純情ハートとウマ娘(凍結) 作:ゲーミング
なら、夢って?
きっと『繋がり合う』モノ。
僕は確信する、
夢は色んな説が有るけれど、僕の夢は
空を見ていた。
僕は1人、寂れた公園のベンチに座って、何をする訳でもなく空を見上げていた。
前髪で瞳を隠して、両耳に音楽を流し続けて、呼吸するだけの1日。
これは僕がトレーナーになる為にスクールに通っていた頃、もうスグ卒業で何処かのトレセンに入る準備をする頃の僕だった。
◆❖◇◇❖◆
もうスグ夢が叶う、トレーナーになると言う夢が。
追い掛けている時は長くて、楽しい事より苦しかったり辛かったりする記憶の方が多かった。
けれど考えてしまったんだ、悩みになってしまったんだ。
僕は
見栄を張っていた頃の黒いスーツじゃない、今のYシャツに黒いズボンでも無い。
この頃の僕は、黒いパーカーに、灰色のTシャツと色の薄いジーパンを履いた一学生だったんだ。
『……トレーナーに成りたい夢が叶うのに、どうしてこんなに虚しいんだろう』
それはその先が無かったから。
小さなモノでも良い、明日早起きする、何か美味しい物を食べに行く。
そんな事でも『夢』になるのだから。
でもこの頃はそんな事考えてる余裕なんて無くて。
僕を見てくれる人も、叱ってくれる人も、仲のいい友人も居なかったから。
いや、作れなかったし自分から縁を切ってしまったと思う。
家族からの連絡や帰宅の催促、話し掛けに来てくれていたけど何も返せなくて居なくなった人達。
そういったモノを全て切り捨て、自分からは行動せずに何か変わるのを待ってた。
そんな自分が、過去の僕。
多分そろそろだ。
寂れた公園のベンチに1人座っていると、声が聞こえて来る。
数人の子供達の声。
『ねぇねぇ、ねえちゃんうまむすめなんだろー?走ってみてくれよー!』
「アタシの走りはたっけぇぞ?1000億積まれたって足りねぇくれぇだからな!」
『せん、1000億?』
「ガキ共には早かったか?」
『むぅ〜お姉ちゃんはしって走ってぇ!』
「お、おいおい尻尾掴むな揺するな引っ張るなぁー!」
この頃から既に僕より身長の高かった銀髪のウマ娘。
僕が勧誘したいと思った初めの1人、僕の意地そのもの。
『ねぇごるしおねーちゃーん!』
「はいはいゴルシちゃんだよ?つか何時までアタシのキュートな尻尾掴んでんだよ!?」
『飽きるまで』
「飽きるまでなら仕方ねぇ。好きなだけやってな、但し!抜くなよ?」
『抜く?引っ張れば良いの?』
「ヤメロォ!?」
この頃は単に煩いと思ってただけなんだけど。
今は少し違うんだ、ゴルシ。
そうこうしている内に、子供達とゴールドシップは遊び始める。
いや、ゴルシが遊ばれ始める?
彼奴ああ見えて子供大好きだからな、黙ってればホントにいいお母さん、お姉ちゃんって感じなんだ。
気付くと、ゴルシは僕の前に立っていた。
「なぁーに見てんだおめー?」
「
あぁ、やっぱり僕の言葉じゃなくて夢の言葉になるんだね。
考える事は出来てるのに、話せないなんて——もどかしいなぁ。
「見てんじゃん、アタシのキュートでスイートなお目目とバッチリ合ってんじゃん。お?お互いの財布の中身賭けて勝負すっか?勝ち抜き?入れ替え?どっちにする?」
「
「今時知らねぇの?遅れてんなぁ。もしかして地底から来たのか?良いね夏は涼しそうだアタシも呼べよ!」
「
何処をどう解釈したら地底人だと思うの?
本当に思考がぶっ飛んでるなぁ。
「まぁ知らねぇならアタシが教えてやるよ。そしたらそのしんきくせー面は治るだろ?」
「
というかこの頃の僕こんなにスラスラ話せてた?
