純情ハートとウマ娘(凍結) 作:ゲーミング
前置き終わり!本編どうぞ!
テイオーと2人で6日目の朝を迎えた。とか言いつつテイオー寝てるから日の出を見てる訳じゃ無かったんだけど。取り敢えず今後のトレーニングの予定表と最終日前に行うチーム対抗レースのコースを作っていた。マヤノ達をトレーニングに見送った後にまた作業に戻り、結局テイオーが目を覚ましたのは昼過ぎになってからだった。
「なんで起こしてくれなかったのさー」
「気持ち良さそうに寝てたから……かな?」
「むー……まぁ起きれなかったボクが悪いもんね、じゃあ今からトレーニングやろー!」
「無いよ」
「……え?」
「今日やるトレーニングなんて、無いよ」
「……えぇ!?だって、えぇ!?オグリに勝たないとまた晩御飯抜きになっちゃうんだよ!?」
「うん、だからオグリに勝つ為に今日のトレーニングは無しだよ。と言うかテイオーは休まないとダメだよ。辞めてって言ったのに激重蹄鉄付けて3日間も走り続けてたんだから。最低でも2日3日休まないとダメ」
そもそもテイオーが勝てなかった一番の理由って自分の体力が足りてなくて起こった事なんだから。そこら辺の調整しないと逆立ちしたってオグリには勿論、マヤノにだって勝てないから。マッサージしたのだって硬くなってる身体を柔らかくする為の前準備だし。
オグリは
と言う訳で6日目が終わり、オグリ達との勝負を行う7日目になった。寝れない事を利点に1人で勝負する為のコースは粗方作り終えて、距離的には2000m級のモノを作ってみた。
下り坂なんかも欲しかったから、砂浜は無しにして道路でのみ作ってみた。緩やかなコーナーと下り坂を超えて後は直線。蹄鉄も通常の物に変えた。旅館が丁度1000mの位置に来る様に微調整も出来たし、概ね順調何じゃないだろうか。後はオグリが負けた後のケアをすれば完璧。
「……ホントにトレーニングせずに来ちゃったんだけど、コレで負けたらどーしよう!」
「僕を信じてテイオー」
「……うぅ、信じてるけどさあ。やっぱりトレーニングして無かったボクと、毎日トレーニングしてたオグリとマヤノじゃ全然違う気がするんだよね」
「大丈夫。僕が信じるテイオーを、テイオーもまた信じれば平気だよ。だってテイオーは……無敵のトウカイテイオー様なんでしょ?」
「……それ今言うのズルいと思うんだけど……あーあ、コレで負けたらトレーナーにスイーツ食べ放題にでも連れてってもらおーっと」
「お、お給料に余裕が出来たらね」
そう言ってテイオーは離れて行った。僕も旅館に戻らないと……っと。
「……立ちくらみなんて初めてなったんだけど。ふぅ」
「しーんじん」
「ゴルシじゃん、どうしたの?ゴール係なのに」
人生初めての立ちくらみを経験したその時に、ゴール係を任せていたゴルシが僕の前に現れた。因みにバクシンオーがスタート係。その後走ってゴルシと合流して貰う。大丈夫、今のバクシンオーならギリギリ1800mなら走れる。ついこの間まで1400mが限度だったのに。バクシンオーだって頑張ってるんだから、僕ももっと頑張らないと。
「今回飯食ったのアタシなんだけどさ」
「知ってた。取り敢えずお前旅館の風呂掃除手伝えよ、3日でいいから」
「おう、仕方ねぇからやってやるよ」
「……なんでそんなに上から目線なんだ?」
「お前より6cm身長上だからじゃねぇか?」
「お前って奴は!お前って奴は!!」
「ははは!魔王ゴールドシップサマに身長で勝とうなんざ100年早いわ!」
「ゴールドシップゥ!」
「持ち場にもどりまーす」
大丈夫だよ!まだ成長期だから、大丈夫、絶対身長170行くって、まだ成長期なら夢の180も夢じゃない。……はぁ、旅館に戻ろう、なんか疲れて来た。テイオーとオグリ、巻き込まれたマヤノがスタート位置に立ったのを確認して、バクシンオーにLINEで5分後にスタート合図を頼んで1人旅館へと戻った。
◆❖◇◇❖◆
旅館に戻り、支配人さんに頼んでハシゴを出して貰って旅館の屋根に立たせてもらう。高さは若干足りないけど、コーナーを抜けて来る所からは見えそう。初めの600mでコーナーに入り、そこから1回坂を下って後は直線。見やすいコースを作れた。本当はトレセン学園に戻って走らせても良かったんだけど、何だか嫌で現地でコースを作ってしまった。
「……時間だ」
そうして予定の時間になったのを確認して、僕は待った。背後から近付いてくる気配に気付きつつも知らない振りをして。
「オグリキャップさんが勝つでしょうね」
「…………」
