純情ハートとウマ娘(凍結) 作:ゲーミング
本編どうぞ。
つか7000文字って……やっば。
新人は1人旅館に戻って来ていた。熱くなった頭は
これは1つ新人が外へ目を向ける事が出来るようになったと言う成長であり、そして現在新人の頭を悩ませている事柄とも深く繋がっていた。
「……僕はなんなんだよ。違うだろ、こんな事を……こんな気持ちになる為にトレーナーになった訳じゃ無いんだって……思い出せよ」
1人自室で頭を抱えていると、扉が軽くノックされた。それは今まで聞いた事が無い音で、直ぐにオグリキャップ達では無いと判断した。かと言ってこの旅館の支配人の様な此方にたづねてくる様なノックでも無く。言いなれば、そう。人が居るかの確認の様なノックだった。
「どうぞ」
「失礼致します……先程まで海に出ていたと思うのですが、どうなさったのですか?」
新人の部屋をたづねて来たのは女将だった。ほんの少しだけ話し相手になっていた程度で、差程中が良い訳では無い。そんな相手。けれど新人の頭は勝手に彼女を記憶する。一言一句間違わずに記録し続ける。それが新人の持ち得た才能であり、また新人を苦しめる原因の一つ。
「……可笑しいでしょ?今日は皆で海水浴するつもりだったのに、僕だけ部屋に戻って来て……何してんだって感じ……」
「……そうですね。大変失礼なのは分かっていますが……」
「丁寧に言わなくても良いです。思ったままに言ってくれた方が……気を使われるよりずっと良いですから」
「ならお言葉に甘えて……」
そう言って女将は軽く空気を吸って、一拍置いて口を開いた。新人はその言葉をじっと待っていた。
「貴方は随分と自分勝手です。まず1つ目に、貴方は何なんでしょうか。トレーナーでしょう?それも今年新任した新人トレーナーであり、その中でも一際目立つ存在だと父から聞いておりますが、私にはそう見えませんでした。そうですね、敢えて言うなら……背伸びしてるガキって感じですね」
「…………」
「何も反論しないんですか?出来ませんよね。だって事実ですから。トレーナーってみなさんそんな自分勝手なんですか?自分の感情を優先して、けど偶に担当の事を思っている様に見えますけど、結局自分の為になってませんか?今回の海水浴だって、本来なら貴方が自分で考えてやらければならない事だったのに、芦毛の……オグリキャップさんやあの子、トウカイテイオーさん達に言われて漸く計画しましたよね?遅過ぎるんですよ。何をしても器量良くこなせない。トレーニング風景等も隠れて見させて頂きましたが、頭大丈夫ですか?ウマ娘からトレーニングがキツイって言われて漸く芝と砂浜の違いを考え始めたと思えば、やってる事は普段のトレーニングとそう変わらないのでは?貴方……何もかも足りてないんですよ」
「…………あの」
これ以上は聞いていられない。そう思い新人は口を開くも意味を成さなかった。
「後正直見てて気持ち悪いです」
「ぐ……ぅ……」
口を開いた女将に対して新人は余りにも無力だった。外で出せた大声を出せれば遮れそうな物だったが、そんな事が出来ているのならきっと新人は此処には居なかっただろう。
「だってそうでしょう?貴方幾つですか?まだお母さん……あぁ、ママでも良いですよ?何方でも意味は同じですから。そう言ったモノに手を引かれなければ歩けないんでしょうか?癇癪は起こす、自分に興味が無い事はとことんどうでもいいタチなのでは?別に貴方が何をしても構わないと思いますが、それで未来あるウマ娘達の未来が閉ざされてしまうのなら今すぐトレセン学園に帰って辞表でも出して来たら如何でしょう?そうですね、そうしましょう。そういう事になりましたので、今から荷造りしときますね」
「まっ……」
「取り敢えず服も着替えて置いて下さいね。そんな格好で隣を歩かれでもしたら恥ずかしくて私倒れてしまいそうなので」
「まって」
「ノートパソコンは置いて行ってしまいましょうか。私物なら仕方ありませんが。あぁ、後貴方がトレーナーを辞めた後彼女達を受け入れてもらえるチームに当ては有るんですか?あぁ、有りませんか?それならそれも話しましょうね」
「……まってよ」
「言いたい事が有るならもっとハッキリしなさい!貴方男の子であの子達のトレーナーでしょう!」
「っ……まって……下さい……」
女将の激励によって、漸くまともな声を、言葉を出せた新人だったが、いつの間にか正座していて顔は下を俯き肩は震えていた。色々と限界だった。それを見て女将は一言。
