ようこそ自称天才がいる教室へ   作:贋作者

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学校の仕組み

 

 5月最初の授業が始まり、茶柱が教室へ入ってくる。茶柱は険しい顔をしており、生理でも止まったのかと聞くやつでも出て来そうだ………もっとも、そんな奴はいないだろうけど──

 

「せんせー、生理でも止まりましたか?」

 

 池がへらへら笑いながら先生に聞く。

 

 ──いやがったわ。……このド低脳が。

 

「これより朝のホームルームを始める。その前に質問はあるか?気になることがあるなら今聞いておいた方がいいぞ?」

 

 茶柱は池の発言を無視して話を続ける。もはや池は人として認識されていないのか?池……お前は俺と同じだよ……。

 

 ……最近までそこら辺の有象無象(クラスメイト)に興味がなかったせいで一ミリも記憶に残っていなかったんだけども、俺ってば初日で駆除されそうになるぐらい嫌われて、そのまま水泳でおぼ……ほんのすこーしだけ俺がミスった時にさらにさらに嫌われたんだよな。そんな俺は今、このクラスにおいて空気以下の存在として扱われている。空気は生きる上で必須だから空気以下、だ。

 

 全く、なんでイケメンで天才で最強な俺様が嫌われてるんだよ……凡人共の見苦しい嫉妬か?まぁ多分そうだろうな。……俺ほどの完璧な人間、妬まない方がおかしい。──そりゃあ、仕方なかったってやつだ。褒美(?)だ、我の許しをくれてやる。

 

「あの、今朝確認したらポイントが振り込まれてなくてジュース買えなかったんですけど……」

「本堂、前に説明しただろう。ポイントは毎月1日に追加される。今月も問題なく支給されたことは確認している。」

「え、でも振り込まれてなかったですよ?」

 

 有象無象(クラスメイト)の中の一人、本堂という生徒が茶柱に質問をする。

 

 ちなみに俺はこの本堂とか言う野郎の存在を今日初めて認識した。影薄いんだよ馬鹿野郎。

 

「……お前達は本当に愚かな生徒達だな」

 

 怒りあるいは悦び?か不気味な気配を纏った茶柱が言う。

 

 ──はっはっは、何を言うかと思えば……この俺が愚かだと?……ふざけやがって、俺はたとえ先生だろうと容赦しないからな!覚悟しやがれ茶柱ッ!

 

「このッ!婚期を逃した年増──」

「──何か言ったか?流川」

 

 俺は死んだ。さよならだ。

 

 ──俺が発言した途端、茶柱はまるで人を何人も殺ってそうな鋭い目つきで俺を睨みつけてきた。

 

「一応言っておくが、ポイントが振り込まれてないなんてこともなく、このクラスだけ忘れられたなどという可能性もない。わかったか?」

 

 茶柱は俺を目で殺し続けながら説明を続ける。

 

「ははは、そういうことだねティーチャー!簡単なことさ、私たちDクラスには1ポイントも支給されなかった、ということだね」

「は?毎月10万ポイント支給されるって……」

「わたしはそう聞いた覚えはない。そうだろう?」 

 

 突如話出す高円寺…激論の末、本堂はダ○ガ○ロンパされた。 

 

「態度は悪いがその通りだ。あれだけヒントをあげて気付くのが数人とは……まったく、嘆かわしい」

 

 教室を見渡してみると、突然の出来事にほとんどの有象無象(クラスメイト)は呆然としている。

 

 ふっ、やはり俺はあいつらとは違う……何故なら俺はこの程度のこと予測できていたからだ!さすが俺、俺レベルになると未来を予測できちゃうんだぜ──

 

「さて、流川、お前は確か『俺は天才だ!』と面接官に豪語していたらしいな。よし、説明しろ」

 

 ──は?いや、は?何これこんな未来知ら──い、いや?知ってましたし?こうなることなんてバリバリ予測できてましたし?

 

 先生が次に言うセリフだってわかっちゃうし?茶柱の次のセリフは──

 

 ──「今のは嘘だ。私が説明する。流川様、すみませんでした」、という!

 

「──どうやら流川は天才らしいのでな。きっと何もかもわかってるのだろう。……あぁ、ちなみに決して先程の事を根に持っているわけではないからな?全くもって気にしていないぞ?」

 

 はい、全然違った。……あ、あれえ?俺が間違えた、だと……?いや!そんなわけない!てことはつまり、茶柱の方が間違っている、と言うことだ。

 

 ……ふっ、聖職者だからって容赦しねえ。言ってやるぜ。茶柱、てめえが間違ってるぞ、と──

 

「流川?どうしたんだ?早く説明しろ」

「ハイッ!まず、この学校は実力で生徒を測る、入学を果たした生徒には10万ポイントの価値がある、この二つを先生が初日に仰られてたことから、一番あり得そうな考えでしかないですが、この学校は実力で『価値』を測る、と仮定します。入学した時点での俺たちの価値、つまり実力が10万ポイント分だったとして、恐らくこの1ヶ月間でなんらかの方法で測定した俺たちの実力が0ポイント分の価値だっただけ、という事ではないでしょうか?」

 

 ──無理無理。あんなやばい目で睨まれたら間違ってるなんて言えねえよ!怖っ。いや怖っ。

 