「無視ですか?トウカイテイオーさんのトレーニングをせずにお休みさせて置いて、図星でしょうか」
背後から来たのは女将さんだった。なんだろう、何時もより不機嫌っぽい。本当は振り返った方が良いんだろうけど、それじゃあ女将さんの思惑にハマるみたいで嫌だ。
「……3、4、5」
「……いきなり数字呟かないでくれます?話をしに来たのか独り言なのか分からなくなるんで」
「右からスピード、スタミナ、パワーの数値です。最高数値は5にしてます。マヤノトップガンさんは3、4、3。トウカイテイオーさんは3、3、2です。貴方の怠慢でトウカイテイオーさんは負けるんですよ。分かってるんですか?」
コーナーを抜けて来たのはマヤノだった。そのすぐ後ろにオグリ、若干開いてテイオーが居た。ここまでは予想通り。マヤノは楽しいレースって言うか競走が好きだけど、テイオーとオグリがバチバチにやってるからか若干走り辛そう。オグリは気合い充分で、初めから最速で来てる。テイオーはいつも通り最後の直線に賭けてる見たい。正しい。
「……今のレース展開で可能性があるのは誰だと思います?」
「なんですか、藪から棒に」
「良いから。女将さんの目から見て可能性があるのは誰?」
「……マヤノトップガンさんですかね。踏み込みの強さや最高速度こそ負けていますが、今のレースを作ってるのは逃げているマヤノトップガンさんです。けど順当に行くならオグリキャップさんですよ。誰がどう見ても」
実際女将さんの目から見たらそれが正しいんだと思う、多分たづなさんや秋川理事長もそういう評価になりそうだし。でも違うんだな、数値なんかじゃ測れないんだよ。大事な部分が抜けてるから。でも僕の想像は当たってたかも、女将さんって……。
「……直線に入りましたね、やっぱりオグリキャップさんが先頭になりました」
残り800mと言う所でオグリが前に出た。先頭がオグリ、次にマヤノ、そしてマヤノの横にはテイオーが居る。ああ、実況が無いだけでこんなに寂しいモノなんだ。今更気付かされた。でもコレで決まった。
「
「……は?」
「じゃあ僕もう行きますね。オグリ絶対倒れるんで」
「ちよ、ちょっと待ちなさい!なんであの状況でトウカイテイオーさんが勝つと!?」
ハシゴの元に歩いて行くと、肩を掴まれた。理由説明とか要る?別に見てれば分かるのに。いや、コレは単に僕が女将さんの事好きじゃないからやらない行動なんだろうな。多分おハナさんや
「私も聞きたいな、新人くん」
「……支配人さんまで。分かってるんじゃないですか?」
「さぁ?それは私が分かっていると言えばそうだろうけど、そうじゃないと言えばそう言う事になるからね」
「……その言い方、狡いです」
「ふふ、大人はね、少し狡い位が丁度いいのさ」
いつの間にか居た支配人さんに言われちゃったら、もう答えるしか無いじゃないか。娘想いって言うか、なんて言うか。多分コレから僕が言う事で女将さんが傷付くの分かっててそのフォローの為に来たでしょこの人。
取り敢えず振り返ってレースをもう一度見る。
「先ず女将さんは間違えてたんですよ。僕のチームの中で最強って誰だと思ってます?」
「……オグリキャップさんです」
そのオグリの背後からマヤノは離れてしまったけど、テイオーはピッタリくっ付いてる。良い位置だ、その位置なら抜ける。
「違います、僕のチーム最強はゴールドシップです。数字で語れませんから」
「……語れない?」
そう、だって彼奴は規格外だから。
レースに目を向けると、また変わっていた。オグリはバテてなんか居ない、けどテイオーが並んで来た。良い、凄くいい。そうだよテイオー、テイオーが負けてた理由は2つ、慣れない上に慣れる筈のない激重蹄鉄を付けてた事、そして。
「数字で語るならオグリは335、マヤノが253になります。そしてテイオーが……」
抜け出した。オグリを抜いて、誰よりも速くゴールドシップの元へと駆け出してる。もう残り100mも無い。
「533です。別に賭けをしてた訳じゃ有りませんけど、僕の勝ちですね女将さん」
振り返ると女将さんは信じられないモノを見たとでも言う表情になってた。これはテイオーの逆襲でもあり、これから僕が女将さんに叩き付ける真実でもある。
「
「…………」
この人は、トレーナーになりたい、もしくは成れなかった人なんだ。
◆❖◇◇❖◆
「……何処で聞いた……誰から聞いたッ!」
