ようこそ自称天才がいる教室へ   作:贋作者

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まじでクソみたいに時間空いてすみません!最近学校が忙しくて……一応期間開けただけはあって今までのより少し長いです!僕的にはゴールデンウィーク中に何話かかけるといいと思ってます。


運動神経

「よっしゃプールだー!」

 

 プールサイドに池の声が鳴り響く。今は水泳の授業時間。もうこの学校に来てから一、ニ週間ぐらいがたった。

 

「き、来たぞっ!?」

 

 そう叫び身構える池。ちなみに事情を知らない人間が見たら池は変態にしか見えないが、女子の水着を見れることに興奮してるんだけなんだ許してやってくれ……いや、どちらにせよキモかったわ。どうぞ、池に対して好きなだけ誹謗中傷を浴びせるがいい。

 

 ……ちなみに多くの女子は池みたいな変態男子に見られるのが嫌だったのか見学している。尚、今この事実に気づいた池、その他男子達はこの世の終わりでも見たかの様な顔で呆然と膝をついていた。哀れだな。抱きしめたくなるくらい哀れだ。キモすぎて抱きしめたくないけど。

 

  ……一体なんで俺はこんな奴らと同じクラスなんだ?やっぱりこのクラスは不良品なのか?……つーかそもそもどうしてこんな見るからにアホそうな面してるこいつらがなんでこの学校入れてんだよ。お前等実はそのアホ発言は全部演技で実はすごいとかなのか?

 

「二人とも何やってるの?楽しそうだねっ」

「く、く、櫛田ちゃん!?」

 

 女子が見学なのに気づいてから頭のネジが飛んだ池と山内がクソみたいな茶番をしていた所、二人の間に割って入る様に櫛田が顔を覗かせた。その瞬間、スク水を着た櫛田を男子のほとんどがガン見し始める。そして、胸はDか?Eか?そんなくだらない呟きがすぐ後ろから聞こえてきた。

 

 が、皆んなはすぐに櫛田から視線をずらす。一体どうしたのか?俺が疑問に思っていたところ……世界平和って素晴らしいな、という声がまた後ろから聞こえてくる。いや、めっちゃうるさいじゃん俺の後ろのやつ。独り言言い過ぎだろ。けど、お陰でどうして皆が視線をずらしたのかがわかった。どうやら皆は生理現象を気にしているらしい。もしここでテント状になっちまうと大変な騒ぎになるからな。……発情期の猿どもが。いや俺もテント状になるけども。

 

 そんな中池だけは鼻息を荒くし、櫛田をガン見し続けていた。あそこまでいくとむしろ尊敬通り越して軽蔑すらするわ。あいつは人としての尊厳がないらしい。

  

 ちなみに、俺はあの日以来櫛田と話をしていない。何か思うところがあったのか櫛田が積極的に話しかけてこない、ってのもあるし、櫛田が近くに来たら俺ができるだけ逃げてるからだろう。……俺はお節介な人間って苦手だからな。あれから少し櫛田を観察したけど、わかったことと言えばあの女は『あざとい』が名前なんじゃないかってレベルであざとい事と全ての人間に優しくする人間だってことだけだ。ていうかあんな色んな人に優しくしてたら絶対、「櫛田さん俺に優しい!俺のこと好きなんじゃね?ふひふひ」って奴がたくさん出てくる筈。あいつに惚れた奴ら可哀想すぎる。

 

「よーしお前ら集合だぞー」

 

 ムキムキマッチョな先生が皆に声をかける。あの先生は脳筋。異論は認める。

 

「早速だが、準備体操をしたら実力を測る。泳いでもらうぞ」

「先生、俺泳ぎたくありません!」

 

 一人の生徒がピンと手を伸ばし大きな声で先生に伝える。

 

 ……馬鹿か?泳げません!ならまだわかる。分かるけど、あいつ泳ぎたくありません!だぜ?流石に……クソ面白すぎて死ぬかもしんない。死因:笑いすぎて死亡……とか面白すぎて笑いごとになんないからいやなってるなごめん。

