純情ハートとウマ娘(凍結)   作:ゲーミング

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 打倒コミュ障&夢への第一歩

 尚今回のお話は新人トレーナー君の悪癖てんこ盛りなので曇らせて行きます。
 ちなみに目隠れ系男子なんですけど、一番近しいビジュアルはFGOの風魔小太郎君ですね。

 後予約投稿は昼の12が良いのか夜の22がいいのか、どっちの方が読者的には有難いんでしょうか。
 やっぱり夜?


うじうじトレーナー編
第一話


 意地は張ったら張り通せ。

 それは僕の生きて来た人生の教訓の一つだ。

 

 たった22年と言う薄いし少ない人生だけれど。

 

「マヤはね、一番になりたいの!だからトレーナーちゃん!」

 

 因みに教訓は後五個あって、一番新しいのがコミュ障を治す方法はググッても実践出来なきゃ意味が無いだ。

 何が沢山の人と話しましょうだ巫山戯んなばーか。

 

「マヤの事しっかり見て、マヤと一緒にキラキラになろうね!!」

 

 月の光に照らされたマヤノトップガンの笑顔に、思わず見惚れてしまった。

 

 

 ……僕のチームにコミュ力お化けキラキラガール『マヤノトップガン』が加入するのは、コミュ障を治す第一歩と言っていいのだろうか。

 

 

 

◆❖◇◇❖◆

 

 

 

 事の発端はトウカイテイオーとの会話だった。

 

「それは所属希望……って事?」

 

「うん!お兄さんトレーナーさんでしょ?顔も見た事無いって事は多分新人トレーナーさん、そんな人が伝説を作って見たいって言ってるのが凄く面白そうだったからね!」

 

「……そっか、そっかぁ……所属希望してくれるのかぁ……ありがとう」

 

 別にトウカイテイオーの笑顔の所為じゃない。

 この顔の熱も、バクバクと動機を早める心臓も。

 選抜レースで凄いレースを見たから、夕日に当てられただけ。

 

 でもこの喜びはきっとトウカイテイオーのお陰で、それを素直に喜べないのもまた、トウカイテイオーのお陰なんだ。

 

 だから。

 

「えへへ、所でお兄さんのチーム名は……」

 

「ごめん」

 

「……へ?」

 

 さっきまでの笑顔が消え口を開けたトウカイテイオー、それもまた……と思ってしまう自分は一体何をとち狂ってるのか。

 

「僕が君を誘う。だから待ってて欲しい。」

 

 これは意地だった。

 だって僕は何もしてないんだから、それなのに初めからトウカイテイオーが加入してしまったら、僕のチームに所属してしまったらきっとトウカイテイオー目当てで来る子も出て来る。

 

 それは僕の望みじゃないんだ。

 だから待っていて欲しい。

 

「トウカイテイオー、君は最後に僕が勧誘する。だからそれまで待っていて欲しい」

 

 座り込んでいた重たい腰を上げてトウカイテイオーに背を向ける。

 だって余りにも嬉しくて直ぐにでも加入申請書を出して欲しくなってしまうから。

 

「これから僕はもっと頑張って勧誘する。君を待たせない、僕の夢への第一歩は君を勧誘する為にもチームメンバーを集める、そして君を入れて学園最強を下し世界最強になる」

 

 自分でも言ってる事が無茶苦茶だと思う。

 折角入ってくれると言っているのに、それを蹴り飛ばして居るのだから。

 これでトウカイテイオーがやっぱり無し、と言っても文句は無い。

 でもやっぱり僕は意地を張った。

 

「だから……それまで待っていて欲しい。必ず君を迎えに行く、僕のチーム最初の一人にして最後の一人として」

 

 そう言って僕はその場を後にした。

 別に恥ずかしくなった訳じゃない、苦しかった訳でも無い。

 

 

 単に僕が意地を張っただけの話だった。

 

 

 これが原因でまさかマヤノトップガンが加入申請をしてくるなんて夢にも思わなかったんだから。

 

 

 

 

◆❖◇◇❖◆

 

 

 

 そうして今日、また放課後に勧誘を再開していた。

 必死だった、吃りながら、噛みながらでも意地で何とか話し掛けていた。

 

 この日だけで20人近いウマ娘を勧誘していたけれど、皆断られた。

 

 

「……新人だから、僕になんの実績も無いから……!」

 

 握り締めた拳からは何も流れない。

 食い縛った歯から音はしない。

 ただ心に灯った熱は消えなかった。

 

 そんな時だった。

 

