---キース・クラエス---
姉さんがお城に行ったまま、帰って来ない。お父様とお母様がお城に問い合わせをするが、返答はなく、調査中だという。
そうこうしていると、姉さんと親しい者達も行方不明になっていった。メアリ・ハント、マリア・キャンベル、ニコルとソフィアのアスカルト兄妹…
この国で何が起こっているのだろうか?
姉さんの専属メイドであるアンには、彼女の父親であるシェリー男爵が連日、婚約話しを持って来ている。
『もう仕える主はいないのだから、早く嫁に行け!』と…
何故この人は、姉さんがもういないと言い切れるんだ?
---ケン---
アルメリア公爵邸に住むみんなに、ウェンディとシロを紹介していく。
「で、どちらが奥様ですか?」
カタリナとアイリスについて、ウェンディに訊かれた。
「結婚はしていないよ。二人共公爵令嬢で、俺は平民だからね。貴族社会のルールで身分差がある結婚は無理でしょう」
どこの国も貴族ルールは同じだという。公爵令嬢の相手は伯爵家以上でないと、問題があるらしい。まして、俺は異世界から召喚された平民だし。でも、身分があれば、静と萌を探し易くなるのだろうか?
「お仕事は?」
「アルメリア公爵領にいる時は、アイリス、カタリナの手伝い。それ以外はギルド本部や支部からの仕事のだな」
「ウェンディはメイドとか秘書の仕事は出来る?」
「はい、お任せください。側仕えとしてお仕えします」
スケジュール管理をしてもらおうかな。
「基本、アイリスの忙しい時はなるべく領内にいる。アイリスが通常業務の時は国外でギルドの代行仕事を受ける」
「わかりました」
◇
隼人経由で連絡を貰い、シロを伴い、アインズヘイルの錬金術ギルドへと向かった。
「レインリヒ、何か用か?」
「ここの冒険者ギルドと折り合いが付かなくてな」
まだ揉めていたのかよ…俺の中では既に終わった話である。
「本業の方が忙しいから、今回は長居は出来ないよ」
本業とはアイリスの手伝いである。疲労回復の手助けと言うか…最近は最大MPが上がったのか、マインドロストしにくくはなっているけど。
「揉めている内容は?」
「あのギルドなりにけじめを付けたいって言うのだよ」
ケジメねぇ。イジメみたいなものか?
「だって、物的にも金銭的にも弁償出来ないでしょ?」
冒険者ギルド本部で聞いた話では、どこぞの国の薬用植物研究所であれば、最上級ポーションが作れる薬剤師がいるそうだが、あの本数は無理っぽい。
「人的にどうにかならないかと言うのだよ」
人的かぁ…あぁ、アイリスが欲しがっていた人材なら…
「成人した女性の護衛を数名欲しいかな。騎士で無くても、腕が確かなら問題は無い」
「その方向で話をしておく」
レインリヒに交渉を任せ、冒険者ギルド本部経由で、アイリスの元に戻った。
翌週、また呼び出され、レインリヒの元へ向かうと、どこかで見た赤毛の女と狼人族の女がいた。
「取り敢えず、彼女達を寄越してきた」
「赤い戦線のアイナだ。こっちはソルテ」
「で?」
「賠償金代わりに私達を奴隷にして使ってくれ」
「俺の住んでいる国は奴隷禁止なんだが…」
「それはギルド本部から聞いたけど…他に賠償方法が思い浮かばないのだ」
ローンで払うって風習が無いのだろうか?ドラゴンを1000匹くらい狩れば返せるのでは?
「私達の身体を自由にしてくれていい。どうだろうか?」
「じゃ見えない奴隷紋で縛るか」
ウェンディとシロに掛かっている奴隷紋を解析した結果、隷属術を使えるようになった。紋を刻むと時に使うインキの成分なども解析して錬成済みであるので、俺の隷属術で、彼女達のデルタ地帯に見えない奴隷紋を付与した。
「終わった。これで、お前達二人も俺の奴隷だ」
「も、って?」
アイナに訊かれた。
「後ろにいるシロも、俺の奴隷だよ」
三人と共にアイリスの元に戻り、アイナとソルテにアイリスとカタリナの護衛を命じた。