「泣いたって、自分がスッキリするだけです。いくらでも待ちます。けれど貴方のしている行動は自分を慰めて欲しいと言うポーズにしか見えませんから、自覚しなさい」
「……はぃ……」
女将の一言で震わせていた肩を抱き締めるように抑え、ある程度して漸く俯いていた顔を上げた。新人の顔はそれは酷く、元が女顔であったが故にまだ見れるが、口からは出ていなかったが目と鼻からは体液が漏れていた。
「……少し、お話しましょうか」
◆❖◇◇❖◆
初めに、何故秋川やよい理事長がこの旅館に新人を送ったかを説明された。それはある程度閉鎖した空間でのウマ娘との信頼関係を見直す事と、己の精神の正しい自覚をすべきだと考えた事だったと言うのを説明された。次にこの旅館の支配人の正体だった。どうやら秋川やよい理事長の遠縁にあたる方で、旅館と名を打っては居るが、本来ならば誰一人として泊めることは無いモノだったと言う。そして女将は幼少の頃から病を患っていたが、何とか完治し新人の事を監視する様に行動していたとの事だった。
「先ずは貴方のうじうじとかんがえてる悩みの種から聞きましょうか」
「……え?」
「早く喋る。時間が勿体ない」
「……はい。えっと、自分の感情が」
「取り敢えず帰る支度しますか」
「なんで!?」
「隠してるから。正直に話せ、私は貴方に優しく付き添って上げる担当ウマ娘じゃないし、ましてや母親でも有りません」
女将は続けた。甘ったれた新人を叩き潰す勢いで。正座をしている新人を見下ろしながら。そんな女将に対して新人は小動物の様に正座をしながら縮こまるばかりだった。どうしてこんな事に……なんて事を考えながら、女将に言われた一言一言が彼の脳を刺していく。
「ハッキリと、隠さずに言ってみなさい。聞くだけならタダです。時間は消費されますが、それは貴方も私も一緒ですから。ですが無駄に時間を掛けられると聞く気も失せます」
「……正直、困ってます」
「何が?どうして、ほら早く」
「……僕は今まで惹かれる事があっても、それは特定の場面だけだったんです。それなのに……それ、なのに……」
「つまり、担当のウマ娘の水着を見て劣情を抑えきれなくなってしまい、そんな自分に嫌気がさしたと?」
「………………はい」
「バカですね。ウルトラバカですね、一変死ね」
「そこまで言われますか!?」
「言いますよ。当たり前でしょう。ウマ娘は皆産まれた時から容姿端麗です。そんな存在に特別な感情を抱くトレーナーもきっと少なくは無いでしょう。けれど皆さん折り合いを付けてやってます。それなのに貴方と来たら……本当にしようもない。」
「おっしゃる、とおり……です。はい」
「そういう変に聞き分けいい所とか本当に気持ち悪いですね」
「………………」
「不満があるのにソレを言おうとしない。理解はしてるけど納得してないって顔を隠そうともしない。貴方感情的になり過ぎなんですよ。本当にガキですね。生きてて恥ずかしくありませんか?……あぁ、恥ずかしかったらとっくのとうにトレーナーを辞職してますか」
これまで新人は大きく他人に怒られた事は無かった。それは新人自身が不要だと感じ独りの世界に閉じ篭っていた事の弊害であり、トレーナーとしての助言は聞いていたが、人間性のお叱り等受けた事が無かったからだ。聞き分けがいいのも、本音は納得していなくても取り敢えずそう答えておけばいいと言うモノが大きい。新人は過去に捨てていた物の清算を今させられていた。
とはいえ女将の言葉がキツイのも事実だったが、新人はこれが普通なのだと思い始めてしまったのもまた事実だった。
「それで、貴方はどうしたいんでしょう」
「……僕は……」
「このままトレーナーを続けていても、結局今日の様な事は続くと思いますよ?その度にこうして逃げ出して、それを見ていた他人に情けない所を見せて叱られるつもりですか?甘ったれるのもいい加減にしなさい」
「甘ったれて、るんですか」
「そうでしょう。だって貴方、今私に責められてるのにホッとしてるんじゃありませんか?自分がダメな奴だと自覚出来るから、失敗しても当然だと思っていませんか?経験が足りてないのは貴方が今までやってこなかった事へのツケなんですよ?分かってますか?」
「……」
新人はまたしても言葉を失う。経験が足りないから仕方ない、これから学んで行けばいい。それ自体は間違いでは無いが、どうして自分の経験が足りないのかをしっかりと理解して居なかった。他人との関わりは本やネットで知識を深めるよりもずっと大切な
俯き、言葉を無くした新人の姿は正しく子供だった。
