純情ハートとウマ娘(凍結) 作:ゲーミング
ふと目が覚めた。
「……暑い……しかもまだ1時って、もう二度寝する気分にも慣れないし……」
熱帯夜の熱に浮かされる様な気分のまま顔が上を向き、その勢いのまま倒れ込んだ。敷布団の上に体を倒した際になる音が、やけに耳について仰向けから横向きに体制を変えた。視線の先にはスマホがあり、時間を見て消した画面が明るさを取り戻した。
「通知……?」
LINEの通知が来ていた。他の人に見られたくないから、匿名設定をしているLINEの通知を受けて、内容を確認する為にバナーを開いた。そこには僕が逃げ出して勝手に縁を切ってしまった相手——妹——からのメッセージだった。
内容を読み、身体に纏わり着くような熱はそのままに旅館で用意される寝巻きのまま外へと向かった。
今夜は月が綺麗な晩だな、なんて事を考えながら。
◆❖◇◇❖◆
旅館の外に出て妹からのLINEに返信を入れる。送って1秒、2秒と経過した辺りで既読が着いた。昔から妹は僕のLINEに既読を付けるのが早かったけれど、ここまで早かっただろうか。もう4年近く会っていない所為でそう感じているだけなんだろうか。砂を足裏で踏み荒らしていく。海から香ってくる独特な磯の香り、潮の香りを感じながら肺に空気を深く取り込む。
妹の返信を待っている間に、1人海岸沿いを歩いて行く。海水浴をした際に出したモノの影が見えて来たけれど、当然片付けた後だからそんな物は無い。けれど確かに見えた。海水浴で行なったのはビーチボールだったけれど、何故か僕は埋められた。
そう、砂浜に埋められてたんだ。ゴルゴル星の通信を受信したとかで、ゴルシがオグリ達と協力してアナを作り、その中に目隠しして腕を拘束された僕が入らされた。最終的にはマヤノが出してくれたけど、彼奴ら僕を埋めたらそのまま放置で遊び始めたんだ。酷いと思うんだよね、なんて数時間前の事を思い出しながらジャリジャリとした海水を吸った砂浜を歩いていた。
そうしていると、スマホが震えた。妹からの返信だった。それに返した後、瞬時に既読が付き、それと同時にスマホから音が鳴りだした。
「もしもし?」
『……お兄ちゃん?』
「そうだよ。お前のお兄ちゃんだよ、その……久しぶり」
『……うん、久しぶりだね。トレーナーになるって言って、家を出てから全然連絡も無かったから心配したんだよ?』
「あー……うん、ごめん。何となく連絡するのが嫌になってさ」
『もう……だから久しぶりに連絡くれて嬉しかったの。でも何かあったんだろうなーって思って』
「この時間に通話したいって来たのか。なるほどね」
電話越しに聞こえてくる声は心做しか最後に聞いた頃より、少し高くなっていて僕と話すのが余程嬉しいのか弾んでいた。初めて会った時は凄く縮こまっていたって言うのに、4年も連絡しなかった兄が久方振りに連絡したら嬉しいものなのかな。僕には良く分からないけれど。そもそも僕は他人との関わりを絶ってきたのだから、そんな気持ち分からなくて当然なのかも知れないけれど……でも、テイオーやゴルシが急に離れて突然連絡が来たら……多分僕も妹みたいになるのかな。想像するのも嫌だけど。
だってゴルシとテイオー達が離れて行ったら正しく僕には何も残らなくなる。そうならない為にも僕はトレーナーとして、1人の人間として成長……して行かなきゃいけない。もう、逃げられない。
『お兄ちゃん?』
「ぁ……ごめん、全然話聞いてなかった」
『私のお話詰まらなかった……?』
「いや、考え事しててね……僕ってガキっぽい?」
『……急にどうしたの?誰かに、そう言われちゃったのかな?』
「ま……まぁ、そうだね。そう言われたんだ」
『うーん……ごめんなさい、お兄ちゃんの妹は良く分かりません。昔からお兄ちゃんって1人で何でもやろうとして立派に見えてたから……えへへ』
「その割には、何にも出来なかったけど」
