純情ハートとウマ娘(凍結)   作:ゲーミング

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 トレーナーの闇、二つ返事の答え。

 今回の話は結構シリアスっぽいです。
 そして現れる三人目のチームメンバー。

 ではどうぞ。

 後何か知らないけど日刊ランキング92位ありがとうございます。
 感想、評価、お気に入り励みになってます。だからもっとちょうだい♡


第三話

 僕が鼻血を吹き出して倒れた日から一週間が経過していた。

 今朝はマヤノトップガンとトウカイテイオーの二人からのメッセージで起きた事もあってか、不思議と気分は良かった。

 今は絶賛ウマ娘達は授業中であり、僕はトレーナーとしての仕事をしていた。

 

 

 トレーナーの仕事と言っても基本はトレーニング計画表等の提出しなければならない書類を出す事位だ。

 

 新人と言う事もあって色々分からない事が多いけれど、ソコは先輩トレーナーやお花さん達に助けて貰ったりしていた。

 

 何やら僕がトレセン学園に入る前に、聞いた事は無かったが少し問題があったらしくメイクデビューを果たす前に一人のウマ娘を()()()トレーナーが居たらしく、懲戒免職され、そのウマ娘の家族やトレセン学園への賠償金、果てはトレーナー免許の剥奪された奴が居たらしく、ウマ娘が潰れた原因は()()()()()()()()()だったとの事。

 

 その事件があった時からトレーニングを行う際はトレーニング計画表を作り、それを理事長等に提出する必要が有るのだ。

 勿論一日のトレーニングが終わっても、その後追加の自主トレ何かもする事が有るらしいが、基本はトレーニング計画表を作り提出。

 僕も担当ウマ娘が出来た為にその書類を書いていた所だった。

 

 無事にその書類は書き終わり、提出した。

 

 お陰様で今の所出す書類も無く、トレーニング表も書き終えて居た。

 今は何をするでも無くトレーナー室でコーヒーを飲んでいた。

 

「……にが……」

 

 貰い物じゃ無かったら多分コーヒーなんて飲まなかったと思う。

 正直暇を持て余していた。

 

 ふとトレーナー室の窓から外を見ると、良い天気の一言しか出せない程綺麗な青空が広がっていた。

 何かしらの目的はないけれど、外に出ようか。

 思い立ったが吉日、付けていたノートパソコンの電源を落とし、トレーナー室の鍵を持って席を立つ。

 最後に苦くて美味しいとは思えないコーヒーを飲み干し、外へと足を運んだ。

 

 

 トレーナー室から出て空を見上げれば、窓から見るよりもよっぽど綺麗な青空で、気持ちのいい陽射しと心地好い風が吹き抜けて居た。

 

 

 

 

 

 

◆❖◇◇❖◆

 

 

 

 

 

「あら、新人トレーナーさんじゃありませんか」

 

「……あ、たづなさん……え、と、おはようございます」

 

 適当にトレセン学園敷地を歩いて居た所に背後から声を掛けられたが、驚きはしなかった。

 何せ聞き覚えのある声だったのもあるし、驚く程の体力は無かったから。

 

 ゆっくりと後ろを振り向くと、緑色のスーツに帽子を被ったお淑やかな彼女は駿川たづな。

 此処トレセン学園理事長秘書をやっている方で、右も左も分からない僕に学園案内をしてくれたり、偶に相談に乗ってくれたりする人だ。

 

 僕に事件の事をほんの少し教えてくれた人でもある。

 その時の瞳は今のように優しくは無かったが。

 

 偶に距離が近いと思う事も有るけれど、そう言う時は大体心配してくれてる時だから嬉しくもある。

 

 偶にお母さんって呼びそうになる時が有る。

 

「はい、おはようございます。……少し前髪切りましたか?」

 

「あ、え……はい、完全に伸ばすと、顔が隠れちゃうので……ギリギリ目が隠れる所まで切り、ました」

 

「なるほど。此処には慣れてきましたか?」

 

「はい、お、お陰様で……」

 

「勧誘活動も頑張っている様ですし、マヤノトップガンさんとトウカイテイオーさんとのトレーニングも少し見させて頂きましたよ」

 

「……見てたんですね……」

 

「お邪魔になるといけませんからね、ちゃんと隠れて見ていましたから」

 

 何時何処で見たんだ?少なくとも周りに他のウマ娘達は居なかったし、たづなさんの姿も見てなかったんだけど……。

 此処だけの話、勧誘すると良いウマ娘ファイルはたづなさんが作ってくれたもので、たづなさんとは既にLINE交換等しており言ってくれればそんな隠れて見る必要も無かったのに。

 

「鼻血を出して保健室に連れて行かれたそうですけど、体調は良いんですか?」

 

「その話は辞めませんか!?」

 

 色々思い出して恥ずかしくなってくるから!

