純情ハートとウマ娘(凍結) 作:ゲーミング
74話振りの初投稿って何?
7月の某日。僕達チーム『流れ星』は夏合宿のトレーニングを一旦お休みして、車を走らせる事30分の場所にあるデパートにやって来た。予算は1人頭2万として合計僕を含めて5人、つまり10万だけ持ってきた。怖いから一応5万持って来たけど、使わない事を願うばかりだ。因みにお昼ご飯は旅館で食べて来た。じゃないとオグリがお腹空かせて瞳から光が消える。
「じゃあみんなは水着を買ってくるといいよ。はい、お小遣い」
「他人の金で担当ウマ娘に小遣いを渡す新人トレーナーが居るらしい」
「しかもそのお金の出処は女の人……つまりトレーナーはヒモって事だね」
「ねぇ僕なんかした?」
「トレーナーちゃん、よしよし」
「……ありがとうマヤノ。嬉しいけど嬉しくないよ……テイオーとゴルシだけお小遣い無しにしようかな」
「いやー流石は新人だよなぁ」
「そうそう、やっぱりトレーナーが居てこそだもんね!」
「何も褒めてないし褒められてる気がしないんだけど……まぁいいや。」
ゴルシとテイオーがタッグを組んで僕を虐めてくるけど、こっちにはオグリやマヤノ、バクシンオーだっているんだからね!人数差で僕達の勝ちだよ。なんてバカな事を考えつつ、本当の事を言われてちょっとだけ苦しくなった。理事長は自由に使っていいって言ってたけど、本来なら今回の海水浴計画は自腹でやるべきだったのに。皆に諭吉さんを2人渡し終えた所でテイオーとマヤノが水着売り場へと歩いていった。その後ろに付くようにバクシンオーとオグリが並んで行ってたけど、何故かゴルシは僕の前で立ち尽くしていた。なんでそんなにガン見してんの?
「……ゴルシは行かないの?」
「こっちのセリフだわ。新人、おめー水着買わねえのか?」
「……あぁ、そういう事ね。僕泳げない訳じゃないけど、泳ぎたくないんだよね。砂浜に」
「砂浜にレジャーシートかなんか引いてパラソル立てて本読んでアタシ達が泳いでる所を舐める様な視線で見てるってか?かぁ〜卑しかトレーナーばい」
「……なんだろう、間違ってないけど間違ってるとしか思えない言い方されてるんだけど」
海は好きだよ、何時までも変わらない景色が続いて行くから。潮風も確かにベタついたりして気持ち悪いかも知れないけど、海でしか味わえない。子供の頃、と言っても今もきっと子供なんだけどさ。そう、子供の頃1回だけ海に来た事があったけれど、不思議と泳いでる時より海を眺めてる時の方が楽しかったんだよね。周りに誰も居なかったし、ボーッと海の向こうを見詰め続ける海水浴も、きっと楽しめると思うんだけど。
「それはお前が誰かと
「……遊ぶ?」
「そ、周りに誰も居ないってことは、多分親も居なかったんだろ?」
「……まぁ、そうだね。僕は小さかった頃からしっかり者だったからね。ある程度1人でも行動が出来てたから」
「自分でしっかり者って言ってもなぁ。ま、今年の海はお前の過去の海全部塗り替えちまうレベルで楽しくなる。だからおめーも水着買って来いよ。いいな?ゴールドシップ様との」
そこまで言うとゴルシは僕に1歩踏み込んで来る。急に距離を詰めるもんだから、少し驚いたけど、別にゴルシだし。そう考えていた次の瞬間。
「やくそく、だからな」
「っ!?ぉ、おま、おあ……ーーーー!」
「へへ、しんきくせー面してる新人が悪い!んじゃ、アタシも水着買ってくるわ。迷子になったらちゃんと迷子センター行くんだぞー!お母さんとの約束だー!」
いきなり耳元で囁かれて、声にならない呻き声しか出せなくて。僕が慌ててる所を見て夏合宿始まって1番の笑顔を見せて来るゴルシはやたら尻尾を振りながらテイオー達の後へと向かって行った。後に残されたのは何とも言えない空気を纏わされた僕と、握り締めて離せなくなった諭吉さん達だけだった。他のお客さんなんて知らないからね。
「……ゴルシのばか……誰がお母さんだよ……」
ゴルシの言っていた言葉が頭の中で反響し続けていった。でも、ほんとうにゴルシがお母さんだったら———。
「水着、買いに行こっと。ついでにビーチバレーとかの道具も買っておくべきかな……海の遊びとトレーニング……うぅむ」
