりにモルモットくんになにかして上げようとしてたんだが、そのチョイスが悪かった。そしてそれをモルモットくんが汲み取って上げれなかっただけさ。ゴルシくんは……うん、まぁ、取り敢えず紅茶飲むかい?」

 

「……頂こう」

 

「今度は勝負服見てーなの作って新人走らせてみようぜ、絶対おもしれーよ」

 

「やらねぇよ!」

 

「じゃあボクの服貸してあげるね!」

 

「要らないよ!だったらタキオンとかオグリの服の方がまだ良いよ!」

 

()

 

 その瞬間空気が凍った。テイオーとゴルシの聞いた事が無い低音によって部屋の空気は一気に冷めた。低音によって部屋もまた低温になった。流石に不味いと感じたのか、タキオンは紅茶の底に残った砂糖を飲み込み席を立とうとした。

 

「……オグリくん、ちょっと外に行こう。ここに居たら巻き込ま」

 

「私の服がどうかしたのか?」

 

「自分からあの空間に入っていった!?悪い事は言わない!帰ってきたまえオグリくんっ!」

 

「聞いていればトレーナーを女装させたいだの、ファンクラブだのと。良いじゃないかトレーナーはいつものスーツでも」

 

「……ファンクラブ?」

 

「女装はさせたいだろ、見てる側は面白いから」

 

「ボクは唯ボクの服着て欲しくて」

 

「トレーナーは何時もの服でいい。女装なんかしなくても可愛いし、それに」

 

「……それに?」

 

「……何時ものスーツ姿のトレーナー、格好良いから!!」

 

 めをカッ開き思いの丈をぶちまけるオグリの熱意によって部屋が温まって行く。特に新人の顔が赤くなった。

 

「あ、え……あり、がとう」

 

「……そこで照れるのは流石新人だよな。もう狙ってるとしか思えねぇよ」

 

「……全部オグリに持ってかれた……ボクだってトレーナーのスーツ姿かっこいいって思ってるもん……」

 

「…………いやキミ達皆負けた様な顔してるけど、一番の敗者は恐らく私だからね?」

 

 話に一切混ざれなかったと言う点においてだが。そんな微妙な空気に部屋が包まれていると、部屋の外が騒がしく感じた。

 

「……なに、この音」

 

「誰かがこの近くで走ってんじゃねぇの?一応此処外な訳だし」

 

驀進ですよ皆さん!

 

「うるさっ!?」

 

「バクはぁ……バクシンオーちゃん速いよぉ……マヤ待ってって、言ったのにぃ」

 

「す、すいませんマヤノさん。早く皆さんに知らせたかったので……」

 

「……で、なに?二人ともそんなに急いで。トレーニング時間に遅れては無いけど」

 

「……ふぅ、えっとねオグリちゃん今度の菊花賞に出るでしょ?」

 

「そうだな、クラシック最強を名乗」

 

「それに出るウマ娘が増えたんですよ!」

 

「…………どういう事?」

 

 バクシンオーは右手に持っていた本を机の上に広げた。確かに菊花賞に参加するウマ娘の枠が追加されていた。初めは15枠だったのが、16枠に増えていた。

 もう菊花賞まで一週間も無いと言うのに、急に出走するウマ娘が増えるなんて事は普通じゃなかった。本来レースに出る為に色々と調整しなくては行けないし、最低でも一週間前には出走登録をしなくてはならないというのに、急に出走者が増えたという事は。

 

「……ファン感謝祭の準備中に出走登録したって事?」

 

「それだけじゃないよ、オグリはクラシック三冠路線に急に割って入って来たウマ娘として色々と目を付けられてる。それは僕も同じだけど……怖いのは、オグリがクラシック三冠路線じゃ無かったのに菊花に出るって事を知った上で被せて来た」

 

「……となると、出走するウマ娘自体に意味は無いと?」

 

「……ソレは分からないけど、でもそのウマ娘が負けたとしても最悪オグリが叩かれる。クラシック三冠に入り込んで来たウマ娘としてオグリは知名度を上げちゃったし、なんなら出走登録したウマ娘もオグリがやったからやりましたって事で、そんなに言われないけど……でもオグリは違うから」

 

 クラシック三冠の最後菊花賞、それに割って入ったのはオグリ。そしてそんなオグリを見て自分も出来ると勘違いしたのか、はたまた行けると思ったから来たのかは不明だが、何方にせよ後から来た奴は前のオグリに色々と理由を付けて悪評を押し付けられる。そうなれば勝ったとしても有マ記念に出られるほどファンが会得出来ない可能性すら出て来てしまったのだ。

 

 元々茨の道だと分かっていた事だが、一体誰がそんな事をするのか。新人は記憶を遡って該当するトレーナーを探すが、心当たりが多過ぎて逆に絞れなかった。

 

「……勝てば良いんだろう?」

 

「そうだけど、そうならない可能性を作らされたって感じかな。元々その可能性はあったけど、正直低かったから」

 

「また面倒な事になったなぁオイ」

 

 この場にてオグリが菊花賞に出なくてはならない理由を知らないのはタキオンただ一人なのだが、横からマヤノとテイオーが説明をしていた。

 

「……因みに出るウマ娘の名前って?」

 

 元々出るのは、スペシャルウィーク、セイウンスカイ、エルコンドルパサーと言った強者揃いの菊花賞だったが、スペだけは菊花の後にオグリと同じ様に天皇賞・秋に出走登録がされていた。

 

 そうして新たに追加された枠のウマ娘を見ると、そこには——。

 

 

◆❖◇◇❖◆

 

 

「本当に良かったんだよな?」

 

「勿論、元から諦めるつもりなんて無かったもの」

 

「……流石って言うか、その内俺もあの新人トレーナー見たいにボロクソに言われそうだな」

 

「そうはならないわよ。なにせ貴方は」

 

 ——このキングの我儘を聞かされてるんだもの——。

 

 

「…………とんでもねぇウマ娘だよ、ホントに。」

 

 




 道は前にしか無く、背後には崖しかない。たった一言、その一言を欲しがりながらもそれを伝えられない。
 確かに伝えたいのに、その術を持たない彼女は覚悟を決めた。泥を被る決意を、確かな繋がりを、自分の夢と願いを。


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