無理無茶無謀なんて知らなかったから、自分で出来る事出来ない事の判断なんてして無かった。多分他人相手でも同じだったとは思う。やれば出来るって言うのが基本になってたし。
『でも、あの』
「……なに?」
『……お兄ちゃんは凄いと思うよ?1人でトレーナーになっちゃったんだもん。やっぱりお兄ちゃんは凄い!』
「……1人で……か」
よくよく考えてみれば、1人で何かを成したのなんて、本当は1つも無いのかもしれない。だってトレーナーズスクールに通う為にも金は要る。でもバイトなんてした事なかったし。それはつまり、学費なんかは全部僕の知らない場所で親が払ってくれてたんだ。僕は特待生なんて枠じゃなかったから。タダ他の人より記憶力が良くて、知識と言う名の文字を覚えてただけ。秋川理事長が僕の面接を受けてくれて居なかったなら、多分僕は今頃自殺してたと思う。それくらい耐え切れなかったんだ。色々な事が。
「僕のチームに入りたいって言ってたよね」
『う、うん。その為に私1人で自主トレーニングとかしててね』
「……今は無理だと思う」
『え……?ら、わ、私の頑張りが、その、足りない……?』
「違う、僕がお前を育てられる程強くないからだよ」
『お兄ちゃんが、強くない?』
「……うん。知らなかったんだ、今まで色々な人に支えられて来た事を。自分が起こした行動や、言った言葉に対する責任とか。そう言ったものを僕はキチンと理解出来て無かった。薄っぺらだったんだよ」
『そんなことない!』
「いいや、そうだったんだ。現にお前にLINEを飛ばしたのでさえ、僕は適当に返しただけだ。だから約束しよう?」
『……約束?』
「うん。お前がトレセン学園に来た時に、僕はトレーナーとしても、1人の人間としても成長して、お前を迎えに行くよ。それまではお互い励まし合うだけにしよう。悩みがあったら何でも聞いてやる。今までやって来なかった……そう、兄貴の時間をこれから始めるから」
いつの間にか歩いていた足は止まり、膝を折り座り込んでいた。視界に広がる海は何処までも続いているのに、僕は一体何をしているんだろう。妹に慰められそうになってるなんて、情けない。空を見上げれば、綺麗な丸い月が視界を奪った。
あぁ、なんて綺麗なんだろう。星は見えないけれど、この空の向こうから光る星々が見えて来そうだ。
もう逃げない、慰めなんて今の僕に必要無い。励まし合うだけとか言っているけれど、実は帰省する予定もあるからその時に妹の顔を見よう。4年経っているのだからきっと顔付きも、身体さえも変わってると思うし。妹の黒髪がどれだけ綺麗になったのか気になるし。
『……そんな事』
「勝手でしょ?でも僕はきっとトレーナー達の中でも一際エゴと我儘が強い奴だからね。そんな奴の場所で良ければ必ず迎えに行くから。そろそろ寝なさい。僕も寝るよ」
『……うん、久しぶりに話せて、嬉しかった。おやすみなさい』
「おやすみなさい。また、ね」
『……うん、うん……!また、またね……!』
通話の最後に聞こえて来たのは嗚咽混じりのしゃっくりの様なモノで、僕はまた誰かを傷付けてしまったのだと理解した。
「……帰って明日のトレーニングでも考えるか」
座り込んでいた際に付いた砂を払い落として、僕は旅館へと戻って行く。全ては何時かの未来の為に、約束を守る為にも。今は今出来る事をするだけなのだから。
やっばいね、書きたくて書いたけど話全然進まないね。
あと昨日投稿出来なかったのはウマ娘のイベントやって死んでたからです。因みにポイントは38万で止まりました()流石に時間が足りなかった……ぢぐじょう……魔王ゴルシ様……。
新人トレーナーの妹ウマ娘予測アンケート
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同じく2番人気メジロドーベル
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大穴カレンチャン