純情ハートとウマ娘(凍結) 作:ゲーミング
マヤノとチームを抜け出して整備された道路を2人で歩いていた。この一週間、何故2人っきりになる必要が有るのか。色々聞かれても言い様に準備して来たけど、マヤノは無言だった。チラチラとこっちを見て来てるけど、話しかけて来る様子は無かった。と言うか気合い入れて色々持って来たけど、背負ってるリュックが重たい。前回デパートに行った時に買ったけれど、こんな所で役に立つとは思って無かった。いや、色々考えては居たんだけど、こんな早く使うつもりは無かったんだよね……。
それと、徹夜してたけど何も無駄に時間を過ごしてた訳じゃ無いんだ。少しこの旅館の立地について調べて見たら、面白い事が分かった。此処って何時もトレーニングしてた砂浜とかも私有地なんだけど、旅館から少し道路に沿って歩くと森見たいな場所が有るんだ。更にそのまま道路を進むと、海が有って、その先には半径10km位の島がある。それを知った時は驚いたけど興奮もした。割とやれそうな事多そうじゃん、なんて考えにもなってたし。
「……トレーナーちゃん」
嘘です、話しかけられました。あれ、こう言うちょっと気不味い空気の中って普通話しかけられ無いって言うのが鉄板じゃないの?いや、こう言う状況になったの殆ど無い、と思うけど。あー……リュックが重い。
「なに?」
「大丈夫?無理してない?いっぱい荷物背負ってるし」
「それは、それは心配し過ぎだよ。そんなに弱く見える?」
「まぁ、それなりには?」
「ふ、ふふ……ふふふ……くぅ」
今までの行動の評価がこの即答に出てるんだなぁ……。情けないやら面白いやらで変な笑いが込み上げてきた。正直今の所僕に焦りは無かった。理由は色々あるけれど、僕の根底が分かったからね。僕は多分エゴと我儘の塊なんだと思ったんだ。でもそれは夢や憧れに近い位置にあるんだと思う。自分に都合の良い解釈なのかも知れないけれど、皆の笑顔が見たい。皆と一緒に夢を叶えて、僕もその輪の中で笑い合いたい。そう言う気持ちはきっと間違いなんかじゃないと思うから。
「トレーナーちゃん、マヤと2人っきりになって何がしたいの?」
「……デートという名のトレーニングだよ?」
「……知ってたぁ……それでトレーニングって?背中のリュックと関係あるの?」
「そりゃそうだよ。じゃ無かったらこんなの持って来ないって」
「……また重りかな?」
「いや?今日のトレーニングはちょっと違うから」
「……?」
重りなんて持ってきてない。それ以外でやる事があるからね、飽くまでも今日は持ってきてないってのが正しいんだけど。それも色々説明しなくっちゃね。
「じゃあ何するの?」
「そうだね、やっぱり気になるよね?」
「うん♪マヤちんすっごく気になる!」
「うんうん、やーっぱり気になるんだ」
「そうだよー、だから早く教えて欲しいなぁ」
「気になるんだから」
「早く」
「……はい」
笑顔だけど圧がすごい。怖いよマヤノ。怖気付いた僕は直ぐに口を開くのだった。情けないな、我ながら……。
◆❖◇◇❖◆
目的地である場所へと辿り着いた。舗装されたアスファルトから少し離れて、森の中へ。
「じゃあ先ずは……ウマ娘って何か分かる?」
「……マヤ達の事でしょ?」
「そうだけど、何のために産まれてくるか。そう言う意味でかな」
「えっと、走る為に産まれてくるって聞いたんだけど……でもウマ娘ってそれだけの為に産まれて来た訳じゃ無いんだよ?勝負服のデザイナーさんや、飛行機のパイロットになったりもするんだから♪」
「そうだね、でも少なくとも今のマヤノ達は走る為に此処に居るでしょ?」
「ん、そうだね」
ウマ娘に付いて分かっているのは、僕達人類とは違った存在で、基礎能力が僕達とは比にならない程高いって事。それこそ僕達人間の進化系なんじゃ無いかっていう話が上がってくるくらい。まぁ、そんなのはどうでもいいし、頭の片隅に置いて置くけど。
「マヤノトップガン」
「なんでいきなりフルネームなの?後ちょっと顔怖いよ……トレーナーちゃん?」
「僕は……いや、君の夢を聞かせて欲しいんだ」
「……マヤはキラキラでワクワクするウマ娘になる!初めの頃にも言ってたよね〜懐かしいなぁ。あの頃のトレーナーちゃんは髪の毛上げてなかったんだよね」
「……そうだね。それで、その夢に変わりはない?」
「うん!変わらないよ!マヤの夢は変わってない!」
後で皆にも聞くけれど、夢を聞くのは或る意味僕の為なんだ。皆それぞれ違う夢を持ってる。分かっているけれど、もう一度本人達に確認したかった。僕と出会って、僕とトレーニングして、その夢に変わりは無いか。それが聞きたかったんだ。そしてマヤノは変わってない。凄く安心した。
「じゃあトレーニングを始めよう!」
「うん♪マヤちんとトレーナーちゃんで、テイクオーフ!」
