---ツバサ---
エレローラが突然腰を抜かし、失禁していた。お共のエルフは青白い顔で震えているし。どうしたんだ?長旅の疲れか?
館に戻るとティーナが実地鍛錬から戻っていた。合宿3日目の昨日は冒険者ギルドのクエストで、魔王国にあるゴブリンの村にクマさん達と強襲してもらい、今日は龍王国にあるノラのワイバーンの生息域に狩りに行ってもらった、
「どう狩れた?」
「はい。エアカッターで翼を切り刻みました」
そこには魔法がつかえなかった少女の面影は無い。自信マシマシに楽しそうに笑う少女がいた。
「じゃ、明日と明後日はアルメリア公国のダンジョンでダンジョン研修にしようか。現地で冒険者を雇ってもいいし、マイルとクマさんに連れて行ってもいいよ」
「はい。ユナさん、マイルさん、お願いしますね」
ダンジョンだとケーナは連れて行けない。崩落の危険が孕むし。ゼロスも同様である。この二人は手加減ってものを知らないようだ。特大魔法を連発出来る廃ゲーマーは怖い怖い。初心者のお供向きではない。
「最終日はタコ焼きパーティーにしたいから、ケーナとゼロス君は海でタコをお願いね。あぁ、間違っても海竜はいらないから。あれ、小骨が多いし」
◇
翌日、アルメリア公国に戻り、教皇領の医療センターにエレローラ達を入院させた。ここまでの旅の疲れがでたのだろう。教皇領は世界各国と取引があるので、ここに入院させれば、取りっぱぐれは無いと思われる。
そう言えば、後輩氏の捜索がうまく行っていないそうだ。ふと思った。強奪で引き寄せれば、いいんじゃ無いかと。森の館に戻り、後輩氏を強奪で引き寄せてみた。
その結果、知らない全裸の女体が現れた。鑑定をすると、彼女の状態が仮死状態と出た。この人は誰だ?セイを呼び出し、サトゥーも呼び出した。
「この人は誰?」
「どことなくヒカリちゃんに似ているけど、見た目がアラフォーよね。取り敢えず、仮死状態を解除し、本人に訊いてみましょうよ」
セイが仮死状態を解除すると、女体に血液が循環し始め、青白く冷たかった女体に温かみが生じた。暫くすると、目がさめたのか、状態を起こし、周囲を見回していた。
「あっ、イチロー兄だぁ」
と叫び、サトゥーに走り寄り抱きついた。サトゥーは突然なことに呆然とし立ち尽くしている。
「なぁ、お前は誰だ」
俺が代表して訊いた。
「え?私は高杯光子で、イチロー兄の幼なじみですよ」
「俺達の知っている後輩氏は二十代前半なんだが、いつ、アラフォーになったんだ?」
因みに、後輩氏はサトゥーに「ほの字」なのだが、オッパイ星人のサトゥーはちっぱいな後輩氏に惚れることなく…人の性癖には口に出さないが…実らない恋だな、これは…
「あれ?神野先輩に小鳥遊先輩、どうしてここに?」
話をしてみると、後輩氏の失踪の原因はあの世界からの勇者召喚に巻き込まれたらしい。で、勇者とし活躍し、シガ王国を建国し、サトゥーのいない世界で一人年老いていく事に嫌気が差し、コールドスリープをしたそうだ。せめて、アラサーですればよかっったのにって、後の祭りであるが…建国したって?このアラフォーは一体いくつなんだ??女性に年齢は訊けないけど、疑問である。
「後、大野君も召喚されているぞ」
「えぇ~、あのロリ大魔王の大野先輩もですか?あの会社呪われているんじゃないですか」
会社のマシンのスクリーンセーバーにロリキャラは宣伝しているようなものだよ。まぁ、それの裏では、会社の仕事ではなく「GAME」のバグ取り画面であったが。あぁ、懐かしいなぁ。大野君はビール片手にバグ取りするから、残業しないし。仮眠部屋はサトゥーと後輩氏の部屋になっていたし。俺とセイはほぼ毎晩終電だったし。
確かに、ゲームシステムに関わった者5人も召喚被害にあっているしなぁ。そういう意味では呪われた会社だったのかもしれない。そんな全裸の後輩氏であったが、その裸体を誰もガン見して居らず、後輩氏は気づくのはだいぶ経ってからであった。ちっぱいであることを除けば、健康的な裸体だと思いますが、それを対象とする性癖持ちはここにはおらず…大野君はもっと低めがターゲットだし。
着る物を欲しがる後輩氏をセイが地下遺跡のデパートへ連れて行き、砂まみれの婦人服と下着をゲットして、着替えをしたそうだ。落ち着いて来た後輩氏に現状でわかっていることを伝えた。
「この世界ではミトと呼んでくださいね。シガ王国ではミト公爵を拝命しておりますから」
それはこうもん様から取ったのだろうな。って、ミト・ミツクニ公爵が正式名称らしい。
◇
サトゥーとミトをシガ王国に密偵兼行商人として送り届けた。二人を夫婦の設定にすると言ったら、ミトが喜んで、ノリノリだった。まぁ、結果がどうあれ、適材適所であろう。
昼過ぎ、ケーナとゼロス君が、大ダコを数匹既にミンチ状態で持って来た。タコ焼きパーティーの準備をするか。なんでミンチかって、たぶんヤリ過ぎたんだろう…ライバル意識過剰で…タコのミンチは海水に浸かっていたのか、既に下味がついた状態である。紅ショウガがほしいのだ、まだつくれていないのだった。食紅が見つからないのだ。ふと閃いた。そうだ、地下遺跡から強奪で、手元に…こんなことをしているから、開発が遅れるんだろうな。
翌日、爺とティーナとゼロス君を送り、支店の場所を爺として候補地を回った。ソリステア大公爵家の別邸の正門からなだらかな坂を下りること三十分、街の片隅に出た。角には広いがボロボロの教会があった。
「ここを立て直し、一階の手前を教会にして、奥を孤児院にする。で、裏口から出たあたりの土地を与えるぞ」
教会の裏口って、あの面した道は、教会と爺の家しか繋がっていないし。クレームを入れると、そこは住処用地であり、商会は教会と孤児院の上にするそうだ。、改築費は俺達ださせようとしている爺。まぁ、それでいいか。耐震強度を俺達でどうにでも出来るし。土建屋を入れずに、俺達で建てられるし。
その晩、こっそりと、教会の上に商会の入るビルを建てた。1階部分はトンネル状態で、ボロい教会は手を付けずに、2階から上だけを鉄筋コンクリートの強固なビルにした。鉄筋代わりに、世界樹の繊維を縒り合わせた物を使い、砂は大量にあるし。
翌日、爺達が驚いていた。教会の改築も俺達に擦り付けようとしたが、思惑は外されたのだった。ゼロスの住処も建てた。世界樹を遣った2X4(ツーバイフォー)工法でだ。予め世界樹の干ばつ材を2X4サイズの板に加工して保存してあるので、工期は一晩で可能なのだ。チート集団をなめるなよ。たぶんあの家は、ゼロス君の全力一発でも破壊出来ないだろう。
その結果、エチゴヤソリステア大公爵領支店の最初のお客様はソリステア大公爵家となった。教会と孤児院の建て替え案件は、世界樹建材での2X4工法の家屋になった。工期は3晩くらいで…儲けさせて貰いますよ。クレストンの爺よ。