「貴方が最近噂になってる幽霊さん?」

 

「っ!?だ、誰!?」

 

 背後から話し掛けられ振り返ると。

 

「マヤの名前?マヤはマヤノトップガンだよ!ユーコピー?」

 

 オレンジ色の髪の毛を振り乱し、キラキラとした瞳を此方に向けながら手を差し伸べるウマ娘が居た。

 

「……は、初めに言うけどさ、僕、僕は幽霊じゃないよ」

 

「あはは、そんなの知ってるよ〜。ただ噂だと幽霊って呼ばれてるからマヤもそう言って見ただーけ」

 

 緊張から吃ってしまったが、彼女は何も言わなかった。

 其れ処か、変わらずキラキラと瞳を向けていた。

 

「因みに……その、その噂はさ……どんな噂なの?」

 

「んー?えっとねぇ、放課後になると全身黒い幽霊が話しかけて来るって噂!」

 

 あ、もうウマ娘達の中でかなり共有されてるんだソレ……。

 

「えっと、そんな僕に……何の用、かな?」

 

「マヤはね、チーム無所属だよ?」

 

「……うん?」

 

「だぁかぁらぁ、マヤはチーム無所属だよ!」

 

 僕の返答が気に入らなかったのか、少しムッとした表情で話しかけて来る。

 ……別に可愛いなんて思ってない、思ってないけど込み上げてくるモノがある。

 

「……えっと」

 

「むー……テイオーちゃんから紹介されて来たのに!トレーナーちゃんもしかしてマヤの事知らない感じなの?」

 

 トウカイテイオーなんて事を。

 ……マヤノトップガン、彼女もまたトレセン学園の勧誘したいウマ娘名簿に載っているウマ娘の一人だったのは覚えている。

 驚異的な直感とずば抜けたセンスを持っていて、トレセン入学時のレースにて注目を浴びていた事から、かなり注目株と評価されていたが何故かトウカイテイオーと同じく無所属。

 

「僕は新人で、何も出来てないトレーナー、ですけど」

 

 少し話して見て分かったのはコミュ力の塊、マイペースの鬼。

 僕は絶対合わない。

 だからチームに入りたいなら別のトレーナーの所にでも……でもトウカイテイオーもコミュ力の鬼って感じしてたから別に平気なのかな……あれ、僕割と話せてる?

 コミュ障治ってる?もしかしてトウカイテイオーと話したから?

 

 なんだ、トウカイテイオーってやっぱり凄いウマ娘じゃん!

 

「マヤの興味は今トレーナーちゃんでいっぱいだからね!それにテイオーちゃんからも紹介されてたし、マヤも入っても良いかなーって」

 

「……また僕が勧誘してないのに自発的に来るのか……」

 

「?」

 

 意地を張ってしまった手前コレでOKしてしまうと、張った意地は何だったんだと言われてしまう気がした。

 

「……じゃあ条件で」

 

「なになに?他のウマ娘ちゃん達と競走するとか?」

 

 そんな事したら名実共にマヤノトップガンが僕のチームに所属しているものと思われてしまう。

 けれど折角来てくれたのにのに追い返すのは、違う気がする。

 だから条件、最低な僕が出す最悪な条件。

 

「僕が他のウマ娘を勧誘して、もし成功したら加入申請を受け取っても良いよ」

 

 こんな条件出されれば入る筈も無い。

 トウカイテイオーには悪いけど、僕は自分から勧誘したいから意地を張ったんだ。

 それなのに自分の力でも無いのに所属されてしまったらトウカイテイオーとの約束は何なんだ。

 

「アイ・コピー!マヤはそれでも良いよ〜」

 

「……え?」

 

「トレーナーちゃんが出した条件でマヤは良いよ?」

 

「……正気?」

 

「むぅ、だってテイオーちゃんから少し聞いてたしマヤ、トレーナーちゃんの事見て少し分かったけど、トレーナーちゃんテイオーちゃんとの約束とか色々考えて出した条件でしょ?マヤは勝手に興味が湧いて勝手に来ただけだもん。トレーナーちゃんが決めていいし、マヤはそれでいいよ?マヤは大人なオンナだからね!」

 

 そう言って胸を張るマヤノトップガンは、ひたすらに逞しく見えた。

 

 ……やっぱりズルいよウマ娘は。

 カッコイイし、カワイイし、こんなにも僕の胸を揺さぶるんだから。

 

「……じゃあ勧誘しに行くから」

 

「うん!マヤも着いていくよ、ユーコピー?」

 