可笑しいなぁ、もう5、6回くらい噛んだり吃ってたりした筈なんだけど。
もしかして夢だから美化されてるの?なにそれ複雑。
「んな顔してるお前が悪い。公園に来てるのに何暗い顔してんだ、リストラでもされたか?お前仕事遅そうな顔してるもんな」
「
『おねーちゃん!』
「ほら、呼ばれてるよ。行ってきなよ」
「はいはい、行ってきますよーっと……あ」
「
そうしてゴルシは子供達の元へ行くと、軽く話した後に僕の方へ振り返る。
その顔はとても良い笑顔で——。
「お前も来いよ!おにーさん!」
「
『わぁゴルシより背の低い男の人だ〜』
『これからかくれんぼするの!おにーさん鬼ね!』
「
「んじゃ10数えろよ!んじゃ隠れるぞー!」
『わーい!』
『見付けられるなら見付けてみろー!わははー!』
『にげろにげろー!』
「
でもゴルシの前で辛気臭い顔してたらゴルシキック飛んで来る今より随分優しいと思うよ。
別にゴルシキック痛いのは別として、気合い入るから全然良いんだけど。
背中に跡が付くんだよね……。
「うし、探しに行くか!」
「
「そりゃお前が帰らないようにな!付き合いもノリも悪そうだし?」
ゴルシに見張られながら?かくれんぼで子供達を見付けて行く。
何処に居るかとか、此処は隠れると見つかりそうだとか、そんな事をゴルシが話しながら相槌を打ってたんだ。
次第に僕も楽しくなって来てさ、2回目3回目って回数を重ねていったんだ。
そうして灰色だった空が夕焼け色になって、子供達が帰って行くのを見送って、僕は自分が何を悩んでたのか思い出すんだ。
不毛だし我ながら中々に無様だね。
「まぁーた変な顔になってんぞ?」
「……関係無いじゃん」
「さっきまであんなに楽しそうだったのにな」
「わ、忘れてよ!」
「いーや忘れない。隠れる側になったら上手く隠れられなくて頭隠して尻隠せて無かったのは爆笑させて貰ったしな!」
「……ぅぅ……」
もうこの時から、僕の中でゴールドシップは特別だったんだと思う。
何も言わずとも、手を引いてくれるから。
でも今は違う、今度は僕が手を引きたい。
悩みを聞き出されて、デコピン貰った時から。
「夢が叶ったらまた何か別の夢作りゃ良いだろ。
他人の夢を僕の夢にしたこの日から。
僕はお前のトレーナーになりたいって、そう思ってたんだ。
ゴールドシップ。
◆❖◇◇❖◆
そうして目が覚めた。
結局ゴールドシップとの馴れ初め全部見ちゃったな。
今日の勧誘が失敗したら、僕の独り善がりな約束も果たせなくなっちゃう。
だから頑張ろう。
頑張るくらいしか、僕にはできないんだから。
「今日も良い天気だなぁ……不良バ場の練習もしたいけど、これは何か別の方法考えた方が早そう」
理事長に頼んでターフの一部を水浸しにして、オグリに走って貰って荒らした後にトウカイテイオーやマヤノトップガンに走ってもらうのが良さそうかな。
いつかのトレーニング方法を考えながら、今日も楽しんで行こう。
ゴルシ。
新人くんとゴルシちゃんの馴れ初め。
学生時代の新人くんはうじうじはしてないけど、自分で答えが出せない子供。
トレーナーになったトレーナーは、考え過ぎて答えがごちゃごちゃになってうじうじしちゃう大人ぶりたい子供。
意外と子供好きそうなゴルシちゃん。
ゴールドシップが「手ぇ洗って来い!」とか笑いながら言ってくれるの想像すると、良くない?
新人トレーナーの妹ウマ娘予測アンケート
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1番人気ライスシャワー
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2番人気キタサンブラック
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同じく2番人気メジロドーベル
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大穴カレンチャン