純情ハートとウマ娘(凍結)   作:ゲーミング

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 小さな棘と諦めない2人。




第三十話

 ボクは勝てないんじゃないか、最近そう思っちゃう。

 オグリやゴルシに何回挑んでも勝てない、諦めたくないのに、どうしても勝てる気がしなくなって来る。

 

「……無敗の三冠ウマ娘に、なる」

 

 カイチョーと並ぶ為の夢、何時かカイチョーを追い越す為に必要な資(・)格(・)。

 それがボクの目標であり、夢だった。

 けれどやっぱりと言うか、流石と言うか……オグリは前に走ったレース以来負ける事が無くなった。

 ゴルシとの競走でゴルシに追い抜かされても、並ぶんだ。

 可笑しいよね、マヤノとゴルシ、オグリの3人の競走見てたけど、何でオグリ最後の直線で抜かれて3バ身とか開いてるのに追い付くの?

 

 ゴルシもゴルシで途中から徐々に追い上げてくるのが、本当にコワイ。

 足音が迫ってくる時の音、ドスンドスンとかそんなもんじゃないからね。

 最早重機だよあんなの。

 

 結局今日もトレーニングに集中出来なかった。

 折角トレーナーから勧誘して貰えたのに。

 

 そう、ボクはトレーナーに勧誘されたんだ。

 それなのにボクは何してんだろ、思わず溜め息が出る。

 もうみんな帰っちゃったし、ボクも帰らないと、

 

 トレーナー室では無く、チーム『流れ星』のチーム部屋になった場所から出て行く。

 そう言えば最近トレーナーと話せてないな、なんて事を考えながら校門へと向かう。

 何時もならステップしながら帰るんだけど、今日はそんな元気無かった。

 

「……はあ」

 

 校門を通り過ぎた所で、また溜め息を吐いた。

 

「トウカイテイオー」

 

「……トレーナー?」

 

 音がする方へ勢いよく首を回した、ゴキって言った痛い。

 そこにはトレーナーが居た、何時もの白いワイシャツに黒いズボン。

 頭にはカチューシャをつけていたトレーナーが。

 

「一緒に帰ろうか」

 

「……一緒に!?え?でもトレーナー寮とウマ娘寮って……」

 

 反対だよね、って言おうとしたら、ボクが口を開くより前にボクの手をトレーナーが握って居た。

 近くない!?近いよね!?キミ誰!?

 ボクの知ってるトレーナーってコミュ障であがり症のトレーナーなんですけど!?

 

 トレーナーに手を引かれ、ボクは歩いて行った。

 

 

 

◆❖◇◇❖◆

 

 

 

 まぁ知ってたよ、単に帰るだけなのは。

 でもさぁ、1度繋いだなら手を離すのはダメでしょトレーナー。

 そういう所だよ。

 

「……ぁ」

 

「どうかした?……はちみつドリンク……」

 

 はちみーの移動販売が有った。

 ここ最近は全然見てなかったけど、帰り道にあったの?

 いやいやいや、もう約1週間も飲んでないから禁断症状出て来て大変だったからそんなの関係ない。

 

「飲みたい?」

 

「のみたいっ!」

 

 トレーナーの質問に大きく返事を返す。

 飲みたいに決まってるでしょ!?1週間だよ1週間!

 

 時間にすれば大体168時間、分にすれば10080分だよ!?

 

「じゃあ買ってあげるよ、一緒に飲もっか」

 

「…………一緒に?」

 

 何を?はちみーを?2人で?一緒のはちみーを?

 

 今日のトレーナー誰!?

 

「すいません、あの、ぇっ……えっと、はち、はちみーの……柔め薄め普通で。トウカイテイオーは?」

「……うん、まぁ知ってた。ボクはねぇ、固め濃いめ少なめ!」

 

 流石に一緒に1つのはちみーを飲んだりはしないよね。

 分かってる、分かってたけど……一瞬頭に過ぎっちゃうんだよ!

 

「……あ、以外と美味しい」

 

「でしょでしょ?」

 

「これは普通に飲めるなぁ……下手な栄養剤よりコッチの方が好きかも」

 

「なんではちみーが美味しいって話してたのにお薬の話になるの?トレーナー大丈夫?疲れてるんじゃない?」

 

「大丈夫、大丈夫。何処か座れたりしないかな」

 

「あ、じゃあそこの河川敷に行かない?良く通ってるんだよね」

 

「河川敷?……いいね、楽しみだ」

 

 そう言うとトレーナーは本当に楽しそうに笑う。

 トレーナーって偶に子供みたいに見えるんだよね、凄く楽しそうって言うかトレーナー的に言うなら経験が無いからドキドキする。

 そんな感じ?