思考を切り替えた。有り得ない話なんてどうでもいい。取り敢えずテイオー達が楽しめる様に色々準備しなきゃね。だって、今年の海は楽しくなるって聞いたもん。約束は守ってもらうからね、ゴールドシップ。
◆❖◇◇❖◆
取り敢えず購入した物を車に詰め込んで、既に夕暮れに差し掛かっていた。先に車に戻ってるとチームLINEに送り、車の中で待機する。ふと頭に過ったのは家族の事だった。
正直な話、僕は
どうやら僕の本当の両親……お母さんは僕を産んで直ぐに死んでしまったらしく、僕はそれと入れ違いに産声を上げたらしい。僕は死んだお母さんに顔立ちがとても似ているらしいけど、写真も残ってないのに分かる筈あるもんか。今のお母さんは死んだお母さんの妹だったみたいで、僕を引き取ってその時に結婚してたお父さんと2人で僕を育ててくれた。
その少し後には年の離れた妹が……ウマ娘ができた。お母さんはタダの人間だから妹がウマ娘として産まれる筈は無いんだけど、それでも僕の妹だ。
車の外から見える茜色の空が感傷を深くして行く。それに気付いて居ながらもこうして思考を回し続けて居るのは、単にそういう気分になってるからだと思う。
単純な話なんだ、本当のお父さんは失踪。本当のお母さんは死去、僕を育ててくれてるのはお母さんの妹で、今のお母さんとお父さん。そして最後に恐らく何らかの形で引き取って来たウマ娘の妹って感じ。僕は変わらないし、変えようも無い現実から未だに逃げてる。怖いんだ、幸せを実感しているとソレが消えてしまった時の寂しさを知っているから。
視界が滲んで来た時、車の窓を叩かれた。
「……バクシンオー」
「はい!サクラバクシンオーです!……どうかしましたかトレーナーさん?なんか目が潤んで……はっ!?ま、まさか昼間の事まだ気にしてるんですか!?ち、違うんですよ!私本心から思ってたわけじゃなくって、あの、えっと、あぁ……」
慌てているバクシンオーが身振り手振りで何とか僕の涙が零れないように、色々やってくれてるんだけど、その姿が少し面白くって。
「……ふふ、ふは……あはは」
「な、ひ、人が焦ってる時に……」
「ご、ごめん……バクシンオーの慌てぶりが、その、面白くって……ふふ」
「……トレーナーさんは急に笑い出しますよね」
「そう、だね。おかえりバクシンオー。もう買い物はいいの?」
「はい!もうそろそろ皆さんも帰って来ますから、
あぁ、どうしようか。我慢して泣かない様に溜めてたのに、バクシンオーの所為で溢れてきたよ。何時か、なんて関係無いんだよね。
僕に、テイオーやオグリ、バクシンオー達に大事なのは今なんだから。あぁ、どうしよう。少し泣いたら、明日の海水浴が楽しみで仕方なくなって来た。この胸の高鳴りや、明日への期待感をどうしよう。
取り敢えず車の外に出て、バクシンオーと2人並んでみんなの帰りを待つ事にしようと決めたのだった。
「……明日の海水浴、楽しみだね」
「そうですねー!ゴールドシップさんも張り切ってましたし!今からもうワクワクですよ!」
「……嫌な予感するんだけど」
「大丈夫です!きっと、何があっても楽しい海水浴になりますから!」
そう言って笑うバクシンオーと暫く話をしながら、みんなの帰りを待ったのだった。
明日は海水浴だ!
新人くんの家庭事情を明るみに出していく。因みにこの事実を知ってるのは当事者である家族と新人くん、そして作者と読者だけです。つまりゴルシさえも知らない新事実。
書き方大丈夫だったかな。分かり辛かったかな?少しだけ詰め込みすぎた感は有りますね。
新人トレーナーの妹ウマ娘予測アンケート
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1番人気ライスシャワー
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2番人気キタサンブラック
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同じく2番人気メジロドーベル
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大穴カレンチャン