----ゼロス・マーリン---
ツバサさんの仲間達、あなどれない。見た目で判断するとヤバい。聖女がいるからと、殺す気満々だし。回りの木々は俺の渾身の一撃でも傷がはいらないときている。
「この木はなんですか?」
「すべて世界樹ですよ」
世界樹の原木って、こんな頑丈なのか。
その場に集まった一堂と一戦ずつ交えた後、銀環の魔女から生活魔法一式を貰った。もう二度と、この人達とは戦いたくないぞ。特に魔女とマイルという少女、そしてクマさん。僕の魔法に怯まずに、飛び込むって、バカなのか?それとも僕がビビリーなのか。
「さて、夕食まで発掘を手伝ってもらうわよ」
って、魔女に発掘現場に連れ込まれた。
---エレローラ・フォシュローゼ---
知り合いの冒険者ギルドマスターのサーニャを共に、教皇領を目指し、旅をしていた。遠い、遠すぎる。私達は行く先々の国の冒険者ギルド本部で情報を仕入れた。目指す教皇領はアルメリア公国の領地内にあるそうだ。アルメリア公国すらも遠い。船での移動になるようだ。
思い立って旅立ってから半年くらい過ぎた頃、漸くアルメリア公国に辿り着いた。
「あれ?エレローラじゃん」
目指していた相手に声を掛けられた。
「なんで、ここに居るの?」
「この国の王配だから。って、遠路はるばる、何をしに来たんだ?」
「あなたに会いによ」
「へ?なんで?会う用事って、ないだろ?」
「私を欲しい理由を訊きによ!」
「出産経験者だから。仲間に経験者が少ないからだよ」
はぁ?そんな理由で…
「もっと言うと貴族の出産経験者だから。俺の仲間には平民の経験者がいるが、貴族のはいないからねぇ~」
唖然としてしまった私。そんな為に私を欲しがるなんて想像の範囲には無かった。
「勤務場所は教皇領にある産婦人科病棟だけど、転職しない?」
◇
その日はアルメリア公国の迎賓館に泊まることになったのだが…ここは天国かぁ?このトイレ欲しい。室内で素足が気持ち良い。草の床で寝っ転がるのがなんともいえないくらい眠気が誘われるし。人間を堕落させる館かぁ?
食事に出た料理は見た事の無い物ばかりであった。帰国したくないほど私達を虜にするくらいの衝撃だった。食材なんかは食べたことの無い物も多い。ワイバーンのテールスープ、マグロの兜焼き、刺身?魚の身を生で食べるなんて…TKGなんて、卵を生で食べるって…なんて贅沢な食べ方なんだろう。ここの家の子になりたいくらいだ。
「じゃ、ゆっくりして行ってよ」
って、宴の途中で、アイツと大公女が帰り支度をしている。ここに住んでいないのか?
「どこに行くの?」
「俺達は通いだから、家に帰るのさぁ」
って…通いをする国王夫妻ってなんだ?
「俺達の家はトキオ共和国にあるから、アイリスは毎日、ここに通っているんだよ」
毎日、他国から通いで政務をしに来ているのか?
「ここより住みやすいの?」
「う~ん、どうだろうか。一般の人にはすみづらいかな。俺達には住みやすいけどな」
◇
翌日の夜、彼らと共に、彼らの家へ。転移術で一瞬で着いた為、ここがどこにあるか分からないが、どこの深い森の中に館があった。
「ここは?」
「トキオ共和国の王都だよ。俺達の家しかないけど」
ど~んと建った館以外に建物は無い。これは住みにくいだろう。完全に森の中で、道が無いようだ。
「隣国へ行くには、どうしているの?」
「転移でしか移動出来ないよ。隣国は龍王国だから、交易はしいていないし」
ドラゴンの聖地が隣国って…確か、その隣は魔王の治める魔王国だった気がするが…
「魔王国とは交易はあるの?」
「そことは貿易しているよ」
って事は、ここは禁足地なんだわ。人間が足を踏み入れてはいけない場所。人間が足を踏み入れには海を渡り、魔王が支配している国を超え、ドラゴンが生息する山脈を踏破し…確か古代の文明の中心地を呼ばれていたような。古代の神々が封印されている地…ここが…
足腰から力が抜け、地面に尻餅を着いた…