 ……ていうか仮定、とは言ったものの、俺は自分が合ってるって確信してる。だって、俺天才だから。

 

「……まさか本当に答えられるとはな……その通りだ流川」

 

 茶柱は驚きながらもニヤリと笑う。いや何驚いてんだよ、茶柱俺が答えられるって知ってたから言ったんじゃねえの?ふざけんな。

 

「遅刻や欠席、授業中に私語や携帯を触ったり、よくもまぁやってくれたものだ。この学校ではクラスの成績がポイントに反映される。その結果、お前達は振り込まれるべき10万ポイントを全部溶かした。それだけのことだ。

 入学式の日、説明しただろう?この学校は実力で生徒を測ると。そして今回、その実力が0と評価されただけに過ぎない」

 

 茶柱は淡々とそう告げ、手にしていた紙を広げそれを黒板に貼り付ける

 そこには、Aクラス:940、Bクラス:650、Cクラス:490、Dクラス:0

 と書かれていた。

 恐らくはこれが各クラスのポイント、クラスポイントなのだろう。……と言うことはつまり1000ポイントが10万円に値してるってところか、全クラスが軒並み数値を下げてるからな。

 

 ──最悪の予想があたった。やっぱり実力を測るのはクラスごと、か……。くそっ!なんで個人じゃねえんだよ。俺一人だったら天才すぎて余裕で1000ポイントぐらい取れたわ!

 

「………どうしてここまでクラスに差があるんですか?」

 

 生徒達が呆然となる中、みんなの勇者、平田が立ち上がる。

 

 ──マヌケが。俺は前にお前を有能と言ったな、あれは嘘だ……はっ、こんな簡単なことがわからないなんて……いや、俺が天才すぎるだけか、すまんな平田。許せ。

 

「流川、答えてやれ」

 

 ……はぁ?なんでこの俺がわざわざ愚民どもに教えてやらないといけないんだ?大体、何俺に命令してんだよクソ教師!俺を誰だと思ってやがる、調子こいてんじゃ──

 

「 早 く し ろ 」

 

 ──ハイ!

 

「この学校のクラス分けは多分、優秀な生徒たちの順でされているんですよね?最も優秀な生徒はAクラス、落ちこぼれはDクラスへ。そう、つまり俺以外のDクラス生徒は不良品、ということ」

 

 俺がそういうと、有象無象(クラスメイト)共は信じたくないのか俺を睨んでくる。いや、信じたくないってより俺の『俺以外のDクラス生徒は』ってのが気に入らなかったのか?……最初は俺も自分が不良品……?嘘だー!と思ってたが分かったんだよ……俺がこのクラスに入ったのは何かの間違いだってな!俺が不良品?寝言は寝ていえ。

 

 ──というか、有象無象(クラスメイト)共が俺を人間と認識しているだと……?あぁ、もしかしてさっきの10万の説明したから評価が上がったのか?……全く、人間ってのはまるでわからな──いや、わかりますけど?俺ほどの天才がわからないものなんてこの世にないからな!

 

「これは綾小路が教えてくれた事なんですが、上級生に自分はDクラスって伝えたところ、憐れみと蔑みが混じった目で見られたらしいのです。さらに、『不良品』や『地獄を見る』だの色々と言われたのだと。綾小路がどうして相手の視線から感情を読み取れたのかは置いといて、ここから推測するに俺の言ったことは間違い無いと思ってます」

 

 俺がそう言い終えると何処かからあり得ないほど冷えた視線を察知。お前はどうしてそう余計なことを言うんだ、と言わんばかりの圧力だ。

 

 ──これは……まさか!?俺様が天才すぎて国から刺客が来たのか!?

 

「……その通りだ流川。……たが、まだ補足があるので述べておこう。率直に言おう、Dクラスから脱却することは可能だ。簡単な話、クラスのポイントをCクラスより多く手に入れれば、DクラスがCクラスに入れ替わるようになっている。つまり、クラスポイントによってクラスが変動するということだ」

 

 茶柱が俺の意見を認めたことによって、やっと俺が正しいと分かったのか有象無象(クラスメイト)共騒ぎ出す。

 

「驚いているところ悪いが、もう一つ残念なお知らせがある。これは先日やったテストの結果だ。揃いも揃って一体お前達は中学で何を学んできたんだ?」

 

 茶柱が追加で張り出した紙にはテストの点が並んでいる。基本的に60点前後の点数ばかりで、14点だとか24点だとかもいる。一部点が高い奴もいるが、このクラスの平均は65点ぐらいだ。

 

「良かったな。これが本番だったら8人は退学になっていた。………あぁ忘れていた。この学校は中間、期末テストで赤点を1教科でも取れば退学だ。今回のテストで言うと、32点未満の奴らだ」

 

 ──生徒達がざわめく中、茶柱は説明を続ける。

 曰く、この学校の説明にある、希望の就職先や進学先に進めるのはAクラスだけなのだと。

 

「浮かれていた気分は消えたようだな。中間テストまで3週間、退学しないように頑張ってくれ。お前達が赤点を取らずに乗り切る方法はあると確信している。できるなら実力に相応しい振る舞いで挑んでくれよ?」

 




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