純情ハートとウマ娘(凍結)   作:ゲーミング

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 ゴルシのハチャメチャトレーニングとゴルシの味方が居ない事への笑いが感想欄から伝わって来て作者ニッコニコしてた。
 昨日投稿出来なかったのは、単に仕事終わって爆睡決め込んだからです。つまり作者の怠慢。許して()


第九十話

 支配人さんに女将さんが消えた事を伝えられたけれど、コレは僕どうしたらいいんだろうか。捜索?でも見付けてどうするの?話しかける事も、話し掛けられても困るんだけど。実際の所は女将さんが居なくなって、探しに行く事はしないらしいけど、何処か支配人さんの顔色が悪かった気がするし。

 

 余り嬉しくない状況の中で眠れる訳も無く、またしても眠れない夜を1人で明かした僕です。女将さんの事嫌いじゃないけど、別に好きでも無いんだよ。感謝もしてるけど、だからといって何かしてあげたい訳でも無い。

 ふとスマホを見ると5時を過ぎていた。特にやる事も見付からず部屋から出て行く。今日のトレーニングはおやすみにしようと思ってたし、まぁいいのかな。そう言えば夏だから何処かでお祭りとかやってないのかな、やる場所が近ければ皆を連れて行っても良さそう。

 

 特にする事も無いという事で、1人でふらふらと旅館内を散策する。気になってオグリ達が寝ている部屋に向かう。特に誰に会う訳でもなく辿り着き、扉を開いて覗くと。

 

「……どんな寝相してるんだバクシンオー……」

 

 バクシンオーがオグリとゴルシの上に重なってた。寝ている並びとしては布団が5つ並んでいて、上にはテイオーとマヤノ、下はバクシンオーオグリゴルシって並んでるんだけど、そのオグリとゴルシの上にバクシンオーが寝ていて、2人共苦しそうに顔が歪んでた。それとテイオーとマヤノが抱き合って寝てるんだけど、何時もこうなの?

 後で流れ星のグループに送ってあげようと思い1枚撮っておく。

 そうして扉を閉じてまた散策に向かった。なんだろう、なんか落ち着かない。

 多分女将さんが居なくなったって言われたからなんだろうけど、その責任って言うか発端は僕だと思ってるのが余計に負担になってるんだろうか。それならきっと僕は探しに行かないと行けないんだけど……。

 

 自分でもまだ良く分かっていない感情に振り回される様にあちらこちらに足を動かす。

 

「なに、この音……」

 

 何処からか物音が聞こえて来て、その方向へ足を進めるべく思考を切り替える。この時間に物音がするって事は、朝食の準備でもしてるんだろうか。適当に当たりを付けつつ、物音の発生源であろう厨房へと向かった。

 

 歩く事数十秒、やっぱりと言うか厨房から物音が聞こえていた。覗くのはどうかと思いながらも、顔を出した。

 

「支配人さん」

 

「おや、今日も早いね。おはよう新人トレーナーくん」

 

「おはようございます、朝食の準備ですか?結構早い時間からやるんですね?」

 

 鍋やフライパンを出している支配人さんに声を掛ける。背中を向けられていたけれど、どうしてかその背中が小さく見えてしまった。

 

「そうだね、やよ……秋川理事長から預かっている大切なトレーナーとその担当ウマ娘達を持て成して居るのだから、それ相応の物を作らないといけないからね」

 

「……もしかして何時も1人で?」

 

「女将が居たら手伝って貰っていたよ。でもあの子が見付からないからね……そう言えば……新人くんはウチの料理は美味しく食べれているかい?残している所は見ていないけれど、やはり不安でね」

 

「まぁ……美味しいです、けど」

 

「そうか、そうか……それなら、良かった」

 

 この旅館は民間の間では開かれず、秋川理事長が頼んだから今回の合宿地となった訳だけれど、秋川理事長との関係が気になってしまう。いや親戚って聞いてたんだけど、それでも頼めば二つ返事で了承してくれて、助言なんかもくれてるのは、単にそれだけなんだろうか。

 

「……僕も手伝いましょうか?」

 

「料理出来るのかい?」

 

「……自炊する様に見えますか?」

 

「そこそこには。初めて会った時は思わず女の子かと思っていたからね」

 

「遠回しに男らしくないって言われてますよねソレ?」

 

「はは……そうだなぁ、新人くんが暇を持て余しているのなら、手伝って欲しいかもね」

 

