純情ハートとウマ娘(凍結)   作:ゲーミング

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 巻き込まれるステイヤー、やらされるトレーナー。


第二十四話

 チームスピカの面々が集まる中、僕はひたすらゴルシに今回の説明をする。

 チラっと横目で周りを見ると、先輩は複雑そうな表情をしていたし、当然と言うかスピカメンバーも先輩と似た様な表情を浮かべていた。

 

 周りを見た時に、何故かトウカイテイオーやマヤノトップガンが此方をガン見してて、一瞬目が合ったし、オグリやバクシンオーは2人で何か話してるし、いやマイペースだなぁ……。

 と言うかなんでトウカイテイオーもマヤノトップガンも瞳孔開いてるの……怖いんだけど。

 オグリとバクシンオーはもう少しこっちに興味持って。

 

「……で、ゴルシちゃんを引き抜きたいと、そうおっしゃる訳ですわね?」

 

「……うん、どうしたのそのキャラ……」

 

 説明してる最中は普通にゴールドシップだったのに、終わった途端急にお嬢様っぽいキャラで話してくるから吃驚した。

 

「だってぇ、ゴルシちゃんの魅力が新人トレーナーを魅了しちゃったみたいでぇ」

 

「何言ってんだゴルシ」

 

 やたらクネクネするゴルシだけど、それやる意味あるの?なんて考えてた。

 正直今スピカメンバーや、僕のチームメンバーにすら注目されているの現状によって、とても居心地も悪い。

 分かってた、分かってたよこうなるって事は。

 

 でもやっぱり欲しかったんだ、僕が迷った時に蹴り飛ばしてくれたのはゴルシだったから。

 ゴルシが居てくれたなら、きっとどんな事が起きても大丈夫だと思えるから。

 

「……なぁのにゴルシは他のチーム入ってんだもんなぁ」

 

「だってお前アタシの事勧誘してなかったじゃん?このスピードスターゴルシちゃんを先に目を付けたのはトレーナーだったんだよ」

 

「おま、それを言ったら戦争だよ!」

 

「別にゴルシちゃんはやってもいいんだぜ?ドーナツの穴開けるバイト、お前が耐えきれるか見物だしな!」

 

「何で戦争するつもりなの!?」

 

「あ、バイト代はアタシが貰うからな、ウマ娘のトレーニング時間奪ったのは罪深いから」

 

「お小遣いが欲しいだけじゃんッ!」

 

 ゴルシにツッコミを入れていると、横から声がした。

 

「なぁ新人、勧誘の件はゴルシと話してくれ。俺は纏まった話を聞いてから判断したい」

 

 ほんの少し、いつもより声が堅い先輩だった。

 表情は強張っている訳じゃ無かったけれど、浮かべていた笑顔は力が無かった。

 

「んじゃ、取り敢えずトレーニングしに行くわ。お前んとこのウマ娘達も含めて合同って形で良いだろ?」

 

「……すいません、先輩」

 

「良いんだよ、でも次から引き抜くってんなら事前のアポは取っておけ?じゃないとお前の評価も下がっちまうからな」

 

 そう言って先輩はスピカメンバーと流れ星メンバーを連れて、部屋から出て行ってしまう。

 やっぱり僕は足りてない、でもコレで分かった事も有る。

 この経験を無駄にはしない、今はとにかくゴールドシップと話し合いをしなきゃ……。

 

「……えっと、その、そういう訳で僕のチームに……」

 

「あ、オセロ将棋やるか?この間トレーナーとやって3分で飽きたけど」

 

「いや、やらないよ?」

 

「飴ちゃん居るか?」

 

「要らないよ?」

 

「ゴルシちゃんは欲しいのか?」

 

「別に?……あ、いや待って!」

 

「んじゃ話終わりな」

 

「ゴルシ!?」

 

 話しの持って行き方が卑怯だ!

