純情ハートとウマ娘(凍結) 作:ゲーミング
これは悪夢だ、ほんの少し不安になるだけで幾らでもフラッシュバックしてくる記憶と言う名の悪夢。
酷く懐かしくて、止まらない嘔吐感を覚えた。
『聞いた?コミュ障くんトレセン受けるんだってさ』
『マジ?彼奴が受かる訳ねぇじゃんw』
『筆記1位だからって調子乗り過ぎでしょ。俺達のこと見下してんのかねぇ?』
『天才の考えwなんでしょ。先生からも嫌われてんのに、受かると勘違いしてんのお笑いだろ』
馬鹿にされてるのは知ってた、嫌われてるのも知ってた、けど僕はトレセンに就職したかったんだ。初めは皆を見返したくて、夢の為って言ってたけど、結局はソレが1番強かった想いだった。
筆記試験は満点だった、結果だけ見れば良い結果だったけれど、面接は大分ボロボロだった気がする。
理事長とたづなさんの面接を受けて、ガチガチに緊張しながらも、何とか質問に答えてた記憶は未だ新しい。
『貴方が我がトレセン学園に所属したい理由はなんでしょうか?』
見返してやりたい、なんて事は言えなくて。
でも無難な言葉なんてモノも出て来なくて。
『ぼ、ぼく、僕は!あ、ぁ、え……!』
『落ち着いて下さい。誰も貴方を落とす気で面接をしている訳じゃ有りませんから。大丈夫です、ゆっくりで良いですから』
酷く情けなかったのも、覚えてるんだ。たづなさんに優しく諭されて、ソレが無性に恥ずかしくて悔しかった。
ゆっくりと呼吸を繰り返していたけれど、結局上手く質問に答えられなくて。
『……ごめん、なさい』
『…………』
何故か謝ってしまっていたんだ。多分、泣いてたと思う。声になんて出せない、でも顔が熱くて、視界が滲んで零れてた。
僕を馬鹿にしてた奴等の顔が浮かんで来て、辛かった。
もうダメだ。そう思って、席を立った時に。
『青年!』
理事長から声が掛けられた。それまで僕の瞳をジッと見てきた理事長が。
『は!は、はい!』
『ウマ娘は好きか?』
理事長の分からない質問に、僕は——。
◆❖◇◇❖◆
「……最悪。寝汗酷いし……」
嫌な夢を見た後は大体寝汗が酷くなる。もう6月に入ったって言うのに気温は涼しくて過ごし易い。
でも僕は上手く生活出来てなかった。スマホの画面を付けると、時刻は午前6時を回っていた。
結局昨日はマヤノトップガンに謝って、トレーニング後の買い物は断った。マヤノトップガンはむくれて居たけど、僕今お金無いから。
それに僕のお金は全部マヤノトップガン達の為に使うって決めたから、自分の為になんて使いたくない。
僕は自分を良く見せる為にトレーナーになったけれど、僕のエゴの為に皆を巻き込むのはもう辞めたんだから。
「……エゴ、か」
夢なんて大体がエゴなんだけど、それでも魅せられるんだ。
僕もそうなりたいし、そうありたいと思う。
「今日は……共同スペースでトレーニング表書こう。やっぱり1人で殻に籠ってやってたらダメだ。昔の僕と何も変わらない気がする」
本当に変わりたいのなら、逃げちゃダメだと思うから。
寝汗を流す為にシャワーを浴びて、ドライヤーで髪の毛を乾かして、バクシンオーから貰ったカチューシャを付けて僕はトレセン学園へと足を運んだ。
途中何度も立ち止まりそうになったけれど、不思議と背中が熱くなって止まらなかった。絶対ゴルシに蹴られたからだな、もう1月は前の話なんだけど。
途中コンビニに寄って、お昼ご飯なんかを買いながらウマ娘特集の雑誌を買ったりしてまた歩き始めた。
そうこうしてる内に、トレーナーの共同スペースにやって来た。
時刻は10時を回っていた。時間が経つのが早く感じるけど、こんなもんかな。
「……なぁ、また来たぜ成金野郎が」
「デビュー戦で三連勝決めて調子乗ってんだろ、言ってやんなよw」
「彼奴が居ると空気が悪くなるの、自覚してねぇのかな」
「空気読めないから空気悪くしてんだよ。コミュ障くんも辛いよねぇ」
聞き飽きた。
取り敢えずど真ん中を座る勇気はなかったから、端っこのテーブルに座って、ノートPCを開いてトレーニング表を書き込んで行く。
その間も絶えず聞こえてくる僕への罵倒。
「あ、新人くんじゃん!おっはよー!珍しいね君がこっちに居るの」
「……お姉さん」
「そうそう、マスターちゃんとオハナバタケちゃんのトレーナーのお姉さんだよ!デビュー戦三連勝おめでと!」
「ぁ、ありがとう」
お姉さんは何故か他にも席は空いてたけど、僕の隣に座って来る。
若干狭いし圧を感じるから辞めて欲しいんだけど、正直話し相手が居てくれた方が今は楽だった。
「ねぇねぇ、サクラバクシンオーのレースの日って今週でしょ?私見に行ってもいーい?」
「別に、構わない、けど」
「やった!後次いでなんだけど、今度一緒にご飯食べにいこーよ。美味しいラーメン屋とか知ってるんだよね私」