 そう言って顔だけ振り向かせて薄らと笑みを浮かべ僕を見る支配人さん。なんだろう、その、そう言う顔で見られるとちょっとドキドキしちゃう自分が居るって言うか……。少し暑くなってきた思考を冷ます(覚ます)為にも深く空気を吸い、吐き出す。

 

「今日まで色々お世話になってましたし、僕で良ければ幾らでもお手伝いします」

 

「ありがとう、正直助かるよ」

 

「……僕の方こそ、色々ありがとうございました」

 

「おや、今日で合宿は最後かい?」

 

「いや、そういう訳じゃ無いんですけど」

 

「ならソレは最後に取っておいて欲しいな」

 

「……分かりました」

 

「じゃあ味付けなんかは私がやるから、君は食材の下処理を頼むよ」

 

「分かりました、何でも任せて下さい」

 

 本当に何でも任せられたら辛いけれど、料理は少しなら出来るし、見た事ある切り方とかなら再現出来るから。

 

 そんなこんなで僕と支配人さんの料理が始まった。

 

「冷蔵庫から箱に入ってる鮭と卵を2パック、それとほうれん草3袋とお味噌と大根1本と油揚げを2袋出しておくれ」

 

「はい、何処に置けば?」

 

「机の上なら何処でも構わないよ、新人くんは卵を割っておいて欲しいかな」

 

 取り敢えず机の上に全部置く。卵は……取り敢えず全部?

 

「卵って」

 

「全部割ってボウルに入れて欲しい。味付けは」

 

「言ってくれればやりますよ」

 

「そうかい?じゃあ」

 

 支配人さんの指示の元味付けをして行く。気付けば6時を回っており、此処から朝食まで持ってくのか、とか考えつつ振られた仕事をこなして行く。さっきまで適当に散歩してようとか思ってたのに、まさかご飯作りやるとは想像もしてなかった。

 支配人さんを横目で見ると、何やらノートを見ている様だった。僕の視線に気付いたのか、ノートをそっと手で隠す。秘密のレシピみたいな感じなのかな、と思いつつ支配人さんの顔を見ると、ノートを見ていた支配人さんも僕に顔を向けていた。

 

「……すいません、その」

 

「コレはね、家内のモノなんだ。私は子供の頃から身体が弱くてねぇ……それで色々家内にも面倒を掛けてしまったんだが、また別の話だね」

 

「…………あの」

 

「もう居ないよ。家内は身体は強かったんだが、精神はそうでも無くてね……そうそう、家内は元は()()()()()だったんだよ」

 

「……元?」

 

「うん、元。彼女は夢であるトレーナーになり、担当を持つようになり、担当していたウマ娘とも仲が良くなり……色々あって精神を病んでしまった。私はそれを知って彼女にトレーナーを辞めさせて、籍を入れたんだ。中央で活躍していた訳では無いから、名前なんてきっと何処にも残っていないだろうけど」

 

 夢を追い掛けて、トレーナーになって。その果てに病んでしまった、か。なんだろう、他人な気がしない。いや他人なんだけど。悲しい様な、喜んでいる様な顔でノートを指でなぞる支配人さんを見て、胸が苦しくなってくる。

 

「女将はね、そんな家内の事を……そうだね、憎んでいるんだろうね」

 

「……どうして?」

 

「女将が産まれる頃には、もう家内は限界だったから。家内に見て欲しくて色々頑張ってたのを知って居たけれど、それがどうしてか、家内と同じトレーナーになる事でもっと見てくれると思ったんだろうね。女将が家内にトレーナーに成りたいと言った次の日に、家内は首を括ってしまったよ」

 

「あの、朝から、その」

 

「ははは、すまない。朝から聞きたい話じゃないよね。どうしてだろう、こんな話誰にも話した事は無かったんだが……君の顔立ちが家内に似ている様に見えてしまって、余計な事も話してしまう。ごめんね」

 

 そう言って謝る支配人さん。さて、と一息入れてから此方を向いていた顔をまな板へと向け直してもう表情は分からなかった。

 色々聞いたけれど、なんだろう。腑に落ちないって言うか、理解は出来るんだけど、納得出来ないんだよね。

 どうして女将さんがトレーナーになりたいって言った次の日に……幾ら考えても想像しか出来ない。だからこの話は終わりなんだけど。

 

「……女将が君にした事を知っていたけれど、私は……僕はそれに対して何もしようとしなかった。そんな僕を、君はどう思う?」

 

