純情ハートとウマ娘(凍結)   作:ゲーミング

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 一つ良い事、嬉しい事が有ったら三つ四つ嫌な事面倒臭い事が降り掛かってくる現象に名前付けたい。この一週間何も出来なかったんだけど。
 逆接的幸福論とか名付けようかな。名前カッコよくない?

 以上、小説投稿一週間休んだ言い訳でした。お待たせしてごめんなさい。前書き終わり、本編どーぞ。


第百二十二話

 その日はある種の転機だった。難しい事を考えると頭が沸騰してしまう彼女にとって授業を真面目に受けている姿勢は快く評価されるが、その実内容は一切頭に入って来ない。悲しい事に真面目な性格をしているが本質的に頭で考えるよりも身体を動かしている方が覚えが良かったから起きた些細な問題だったのだが。

 トレセン学園にもテストはある。けれどそのテストの内容としては中等部ならば一般的な中学生が受けるような物と、それ+でレースの基礎であるクラシック三冠や秋シニア三冠と言った用語に、そのレースが一体どの時期に開催されるか、距離は何メートルか。そう言ったウマ娘にとって知って置いて損は無い知識等の復習が存在する。

 

 一人で勉強をしても余りに効率が悪いのとそもそもがテストの点数が悪かったが為に補習を受ける手筈だったのにそれすら忘れてしまった彼女は新人が教えて置かなければならなかった補習を、生徒会室にて女帝が補習を受けさせ、それを終わらせたのが今日である。明日はオグリの菊花賞がセッティングされておりそれまでには終わらせたかった為に茹でダコの様になりながらも課題をクリアして見せた。

 尚エアグルーヴの頭痛は止まらずに眉間にシワがつかないときが無かったのだが。

 

「ふっふふ〜ん♪エアグルーヴさんとのお勉強は楽しかったですけど、きっと私が居なくてチームの皆さんは寂しがってる筈です!ならば学級委員長として迅速に向かわなくては!」

 

 彼女——バクシンオーの脳裏に過ぎっていたのは『流れ星』メンバー達の寂しそうな顔であり、その中でも一際寂しそうな顔をしているであろう新人を思い浮かべた。スキップしながら偶に空中で三回転しつつ『流れ星』が使っているチーム室の前に辿り着き、その扉を開いた。

 

「皆さん!私が帰って」

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!3回行ったからもう良いでしょ?悪かったって、夜更かしして寝坊したのは本当にごめんなさい!」

 

「どうするテイオー?今日トレーニングに遅刻して来た新人が何か言ってっけどー?」

 

「んー、反省の色が見れないよねぇ。あーなんかボクトレーナーがトレーニングに来るの待ってたから喉乾いて来たかもなぁ」

 

「あの」

 

「マヤねぇ、新しいシュシュとかほしいかな〜♪」

 

「アタシは屋台が欲しいな!ラーメンとおでんを混ぜたハイブリットなすげー奴やりてぇ!」

 

「私は取り敢えず研究施設が欲しいかな。トレーナーくんのポケットマネーで建てるか作ってくれると助かるねぇ」

 

「自由か!遅刻して来たのは悪かったけどそれに対する罰が皆重いよ!」

 

 バクシンオーが声を挟むも何も届かない。頭数が減ったとしても騒々しさは一切無くならないチーム、それが『流れ星』だった。話の流れを聞くしか出来ないと悟ったバクシンオーは一人静かに部屋に入り、タキオン愛飲の紅茶を作りゆっくりと飲んでいた。

 

「はふぅ……美味しい」

 

 少しだけ視界がボヤけて紅茶に映った自分の顔はよく見えなかったが、気にしない事にした。バクシンオーは強い子だ。

 

「は?ボク飲み物が欲しいって言ってるだけだよ?ねぇねぇ、ボク飲み物」

 

「私も単に研究施設が欲しいと言っただけなんだが」

 

「テイオーやマヤノは良いよ!全然買えるから!でも何、研究施設とか屋台とか、バカじゃないの!?寧ろ自分はバカですって言ってよ!諦めも着くから!」

 

