ようこそ自称天才がいる教室へ   作:贋作者

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何ででしょうか。いつの間にか書く予定がなかった筈の文が大幅に増えました。…‥こわい


ペルソナ

 ──勉強が始まってから少しの時間が経過した今、図書館には俺と綾小路、櫛田と堀北のみだけが残っていた。経緯としてはあまりにも馬鹿な須藤に対して堀北が辛辣にも正論を述べ、めでたく皆さんが堀北への不満を爆発させて消えていった、と言うところだ。尤も、俺が教えてあげていた沖谷に関しては俺にわかりやすい、ありがとう、とかめっちゃ言ってくれるマジ天使(だが男だ)だったんだけど、本人の意思に関係なく須藤たちに連行されてしまった。死ね赤髪クソ野郎が。

 

「堀北さん……こんなんじゃ誰も一緒に勉強してくれないよ……」

「確かに私が間違っていたわね。もし今回彼らが赤点を回避できたとしても、彼らはまたすぐに同じような窮地に追い込まれる。そうなれば何度も何度も同じのことの繰り返し……だったら、足手纏いは今のうちに脱落してもらった方がいいわ」

「そ、そんなのって……」

 

 ……目の前で櫛田と堀北が言い合いをしてる。……もうあいつらどっか行ったし帰らせて欲しいんだけど。……はぁ、俺は事情を聞かされずに協力してたけど、どうせ堀北はあいつらの点数が上がればAクラスへ近づけるとでも思ってたんじゃないのか?──いや、俺は天才だからわかる、思ってたに決まってる。……んで、今の堀北はもうあいつらはダメだ、と見限った、ってわけだろ?……いや、これ……

 

「……堀北間違ってなくね?」

 

 そうだよ、何でこいつら言い合いしてんの?どう考えても堀北があってるじゃんか。目的のために必要とあらば雑魚は切り捨てる、これは紛れもなく正解だろうが……………ていうか、そんなことより早く終わらせて帰らせてくれ……俺が堀北についたから2vs1、はい終了俺の勝ち、だから帰らせろ。

 

「る、流川君までそんなこと言うの……ね、ねえ綾小路君は違うよね?こんなに早くみんなと別れるなんて嫌だよね?」

「まぁ、堀北がそう決めたんならそれでいいんじゃないか?」

「あ、綾小路君まで………………私は──何とかする。して見せる。須藤君達を見捨てたくない」

 

 櫛田はそう宣言し、鞄を持って立ち上がる。

 

「櫛田さん、あなた本気でそう思っているの?……私にはあなたが彼らを助けようとしているようには思えないわ」

「何それ、意味わかんないよ。堀北さんはどうしてそうやって敵を作るような事、平気で言えちゃうの?…………じゃあね3人とも、また明日」

 

 櫛田は表情に影を落とし、短い言葉だけを残して立ち去っていく。……気の毒だとは思わなくもないかもしれないけど、そんなことより俺が早く帰れることの方が大事だぜ……!

 

「堀北、帰っていいよな?もう協力することなんてないだろ?ないんだろそうなんだよな知ってたばいばい」

「──いやちょっ」

 

 後ろで素っ頓狂な声を出している奴がいるけど誰だろ。めちゃくちゃ間抜けな声だな。ははははは!

 

 

 

 

 

 ──迷った……………………いや、そんな気がするだけですけどね!?いや、だって俺が迷うわけないだろ?ほら、俺って天才だし?ここがどこだかまるでわかんないなんてことありえないから。別に、俺は天才だからと初めて行った図書館からでも地図見ないで寮に帰れると調子乗って迷ってなんかないからな……!

 

 ……おっ、綾小路発見。話しかけよう。特に理由はないけど話しかけよう。特に理由はないけどここがどこか聞いて、特に理由はないけどここから寮までの道を教えてもらおう。そうだよそうしよう。特に理由はないけど。

 

「おーい、あやのこ──は?おい待て」

 

 何だあいつ。いやほんと何だあいつ。俺が特に理由はないけど道を聞こうと思ってたら突然走り出しやがった……!くそ、まさか俺から逃げてるとでも言うのか……一体どこに俺から逃げる理由が──あー、なるほどな、前の報復として綾小路殺害計画を俺が立てていることをしっちまったからか……!間違いない、流石俺だぜ、人の考えを読み取るなんて。……まぁ一つだけ腑に落ちない点がある……それは、俺に計画を立てた覚えがないことだ!くそっ、覚えがないなんて悔しいぜ。