 それは何の話なんだろうか?女将さんに事実を指摘されて、僕が苦しんでた時?それとも襲われかけた時?もしくは……彼女を突き放した事?色々と思い当たる節が多過ぎて何とも言えない、言えないんだけど。

 

「…………別に良かったんじゃ無いでしょうか」

 

「そうかい?」

 

「だって、まぁ、正直色々辛かったし嫌になりましたけど。でも僕は此処に居ます、色々有りましたし、きっとこの先も色々有るでしょうけど皆が居るなら何とかなりそうだと思える位には精神的に安定もしてる……と思いますし。僕の1件は、その、けい、経験?として覚えておけば良いかと」

 

 それしか言えないし、これ以外言う事が無かった。無言で返してしまうのは多分良くないと思ったから思った事言ったんだけど、大丈夫かな……。暫く返答が無く沈黙が続く。僕から話し掛けるのは違うと思ってるんだけど、なにか、何か一言言わないと行けない気がして来て……あぁ、もう分かんない。

 

 

「……ありがとう」

 

「いぇ、いえいえ……?」

 

「何かしてあげたいんだが、生憎私では君に何かをしてあげるというのが出来ない。と言うか浮かばないんだ。すまないね」

 

「いや、別に……あ、じゃあその、何処かで夏祭りとかしてる場所分かりません?皆に息抜きとしてそれに参加したいんですけど」

 

「夏祭りかい?んん……あぁ、近くで花火が上がるよ」

 

「ほんとに!?え、どこ!何処ですか!?」

 

「え、あ、や、屋台なんかも出るけど、別に大きい訳じゃ無いよ?」

 

「それでも良いんです!」

 

「そ、そうかい?場所はね……」

 

 

 大事なのは規模なんかじゃ無い。本当に大事なのは皆でお祭りに行ったって事なんだ。想い出は何れ風化するけれど、僕は覚えて居られる。

 嫌な事辛い事、楽しかった事綺麗だと思えた事、こんな事もあったねぇ、なんて話が出来るならそれでいいんだから!

 

 若干問い詰める様な形になってしまったけれど、場所は聞き出した。と言うか花火が上がるのに大きい訳じゃ無いって矛盾してない?いや僕お祭りなんて行った事無いし行く気も無かったんだけど、皆が一緒なら別だから。

 

 

 

◆❖◇◇❖◆

 

 

 

 支配人さんと一緒に準備したのは焼き鮭、厚焼き玉子、ほうれん草のおひたし、油揚げと大根のお味噌汁だった。それも食べ切って、自分が手伝ったのも相まって皆が美味しそうに食べる様がとんでもなく嬉しくて、調子に乗ってお昼も晩も料理を手伝う事にした。どっちみち女将さんが帰って来ないと支配人さん1人になっちゃうからね。

 

 という事で明日の朝食の為の準備に来ました新人トレーナーです。そう、僕です。

 

「マヤちんも来ちゃった♪」

 

「マヤノに誘われたから来たけど、コレボクいる?」

 

「おやおや……良いのかい?明日はトレーニングも有るだろうに」

 

「マヤはノープロブレムだもん!それにトレーナーちゃんがお料理する姿も見てみたいし〜」

 

「ボクも、まぁ。トレーナーが料理する姿とか想像出来ないから見に来た感じかな。だからトレーナー、明日のトレーニングは軽めにしてね?」

 

「……なんだろう、バレちゃいけない2人にバレた気がする。ゴルシには内緒だからね……分かってる?」

 

「アイ・コピー♪」

 

「……ふふ」

 

「テイオーさん?分かってくれてます!?」

 

 マヤノは大丈夫だけど、テイオーが何も言わないのは不安で仕方ないんだけど!?辞めてよ、絶対だからね!ゴルシにバレたら絶対ネタにされるもん!

 

「……賑やかになったねぇ」

 

 後支配人さんはなんで感傷に浸ってるの?僕の必死な声とか全く聞こえてないよね?……もう夏合宿も残り僅かってとこなのに、色々締まらないなぁ。

 

 




 支配人さんとの会話イベント。女将さんの捜索?しませんよ。だって新人くんが女将さん捜索する理由ある???

 夏祭りイベントを立てていくゥ!皆も好きでしょ夏祭りイベント。作者もそーなの……。

 今日からまた毎日投稿頑張るので、感想いっぱい頂戴。
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