 

 ボク達は河川敷の芝生に座り込んで、夕焼け色の川を見ていた。

 少なくともボクは。

 

「トウカイテイオー」

 

「なに?」

 

 美味しいはちみーを飲んでる筈だけど、ちょっと味が分からない。

 キンチョーしてるのかな……。

 

 ふとはちみーを飲みながら横目でトレーナーを見た。

 夕焼けに染まりながら、優しい顔をしてた。

 

「走るのは楽しいかい?」

 

「——もちろん!あったり前だよ!だって」

 

「じゃあ負けるのは楽しいかい?」

 

「……楽しい訳、無いじゃん」

 

 走るのは楽しいけど、負けるのが楽しい訳、ないじゃんか。

 トレーナーが何を言いたいのかワケわかんないよ。

 

「諦(・)め(・)る(・)の(・)は(・)楽(・)だ(・)よ(・)ね(・)」

 

「あ、諦めてないよ!」

 

 諦めてはいないよ、諦めてはない。

 いつか、いつか勝てるから、だから……。

 

「オグリとゴルシと競走しなくなったよね。それはなんで?」

 

「……ボクには、ボクのペースが……」

 

「テ(・)イ(・)オ(・)ー(・)」

 

「……ぇ?」

 

 何気なく言われた言葉、普通に呟かれたボクの名前。

 ずっと言って欲しかった、ずっと欲しかった音が聞こえてしまって思考が止まっちゃった。

 

「負けるのは悔しいよね」

 

「……うん」

 

 オグリに負け始めた、悔しくて隠れて自主トレとかしてたけど、不思議とオグリにな追い付けなかった。

 

「諦めるのって辛いよね」

 

「……ぅん」

 

 勝てないんじゃないかって思い始めちゃったら、ずっと悪い事しか考えられなくて辛くなった。

 

「僕(・)は(・)諦(・)め(・)な(・)い(・)よ(・)」

 

「ぇ」

 

「僕は諦めない、だから僕を見ててよ。諦めない僕を。もしもテイオーが挫けそうになって諦めそうになったら、諦めずに足掻こうとする僕を見て。」

 

 そう言ってトレーナーはまたボクの手を握る。

 

 諦めない姿を見てよ、かぁ。なんだろ、すっごくカッコイイと思ったのはボクだけなのかな。

 

「じゃあさ……」

 

「なに?」

 

 ボクも、カッコよくなりたいな。

 カイチョーに憧れたみたいに、カイチョーに並びたいと思った時みたいに、カイチョーを追い抜かしたいって気付いた時見たくに。

 

 諦めなければ、カッコよくなれるかな。

 負けても、カッコよく見えるかな。

 

 何か喋りたかったんだけど、ボクはトレーナーの目を見るだけで何も言えなかった。

 言いたい事タクサンあるのに、上手く話せないんだよトレーナー。

 

「テイオー」

 

「……なに?」

 

「負けていい勝負は無いと思うけれど、負けるのは悪じゃないと僕は思う。だから負けた事に対して悔しがるのは当然で、寧ろ悔しがらなきゃイケナイ事だと僕は思ってる……で、テイオーはどう?負けるのは悔しくない?」

 

「悔しいよ、悔しいに決まってるじゃん!だって負けちゃってるんだよ!?無敗の三冠ウマ娘を目指してるのに、タダの競走で負けちゃってるんだもん!悔しいに決まってるよ!」

 

 楽しくない、楽しみたい。

 負けるのは嫌だ、でも負けちゃう。

 勝ちたい、でも勝てない。

 

 

 諦めたくない、諦めたくないよ。

 

 

「トレーナーは」

 

「うん」

 

「ホントに何があっても諦めない?」

 

「……そうだね。諦めるのは負けだと思ってるし、何より……楽しくないんだもん」

 

 そう言ってトレーナーは照れ臭そうに笑った。

 そっか、そうなんだ。

 分かってたし知ってたけど、やっぱり諦めるのはカッコ悪いよね。

 

 色々グチャグチャになってたけど、1つだけ胸の中にあれば良いんだね、トレーナー?

 

「テイオー」

 

「……」

 

「明日の競走、テイオーが勝てたらメイクデビューしようか」

 

「へっ?いや、え?ボクが勝ったら?勝てなかったらどうするの!?」

 

「そんな事は考えてないっ!つまり無計画だよ!」

 

「トレーナー頭良いのに、ホンットに頭悪いよね」

 

「……ごめん」

 

 でもそっか、ボクが勝てばメイクデビュー出来るのか。

 なら、だったら、それなら。

 

「勝(・)つ(・)よ(・)」

 

 ボクは勝つよ、トレーナー。

 勝てる気がしなくても、諦めない。

 諦めない姿をトレーナーはボクにずっと見せてくれるんでしょ?

 だったらボクも諦めないから。

 

 だから——。

 

 

「ボクの事、ちゃんと見ててね!」

 

「ずっと見てるから、テイオーの事」

 

 不思議と、やれそうな気がするんだよ、トレーナー。

 

 

 

 

 




 今思った、別にゴルシの勧誘後のトウカイテイオーの勧誘話後書きに載せる必要無いじゃん。

 ゴールドシップの勧誘話の所に書き写します。
 色々すいません()

 次回、帝王の意地。

 絶対見てくれよな!

新人トレーナーの妹ウマ娘予測アンケート

  • 1番人気ライスシャワー
  • 2番人気キタサンブラック
  • 同じく2番人気メジロドーベル
  • 大穴カレンチャン
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