 

 ……俺は天才的な推理をしながら突如学校へ向かって走り出した綾小路を全力で追う。……く、くそなんでだ……全然全く追いつけない……というかむしろ距離が離れてるまであるぞ……しかも綾小路すげえ適当なフォームで走ってやがる……な、なんでだ、俺が負けるなんてありえない……てことはつまり、これは夢か……!……全く困ったやつだな俺も。いつのまにか寝ちまうなんて……とはいえ一体いつからが夢なんだ?……まぁ、どうでもいいか。

 

 ……綾小路は学校に入ってからは普通に歩き出した、なにやら上に向かっているようで俺は今それを追いかけている……何故か息を切らしながら。

 

「はぁ、はぁ……くっ、何故か息がっ、続っ、かない……」

 

 くそ……なんで息が切れてるんだ…………………いや、あぁ、そういうことか……!現実世界の俺は天才だから息が切れるなんてことはありえない……つまり、これは夢だからこそ息が切れているという俺の天才的な脳みそからの俺への配慮なのだ。流石俺の脳、俺よりは劣るけど天才だぜ。

 

「……流川?」

 

 俺が疲労で前を見れずに階段を登っていると、突如上から声が聞こえてきた。……この声は、綾小路か……………そうだ、どうせ夢の中なんだし殺そうか。綾小路のせいで堀北に協力しなきゃいけないってなったんだし。くそ、思い出すだけで止めどなき殺意が沸いてくるぜ。

 

 綾小路俺はお前を、殺して破壊して屠って消してぶち殺して片付けて殺害して蹂躙して生命を奪い取って処刑して破滅させて血祭りにしてやる……!俺は俺に誓ったんだ。必ず綾小路を殺すと……!

 

「おらぁ、覚悟し──……んーんーんーー」

 

 あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!「俺が綾小路を殺そうとしたらその瞬間綾小路が瞬間移動して俺の口を塞いでいた」な…何を言っているのかわからねーと思うが俺も何をされたのかわからなかった──わけないだろ!いい加減にしろ!俺は天才だから全部わかってるからな!今のはあれだよあれ、頭がどうにかなりそうで催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃなくて、もっとも恐ろしいものの片鱗ってことだろ?さすが俺天才だぜ。

 

「あー最悪、ほんっと最悪最悪最悪。自分が可愛いと思ってお高くとまりやがって、どうせアバズレに決まってんのよ。堀北、死ねばいいのに」

 

 俺が天才的な頭脳を発揮し、最後の切り札として名探偵Rになろうと考えていたとき、突如階段の一番上、屋上の扉の前から声が聞こえてきた。……これは、櫛田……?えぇ……あいつこんなこと言うキャラだっけ……?あっ、いや夢だからか……ははは、別に夢だってこと忘れてないからな。ははははは。

 

 ……つーか、堀北ボロクソ言われてんな、ふっ、いい気味だぜ。俺のことをこき使いやがった罰だ……!

 

「それにあの流川とか言う奴──」

 

 おー俺か。まぁ当たり前だけど、俺みたいな天才、もちろんめっちゃくちゃ褒めるんだろうな。あ、まさか俺に惚れたとか?ごめーん俺お前みたいな女無理だからーふはは!

 

「──お礼してやろうと思ったら断った上に説教垂れやがって、こっちはあんたみたいな気狂いに教えてもらうことなんてねーから」

 

 ……は?え?あれ?

 

「それに自分のこと天才とか意味わかんないこと言ってるキモいナルシだし、あんな気狂いがテストの点100点とかほんと意味わかんない。どうせ不正でもしたんでしょ」

 

 ……は?いや、は?

 

「それに謝る時にわざわざあんなこと言ってあげたってのに無反応…………なるほど、流川はホモ、と──」

 

 は?おい……いや、え?……これ、夢じゃなくね?だって何で俺が自分で自分を口撃しなきゃならねえんだよ。……なら息が切れてたのは何でか、だと?……はぁ?俺の息が切れるわけないだろいい加減にしろ!

