いくら日本政府が関わっているエリート学校だろうと、入学式はどこも同じもの。中学校と変わらず、偉い人たちからのありがたくない話を長々と聞かされ無事に終了した。
そして、昼前。俺たちは施設の説明を受けた後解散となった。殆どの生徒は寮へと向かうようで、そうでない人たちはグループを作りカラオケなど、遊びに行くようだった。
ちなみに俺は遊びには行かず、ケヤキモールで生活必需品を買ったあと、今日の飯を買うためにコンビニの中にいた。
「なぁ。お前、同じクラスのえーと、確か流……流……えーと、頭のやばいやつか?」
俺って実はアタマノ・ヤバイヤツって名前だったらしい。初めて知った自分の本名に驚きを隠せません……。
──突然話しかけてきた声が聞き覚えのある声だったから誰かと思って振り返ってみると、さっき俺のこと無視してくれやがった綾小路が俺の後ろに立っていた。
「アタマノ・ヤバイヤツさんがどなたかは存じませんが、俺の名前は流川快斗だ。そして──そんなお前はジコショウカイ・シッパイタロウで合ってるよな?あれ?オレノコト・ムシシタロウだっけ?」
「すまん、流川…そしてオレの名前はそんな名前じゃないぞ。綾小路清隆だ……」
「全然いいぞ、全然気にしてない……よろしくな
「めっちゃくちゃ気にしてるじゃないか……すまん……」
はっ!俺を無視するとは本来なら万死に値する……けど素直に謝ってきたから許します。つまり綾小路、お前は今から俺の親友だ。絶対に裏切らないと誓うぜ。
「よかったじゃない、話す相手ができて。彼、少し……いえだいぶ頭がおかしいようだけど……」
……は?綾小路お前殺すぞ?俺はお前と縁を切る。絶縁だ。残念だよ綾小路。俺はお前を信じてたのに。
突如聞こえてきた声の犯人は先程俺を無視してくれやがった堀北。どう考えても綾小路と一緒に来てただろリア充しね。
いや、まてよ、これはあれだな、きっと……
「……なるほど綾小路が誘拐したのか通報しようそうしよう」
「ちょっと待てなんでそうなった?」
「……流川君が何を言っているか分からないけど、私が綾小路君に誘拐されたなんて悍ましいこと言わないでくれるかしら。運の悪いことに入り口であっただけよ」
ははは。結局一緒にコンビニ回ってるから綾小路は万死に値する。さようなら俺の親友だった人。綾小路、お前親友絶縁RTAの世界記録取れるよ。そんなコンテストないけど。
「堀北はツンデレ、と──」
「殺すわ」
俺は気がついたら地面に倒れてた。俺は見た。俺がツンデレと発した瞬間堀北が俺の体をぶん殴って地面に叩きつけたのを。
「めっちゃ痛い。堀北お前、何男の子の体傷物にしてんの?責任取ってくれるんだよな?」
「そもそもあなたがツンデレ、と吐き気がする単語を発したのだから自業自得だわ」
いやだって、綾小路と運の悪いことに会ったっていうけどじゃあなんで綾小路と一緒に回ってるんだよ。そんなもんツンデレ以外の何者でもないじゃん。ていうか堀北ツンデレって単語知ってるんだな。これ絶対今までも何回も言われたから意味わかるようになった系だよな?……つまりツンデレは堀北の地雷って事か。
「これから堀北のことはツンデレちゃんって呼ぶことにした」
でも俺は進み続けるんだ。地雷を駆逐するまで。
「やめなさい、本当に殺すわよ」
やめますすみませんでした。
「……恐ろしく早い前言撤回。俺でなきゃできないね」
「何か言ったかしら?」
「なんでもないです」
そんな馬鹿みたいな会話をしていると……
「なぁ。これ‥‥どういうことだろうな?」
……綾小路がそんな事を言いながら、『無料コーナー』と書いてあるところをゆびさした。
そこには1ヶ月三点までと書かれた注意書きがあり、シャンプーや絆創膏などの日用品がワゴンの中につまれてあった。
「ポイントを使い過ぎた人への救済措置、ってことかもな」
「1ヶ月に10万円も与えておいて、随分と甘い学校なのね」
俺はどうせなら無料のがいいと思ってそこからまだ買ってない必需品をもらっていくことにした。来月10万貰えるか怪しいし。ちなみにその時堀北に守銭奴と言われたが俺は気にしない。俺の心は鋼だからな。うん。ほんとにきずついてないよ。きずついてくちょうがおさなくなんかなってなんかないし、おれのこころはがらすじゃない。
……で、今俺はレジで買うものの会計を済ませ一人で寂しく寮へ向かっていた。綾小路と堀北はもう少しあそこに残るらしい。ちなみに一応綾小路の連絡先だけもらった。でも堀北はくれなかった。何でだよクソいや俺の頭がおかしいからかじゃあ俺が悪──いわけないな堀北が悪い。
◆
学校生活2日目。授業初日ということもあって大体の授業は勉強方針の説明だけのようだ。ちなみに初授業が始まって少ししたら、初回早々居眠りや私語をしている者が出てきた。馬鹿どもが。しかしそんな生徒たちは教師に注意されることはなかった。もしかしてもう俺たちは義務教育の奴隷じゃなくなったから全て自由にしてあげますって事なのか?……もしそうなら、何が起きても自己責任って事か?……うーん。
……ていうかそもそもここって進学校だぞ?何でサボる奴があんなにいんの?しかも見たところここまでサボる奴がいるのうちのクラスだけだし。もしかして昨日綾小路からの連絡で聞いた『不良品』がどうのって言われたってやつに関係してます?