コミュ力つっっっよい!!初めて会った時からそうだったけど、本当に話すの上手だなぁ。最低でも噛んだり、吃ったりしない様になりたいけど、最高でお姉さん見たいなコミュ力つよつよになりたい。
「なぁ、彼奴誘われてんだけど」
「……チッ」
「そーだ、トレーニングのコツとか教えて欲しいんだけど、いーい?私まだまだ上手くトレーニング表作れなくって……」
「は、はい……えっと、何を教えたら……」
「全部!」
「全部!?」
「うん!1から10まで全部!単に走って貰うだけのトレーニングじゃきっと足りないと思うから、デビュー戦で三連勝したりしてる新人くんに聞きたいの!ダメ?」
「だめ、では無いけど……取り敢えず蹄鉄重くしたりして足腰強くしたり……でもそれやる前に筋トレ施設借りてトレーニングするのがお勧め……だと思う」
足腰強くする前に、基礎能力が足りてなかったらウマ娘への負担ばっかりで最悪怪我……故障しかねないから。テイオーやマヤノトップガン以外は皆元がしっかりしてるから、蹄鉄とか重くしても有る程度走れるんだけど、やっぱりテイオーとマヤノトップガンについてはもう少し様子見をしてからそう言うトレーニングがしたい。
「ふむふむ、ありがとね!また聞くからその時教えて」
「う、ん」
「むふふ、噛んでるのかーわいい」
「……かわいいもんか、み、みっともないだけ、だよ」
「顔が可愛いから全部可愛いよ?」
「……顔の話しないでくれる?」
色んな意味でモチベ下がっちゃうから。お父さんの遺伝子って性別位で、あと全部お母さん譲りって言っても過言じゃない位にはお母さん似なんだよね。
一家代々鳩胸の家系だから、僕も鳩胸だし。
話しながらトレーニング表を作成して行って、僕が書き終わる頃には彼女もまた書き終わっていた。
僕よりタイピング早い人初めて見たかも……。
「じゃ、またね!」
「……また」
そろそろトレーニングの時間って事も有ってお互い別れて行った。
陰口は絶えず聞こえて来たけれど、やっぱり誰かと話しているだけで全然変わってくるんだなぁ。なんて呑気な事を考えながら、僕はたづなさんに印刷したトレーニング表を提出しに行った。
◆❖◇◇❖◆
「……いやコレ重過ぎだよ……」
たづなさんにトレーニング表を渡した所、蹄鉄を重くするって言う項目を見たんだとは思うんだ。たづなさんが蹄鉄貸し出してくれたからね、でもコレ重すぎなんだよ。
なんだコレ、見た目以上に重たいんだけど。しかもバクシンオーの蹄鉄って書かずに蹄鉄を重くって書いちゃってたから、人数分の蹄鉄渡されたし。
え、ホントにこれ何?拷問かなにか?
10個の蹄鉄とか持たされて、両腕が痛い所の話じゃないんだけど。もう痺れて来て感覚無くなってるよ。
「おや、トレーナーくんじゃないか。久しぶりだね」
「……シンボリルドルフ……」
なぜかシンボリルドルフとも会っちゃったし。
重たいけど蹄鉄は
「随分重たそうに持っているが、大丈夫かい?良ければ私が運ぼうか?」
「……持てる?すっごく重いよ?蹄鉄だよ?」
「問題は無い。君が持てているんだ、私が持てない道理は無いだろう?」
「……じゃあ、はい」
「……ふむ……」
シンボリルドルフに蹄鉄5セットを渡す。両腕が軽い、軽いんだ。なんて素晴らしいのか、身軽な事がこんなにも幸せに感じる日が来るなんて!もう、もう何も怖くない……!
「重たいな……」
「……ごめん、やっぱり自分で持つよ」
「すまない、想定していたよりも3倍程重かった……」
耳を垂らして謝るシンボリルドルフに、とても申し訳ない気持ちが湧き上がって来る。シンボリルドルフは悪くない、悪いのは僕なんだ。僕が貧弱で、もやしだから蹄鉄の重さに耐え切れなかったんだ。
「じゃあ、その……またね」
「あぁ」
そうしてシンボリルドルフとは別れた。
正直シンボリルドルフは苦手だ、と言うか初対面の時に盛大に失敗した事が未だに恥ずかしくて勝手に苦手意識を持ってるだけなんだけど。
まぁ、取り敢えずまた重たい蹄鉄運ぶの頑張ろう……。
話が進んでないって?
こまけぇこたぁ良いんだよ。
後実は前々から出したかったカイチョー、うじトレが話し掛けた数少ないウマ娘の1人。
もうね、作者決めたの。
書きたい物を書きたい様に書くって。理屈とかそんなモンは空の彼方に吹っ飛ばして行くよ。
新人トレーナーの妹ウマ娘予測アンケート
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1番人気ライスシャワー
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2番人気キタサンブラック
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同じく2番人気メジロドーベル
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大穴カレンチャン