 

 ……しかも、くそ、何言ってんだよゴミカス櫛田……てめえのおかげで綾小路が俺から一歩、いや2歩、いや3歩、いや10歩下がったんだけど?……ガチでさぁ、どう言う思考回路してんの?お前俺みたいなイケメンによくもそこまで言えるな、嫉妬か?はっ、哀れだな、所詮お前は下賤のもの、心の広い俺様とは立ってる場所が違うんだよ。……で、

 

「……どうやって死にたい?」

「お、おい流川……」

 

 綾小路が俺から10歩下がったおかげで今、俺の口は誰にも覆われていない。俺は自由だ。

 

「ここで……何してるの……」

「ちょっと、道に迷っててさ、悪い悪い直ぐ立ち去──」

「──俺たちずっと聞いてたけど?で、どうやって死にたい?」

「……流川お前……嘘だろ……」

 

 黙れ櫛田が言った適当を信じて俺をホモだと勘違いしているマヌケが。……前に俺が勝手に誰かをホモと認定した気がするけどきっとそれは気のせいだろう。俺はそんな偏見でものを決めるなんて最低なことはしない!……

 

「──ところで綾小路、櫛田ってヤンデレでメンヘラっぽくね?いや、絶対そうだろ。だってそんな感じするし」

 

 ……そんな最低なことはしない!

 

「お、おい一回喋るのを──えっ」

 

 綾小路が何かを言いかけた時……いや何かじゃないな俺きっとへの賞賛だろうふははは。そんなに褒めても何も出ないぞー?……じゃない話がそれた。

 

 綾小路が何かを言いかけた時……いつの間にか階段を降りてきて直ぐ近くに来ていた櫛田が綾小路の手を掴み、綾小路の手をパーの手に広げて自分の胸に持っていった。

 

「もし今のことを喋ったらあんたにレイプされたって言うから。……あんたの指紋はもうここについた。証拠もばっちり」

「わ、わかったから離せ」

「この制服はこのまま洗わないで部屋に保管しとくから。もし裏切ったりしたら警察に突き出す」

 

 櫛田は綾小路をこれでもかと言うほど睨みつけ、手を離す。綾小路、やっぱお前は死んだほうがいいよ。何女の胸触ってんだよ羨ましい……のか?

 

「馬鹿だな、櫛田。そんなことしても無駄だ、俺がこのボイスレコーダーで今のを録お──ぶっ」

 

 俺がボイスレコーダーを櫛田に見えるように出して煽った瞬間、櫛田が瞬間移動して俺をぶん殴った。意味がわからん……何で瞬間移動できるやつがこんなに……?……くそ、この世界には七つの玉の物語に出てきそうなやつしかいないのか……?

 

「……はい、消した」

 

 俺が殴られたところを押さえてる間に、櫛田は俺のボイスレコーダーを奪い、俺が録音したものを消去してしまう。……このクソアマが。だけど……まだ負けてない。そう、ここで……

 

「……俺の秘められた才能が開花し、ただでさえ天才で完璧な俺様は完璧のさらに上の存在へと昇華する。……てめえの顔面を殴ってやる、くらいやがれ……!」

 

 進化した俺の最強のパンチが櫛田へと迫る……!……よしっ、これは当たっ……た?ん?あれ?なんか柔らかいんですけど?いや、当たり前か女子だし……って顔面がこんなに柔らかいわけないですよね。はは。

 

「く、くそっ、何て狡猾な罠なんだ……!俺は間違いなく顔面に当てたはずなのにいつのまにか……」

「は?罠……?」

 

 俺のパンチは何故か櫛田の胸部に吸い込まれていた。この現象はまるで、運動音痴のやつが狙った場所にボールを飛ばせないみたいみたいな現象だ……けど、俺は運動音痴じゃないから櫛田が何か仕掛けてたのだろう。

 

「……なんて恐ろしい女なんだ櫛田…‥まさか俺を罠にかけるなんて……けどまだ終わってない!俺のパンチはぐー!ぱーじゃなかったから指紋はつかな──」

 

 ──はい終了。人生終了。警察連れてかれまーす。……くそ、俺が話しているうちにいつの間にか俺の手はパーにされていた、櫛田が俺の指を動かしていたのだ……最悪だ、罠にかけられた衝撃で気づかなかった……。

 

「馬鹿なの?……わざわざ私にそれを教えたらどうなるかぐらい考えられる筈でしょ?……………これで2人の証拠は手に入れたから、もしバラしたらどうなるかわかるよね──」

