茶柱が教室から出て行った途端、一斉に俺の方を向く
「お前、自称天才じゃなくて本当に天才だったんだな」
「ごめんね今までゴキブリ以下の存在として扱ってて!」
「よっ、流石天才!」
「──で、どうして分かってたのに今まで全く俺たちクラスメイトに教えなかったんだ?」
「これからは最低のゴミとして扱うね!」
「……流川は天才だけど、ゴミ以下のクズ野郎だ!」
……これはひどい。上げて落とすとかお前ら人間じゃねえ!……なんで俺が教えなきゃいけないんだよ、自分で気づかなかったのが悪いんだろうが…………というか、不味い、不味いぞ。このままじゃ本当にまずい。このままだと俺はクズ野郎のレッテルを貼られ、虐められる……!そうなると俺は、運動能力が常人よりちょっーとだけ、本当にちょっーとだけ低いから力ずくでは解決できない。
──だが、舐めるな。俺は幼、小、中といついかなる場所においてもいじめられ続けた男。言わば虐められのプロだ。俺は幼少から天才でイケメンだったからな、嫉妬した人間のクズどもに何度もいじめられた。大人は容認。俺はその時初めて自分の保身しか考えられないゴミクズが存在をすることを知った。……そして結局、俺はそのクズ共の虐めてきた証拠、容認していた証拠を集めて教育委員会に提出し、俺様大☆勝☆利ってしたわけっていう嘘なんだけどどうしよう。
つまり何が言いたいかと言うと……
「いや、これ考えたの俺じゃ無いんだけど…」
……俺は悪くない。
「え?いや、自分が責められるのが嫌だからって嘘つくなよ!」
「いやいや、嘘じゃねえよ。今日の朝差出人不明で俺にメールが来てて……そこに、言うことは少し変えたけどさっき俺が言ったような事が全部書いてあったんだよ……」
「……そんな見え見えの嘘に引っかかるわけないだろ!」
……ちっ、黙れよ詐欺られそうな顔面ランキング1位とってそうな、名前知らない地味顔のモブ!……くそっ、詐欺られそうなくせになんで俺の嘘は見抜けるんだよ!
「……快斗ボーイは嘘はついていない、それはこの私が保証する」
突如出現した高円寺。いやお前突如出現してばっかだな。
「はぁ?なんで高円寺が入ってくるんだよ」
「それは私が快斗ボーイの友人だからさ」
こらお前誰が友人だ誰が。……大体俺、高円寺とは初日以外ずっと話してなかったぞ?流石にもう消されないと思ってたから俺は別に高円寺から逃げてなかったけど、高円寺の方が俺に話しかけてこないし、もう忘れたのかなーっと思ってたんだけど?
「そもそもこの自分を天才だと信じて疑わない男が今更周りの評価を気にするわけがないだろう?快斗ボーイは今までだってクラスでは空気以下として扱われていたのにも関わらず全く気にした様子がなかった。今更少し責められた程度で自身の評価を守ろうとするわけがないだろうに」
高円寺は君たちはこんな簡単なこともわからないのかい、と言ってため息をつく。……いや?え、なんで高円寺は俺を庇ってるんだ?まさか本気で俺を友人と思ってるわけじゃないよな?……え、ないだろ?
「う、うるさい。じゃあ証拠見せてみろよ証拠。そのメールを見たら納得してやる」
「あぁ、ほら、ちょっと待ってくれよ?」
先程の詐欺られそうなモブがそう言い、他の
……これはまずい。ただのはったりでしかない架空のメール、もし俺の端末を見せたらバレちまう。
──とでも言うと思ったか?
俺は茶柱に説明しろと言われた時点でこの展開を予測してた。……説明を強制された俺は、このクラスで唯一連絡先を交換している綾小路に急いで『俺が今からクラスでする説明をメールに書いて差出人不明にして俺に送ってくれ』と送信していた。つまりもう既にメールは来ているのだ。流石俺天才だぜ。…………まぁ高円寺の乱入は想定外だったけども。
……ただし、ここでめんどくさいのはメールが来た時間。俺は朝と言ったがメールが来たのは朝ではない。まぁだけど、その程度は俺が手で隠せば大丈夫……と信じてる。
俺は天才俺は天才俺は天才俺は天才。自分にそう言い聞かせてバクバクとなる心臓を押さえつけながら俺は時間だけを隠してメールをみんなに見せる。
「ほら、これでいいだろ?」
「ま、まじか……嘘じゃなかったのかよ」
「……流川君……ごめんね」
「……俺が悪かった」
はぁ……死ぬかと思った。なんとか乗り切ったな。いや、まぁ俺天才だしあたり前だけどね?いやうん本当、全然危なくなんてなかったからな?本当だぞ?