……あぁ……そんな……まさか……俺たちDクラスが『不良品』って事か?だって、もしそうならクラスごとに実力が分けられてるって事になるからつまり、Cは俺たちの次に雑魚でBはCの次に雑魚でAは最強って事になるんだぞ?え?ガチでそうなん?じゃあなんで最強たる俺様がAクラスじゃねえんだよなるほど俺が最強じゃないからかって納得できるかふざけんな今混乱してます助けてください。……落ち着け俺、まだそうと決まったわけじゃない。大体平田とか櫛田とかそこら辺の奴らはみるからに有能だったしな。きっと俺の気のせいだ。……それに、もしかしたら不良品と書いて天才児と読むかもしれないだろうが!
「流川くん…だよね?」
今は放課後、皆が帰宅する中、俺は一人椅子に座りずっと色々考えてたのだが、その声と共に俺の意識が現実へと戻ってくる。
声の主はバスで共闘した櫛田だった。
「すみません僕の名前は綾小路清隆ですのでどうぞおかえりください」
「…嘘つかないでよー。綾小路君とはさっき話したもん」
「実は僕、二人目の綾小路清隆なんですよね」
「……もうそれでいいや。……話があって、バスでの事なんだけど」
ああうんその話なら俺もう顔割れてるから嘘ついても無意味だな。恥ずかしッ。あれもこれも全部綾小路のせいだ。『俺は悪くない』
「昨日話せればよかったんだけど、流川くん、いつのまにかいなくなってたから……」
「……あぁ、昨日は色々買うものがあったから居なかっただけだ。で、話って何の話だ?」
もしかして俺が自分が助かるためにOLと櫛田巻き込んだの気づいちゃった?……確実に殺される。逃げようかな。
「……昨日はバスの中で助けてくれてありがとう!あのままだと無礼をした私とOLのお姉さんが消されるかもしれないと思ったからあんな事したんだよね?何かお礼できる事ないかな?」
は?ごめんちょっと何言ってるかわからないわ。え?櫛田お前、俺を殺しに来た死神か悪魔じゃなかったのか?……なんか向こう側から見たら俺は櫛田も助けようとしてるように見えたらしい。俺、櫛田の事一ミリも助けようと思ってなかったんだけど。
「いらない帰れ」お礼なんて別に大丈夫だぞ?俺別に大したことしてないし
「え?」
……あ、まずい。建前と本音を間違えた。流石俺天才……じゃねぇよ!がちやべえじゃんおいどうしてくれんだよ俺。いやなんで俺は俺にキレてんだよ頭沸いてんのか俺殴るぞ?いやなんで俺は俺を殴るんだよ俺殺すぞ?いやなんで俺は俺を殺すんだよ俺消すぞ?…………………無限ループって怖くね。
……ていうか現実逃避してる場合じゃないじゃん。どうしよ。
「……えーと、また明日」
……カ イ トは逃げ出した。しかし、キ キ ョ ウ に回り込まれて逃げられなかった。
「えーとなになに?お礼できる事は何かないかって?お礼なんて別に大丈夫だぞ?俺別に大したことしてないし」
「いや、なに今さっきのことなかった事にしてテイク2始めてるの?」
「お礼なんて別に大丈夫だぞ?俺別に大したことしてないし」
「ゲームのCPU??」
「俺別に大したことしてないし」
「言うのめんどくさくなって端折ったでしょ」
……くそ。なんだこの女。やっぱりバスの中で考えた通りメンヘラじゃないか。ここまでやったら流石にもう構ってくるなよ……いや俺が悪いんだけどもでも俺は悪くないからやはり櫛田が悪い。
「とにかく、お礼は別に要らないから。じゃあな」
「でも、」
「……お礼したいなら俺の願いを聞き入れてくれよ……。本人がいらないって言ってるのにお礼したいです!って言ってるのは自分勝手すぎないか?俺の気のせい?もし気のせいだったらコーラ飲みながら土下座してやるよやらないけど」
俺は呆然とする櫛田を置いて教室から出る。流石に言いすぎたか?いや、言い過ぎだろうとなんだろうと今のは正論な筈。別に俺は櫛田が嫌いだからそんなことを言ったわけじゃない。俺は真の人類平等主義者。男でも女でも、人間である限り、俺が正しいと思ったなら辛辣だろうと指摘してやる。ただし、俺が気に入ったやつには指摘しない……あれ?
今、衝撃の事実が発覚した。どうやら俺は平等主義者じゃないらしい。
矛盾や誤字があれば指摘お願いします。
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