 

「俺が担当するからには、必ず夏までに泳げるようにしてやるぞ。安心しろ」

「え、いや別に俺泳げないなんて言ってな……」

「──そうはいかん。今は苦手でもいいが、克服はしてもらう。泳げるようになっておけば、あとで必ず役に立つ。必ず、な」

 

 あれー?話通じてますか?先生ー?……ダメだこいつら。二人して頭が狂ってやがる。

 

 というかこの脳筋先生必ずって言葉使いすぎじゃね?……あと、あとでって表現おかしいだろ。普通いつか役に立つって表現する筈。さてはこの脳筋、馬鹿なふりしてるだけの優秀な人間だな?流石天才の俺。ここまで見抜くなんてな。

 

「さて、準備体操するぞ。まずは左足の関節を外してー」

 

 ……前言撤回。こいつは馬鹿だ。しかもただの馬鹿じゃない。頭の狂った大馬鹿野郎だ。

 

「……冗談だ!ダハハハハハ」

 

 こいつ…‥ド畜生だな。なんでこんな奴が教師やってんだよ。解雇されろ。

 

 ──準備体操が終わり、俺たちはプールサイドで脳筋馬鹿野郎の話を静かに聞いていた。

 

「これから男女別で50m、競走してもらう。1位になった生徒には俺から5000ポイントをプレゼントしよう」

 

 これこそまさに実力に応じてポイントがもらえるってやつじゃないか?つまり俺の推理は当たってたのか。流石俺、名探偵快斗としてやっていけそうだな……ちなみになんか怪盗の方が合ってる気がするのは気のせいだ。

 

「まずは女子から泳いでくれ。人数が少ないからな」

 

 すげー堀北めっちゃはえー

 すげー櫛田普通にはえー

 すげー誰だか知らない人ちょっとはえー

 

 ……そんなことを考えている内にいつの間にか女子の泳ぎが終わり、男子の泳ぎが始まった。

 

「……次は流川の番だが自信はあるのか?」

「…‥私も少しだけ興味あるわね。自称天才さんがどれだけやれるか気になるわ」

 

 順番待ちの間プールサイドでボーっとしていると綾小路と堀北が話しかけてくる。堀北、お前そうやって皮肉めいた事言うから友達できないんだぞ?もう、そんな子に育てた覚えはありませんそして子供を育てた覚えもありません。

 

「ふっ、任せろ。俺を誰だと思ってる?あの天才少年流川快斗だぞ?舐めんな」

 

 俺の自信を肌で感じ取ったのか堀北と綾小路が真剣な目つきで俺を注視する。

 

「準備はいいな?よーい」

 

 全員がプールに入ったことを確認した先生が合図の準備をする。

 

 ──ピーッと合図の笛の音が響き俺含め全員がスタートを切る。

 

 綾小路、堀北、行くぜ、俺の泳ぎ見てろよあっ、ちょ、息が、溺れました助けてください死にます助けて調子乗った事は謝りますから助けてく、ら、さ、──

 

 

 

 

 

 

「知らない天井だ」

 

 俺が目を開けて一番最初に発した言葉はやはりこれだった。人生で一度は使ってみたい言葉ランキング810位だったんだよやったぜ。

 

「……目を開けて一番最初の言葉がそれか」

 

 聞こえていた声の主を探すと、俺が寝かせられているであろう布団の横に座っている綾小路を発見した。

 

「知らない人間だ」

 

 俺が目を開けて2番目に発した言葉はやはりこれだった。人生で一度は使ってみたい言葉ランキングに入ってなかったどころか今即興で思いついた言葉なんだよやったぜ。

 

「それにしても、自分で自分を天才で最強とか言ってたのに水泳はできないんだな」

 

 綾小路が俺を無視して喋りだす。いや何無視してんだよふざけんな。

 

「俺は運動神経が良いなんて一言も言ってないつまり勝手に勘違いしたのはお前だから俺は悪く無い」

 