 軽く頷いて僕はウマ娘達の元へと歩いて行った。

 

 

 

「あ、あの、僕の作ったチームに入って貰えませんか?……あ、えっと僕は今年からトレーナーになった……あ、はい……メンバーは居ません……はい……はい」

 

「あははートレーナーちゃん断られちゃったねー」

 

「……次だよ、次」

 

「マヤはちゃんと見てるからね!」

 

「…………」

 

 そうして次のウマ娘へと勧誘を始めた。

 

 

 

「初めまして、僕は今年トレーナーになった新人何ですけど、良かったら僕のチームに……」

 

「わぁ、凄いね全力で逃げられちゃったよトレーナーちゃん?」

 

「……次」

 

「マヤ喉乾いたー!」

 

「じゃあ……取り敢えず何か飲み物を買おうか、飲みたいものは?付き合わせてる分買うよ」

 

「ホントに!?じゃあはちみー飲みたい!」

 

「……あぁ、アレ飲み物なんだっけ」

 

 そうして、一人、また一人と勧誘するも失敗続き。

 その度にマヤノトップガンから慰められる。

 諦めない、諦めたくない。

 だって約束したもん、意地を張った約束だったけど、トウカイテイオーと約束したんだ。

 だから……。

 

「トレーナーちゃんトレーナーちゃん」

 

「……何?」

 

「もうそろそろ寮の門限になっちゃうよー」

 

「……嘘、もうそんな時間?」

 

「トレーナーちゃんは凄いね」

 

「……何処がさ、勧誘してるのに成功しない。君の加入申請も受け入れてないのに。何処凄いんだよ」

 

「だってさ、断られるのって少し嫌でしょ?それでもテイオーちゃんとの約束とか、マヤにした約束を守るために頑張ってる訳でしょ?それってきっと凄い事だって分かっちゃったもん」

 

 夕日は落ちた。

 昨日見た時程綺麗とは思えない夕日だったけれど、変わらず今日も夕日は落ちて行った。

 堪らず空を仰ぐ。

 夜空へと姿を変えつつ疎らになった雲と顕になる月。

 自然と瞳に力が入る。

 

「とーこーろーで!」

 

「……何?」

 

「此処に何処のチームにも所属して無くて、担当トレーナーも居ないウマ娘が居るんだけど、トレーナーちゃんはどうする?」

 

 ……そんなモノ、僕は……。

 

「……僕のチーム、流れ星はね、新人の僕が作ったチームって事もあってまだ誰も居ないんだ」

 

 マヤノトップガンに背を向けて語った。

 

「うん分かってるよ」

 

 瞳の熱が増していく、一日行動を共にして、マヤノトップガンが良い子、良いウマ娘なのは分かったんだ。

 でも……、

 

「……それでも、僕は自分の力で勧誘したい……自分でウマ娘に加入申請書を書かせたい……!僕は!」

 

「トレーナーちゃん」

 

 マヤノトップガンから声を掛けられる。

 ゆっくりと振り返り、彼女を見詰めた。

 

 振り返った時見たマヤノトップガンの表情は、笑顔なんかじゃ無かった。

 

「マヤの事は勧誘してくれないの?」

 

 とても悲しそうに、とても寂しそうにしていたんだ。

 

「……え?」

 

 想像もしてなかった言葉を掛けられ、言葉に詰まる。

 

「……だってトレーナーちゃん他の子達には声掛けてたけど、マヤには話し掛けてくれなかったでしょ?マヤを勧誘してくれないの?」

 

 ……だって、加入したいって言ってるのに、勧誘するなんて、そんな事……。

 

「トレーナーちゃん勘違いしてるよ、マヤはチームに()()()()()()とは言ったけど()()なんて言って無いんだよ?」

 

 ……そんなの、そんなの言葉遊びだ、狡いよ、狡過ぎる。

 

「トレーナーちゃん」

 

 思わず顔を俯かせる。

 だって、だってそれって。

 トウカイテイオーに僕の事やチームの事を聞いて、僕がどうしてトウカイテイオーの加入を断ったのか。

 そして何でこんなにも必死になって勧誘してるのか、それを全部『分かって』言っていたって事になる。

 

 怖くない、知らない内に自分の事を理解されてたことに恐怖なんてしない。

 けれど、それなのに僕に加入申請してくるのは、何でなのさ。

 

「マヤね、分かっちゃうの。一目見た瞬間にテイオーちゃんを断った理由とか、全部分かっちゃった。だからね、トレーナーちゃんに誘われたくていっぱいアピールしたんだよ?」

 

 僕の意地を……叶える為に……そんな事の為に一日付き合ってただなんて、僕は……っ!