「黙ってないで一言でも言い返して見なさい!そうやって自分を責めていたって何にも変わらない、何も好転しないんです。他人にどうにかして貰おうなんて考え……捨ててしまえ!拗ねるな、俯くな!」
「……どうしたら」
「聞く前に考えましたか?考えたと言うなら、貴方の考えた事を言ってもらいましょうか」
「僕は……」
「荒唐無稽な言葉でも構いません。理解力はある方ですから」
「……トレーナーで在り続けたい。これは僕のエゴだ、僕の我儘だけど、それでもトレーナーとして、新人として、1人の男として皆を支えて行きたい。こんな僕じゃ無理だって言われるかも知れないけれど、それでも……っそれでも!僕はトレーナーで居たい!」
「ならどうしますか?ガキみたいに拗ねて駄々を捏ねて我儘とエゴだけで担当の腕を引っ張って無理矢理走らせますか?」
「違う!違う、違うんだ……でもそうなるのかも知れない。けど、そうはならない様にするしか無いんだ。足りないなら毎日、毎秒成長していくしか、そうするしか無いじゃないか!」
「……まぁ、及第点って感じですかね。理想とは程遠いですけど所詮は理想。実現出来なければ泡沫の夢と変わりませんから」
「夢は夢でも、水面の泡になんてさせない……ぼく、僕は……皆のトレーナーだから……この気持ちにも折り合いを付けていこうと……おまい、おもち……思い、ます」
「……はぁ、なんでそこで噛みますかね……。本っ当にコミュ障何とかしなさいよ陰キャ野郎」
「な……これから、これから直していくから……」
「そこで逆ギレしなかったのは偉いと褒めて上げましょう。じゃあ最期の締めに入りますか」
「……え?」
そう言って女将は新人を突き飛ばす。足は正座をしていた為に折り畳まれ、咄嗟に動かすのは困難な状態に。そんな新人に女将は覆いかぶさった。新人の細い腕を掴み上げ、肩手で固定する。
「貴方の劣情は恐らく思春期特有のモノです。精神的に未熟だった貴方は、恐らく今更思春期に入ったんでしょうね。なのでソレを私が発散させて上げましょう」
「……なん、なんで脱いでるんですか!?やめ、辞めて!」
新人の上に乗り、着物を解いて行く。最早新人の言葉等女将の耳には入らなかった。
「大人しくして下さい。一度経験して置けばこの後の多少の色香など気にもしなくなるでしょう……?」
「……っ……辞めて」
「……そんな目が出来るんですね。女顔で目は若干垂れてるのに、表情筋だけで吊り上がるとは……まぁ関係有りませんよ。それでは」
女将の顔が、唇が新人のモノとの距離を詰めて行く。ゆっくりと。
「やめろっ!!」
触れ合いそうになったその瞬間、新人は女将の拘束から腕を外し、女将を突き飛ばした。けれど新人の非力な腕力ではウマ乗りになった女将を初めの体制に戻すのが精々で、身体を離す事は叶わなかった。
「……耐えられますか?」
「耐えるよ!耐えてみせる!誰が担当に手を出すかッ!
「それなら良いです。ですが覚えて置いて下さいね。私は貴方に恋をしている訳では有りません。全てはウマ娘の為に」
「分かってる!分かってるから……ちゃんと、服着てよ……」
こうして女将から新人への物申しは終わり、新人の脳裏には女将の肌とその行為への禁忌感が残された。
自分の汚点を思い知り、それが露呈し起こった話は終わり、新人はまた1つ確かに1歩を踏み出せた。
◆❖◇◇❖◆
女将との話が終わり、着付けを直した女将は新人の部屋を後にする。去り際に言われた一言でまた新人は釘を刺されたのだが。
『謝るのは一瞬ですが、反省は
その一言を言われ、新人もまた部屋なら出て行こうと扉を開く。新たな門出でも無ければ、決別の時でもないのにやたらと扉が重く感じたのは果たして何故か。漸く扉を開く、勢いに任せて乱雑と言われても仕方が無い様に。すると。
「んぎっ!?」
「ちょわ!」
「……痛いな」
「ちょ、バクシンオーちゃん暴れちゃダメだよ!?」
「よっす。話が終わった頃だろうと思って待ってたぜ」
流れ星が集結していた。
「……何時から?」
「さっき来たばっかだよ。聞かれちゃ不味い事でも合ったんだろ?空気読んでやったんだから感謝して土星に行く為の」
「ドーナツならお前がレースで勝ったら買うよ」
「……マジ?いや流石に量が多いわ、食い切れる分にしてくれ」
「お前が言い出したんだろ!?はぁ……ちょっと話があるんだけど、良い?」
「……おう、話せよ。聞いてやっから」
「……ありが」
「ちょっと待ってよー!こんな、お団子見たいに重なってるのに話し始めるのやめてくれる!?」
「「あっ」」
重なり合って身動きが取れない状態でトウカイテイオーが叫ぶ。その声は旅館に響き渡ったと言う。
◆❖◇◇❖◆