 綾小路の失礼な物言いに俺は穴のない完璧な反論をする。流石俺だぜ。こんなの誰も反論出来る筈がない。

 

「いや、最強って最も強い様の事を指すんじゃないのか?だからオレはお前が遠回しになんでもできるって公言してるのかと思ってたんだが……」

「……い、いや?」

 

 反論してきやがった。くそ、俺が正しいはずなのに……間違ってる気がしてき──いや、俺が間違う?そんな筈ない。何故なら絶対は俺だからな。図が高いぞ綾小路。

 

「俺が自らを最強と信じる限り俺は最強なんだよ」

「……おお、かっこ──」

「何故なら天上天下俺こそが絶対だからだ」

「──よくないな。一瞬でもかっこいいと思ってしまったオレを殺してくれ」

 

 俺は綾小路の言葉を聞き終えた瞬間ヤツの頭めがけてパンチを放つ。

 

「……おい、なんの真似だ?」

「──ふざけんなお前反射神経おかしいんじゃねえのか?俺のパンチを容易く防ぎやがって」

 

 俺の全力を込めたパンチは最も容易く綾小路に腕を掴まれることによって防がれた。

 

 ……決して俺のパンチが弱かったわけではない。大事なことだから2言おう、決して俺のパンチが弱すぎて簡単に反応されたってわけじゃないのだ。ちなみに、別に俺の腕力は小学5年生と同じぐらいだ、と医者に言われたことはないからな?本当だぞ?本当の反対の反対だぞ?本当の反対の反対の反対だぞ?……あれ?

 

「それで、一体急にどうしたんだ?」

 

 俺の手を離した綾小路が聞いてくる。

 

 ……なんかさっきと違くね?さっき俺の腕を掴みながら聞いてきた時はもっとなんというか、無機質な感じだったような気が……気のせいか?

 

「いや、お前が殺してくれっていうから一回ぐらい殺しとこうかな、と」

「……流石に嘘だろ?」

「さぁな。それは俺のみぞ知るってところだ」

「いや、なんかカッコよく言ってるが意味ないからな?それは当たり前のことだぞ?」

 

 うるせーばーかばーか。俺の渾身のパンチが止められた屈辱、決して忘れはしないからな綾小路ィ……!

 

「で、ここはどこでなんで綾小路がここにいるんだ?」

「……今更だな。……ここは──「いや、ちょっと待て俺が完璧な推理で当ててやる。ここは保健室、まぁこれは当たり前だな。そして何故綾小路がここにいるか、それは……お前がホモで俺のケツを──「おいちょっと待て、違うからな?」……お前がそういうならそうなんだろうな──「いや、流川……絶対信じてないだろ。本当に違うからな?」……はいはい、わかったわかった違うんだよな──「……やっとわかってくれたか」──綾小路、お前はホモじゃなくてゲイなんだよな」……いやちょっと待て、全然わかってないじゃないか……はぁ……」

 

 俺の完璧な推理の前に綾小路は何故か溜息をつく。

 

 ……この無礼者が、俺が……この偉大なる天才イケメン少年の俺が、わざわざ推理を披露してやってるってのに……許さねえ、てめえは死刑だ綾小路。どうせ、男同士、保健室、一人は寝てる、何も起きないはずがなく……とか思ってたんだろ気持ち悪いな、死ねばいいのに」

 

「流川、殴ってもいいか?」

「……は?お前本当に人間か?よくも人を殴るなんで最低な行為をしようって思考になれるな、お前のためを思って友人として言っておく、すぐにそうやって暴力に訴えるのはよくないぞ?」

「……流川……さっき自分がやったことを忘れたのか……?」

 

 綾小路が意味のわからないことを聞いてくる。チョットナニイッテルカワカラナイネ!