 

「でもトレーナーちゃんは誘ってくれないんだね、マヤの事。じゃあ仕方ないよね?」

 

 咄嗟に顔を上げ、マヤノトップガンの瞳を見詰めた。

 昼間とは違った意味でキラキラと輝く瞳。

 

 そうして数秒見詰め合った後、マヤノトップガンは僕に背を向けた。

 

 ……何度繰り返した、自分の起こした行動で後悔したなんて。

 嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ、コレで終わりにしたくない。

 

 だって、後悔なんてしたら……僕は……!

 

「マヤノトップガン!」

 

 もう寮の門限ギリギリだ、こんな大声出したらウマ娘達にも良い影響は無いだろう。

 

 でもそんなのは関係無い。

 

「僕の!僕のチーム『流れ星』は!」

 

 マヤノトップガンの足が止まる。

 君の求めていた勧誘とは違うかも知れない。

 君は確かにずっと隣で見ていてくれた。

 僕の勧誘を、僕の意地を。

 きっと僕の事を知っていようが知らなかろうが、他人は僕の事をバカだと罵るだろう。

 

 両手の拳を握り締め、止まっていた足を動かし、マヤノトップガンに向かって行く。

 

「このチームは!僕が自分の夢の為に作ったチーム!自分勝手に作ったチームなんだ!」

 

 でも文句は有るよ、大体可笑しいんだよ。

 又聞きで僕の事を知った君が、僕の事を直ぐに理解するだなんて。

 それにこんな回りくどい事せずに、僕に勧誘されるのを待てば良かったんだ。

 

 ……でも、これは単なる文句。

 本心だけど、心からの言葉じゃない。

 

「そんなチームを作っちゃう新人トレーナーが!この僕で!今君を勧誘したいと思ったのも、この僕だ!」

 

 マヤノトップガンの前に回り込み、俯いた顔を上げさせる。

 

 両目に溜め込んだモノが零れるのが見えたけれど、それは僕が流させたモノ。

 だから、昼間見せてくれた笑顔にさせる。

 

「マヤノトップガン……君に、入って欲しいチームなんだ……ごめん。きっと正しかったのは君が来てくれた時に勧誘する事だったんだ、でも僕にはそれが出来なかった……本当にごめん」

 

 耐えられなくなって僕は顔を俯かせた。

 コレで断られても、僕は構わない。

 知り合ったばかりで、付き合いなんて内に等しいけれど、彼女の気持ちを、思いやりを一度踏み躙ってしまった僕には離れて行くマヤノトップガンの手を取る事は出来ない。

 

 だからこれはダメ元の勧誘。

 

 

 マヤノトップガンの頬に添えた両手も下ろして、右手を握り締めた。

 切り揃えた筈の爪が肉に食い込んで、瞳に篭った熱の代わりに流れ出て行く。

 

「トレーナーちゃん」

 

 マヤノトップガンの顔は見れない。

 言葉も出せなかった。

 

「マヤはね、一番になりたいの!だからトレーナーちゃん!」

 

 その言葉で俯いた顔を上げる。

 僕の両目に映るのは出会った頃とは少し違うけれど、笑顔を浮かべるマヤノトップガン。

 

「マヤの事しっかり見て、マヤと一緒にキラキラになろうね!!」

 

 差し出された左手を、僕は左手で今度はしっかりと握る。

 

 

 こうして、僕のチーム『流れ星』にマヤノトップガンが加入した。

 

 

 

 僕は初めて、思い描いていた勧誘かと聞かれれば、そうだとは答え辛いけれど、勧誘に成功した。

 

 

 

 




新人トレーナー人生の教訓
①、夢は諦めなければどうとでもなる
②、意地は張ったら張り通せ(悪癖)
③、酒は飲まない
④、反省しても後悔はしない(場合によっては悪癖)
⑤、コミュ障を治す方法はググッても実践出来なきゃ意味が無い
今後もきっと増えてく

それはそうとマヤちゃんこんな喋りで大丈夫だっけ。
育成一回しかしてないから少し不安。
うまぴょい出来なかったや……ごめんよマヤちゃん……。
甘えん坊で我儘キャラなのに少し大人びて見えるのは主人公の為に最初で最後の演技なので許し亭あぁ許し亭。

マヤちゃん好き(遺言)

モチベになるから感想くれ下さい

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