「──すみませんでした許してください……実は、綾小路が俺にこうしろって命令したんですよ……だからどうか……」

「え、おいちょっと待て、オレがなんだって?」

 

 俺は流れるように完璧な土下座を披露した。流石俺、土下座も完璧、って言ってる場合じゃねえんだよな。やばいやばい、とりあえず綾小路のせいにしといたけど証拠は残るしなぁ……そうだ、綾小路が俺の指紋の上から触りまくれば俺の指紋消えるんじゃね?…‥流石俺天才。

 

「綾小路、行け。俺たち、友達だろ?」

「……急に何の話だ?ていうか、そもそもオレの知ってる友達は人を売るようなことはしないからな?」

 

 くそ、俺の頭が良さすぎて話が通じない……。

 

「綾小路……いや、綾小路君、流川君の言ってることは本当のこと?」

「……いや、違うぞ。話をするうちに分かったんだが、流川の言うことは基本的に信じないほうがいい」

「……それは私でもわかる。流川君は気狂いだし……でも、綾小路君が嘘ついてる可能性もある」

「まぁ、それはそうだが……」

 

 は、俺の気が狂ってるだと?逆だ逆。俺じゃなくてめえらの気が狂ってんの。…‥ていうかやばいな、これだといずれ綾小路が嘘ついてないってバレるかもしれない…………そうだ、話を逸らそう……!

 

「なぁ、櫛田…‥そもそも何でお前はその裏の顔みたいなもん隠したいんだ?それが本性なら別にそっちの自分で生きていけばいいだろうが」

「はぁ?自分の存在意義を実感することができるからに決まってるでしょ。こっちは誰からも好かれるようになりたいから努力してんの。頭のおかしい奴は口出ししてこないでくれる?」

 

 言い過ぎだろ…‥流石の俺もお前を殺したくなっちゃうじゃねえか。

 

「……ああはいそうですか。……まったく、俺からしたら櫛田がどっちの性格だろうがどうでもいいってのに…‥何でこんな目に」

 

 くそ、これもあれも全部綾小路のせいだ。俺は奴が道を教えずにこっちに来たからここまで来ちゃったわけだし、俺は奴のせいでこれを夢だと思い込まされたし…‥あれ?なんか全部俺の勘違いな気がし──ないな全部あいつが悪い。

 

 ……マジでこっちは櫛田の裏の顔とかバラす気ないから向こうが俺を犯罪者に仕立て上げることのできるものさえ持ってなければさっさと帰れるってのに…………おっ、いいこと思いついた。全く天才すぎて自分で自分が怖いぜ。

 

「櫛田、誓ってくれ。櫛田の秘密を俺がばらさない限り、櫛田は俺を絶対に訴えないと誓え」

「だから、初めからそういう話だったでしょ?何聞いてたわけ?」

「いや、俺お前のこと信用できないから。もしかしたら裏の顔なんてばらされても大丈夫で演技してるだけかもしれないし。…‥大体、現在進行形でほとんどの人を騙してる奴だぞ?信用するわけがない……だから……」

 

 俺は言葉を途中で切り、すぐそこにいる櫛田の手を取り俺のズボンに当てる。

 

「もし警察に訴えるような怪しい動きをしたらお前に逆レイプされたって言うから。……お前の指紋はもうここについた。証拠もばっちりだ。…………じゃあ俺は帰るわ」

 

 俺は何故か余裕の表情を浮かべている櫛田の手を離し、階段を降りる。…‥なんで余裕の表情だったんだ?──いや、俺は天才だからわかる。どうせ男が女をわいせつ罪とかで訴えても意味がないとでも思ってるんだろう。バカが、世界が思ってるより法律様は男女平等なんだよ。

 

 ……綾小路、お前は俺に命令した可能性をまだ櫛田に疑われてるし、櫛田に確実にダメージを与えることができる脅しをすることができてない…………ふっ、友人としてこの俺様が応援してやろう。……………頑張れ綾小路!負けるな綾小路!

 




矛盾や誤字があれば指摘お願いします。
それと、是非感想もいただけると嬉しいです!感想頂けると作者のモチベーションがめっちゃクソ上がります

評価も是非→ https://syosetu.org/?mode=rating_input&nid=255731

…‥ちなみに作中でよく快斗が相手が瞬間移動した、と表現してますが、これはただ単に快斗の動体視力がカスすぎて瞬間移動しているように見えてるだけです。
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