ことの発端
アイツいじめようぜ!
あだ名つけようぜ!
じゃあ「変態クソマゾ黒豚昇童貞オタク」にしようぜ!
「ねぇ変態クソマゾ黒豚性悪童貞オタク君。何読んでるのか教えてよ」
「その前に一つ訂正願いたい。某の性癖は一般的な男子高校生の性癖に一致するため、変態というわけではない。それでも変態と言うのであれば、いつ某が変態的発言をしたのか正確な記録を持ってきてもらいたい」
「……感じ悪」
「ねえクソマゾ黒豚性悪童貞オタク君。ちょっと一走り行ってきてくれない?」
「その前に一つ訂正願いたい。某はどちらかというとSっ気の方が強いと客観視しているのでマゾとは一概にも言い難い。むしろ他人の決めた某の呼称を未だに呼び続けている者などあなた以外にいないのでどちらかというとあなたの方がMっ気があると言うことになります。それがわかったらコンビニでカレーパンとプリン買ってきてください。代金はこれで。釣りは要りません」
「は、はい……え? あれ?」
「ねえ黒豚性悪童貞オタク君。修学旅行の遊園地でペア組もうよペア」
「その前に一つ訂正願いたい。……いや、この体型では黒豚と言われるのも仕方がない。実際某の体重は平均的な男子高校生のそれを凌駕している……修学旅行まで待つといい」
「ねえ性悪童貞オタク君。次は観覧車行かない? あといい加減どうやって一週間で25キロ痩せたのか教えて」
「その前に一つ訂正願いたい。某を嫌う者が多いだけで、某は誰一人として嫌っていない。よってその性悪という称号は他人からなすりつけられたイメージ───固定観念であり、実際の某の性格とは一切違うと個人的に断言するがそれはどうだ」
「……判断しづらいかも。Sだし?」
「ならば優しくされたいのか? あなたはMっ気が強いのだぞ?」
「あ、じゃあアタシに優しくしてるってことか。あ、じゃあ優しいんじゃない?はいチュロス」
「いただこう」
「ねぇ、童貞オタク君……気持ち、よかった……? 気持ちよくなかったら、アタシで、ごめんね……」
「その前に二つ訂正願いたい。某はもう童貞ではない」
「そう、だね……うん。そうだ。……で、もう一つは?」
「めちゃくちゃ気持ちよかった」
「…………ふふっ」
「ねぇオタク君」
「はい」
「なんでオタクは否定しないの? いつも『ンその前にっ……一つ訂正願いたァい……』とか言ってるのに」
「そんなことは言っていません。……好きなことを好きと言って何が悪いのでしょう。今やオタクが日本経済を支えている今、どうしてオタクで悪いのでしょう。海外には日本アニメを好いてくれる者もいるといいます。その違いはなんなのでしょうか」
「……もしかしてそれって、今大学で研究してるやつ?」
「はい。やはり、日本人の見栄でしょうかね……まぁ、真相はまだわかりませんが」
「よく研究するね、そんなこと」
「何を好こうが、誰を好こうが、個人の勝手でしょう。それを、他人の価値観に合わせる必要はありませんよ。万人に好かれる作品も無ければ、誰にも好かれない作品も無いのです」
「行ってきます」
「ぱぱいってらさぃ」
「はい、行ってきます」
「オタク君」
「あぁ、出勤前のキスですか。どうぞ、ギャルさん」
「その前に一つ訂正願いたい!」
「は、はい?」
「私は黒髪に染めてるしもう主婦だし、ギャルっぽいことなんにもしてない! だからいちがい?にギャルとは言えない!!」
「……ほう」
「行ってらっしゃい、あなた」
「行ってきます。お前」
「ふふ」
「はは」
母は父にキスをした。