 

「……何言ってんだ?俺は、カメラアイという一度見たものがまるでカメラのフィルムのように自動で脳に記憶される能力を持ってる。だから忘れるなんてありえない」

「カメラアイ……聞いたことがあるな、そうだったのか。でもなら尚更──」

「まぁ嘘だけど」

「──やっぱりオレはお前を殴ろうと思う」

 

 はあ?なんでだよ。理不尽だ。

 

「……はぁ、流川、お前は自分がゲイでもホモでもないのに勝手にそうだと決めつけられた挙句死ねばいいのにって言われたらどうする?」

「──ぶん殴って半殺しにする」

「……だろ?自分のやったことを理解したか?」

「???」

「……嘘だろ。……オレは一生お前を理解できる気がしない」

 

 綾小路が疲れたようにそう呟く。

 

 ……いや、まぁ綾小路が俺のことを理解するどーこーは一旦置いといて、なんで綾小路は俺が心の中で思ってたことを言ってきたわけ?偶然……なわけないよな、怖い、こいつエスパーなの?超能力者なの?さいきのくすおさんなの?

 

 もしそうなら考えても仕方ない……俺にも超能力くれ。まあそんなもん信じてないけど。

 

「……さて、理解できないだっけ?そうだな。所詮俺と綾小路は他人なんだから綾小路が俺のこと理解できるわけがないんだよ。たとえ血が繋がってても100%相手のこと理解することなんて無理だろうし。でもまあ100%じゃなくとも少しなら理解することはできる。

〝深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ〟かつてドイツの哲学者、ニーチェが言った言葉らしい。意味としては異常者を理解するためには自分自身も異常者になるのが一番、みたいな感じだと俺は思ってる」

「……オレもその言葉は知っていた。割と有名だからな。……つまり流川が言いたいのは流川を理解したいならオレも流川みたいな異常者になれ、ってことか?」

「まぁそんなところだ」

「……なんというか、意外だな、流川が自分を異常者だと認めてたとは……」

 

 綾小路が少しばかり驚いた様子でそう呟く。

 

「はぁ?当たり前だろ、俺が異常者じゃなかったら誰が異常者なんだよ」

「……ああ、そうだよな。当たり前だ」

「──そうだろ?……当たり前の話だ。俺ほどの天才でイケメンで完璧な人間を異常と呼ばずなんと呼ぶ」

「──あー、そういう意味か……そうじゃないんだが……」

 

 綾小路が何か呟いているが俺は無視して話始める。

 

「人は完璧にはなれない、かつて宮沢賢治も〝永久の未完成、これ完成である〟つまり未完全な姿こそが人間として完成している姿だと言っていたらしい。そう、つまり人は普通完璧にはなれない筈なんだ。だけど、ほら、見てみろ!俺は完璧だ!これは人類史上最も異常な出来事だ、つまりだから俺は異常者って事だぜ!」

「……水泳できないのにか?」

 

 ……あれ?おかしいな、なんか汗が出てきた。部屋暑くない?

 

「それにさっき、オレは水泳のことしか聞いてないのにも関わらず、何故か運動神経が悪くないなんて言ってない、とか言ってきたってことは他の運動も得意じゃないだろ。流川」

 

 あー暑い暑い。今日は暑いなー汗がたくさん出てくる。

 

「え、えーと、俺が自らを完璧と信じる限り俺は完璧なんだよ↑」

「……声裏返ってるぞ?」

「な、何故にゃら天上天下俺こそが絶対だからだゃ」

「……噛みまくってるぞ?」

「あーうんへー、…………アディオス!」

 

 俺はそう言って保健室のドアを0.1秒で開けて逃走する。俺の足の速さは50m11秒。これは速い。速すぎる。間違いなく逃げ切れるぜ。……大事なことだから言っておこう、いいか、俺の足の速さは決して小学1年生の50m平均タイムじゃないぞ?そう、決して小学1年生の足の速さと俺の足の速さが同じなわけじゃないからな?

 

 ……俺は結局、自分の足を信じて後ろを振り向かず寮まで全速力で走った。途中普通に早歩きしてたやつに抜かされた気がするけど、きっと気のせいだろう。だって俺、速いもん。

 

 

 

 




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