 精神的に未熟な事が恥ずかしい……トウカイテイオー、マヤノトップガン……僕がトレーナーでごめんなさい。

 

「それはそうと、何か相談等はありますか?初めての担当ウマ娘と言う事もあって分からない事も多いでしょう?宜しければお話だけでも聞きますよ?」

 

「……じゃあ、あの……」

 

「はい、なんでしょう!」

 

 元気良く返事を返され、同時に一歩踏み込んでくるたづなさん。

 近い、割と近い。

 別に構わないけど色々危ない……!

 

「あ、あの……一回はなれ、離れて下さい……!」

 

「ご、ごめんなさい……つい興奮してしまって……」

 

「大丈夫です、はい、大丈夫です……その少し迷っているのがマヤノトップガンのトレーニング何ですけど、彼女は中長距離が走りやすいみたいなんです。それに伴って体力作りを主にやらせたいと思っては居るんですけど良い案が浮かばなくて……」

 

 今現在トウカイテイオーのトレーニングは柔軟と走り込みと中距離の流しを行ってもらっている。

 対してマヤノトップガンも同じトレーニングを行っているのだが、如何せんあっていないのか直ぐにバテてしまう。

 どうしたらいいのか少し困っては居た。

 

 たづなさんに聞くつもりなんて無かったけど。

 

「……でしたら階段等を使用しての連続ダッシュや坂周辺の競走等は如何でしょう。この間の競走を見る限りトウカイテイオーさんも少しスタミナやパワーに難が有りそうですから。それに一度学園の外でそう言った練習等をする事をオススメします」

 

「……学園外……階段……」

 

「はい、先輩トレーナーさんなんかスペシャルウィークさん達を連れて神社の階段を走って上がるって言う簡単ですけど、とても大事な練習をしていましたよ」

 

 ……何で知ってるんだろう。

 この人が忙しくせわしなく働いていたのは知っているし、理事長秘書なんて役職を持ってるんだから当たり前なんだろうけど……。

 ニコニコと笑うたづなさんだったけど、やっぱり少し怖い。

 

 僕が髪を切ったのも、正直そんなに目立たない物だ、それをすぐ気付くのは凄いんだけど……。

 

 たづなさんとはその後も他愛無い話をしながら、途中まで談笑を楽しんでいたが、どうやらたづなさんの方は仕事が残っていたらしく、帰ってしまった。

 と言うか僕と出会った経緯もその残した仕事をする為に必要な物を揃える為に歩いていただけらしい。

 

 また初めの一人に戻ってしまったが、別に問題は無かった。

 たづなさんと別れ、また気の向くままに歩みを進めた。

 

 

 そうして行き着いた場所は芝の道だった。

 深く息を吸えば芝、と言うか草と土の匂いがした。

 

 目を瞑れば、トウカイテイオーとマヤノトップガンが競走したあの日を思い出す。

 あんなに誰かの事を褒めたのは初めてだった。

 年の離れた妹は居たし、褒めたりしたのは初めてじゃなかった。

 

 けれど、あんなに自分の気持ちを素直に言えたのは、小さかった頃以来だった。

 

 その後鼻血を吹き出して倒れたのは予想外と言うか、普通に疑問が湧くが。

 ふと、観客席に目が行き其方へ歩いて行く、ほんの少しだけ歩む速度は早くなった。

 

 観客席、その一番後ろ。

 場所こそ違うが、トウカイテイオーと出会った場所、僕が抱いた夢を家族以外で話した初めての相手。

 出会ってまだそんなに時間は経っていないし、その時の事を懐かしむ程夢に近付いた訳じゃ無かったけれど、思い出したんだ。

 

「……僕は、伝説を作りたい」

 

 観客席に座り瞼を閉じて呟いた。

 何の実績もない新人トレーナーだし、知識だけあって分からない、知らない事ばかりだが、だからこそ頑張るし、足掻く。

 

