---ツバサ---
この大陸の街に行って、生活水準をみておかないと。魔法王国って、魔法が発達しているのかな?敵対した場合の保険である。相手の戦力を知らないと、オバーキル気味になりがちである。ユーナの使いどころの問題になる。
道に出る前に、生活魔法で、俺とゼロスの身体と衣服を清掃しておく。洗浄、浄化して、風呂に長くはいっていない汚れと体臭をリセットした。
「この魔法、ほしいです」
「家に来たら、くれるヤツを紹介してあげるよ」
スキルマスターである銀環の魔女に頼めば、きっとくれるはずである。
道を進んでいくと高そうな馬車が盗賊に襲われていた。
「どうします?」
「盗賊は小遣い稼ぎにいいぞ」
「ボーナスキャラなんですね」
ゼロスが魔法と剣盗賊を殲滅していく。俺も負けずに灰にしていく。俺に触れると、相手が勝手に灰になっていくのだった。
「ツバサさん、魔王並ですね」
「闇属性持っていないけどね」
時間にして5分くらいだろうか、盗賊達はいなくなっていた。ゼロスの作り上げた死体も全て灰にしてしまった。盗賊達のお金、金目の物は全て強奪し、亜空間収納にしまった。ついでに負傷者達をヒールで治して上げたのだが、護衛の者達は俺達を見て青ざめているんだが、どうしてだ?
「此度はそなたらには助けられた。ぜひ礼を言いたいのじゃが」
背後から声をかけられ、振り返ると高齢の貴族らしい人物がいた。
「いや、進行方向に盗賊がいたから、つい…」
つい小遣い稼ぎに走ったとは言え無い。
「じゃが、おかげで孫娘を危険に曝さずに済んだわ。礼を申しても問題はあるまいて」
「ならば、近隣の街に連れて行ってもらえませんか?」
道案内をゲットか?
「この先に、我が領の街があるが…」
領主か、この老人は。
「そなたら、名はなんと申す?」
何か探るように俺達を見ている老人に訊かれた。俺達は見た目が怪しいのだろう。ゼロスは灰色のボロボロなローブ姿だし、俺は世界樹の繊維で編んだジャケットにミスリルのナックル装備だしなぁ
「僕ですか?ゼロス・マーリンと言います」
「俺はツバサ。平民の冒険者だよ」
名前に家名があれば大抵、貴族である。そもそも、普段から家名をなのっていないし。って、俺の家名ってなんだ?
「儂は、クレストン・ヴァン・ソリステア元公爵じゃ」
隠居老人のようだ。公爵家かぁそうなると、この先の街は公爵領になるなぁ。エチゴヤの支店でも建てるかな。この大陸の拠点が欲しいなぁ。
「ふむ、聞かぬ名じゃな。何故この国に来たのじゃ? そなたらほどの腕があれば他の国からも引く手数多じゃろうに」
何故って、この星の悪意に召喚されましたとは言え無いなぁ。
「スローライフが出来る地を探していまして」
俺が目で合図すると、ゼロスが頷いた。
「そうじゃ……そなたらには何か褒美を与えんといかんな」
「街まで連れて行ってくれれば、良いです」
迂闊に貴族に取り込まれるの争いの元である。
「欲がないのか、達観しておるのか?」
「いえいえ、まだまだ修練中ですよ」
「これは儂ら貴族の責務と面子の問題じゃ。何しろ恩人に何もせずに帰したとあれば、儂はどんな誹りを受けるやも知れんて」
あぁ~面倒なヤツだ。
「貴族とはそういうものですか?では、小さくて構いませんので、住処をください。冒険の拠点にします」
「では、静かな土地を下さい。街から少し離れていて畑があれば言う事は無しです」
ゼロスも要望を口にした。
「ふむ……心当たりを探してみよう」
これは二人で一軒パターンだろうか。まぁ、ゼロスの住処に転移ゲートを設置すれば問題ないし。
「お主らも乗って行かぬか? 街まで行くには、まだしばらくは時間が掛かるぞ?」
「えっ? どれくらいですか?」
「大体、三日じゃな」
馬車に三日はつらいなぁ。ゼロスを馬車に乗せ、俺はこの辺りを探索してから、追い掛けることにした。一般人と馬車旅では、家に転移できないし。
ゼロスに念話の方法を教え、俺は、一人盗賊の拠点を強襲してから、家に帰った。