「……そうか、新人はそうやって差別するんだな……よよよ、アタシはそんな子に育てた覚えは無いよ!……ま、育てた覚えも産んだ覚えもねぇんだけど

 

「聞こえてるんですけどぉ!僕が突っ込まないと行けない場所を自分から潰すなよっ!」

 

 ボケとツッコミ両方を一人でやれてしまうゴルシは無敵だった。

 

「モルモットくんはモルモットらしくなろうよ。私と可能性の扉を開くんだろう?その為の資金くらいはポンと出して欲しいんだがねぇ?」

 

「僕何回破産するの!?ねぇ!タキオンは僕に何をするつもりなの!?」

 

「可能性の扉を開くのには限界まで追い詰めた方が良いかなって」

 

「安直だねぇ!?」

 

「トレーナートレーナー」

 

「なにオグリ!」

 

「お腹空いた」

 

「…………ごめんね、もう僕のお財布にオグリのご飯代は入ってないんだよ……」

 

 新人がオグリにそう伝えると、何処からか寂しげなBGMが流れ出した。

 

「っ!?…………くっ……」

 

「そんなに悔しがる程だった!?食堂行けば好きに食べられるよね!?僕に頼まなくても食べに行けるよね!?」

 

 ノリで悲痛なBGMが流れているのだが、やっている事がギャグなので一切空気にはあっていなかったが、一人紅茶を優雅に飲んでいたバクシンオーには合っていたかも知れない。バクシンオーの目の前に同じく紅茶を飲むタキオンが居るのでやはり合わないが。

 

 

◆❖◇◇❖◆

 

 

「一先ずおかえりバクシンオーくん」

 

「あ、気付いてたんですか?私一切会話に入れなかったので気付いて貰えて無いと思ってたんですけど」

 

「流石に気付くさ。ねぇみんな?」

 

「え?あ、バクシンオー居たんだ」

 

「バクシンオーちゃんおかえりなさい!何時帰ってきたのかな?」

 

「……今気付かれましたけど」

 

「……可笑しいな。初めに扉開けた時にちゃんと聞こえてたんだが……流石にモルモットくんは気付いているだろうね。だって一応、そう、一応は私達のトレーナーだからね」

 

 そう言ってタキオンとバクシンオーは新人の方に耳を傾けた。

 

「新人の稼ぎが悪いからオグリがお腹いっぱいご飯食べれないんだからな。少しは出世しろよパパ」

 

「新人なのかパパなのか呼び方統一してよ。というか誰がパパだ、ママ何処にいるのさ」

 

「じゃあアタシがママになってやるよ」

 

「…………うわぁ」

 

「よし分かった。アタシこのチーム抜けるわ」

 

「出稼ぎかな?行ってらっしゃい」

 

「ちっげぇよ!少しは止めろって!」

 

「千葉ロッテ?野球選手にでもなるの?」

 

「お前めんどくせぇな……ま、アタシならボールは消せるし増やせるしなんなら燃やせるしな。引く手数多だなちくしょう」

 

 結果はご覧の有様だった。オグリはゴルシと新人の二人に頭を撫でられており、頭の上に?マークが浮かんでいた。一応バクシンオーには気付いた様で手は振ってくれていたが。

 

「……気付いてませんね、現在進行形で気付いてませんよね。私と喋ってくれるのタキオンさん以外居ないみたいですね……」

 

「……そうだね」

 

(この紅茶凄く美味しいですね)

 

(バクシンオーくん!?直接脳内に)

 

(今日もう帰ろうかな)

 

(マヤも帰ろうかなぁ)

 

(……増えたなぁ)

 

(お腹空いた)

 

「まだ言うかい!?」

 

 マトモなツッコミ役が一人しか居ない事に気付いてしまったタキオンだった。明日は菊花賞だと言うのに、これでいいのか『流れ星』。




 次回から菊花賞に入ります。前後編になると思います。取り敢えず一週間続けて投稿を目標にしよう。ここ最近本当に詐欺投稿者になってるよ……。
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