 僕に出来るのはきっと其の程度の事しか無いから。

 

「……走ってる音……?」

 

 自分でさえ知らない内に呟いた一言に、自分で反応し咄嗟に瞼を開く。

 すると確かに走っているウマ娘が居た。

 授業中であろうこの時に、たった一人で。

 

 気になり、席を立ちコースへと走り出した。

 

 長い銀色の髪、赤茶色のジャージ。

 どの距離を想定して走っているのかは分からなかったけれど、スパート位置だけは分かった。

 何せ着いた頃にはその体勢だったから、コースと観客席の境界線である柵から軽く身を乗り出し見惚れた。

 

 恐らく彼女の中の最終コーナーだった、ソコから少し外に抜け出し直線へと駆けていく。

 

 芝を力強く踏み締め、大きく前に飛び出す。

 姿勢は低く、腕が引き千切れんばかりに振り更に速度を上げ、走り抜けた。

 そう、それは本当に風の様で力強く何よりこの瞬間だけなら、僕は過去に見たどのレースのスパートよりもカッコイイと感じ胸踊ったのだから。

 

 何故か頭の中で警報が鳴った

 

 気付けば僕は一通り走り終えた彼女の元へ駆け出しており、汗をジャージの袖で拭う彼女は振り向いた時だった。

 

 遠目から見ても綺麗だと思えた銀髪、頭頂部には特徴的な飾り、薄紫色の瞳、ほんの少し赤くなった頬。

 

「っ!あ、やっ、いだいっ!?」

 

 思わず足が縺れて転んでしまった。

 ……我ながら恥ずかしい、子供じゃないのにはしゃぎ過ぎた。

 

「……大丈夫か?」

 

 頭の上から聞こえて来た声、ゆっくりと顔を上げると、彼女はそこに居た。

 おずおずと伸ばされた左手に、心配そうに眉を顰めるウマ娘が。

 

 ……決めた、決めたよ。

 僕は、僕は彼女を、このウマ娘を……!

 腕を使ってうつ伏せに寝転んでしまった上体を起こす、その手はまだ握れない。

 

 

「は、はじめ、はじ、初めまして!あの、ぼく、僕のチームに入ってくれませんか!!」

 

 勧誘してみせる……!

 

「……ふむ……」

 

「あの、僕は新人トレーナー、で!」

 

「いや、大丈夫だ」

 

「……へ?」

 

 間抜けな声が響いた、何故かやっては行けない事をしてしまった気分になり、心臓は早鐘を鳴らし始めた。

 

 

 彼女の薄紫色の瞳に見詰められながら、時間は過ぎていった。

 

 そうして漸く、彼女は口を開く。

 

 

 

「その誘い、受けよう」

 

 

 その日、僕は初めて自分だけの力で勧誘し、成功した。

 

「私の名前はオグリキャップと言う。君の勧誘を受け、私は今から君のチームの一員……になる」

 

 けれど、何処か彼女の顔は強ばっていた、そう。

 何故かは分からないけれど、彼女は何かを諦めている様な、そんなモノが見えた気がした。

 

 

 

 僕はこの時もう少し考えるべきだったんだ、気付くべきだったんだ。

 何故彼女が、オグリキャップがそんな顔をしていたのか、授業中なのに走っていたのか。

 完全記憶能力があると言うのに、僕がオグリキャップの名前を知らなかったという事は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()に入って無かった事を。

 

 この時の僕はそんな事より、自分だけで勧誘出来た事実に酔ってしまっていて、無責任になっていたんだ。

 

 

 

 

 オグリキャップが事件に関わりがあったウマ娘だったという事に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 お ま た せ。
 三人目のチームメンバーはオグリキャップ。
 腹ペコちゃんだよ、作者はアニメ一期の時点でテイオー大好きで時点でウォッカだったんですけど、オグリキャップも大好きなんです。

 今回チラッと出しましたし、後々重くならない程度に掘り下げますけど実際トレーナー業って闇深そうなイメージ有るんですよね。
 ウマ娘に対するセクハラとかパワハラとかありそうじゃ無いですか?
 作者として一個人としてはウマ娘って深く考えれば考える程辛くなりそうなイメージ有るんですよね。

 この小説は新人トレーナー君とウマ娘達の夢を繋ぎ合わせて、手を取り合う作品として使っているのでシリアスは控えめ(無いとは言ってません)

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