……それにしても全く、俺を疑いやがって……いやまぁ俺が嘘ついてるんだけど。
「それにしてもそのメール送ってきた人って誰だろうねー」
「綾小路君から情報を得たとか書いてあるしやっぱり綾小路君と仲が良さそうな人なんじゃない?」
「……あ、今更だけどこれってつまり、流川が天才じゃなかったってことじゃないか?」
──おい今ふざけたこと抜かした最後のやつはどこのどいつだ? ぶ ち 殺 す。
……けど、ちっ、今あいつを殺しに行ったら今までの努力が水の泡だ。俺は無駄な努力が大嫌いなんだよ。……はぁ、つまり今の俺の評価は人間として認識されてはいるが頭がおかしいやつってところか。ふざけやがって……!
俺が
『流川はこれを予測してたのか。凄いな』
……そうだそうだ俺は凄いんだ。流石綾小路、そこらへんの
『流石天才だな』
そう、流石俺なんだよ。分かってるじゃねえか。
『運動音痴なのにな(笑)』
──殺す。なんだこの絶妙にイライラさせてくるメールは。特に(笑)が煽りにしか見えない、と言うか完全に俺のこと煽ってるだろ。協力してくれたし感謝のメールでも送ろうかと思ってたけど絶対に殺す。
◆
学校が本性を見せた放課後、俺は指導室の前へ来ていた。放課後になる前、茶柱に話があると事前に伝えたらここに来いと言われたのだ。だからここに来た……来たんだけど……
「なんでツンデレちゃんがここ──ぐはっ」
──恐ろしい。俺がツンデレちゃんと言った瞬間、少し距離が離れていたはずの堀北が俺の目の前に瞬間移動していて俺は天へと吹き飛ばされた。
「なんで流川君がここにいるのよ……」
堀北は絶対零度の視線を俺に向けながら呟く。いや、謝れや。
「……俺は先生に直談判しに来ただけだ。俺ほどの天才イケメン少年がDクラスなんて──」
「──何かの間違い……と言いたいのでしょう?だったら私と目的は同じね。でも正直、あなたがあのクラスなのは妥当な評価だと思うわよ」
はぁ?ふざけるなよ?
──ふざけたことを抜かす堀北に俺が反論しようとした時、指導室のドアが開き……
「まぁ入れ、それで堀北、流川、私に話とはなんだ?」
……茶柱が顔を覗かせた。……指導室に入った俺と堀北。そして堀北は椅子に座ってすぐ口を開いた。
「率直に聞きます先生、なぜ私がDクラスなのでしょう……流川君はともかく」
ホリキタ、アトデナグル。
「どうやらお前達は自分が優秀な人間だと思っているようだな……特に流川」
……まぁ、これはその通りだ。だって事実そうだろ?
「……事実そうでしょう。入学試験の問題はほとんど解けたと自負していますし、面接でも問題はおこしてないはずです……流川君はともかく」
「確かにお前の学力は優れていると言える。……流川はともかく。だが学力だけでクラスは決まらない。仮に学力だけでこの学校で評価されるのだとしたら須藤のような奴は入ってこれていない」
「っ……………。」
おい、俺はともかくってなんだよ……ていうか二人して言いやがって……あんたら仲良いな……
「一応言っておくが上に聞いても結果は同じだ。だが、悲観する必要はない。卒業までにAクラスに上がる可能性は残されている」
「…………今日の所は失礼します。ですが納得していないというのは覚えていてください」
よっしゃ、堀北が出て行く。次は俺のターンだ。行くぜ。
「先生、どうしてこの俺がDクラ──」
「──あぁ、そうだった。流川は別として、もう1人ここに人を呼んでいたのだった。堀北、お前にも関係のある人物だぞ」
あれー?茶柱さーん?……人の話はちゃんと聞きましょうねー。
「関係のある人物……?」
「でてこい綾小路」
綾小路……だと?なんであいつが……?
