純情ハートとウマ娘(凍結) 作:ゲーミング
前置き終わり!はんぺんどーぞ!
オグリの勝負服が届き、本格的に菊花賞への道が直ぐそこまで見えて来た頃、『流れ星』の担当トレーナーである新人は一つ問題を
「俺のキングが皆の嫌われ者が担当してる様なウマ娘に負ける訳ねぇだろ」
「はぁ!?ぼっ、僕が嫌われてる事とそれ関係無いじゃん!論点摩り替えないで貰えますか!?」
「論点摩り替えなんてしてませんけど?俺は単に俺の担当してるキングがどれだけイケメンでカッコよくて勝利に貪欲か説明してあげてただけでーす」
「こっ……少し顔が良いからって喧嘩売ってきてるのそっちなんだから謝れよ!」
「は?誰も売ってない喧嘩勝手に買ったのは沸点の低い新人だろうがよ!?なんで俺がお前に謝んなきゃいけねぇんだ!」
「……なんだよこの状況」
新人の唯一の友と言っても過言では無い男、
「落ち着けよ二人共。お前らいい歳した大人だろ?」
『
「二人同時に喋んじゃねぇよ!?後どっちだ今俺の事パシろうとした奴!新人か!?」
「僕だよ!」
「悪びれねぇなコイツ!?」
「……はぁ、全く、これだから知能指数の低い子供は」
「……はぁ?」
「待て待て待て、話が進まねぇよ。なんでお前ら二人が喧嘩してるのか一切分かんねぇぞ」
「イッセイだけに?」
「……くっ」
「……おい、今の何処が面白かったんだよ。お前らあんまり好き勝手やるならたづなさんに頼んでトレセン学園から追い出すぞ」
「だっせぇ!おい新人聞いたか!コイツ自分の手を使って俺達追い出すんじゃなくて、たづなさんに頭下げて俺達追い出すってよ!」
「イッセイ、流石に少しどうかと思うよ?」
「……なぁんで俺がお前ら二人に責められてんだよ!?」
喧嘩する程仲がいいと言うかなんと言うか、或る意味自分の担当こそ最強だと思っている者同士な為に起こった衝突なのだが、今この瞬間だけは
「取り敢えず説明しろよ、話聞かせろ。なんもかんもが、ちんぷんかんぷんだぞお前ら」
「ちんぷんかんぷんってあんま聞かな」
「話せ!良いか!?そろそろ俺が怒るぞ!?」
そうして観念したのか、新人とキングヘイローのトレーナーが話し始めた。
◆❖◇◇❖◆
事の発端は、オグリの勝負服が届き一日経っても未だに浮かれていた新人がスマホで撮影したオグリを眺めながらニヤニヤしてた時に偶然通り掛かったキングヘイローのトレーナーとぶつかった事だった。
「いてて、ごめんなさい。あの、怪我とか……何人のスマホ見てんの」
「……お前アレか、新人か」
「どれか知らないけど、新人だよ。ねぇスマホ返してよ」
「コレ今度菊花賞に出るウマ娘の勝負服か?そこそこ似合ってんじゃん。ま、キング程じゃねぇけど?」
「……は?」
「勝手に見ちまったからな、俺のも勝手に見ろよ。ほら、拾えよ俺のスマホ」
そう言って態々新人の目の前にスマホを置いて拾うように指示した。尚この時新人とキングトレーナーは立っていたが、新人の身長は169cmジャストに対してキングトレーナーの身長は180cmと言う巨体だった。
目を見て話すには見上げるしか無く、元から新人の頭は低かったが更に低くしろと言わんばかりの発言によって新人も若干イラッと来ていた。
主にオグリが着た勝負服をそこそこ等と言う評価を下した事に対してなのだが。
身長が高いからイライラしてた訳では無い、断じて目を合わせる際に見上げるレベルで上を向かないと行けない事に自分のコンプレックスを刺激されてイライラした訳では無い。
「態々人に手渡したら良いのに地面に置くとか、性格わっる!」
「いやすまんすまん、小さくて良く見えなかったからさ」
「はぁ!?」
「いや、お前身体も小さいし手も小さいじゃん?俺目がいいけど流石にミクロサイズは見えないんだよね」
「こっ……君って突然菊花賞に出走登録したキングヘイローのトレーナーだよね?」
「あ?あぁ、そうだよ。今回遅れたのはキングの調整だったからな。次以降はもう少し早目にやるさ」
「……ふーん、君がキングヘイローのトレーナーかぁ。ウマ娘とトレーナーって似るって言うけど、君みたいに性格悪い人がトレーナーだったらキングヘイローも性格悪」
「もっぺん言ってみろゴルァ!!」
「僕が喋ってんのに遮るなよ!!」
とまぁ、この様な会話のキャチボールが出来ない者同士での言い合いがきっかけとなった。争いは同レベルでしか起きないと言うが、これ程似合う言葉があるだろうか。新人とはまた違うコミュ障を抱えているであろうキングトレーナーは自分の担当しているキングヘイローをバカにされキレ、新人は身長をネタにされた事にキレ散らかし煽った結果、地獄となった。
「新任トレーナー歓迎会に来なかったお前よりかは性格良いと思うけど?」
