---ツバサ----
翌朝、騒がしいのでゾロゾロと騒がしい場所に向かうと、巨大な神輿の上に乗る椅子にふんぞり返っている世紀末クィーンが黒いローブを羽織った者達と対峙していた。
「あれって、『GAME』の参加者か?」
世紀末の世界が舞台だった『GAME』。大野君が仕事とは別に、プライアベートで運用していたゲームである。
「いや、あんなヤツは見たこと無いなぁ」
「あれはキラー・クイーンお姉様です」
と、ルナ。世紀末聖女だったようだ。そうなると、黒いローブ集団が敵か?
「相手はサタニストと呼ばれる悪魔信奉者の集団です。お姉様!」
説明をしてルナは世紀末聖女の元で走り去って行った。
「聖女ねぇ~聖属性でないのに…基準が分からないなぁ」
たぶんだが、国名の聖光国から判断するに、聖なる光の魔法使いなのだろう。それって、銀環の魔女でも聖女になれちゃうじゃん。おいおい…
「聖女に災いあれ――」
「「災いあれ」」
サタニスト達が聖女二人に言葉を浴びせている。デモ隊みたいな物かって、思っていると、路地裏からも声が上がり、
「偽りの天使に死を――!《火鳥/ファイアバード》」
「聖女に嘆きあれ――!《氷槌/アイスハンマー》」
ヤジ馬達に魔法が撃ち込まれ始めた。狙いは聖女だけでないのか血の匂いが街中に漂い始めた。それに伴い、街の至るとこで、血の雨が降り始めている。
「伯斗は、アクを護れって。お前は魔法に無防備か。ユナ、二人を護れ」
「了解です」
俺はマイルとプライドを呼び出し、サタニストの殲滅に打って出た。
聖女達の方は行くと、何故か膝を付いて苦しんでいた。聖女達の前には黒いスライムのような、闇の何かの様な物が音を立てずに近づいて居た。察するに光の戦士のオーラを吸い込んでいるのだろうか?聖女から光のオーラが剥がされているし。
俺は俺の戦闘フィールドである『聖域』を展開し、サタニスト達と俺を閉じ込めた。俺の戦闘フィールド内では、悪意を持つ者たちは燃えて灰になっていく。例えそれがよく分からない物でっても、悪意持ちの付属品であれば灰になるのだよ。
黒いスライムのようなものは灰になり、サタニスト達も灰となり消えていった。『聖域』を閉じ、聖女達は放っておけば大丈夫だろう。伯斗達とマイル、プライドを合流して、街から逃げ出した。あんな世紀末聖女には絡まれたく無いし。
街を出て、馬車を亜空間収納から取り出し、それに乗りこんだ。
「この馬は機械仕掛けか?」
「そうだよ。亜空間収納には生物が入らないから」
伯斗に訊かれて、答える。ふと臭いが気になり車内を見回すと何故か盛大に漏らした失神中のルナが同乗していた。空かさず、浄化して臭いの元を除去。
「誰だよ、これを持ち込んだのは?」
「道案内は必要だと思います」
と、クマさんが答えた。
「確かに道案内は必要だな」
この大陸は殺気に満ちているのか?街中に血の雨が降るとは…
◇
意識を取り戻したルナに、伯斗がブレザー一式を手渡した。盛大に漏らしたものな。着替えは必要である。ユナがルナを別室に連れて行き、着替えさした。汚れていない服を着て、落ち着いてきたルナに俺は、あの黒い物のことを訊いた。
「あれは奈落と呼ばれる天使様の加護を奪うバケモノよ」
天使の加護?最初から無いだろうに。何を言っているんだ?あれか、信じる者は救われるとか。
「奈落はどうなったの?」
「神の怒りに触れて灰になったぞ」
「灰に?流石は魔王ねぇ」
「待て待て、魔王は伯斗だぞ」
「ツバサ、ダウトだ」
「魔王様がダウトですよ。先生が魔王の器に収まると思いますか?」
マイルが妙な説得をしている。俺は魔王以上の存在か?
◇
周囲に何も無い砂漠の平原でモンスタートレインをしている冒険者を見つけた。
「ユナ、マイル。伯斗に経験値をプレゼントしてあげて」
二人はモンスターの前に立ち、楽しそうに蹂躙していた。
「なぁ、あの二人って、戦闘狂か?」
伯斗に訊かれた。
「あれは大人しい方だよ」
と、答える俺。明らかにオーバーキルするのはケーナだし、楽しそうに子供達に電撃を喰らわすのもケーナだし。そう言えば、この前、凍結魔法を孫に打ち込んでいたなぁ。あの魔女に比べれば、あの二人はオーバーキルしないように心がけているし。
「あれでか?」
「あぁ」
5分もしない内に、約1000頭の狼を討ち取った二人、取得した経験値はすべて伯斗の元へ…