 と言うか話の流れ作るのが上手すぎる。

 立ち上がるゴルシを引き止めると、ゴルシは机を叩いた。

 

「ちゃんと勧誘しろよ!ゴルシちゃんが欲しいなら欲しいって真正面から言え!説明なんてぶっちゃけどーでもいいんだよゴルシちゃん的にはな!でも引き抜きだからとか、そんなんじゃなくてちゃんとアタシの事勧誘しろ!オラ!あくしろよ!」

 

 別に、別に適当に勧誘してた訳じゃないし説明だって逃げる為にやってた訳じゃない。

 でもゴルシをチームに入れたいって事は、ちゃんと伝えて無かった。

 

 ……あぁ、やっぱり僕全然足りないんだな。

 足りないなら、足掻かなきゃだよね。

 

 息を深く吸う。

 頭の中で単語を選んで、それを繋ぎ合わせ、文にして。

 

 

「ゴールドシップ」

 

「おう」

 

「ゴールドシップがスピカに所属してるのは分かってる。けど、それでも僕はゴールドシップに僕のチーム『流れ星』に来て欲しい。遊びに来るとか、偶に合同でトレーニングをするとかじゃなくて……ゴールドシップが引退するまで僕のチームでずっとトレーニングを受けて欲しいんだ」

 

「やだ」

 

「即答!?……まぁ、そうだよね……」

 

 頑張ったけれど、勧誘に失敗した。

 けど別に嫌な気分じゃない、寧ろ真正面から断ってくれたから気分は晴れてる。

 罪悪感とか、背徳感?を募らせる必要が無くなったから。

 

「でもマックイーンが居たら良いぜ」

 

「……マックイーンって、メジロマックイーン?」

 

「そうそう、彼奴と居るの楽しいからな!」

 

 強いウマ娘の家系を聞かれれば、必ずと言っていい程名前の上がる家名。

 それがメジロ、メジロ家の御令嬢と言うのが、今話しに出てきたメジロマックイーンの二つ名……みたいなものだ。

 勧誘を試みたトレーナーは数知れず、けれど彼女は頷かない。

 

 なんでも自分の所属するチームは自分で決めたいとか、そういった理由から勧誘を断っているらしい。

 少しカッコイイと思ったのはナイショだ。

 

「……あ、良い事思い付いた」

 

「え?」

 

 そう言ってゴルシは僕の手を、腕を掴んだ。

 何をするのかと思ってゴルシの顔を見ると、とても良い笑顔をしていて、かなり嫌な予感がした。

 僕の感は全く当たらないし、悪い感が来ても信用出来ないモノだったけど、今だけは別に。

 

 絶対なんかやらかされる。

 

「行くかっ!」

 

「まっ、まっちょ、ゴルシィ!」

 

 その一言でゴルシは走り出してしまう。

 ほとんど僕を引き摺る形で。

 ウマ娘の走りに追い付ける訳ないだろ……っ!

 

「トレーナー!」

 

「ん?ゴールドシップ、話は終わったのか?」

 

「おう!ゴルシちゃんはトレーナー同士の奪い合いが見てぇ!」

 

は?(へ?)

 

 引っ張って来られた僕と、先輩の声が被る。

 なに、トレーナー同士の奪い合いって。

 先輩と殴り合えばいいの?自慢じゃないけど勝てる気がしないよ?

 

「ゴルシちゃんはマックイーンを勧誘出来たチームに入るぜ!」

 

「マックイーンって、あのメジロ家のお嬢様をかぁ!?」

 

「勧誘苦手なの知ってるよね!?ゴールドシップゥ!」

 

 突然意味の分からない事を言い出したゴールドシップ。

 いや、意味が分からないのはいつもなんだけど。

 

 僕と先輩の勧誘勝負なんて、勝負にならないんだけど。

 

「あ、担当ウマ娘を使うのは禁止な、お前ら2人でゴルシちゃんを奪い合うと良いぞ♡」

 

 

 

 なんだろう、想像してたより、随分話がややこしくなって来たぞ……?

 とても良い笑顔をしたゴールドシップに若干引きながら、僕も先輩も了承したのだった。

 

 なんでかこの後トウカイテイオーとマヤノトップガンに怒られたけど、勧誘の事を考えててまったく聞いてなかった。

 

 勧誘……かぁ。

 

 

 

 




 巻き込まれるマックイーン、勧誘を強制的にやらされるトレーナー。

 全然関係無いですが、バクシンオーの育成に悩んでいたら感想欄にて感想と共にオススメ育成教えて下さった方々に此処で纏めて感謝を。
 個別に感想返信の時点で言ってましたけど、改めて。

 どっちのトレーナーがマックイーンの勧誘成功させるのか……。

新人トレーナーの妹ウマ娘予測アンケート

  • 1番人気ライスシャワー
  • 2番人気キタサンブラック
  • 同じく2番人気メジロドーベル
  • 大穴カレンチャン
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