「はっ、あんなの単にお酒飲んで連絡先交換するだけでしょ!僕はそんなの参加したくなかったね!」
「参加したくなかった?参加したかったけど身長低いから子供と間違えられたんじゃ無いのー?」
「まだ言うか!?このデカブツ!」
「言うよ?大体オグリギャップだっけ?」
「オグリキャップだ間違えるなよ!」
「あぁ、ごめんごめんワザとだよ」
「ぐっ……んん」
「……デビュー戦8着、OP2着、鳴尾記念1着、マーメイドS1着。こんな戦績のウマ娘がクラシック三冠最後のレース菊花賞に出るなんて、どんな頭してたら恥ずかしげもなく出走登録出来るんですかぁ?」
「……出走登録ギリギリでする様な奴に言われたくないよ」
「だからそれはキングの調整が」
「そんなにギリギリまで調整しないと行けないウマ娘が担当なんて、随分と苦労してるんですね〜!」
「あぁ!?キングは最強だぞ!」
「知らねぇよばーか!」
「あっ、てめ!バカって言ったな!?バカって言う方がバカだからな!バーカ!」
「何度も繰り返し言わないと伝えられないんですか?ソレに最強のウマ娘とか言ってるけど、ホントかなぁ?」
「デビュー戦1着!OP戦三回出走して1着1回2着2回!ホープフルステークス3着、皐月賞3着!キングが弱い訳ねぇだろ!」
「…………いや、最強のウマ娘って言うなら全部1着取りなさいよ」
「…………俺が、俺がトレーナーとして弱いのが言けないんだ……」
何故か二人して急に落ち着いたが、余りにも空気が先程と違い過ぎたからか、話題が繋がらなかった。
煽り合いの会話は続くのに、日常的な会話は続かない辺り二人は或る意味似た者同士だった。そうして空気を変えようとして言った言葉が冒頭だった。結果としてまた煽り合いが始まったが、新人のお友達に止められたが。
結果としてキングヘイローのトレーナーである彼もまた自分の担当の勝利を疑わない男であったが、新人との出会い方が不味かった。
二人の担当へ向ける熱意は何方が大きい等と言う話では無くて、信じて疑わないと言う心が似通っていただけだ。
◆❖◇◇❖◆
結局事の顛末を聞かされた
タキオンと別れた後、自分がなりたい夢見たトレーナーになる為に日々勇往邁進しているのはある種タキオンとの別れが彼にとっての転機となった。
「んで、いつもは担当としか話さないようなお前がなんで新人にくって掛かったんだよ」
「……別に。単に気に食わなかっただけだ」
「言うて俺も最近友達になったけどよ、新人があんなに怒ってたの初めて見たんだけど」
「それは、まぁ……俺が彼奴の担当の名前バカにしたからだな」
「……やっていい事と悪い事があんの分かるか?」
「我慢出来なかった。だってよ、彼奴……」
「……ま、仕方ねぇか。気に食わなかったんだろ?」
「そう、だけどよ」
「んじゃこの話は終わりだよ、でもお前本当に気を付けろよ」
「……何にだよ」
コーヒーを飲み終えた
「新人の本気は凄いぜ。トレーニングの試行錯誤の回数も多分新任トレーナーの中じゃ断トツに多い。そんな奴がクラシック最強を決める菊花賞に乗り込んだんだ。お前が信じてるキングヘイローももしかしたら」
「ねぇよ」
「……そうか。マジで信じてんのか。なら良いや……菊花賞が終わったらちゃんと謝れよな。新人ああ見えて結構思い詰めて引き摺るタイプだから、自分が少しでも大人だと思うならほんの少しでいいから引き際ぐらい見極めろよ」
そう言って
「……あいつがすげー奴なのはわかってるよ。トレセン学園って言う閉じた場所でこんだけ叩かれてんのに、それでも尚此処に居ようとする気概はすげーと思うし、担当したウマ娘がデビュー戦で全員1着取ってんのだって……でも、それでも……」
いつの間にか飲み干したコーヒーには当然の如く自分の顔は映らなかった。けれど一人呟かずには居られなかったのだ。
「……俺のキングが勝つ。他のウマ娘も抜いて、誰よりも速く先頭を駆けるんだ。負けてらんねぇよ……」
こうして菊花賞と言う重賞に一石を投じた者同士の初会合は終わった。結果としては最悪な物だったが、それでもその先に何か有ると確信させるような物を確かにキングトレーナーは感じていた。
物珍しい喧嘩回。作者は元々鬱描写だけやたら上手いと物書き仲間達の間で高評価貰うけど、ウマ娘ってそんなものじゃなくて夢を追い掛ける話だと思ってるからそう言うのあんまり書きたくないってのが本音。
因みにイッセイくんの漢字名は一星くんです。ならこのデカブツトレーナーは……?
尚この日のトレーニングで新人はメンタルケアされた模様。うじうじしてるのはデカブツトレーナーくんだけです。
だって新人くんのチーム悩みを吹き飛ばす能力高い娘達が揃ってるからね……。