「いつまで待たせれば気が済むんスかね」
「──綾小路ィ!」
綾小路がわざとらしくため息をつきながら給湯室から出てきたところを──俺は襲撃した。
……俺はお前を殺す!まずは俺渾身の右ストレート!俺のパンチは綾小路の腹にクリーンヒッ──痛っ……!は?……え?痛……。
「……手が……手が……」
「お、おいどうしたんだ流川……」
俺は綾小路の目の前で倒れ込んで、震える手を綾小路に見せる。
「……お前の腹殴ったら手が痺れたんだけど………?クソ痛え……」
「……もしかして、綾小路君の筋肉が硬すぎて力も強度も弱い流川君の手が痺れたの?」
「……そうかもしれ──い、いやいや堀北お前何言ってんだ?俺の手は別に力も強度も弱くねえから!むしろ強いまであるからな?」
俺は失礼なことをほざく堀北に咄嗟に反論する。……所で、何故か堀北が何を言っているのかわからないと言った感じで俺を見つめてきてるんだけどどうして──いや、俺は天才だからそれぐらいわかるに決まってるだろ。堀北がああなったのは俺が天才すぎて俺の言ってることが理解できなかった、と言ったところか。……確か、IQが20違うと会話が成立しない、とかいうしな。悪いな堀北、俺のIQが高いばっかりに……。
「……そもそも流川は何故綾小路を殴ったんだ?事によっては暴力沙汰として職員会議にもってかなければならないぞ?」
「や、やだな先生。俺は別に綾小路のこと殴ってませんよ。今のは俺と綾小路で決めた二人だけの挨拶ですよ挨拶」
「そうか……綾小路、本当か?」
「……本当です」
よくやった綾小路。それでこそ俺の友人だ。……でも俺のこと煽った挙句俺の大事なおててを破壊したから許さねえ。いつか絶対に報復してやる。
「そんなことより、綾小路君は私達の話を聞いていたってことよね?……盗み聞きとはいい趣味してるわ。……先生、私はここで失礼します……」
「まて堀北。最後まで聞いた方がいいぞ?Aクラスに上がるために必要なことだ」
「──手短にお願いします」
意志が弱い。おい堀北お前そんな簡単に自分の意志を変えていいのか?俺は出てってやるぜ……と思ったけど俺出て行く理由がないな。つーか俺まだ茶柱に直談判してないんだけど?
「……お前は面白い生徒だな、綾小路。入試のテスト、全教科50点。今回の小テストも50点。正解率が低いやつは解けているのに、正解率が高いやつは解けていなかったり、これで偶然とは到底思えない」
「偶然ですよ偶然」
は?全部50?キッモ……え?キモすぎ。これ絶対意図的だろ……まあ、所々頭良い感じ出してたし驚きは少ない。せいぜい驚きすぎて死んじまうくらいの驚きだ。
「綾小路君……あなたはどうしてこんな訳のわからないことを……?」
「いや、だから偶然だっての。隠れた才能とか、そんな設定はない」
「どうだかなあ、ひょっとしたらお前達より頭脳明晰かもしれないぞ堀北、流川」
するとびくん、と堀北の体が震える。きっとプライドが刺激されたのだろう。
「私と流川君と並べないでください。寒気がします」
違ったわ。俺が嫌われてるだけだったわ。ふざけんな殺すぞ。
「──先生、綾小路の方が俺より頭脳明晰?あり得ませんね。俺を誰だと思ってるんですか?天才ですよ。天才」
「……そうか?まぁ確かに今日分かった事だが、お前はSシステムや学校の仕組みについて理解していたようだし、そうなのかもしれんな」
「いえ、流川君はあのシステムについて理解していたわけではなく、謎の人物からメールで教えてもらったのでしょう?」
そういうことにしてるだけで一応説明したことは全部俺が考えた事なんだけど……ここで事実を言ったら堀北に殺される……怖すぎ。
「でも確か……あれには綾小路君から情報を得たってのが書いてあった……ということは綾小路君の知ってる人があの謎の人物……一体……」
「す、少し待て堀北。どう言うことだ?あれは流川が考えたことじゃなかったのか?」
「そうですね。先生が出て行った後に流川君がみんなに謎の人物からのメールを読み上げただけ、と言っていましたから」
堀北の言っていることが真実だとわかると茶柱の目の光が大幅に消える。どゆこと。
「……あー、堀北、あれは嘘で、全て流川が考えたことだぞ」
──へーそうなんだ。その流川ってやつすごいなってちょっと待てよおい!……綾小路どうした?お前なら俺がわざわざああした意図ぐらいわかってるだろ?というかわかってなかったらやってなかっただろ?ぶち殺されたいのか?
「流川が先生に説明を強いられてる時、オレにあのメールを差出人不明で出してくれって頼まれてな。時間は流川が指で隠してみんなに見せたから誰もそのメールを見て言ったっていうのを疑ってなかっただけだぞ」
綾小路はさらにこちらの事情をばらして行く。まるでさっきはよくも余計なことをみんなの前で言ったなと言わんばかりの勢いだ。おいやめろふざけんなよ綾小路。……俺はお前を絶対に許さない……地獄へ堕ちろこのクソ野郎が。
「そ、それは本当なの?流川君」
「……まぁ……いや、ああ、多分そうなんじゃね?」
「……ふざけないで。もう一度聞くわよ、綾小路君が言ったことは事実?」
「はい……」
厳しい目つきで俺の方を見てくる堀北。
……怖い。怖いよ。多分俺はもうすぐこの世界から消される。
「取り込んでいるところ悪いが私はもういく、会議の時間だ。ここは閉めるから3人とも出ろ」
心なしかさっきよりも気分が良さそうな茶柱がそう言って俺たちを指導室から出す。……ん?さっき大幅に消えた茶柱の目の光が戻ってる……いやむしろ増えてるまである……?
矛盾や誤字があれば指摘お願いします。一応きちんとチェックはしたんですけど……今回の話は特に誤字や矛盾が多そうです。
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