場所は変わらず新人の部屋。トウカイテイオー達は一応水着の上にジャージを羽織っており、新人と対面し正座していた。そして時間は経たずに新人が動き出した。
「ごめんなさい」
土下座と謝罪と言う形で。
「……なんで土下座してんのトレーナー!?」
「私達もトレーナーの悩みに気付けなかったから、おあいこだ。すまない」
「オグリちゃんまで土下座し始めちゃったんだけど!?」
「それじゃあ流れで私も!トレーナーさん、ごめんなさい!」
「く、あははは!何だこの状況!笑えるんだけど」
新人の土下座に釣られてオグリキャップ、サクラバクシンオーと土下座を返して行く。けれど新人は何も言わなかった。コミュ障である自分がコレから伝える事を必死に考え、纏めていたからだ。そして時間にして数十秒、新人は身体を起こす。
「……自分の都合で動いて、皆の事まだちゃんと考えてなかった。だから、ごめんなさい。今すぐは無理かも知れけど、コレから初めて行くから……僕のウマ娘で居てください」
そう言って新人は真っ直ぐにオグリキャップ達を見詰めた。それに対する反応は様々で、トウカイテイオーとマヤノトップガンは笑っており、オグリキャップは真剣な表情、サクラバクシンオーは何が起こってるのか分から無いが取り敢えず笑っておけの精神で笑っていた。ゴールドシップは新人の前に1歩踏み出した。
「んじゃ、泳ごーぜ?あ、パラソルとか浮き輪膨らませてねぇから宜しくな?」
「……うん、うん!」
「やーっとあそべるー!」
「何して遊ぼっか、ねテイオーちゃん♪」
皆羽織っていたジャージを脱ぎ、それぞれ旅館を出て行く。その後ろ姿を見て、新人は漸く気付いた。自分は劣情を抱いていたのでは無くて、単にウマ娘に、その中でも特別な存在である皆に心を惹かれて止まなかったのだと。事実女将に迫られた際には恐怖を色濃く感じていたが、今はスッキリとして居た。なんてことは無い、今まで抱いて来なかった感情の理由がわからずに1人から回っていただけなのだ。
「どうする?私も手伝った方が良いか?」
「いーや。僕がやるよ。オグリは皆と遊んで来て、僕もすぐ行くから……だって、僕は
「……そうか、分かった」
そう言って微笑みながらオグリキャップは新人から離れて行った。いつの間にかサクラバクシンオーもオグリキャップと共に海に繰り出しており、いつの間に?なんて考えていたが、直ぐに消えた。
「折り合い付けられたか?」
「うん、何も怖がる必要も無かったんだ。ありがとう、ごめんね」
「構わねぇよ。アタシの方から彼奴らに言ったのはお前がトレーナーとして悩んでるって事だけだからな。ンなもんで良いだろ?」
「……うん、ゴルシは」
「気付いてるに決まってんだろ?流れ星の中で1番お前と話してんだから、変化には気付くっつーの。んじゃ、アタシも泳いで来るわ。遅れんなよ?
そう言ってゴールドシップもまた、先に行ったトウカイテイオー達の元へと歩き出していった。
「……僕はトレーナー。誰の……そんなの決まってるよね……何がしたいのかも、もう分かってる事なんだから」
——僕は流れ星のトレーナーだ。そして数多い、それこそ星の数のトレーナー達の中でも自分勝手で、エゴと我儘なのが僕なんだ。皆が夢を叶えた笑顔が見たい。それがきっと僕がトレーナーになって良かったって実感してる、1番の想いだって、僕がそう思ったから——
新人にとっての長い一日が、漸く始まった。
ちなみにやっぱりパラソルは開かずにゴールドシップに爆笑されてたのは別の話である。浮き輪は何とか出来たが、非力な腕力では錆び付いて居る訳でも無いパラソルを開く事は出来なかった。
後日、筋トレに励む新人の姿が目撃される様になる。
漸く、漸くだよ!コレで新人くんのコミュ障脱却の布石と、言わせたい台詞を言わせられる……。
夏合宿後5話くらい続くかも()plotガバガバじゃねぇかよおめぇよぉ!!!
ごめんなさい。許して……。
新人トレーナーの妹ウマ娘予測アンケート
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1番人気ライスシャワー
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2番人気キタサンブラック
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同じく2番人気メジロドーベル
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大穴カレンチャン