「先ずは試しね。取り敢えず走ろっか」
「……うん?この森の中?」
「柔軟して、この森の中で僕と2人でこの森の中を走る。どっちかが倒れたら一旦休憩。僕がいいと思ったら次の段階に行くから。1週間多く倒れた方の負けだから。マヤノも覚悟して置いてね」
「……と、トレーナーちゃんの鬼畜ゥ!!!」
「大丈夫!僕も一緒にやるって言ったでしょ!さぁー!身体を作って行こー!」
「うわぁあぁぁああん!!!」
こうしてマヤノの悲鳴からドキドキ!2人っきりで森の中の筋肉トレーニングが始まった。先ずは柔軟から。
「トレーナー、トレーナーちゃん!これ以上身体倒せない!あ、そこ触っちゃダメぇ!」
「僕も同じ事やるから!行くよ!」
「ひーー!?」
柔軟の時点で疲れ切ったマヤノと交代し、今度は僕がマヤノに柔軟をして貰う。
「……ふふ、行くよトレーナーちゃん」
「うん、何時でもきいでてててて!?まや、マヤノさん!?」
「マヤと同じ目に合わせてあげるからね!トレーナーちゃん、覚悟ー!」
「あ、あっ、鳴っちゃ、あ、だめ、ダメダメダメッー!!!?」
この日僕の身体からポキッて言う音が鳴るのが止まらなかった。前屈とか何時ぶりだろ。後どさくさに紛れて僕の髪の匂いとか嗅いでるけど、シャンプーとかリンスの匂いしかしないからね。
次はお互いの足に通常の蹄鉄を付けて、不安定な森の中を走り回る。コレが意外とキツくて、舗装なんてされて無いから剥き出しの木の根っこだったり、走ってる時に絡まった草なんかに足を取られるんだ。ある程度の速度しか出させてないけど、何度か僕もマヤノも転んだ。
「……ふふ、トレーナーちゃん泥だらけだね」
「マヤノもだからね?ほら、顔についてるから……拭いてあげる」
「へ、あ……あり、ありがとう……」
「足は大丈夫?」
「うん、マヤそんなにヤワじゃ無いもん♪」
「そっか……取り敢えず今日は此処までにしよっか」
「明日もやるんだよね?」
「うん、明日は少しトレーニングを変えるかも知れないけど、基本は僕とマヤノ2人で同じトレーニングをやるんだ」
「……トレーナーちゃんと、2人で……かぁ」
「いや?」
「ううん、ぜんぜん!楽しいもん……トレーナーちゃんと一緒にトレーニングやるの♪」
お互いジャージは転んだりして土で汚れてるし、慣れない場所で走ってるから凄く疲れたけれど、やって見なくちゃ分からない事が確かに有ったから。それを知れたのが一番の収穫……でも無いか。マヤノが笑ってくれてるのがきっと一番の収穫だから。
取り敢えず帰ったらお風呂入ってご飯食べて、今日のレポート作って置かなきゃね。
「じゃ、帰ろうか」
「うん!あ、手繋いでもいーい?」
「まぁ、良いけど……何か楽しいの?」
「マヤは楽しいよ♪トレーナーちゃんは違う?」
マヤノに握られた手を見る。そしてマヤノを見る。凄く楽しそうに笑ってくれてるのが分かる。それを見て、僕が楽しくない訳。
「すっごく楽しい!」
「マヤもたのしーよ!」
「はは、ははは……でもちょっと歩く速度早くない?ねぇ、まや、マヤノさん?」
「このままトップスピードで行っくよー!」
「え、ちょ、楽しいのは分かったけど走るの!?」
「トレーナーちゃんと2人で、テイクオーフ!」
「走るの!?」
どうやらマヤノはまだまだ体力が余っていたみたいで、ウマ娘の走る速度に追い付けもしない僕は引き摺られるように走らされた。マヤノはずっと笑顔で、僕もそれが嬉しくて笑顔だったと思う。
茜色の空、夕焼けに照らされるマヤノの顔が綺麗で、初めてかも知れないけど、トレーナーになって良かったと思えた。おかしな話だけどね。
マヤノちゃんとのデートトレーニング。
実は新人くん、1度もトレーナーになって良かったって言う言葉は言ってないんですよ。あれ、言ってないよね?言ってたら即修正案件なんだけど。意識して書くのやめてたから、多分書いてないと思う。
新人くんの取った択のひとつ、自分もまたウマ娘と同じトレーニングを受ける。何処にどう負担が来るのか、そしてどう言ったトレーニングが楽しくて、どんな物が苦痛に感じるのかを知る為に身体を張ることを決意したっていう感じ。
新人トレーナーの妹ウマ娘予測アンケート
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1番人気ライスシャワー
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2番人気キタサンブラック
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同じく2番人気メジロドーベル
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大穴カレンチャン