「別に誰からも聞いてませんけど。確信したのは数字で語って来た時ですね。だってそうでしょう、ウマ娘に興味がある程度じゃそこまで分かりませんから。でもトレーナーなら別です。観察眼が良いと思いましたし。当たってるとも思いますから。でも分かった理由ってのは、僕に対して当たりが強いことでしたね。そりゃ気に入りませんよね、だって僕みたいな人間がトレーナーになって、女将さんはトレーナーに成れてないんですから。その理由とかは分かりませんし、僕も興味が有りません。だって僕って、
そう言い残してハシゴに足をかける事なく飛び降りた。下は砂だし、力の受け流し方は身体で覚えた方が早い気がしたから。けど失敗かも、足が痛いです……。取り敢えず言いたい事は言ったし、走り終わった皆に会いたいし。女将さんと話すのはコレで最後になるかな。自分から関わりを断ち切ってしまったけれど、逃げてたのは僕も女将さんも同じだったから。
「……トレーナーに、なりたい……か」
僕が特殊だっただけで、本当はトレーナーになるのは凄く難しいのかも知れない。それもそうだろうけど、僕は本当に周りに恵まれてたんだな。
「お疲れ様ーっ!テイオーおめでとうね!」
「トレーナー!!やった!ボク晩御飯達の仇打てたよ!褒めて褒めて!」
「うんうん、偉い偉い。それじゃ負けた時の御褒美はナシだね」
「えっ……あ、いや、勝った時の御褒美決めてもらって無かったよね!?」
ダメだよテイオー。負けた時の慰めとしてスイーツ食べ放題だったんだから。慌ててるテイオーを他所に倒れ込んでるオグリの元へ歩いて行った。なんて倒れ方してるんだオグリさん……。
「オグリ」
「……私じゃないのに……うぅ」
「分かってるよ、ご飯は抜かないから」
「……ほんと?」
「うん、いっぱい食べてるオグリが好きだもの」
「……テイオーには何も言われてないが……トレーナーが言うなら」
……そうだった、テイオーとオグリが最後にお互いを褒め合って握手して終わりって予測してたのに、全然違う終わりになっちゃう。此処はトレーナーとして……。
「んじゃテイオーはオグリに謝んなきゃな」
「なんで?」
「だってお前の晩飯食ったのアタシだし」
「…………はぁああ!?ちょっとゴールドシップ!」
「ははは!でもお互い本気で走れる理由になったんだから良いんじゃねぇか?ほら、オグリも新人と話してないでこっち来いよ!」
「……マヤちん巻き込まれただけ巻き込まれて、負けちゃったんだけどぉ……」
「マヤノさんお疲れ様です!素晴らしい走りでした!今度私とも走りましょー!」
「……バクシンオーちゃあん!」
…………あれ、これ僕居る?結局ゴルシに全部良い所持ってかれてない!?お、可笑しいよ!僕が今回コースとか作ったし、テイオーが勝てる様にしっかり休ませて万全な状態で勝負に挑ませたのに!僕、僕の事も褒めろよ!?
なんて事は言えずに、ただ少し遠くで皆が笑いあってる空間を1人見詰めていただけだった。これでいい、これでいいと思うから。あの綺麗な空間に僕は要らないんだ。いやホントは行きたいんだけど。
「トレーナー」
「ひゃい!?っと、と……オグリ、急に真横に居たら怖いって」
「次のマンツーマン、私とやろう」
「ん、そのつもりだったからね。良いよ」
「……その前にテイオーが負けた時の御褒美の話を聞かせて貰おうか」
「……え?」
待って、今凄く良い感じで終わりそうだったのに、また台無しにされる感じ?
「それマヤも聞きたーい!って言うかマヤちん今回巻き込まれただけなんだから、トレーナーちゃんから御褒美貰っても良いと思うの!」
「だってさトレーナー」
「ちょっとテイオー!?」
「はいはい!私も今回スタート係やりました!」
「アタシもゴール係やったからな、こんなに疲れさせておいて終わったら何も無しってのはトレーナーとしてダメなんじゃねぇかしーんじんくーん?」
こ、こいつら……手元に秋川理事長から貰った支援金はあるけど、それを使ってスイーツ食べ放題に連れてけってか……!?
「トレーナー」
「……うぅ、分かったよ!……スイーツ食べ放題……行こうか」
「今からだってよ!」
「え!?今からなんて言っ」
「やった〜!」
「疲れた身体に糖分は大事だからな」
「……話を聞いてよっ!?」
ごめんなさい秋川理事長。貴女から頂いた支援金、使います。何故か秋川理事長が笑顔で許可!って言ってくれてる様子が脳裏に過った。
新人が幸せなら私が出した金なんて幾らでも使っていいぞ!
いきなりどうしたんですか理事長……。
ん、いや新人が何か迷ってそうだったからな!
そ、そうですか。
という訳でテイオーとのマンツーマン終わりです。次回からはオグリとのマンツーマントレーニングが始まります。