---ゼロス・マーリン---
ツバサさんに建てて貰った家は快適であった。トイレ、風呂、畳の部屋など、欲しい物が付いていた。ただ、電気が無いが、
「ソーラー発電システムが自前でまだ作れないから、魔石を充電池代わりに使ってくれ」
と。魔法の使える世界である。それはそんなに不便なことではない。魔石は自分で取りに行ってもいいし、エチゴヤ支店に行けば、貰えるし。狩った獲物の買取もしてくれるし。快適な住環境である。畑で育てる米や麦なども貰って来たので、裏の畑に撒いている。コカトリスを玉子採取用にもらったので、畑に放牧している。このコカトリスは教育済みだそうで、僕達が食べられない雑草を食べてくれ、産んだ無精卵を、玉子置き場においてくれるのだ。有精卵は子孫繁栄のため、くれないそうだが。賢いなぁ。更に、番犬代わりにもなるらしく。怪しい輩は即撃退してくれるそうだ。
確か、あの館の番犬はケルベロスとフェンリルだったので、一般家庭向きではないが、コカトリスなら、石化で捕らえられるそうだ。今日もクレストンさんが、石化されていた。魔法で解放してあげないと。
---ツバサ---
ゼロス君経由で爺から連絡が来た。どんなクレームかな。ワクワクしながら、交渉事だろうからマイルと向かった。
「で、何用ですか?」
「孫の装備なんだが…」
世界樹の繊維で編んだ防刃ベストとジャケットロングスカートを進呈している。後、殴れる杖と護身用のナイフもだ。最近の世界樹製の武具は相手の血を吸うと切れ味がアップする。防具は魔法を受けると魔力を吸収し、ダメージが入と、防御力がアップする成長する装備であった。
「もっとカワイイ物に出来ないじゃろうか?」
「無理です。あの素材は強固過ぎて加工が大変なんですよ。それに特別価格でお売りしましたし」
対物理ダメージ、魔法ダメージはほぼ通らない。安全仕様である。かわいさは追求おらず、生存性を優先されていた。
「あの素地を売ってくれぬか?」
「加工出来るの俺だけですが…」
俺の錬成術以外では加工出来なかった。なおチート大王のマイルでもだ。
「ゼロス君の全力の一撃でも傷が入らない素材なんです。どうやって加工するつもりですか?」
サンプルの生地を爺に差し出した。
「これか?知り合いの仕立屋に出していいか?」
「いいですよ」
製法は企業秘密である。
◇
数日後、爺からクレームが入った。加工する為の刃物類が全損したらしい。
「だから、加工は無理だって言ったでしょ?」
「頼む、加工出来る道具を譲ってくれないか?」
「アレを加工出来る器具は無いです。俺のスキル以外で加工出来ないもん」
「はぁ~、どういうことだ?」
「だから、俺のスキル以外では加工は絶対に無理」
「独占なのか?商業ギルドに訴えてやるぞ」
「どうぞ、ご勝手に。商業ギルド本部で独占許可出ていますから」
アルメリア公国の本店と商業ギルド本部では、ある程度のオーバメイドは受注している。とても高価であるが。売らない訳ではない。無理な物は無理として拒否しても良いといわれているのだ。
「うぬぅぅぅぅ~」
悔しそうな爺。で、ティーナな森の館の暮らしになれてしまい、ゼロス君の家に下宿しているそうだ。あの人間を堕落させるトイレ以外で、用が足せないらしい。
「そうじゃ、トイレを我が家に作って欲しいのじゃ」
ティーナが歩いて15分の場所に家出された状況だしねぇ。畳はいいのかな?あの上でゴロゴロするのが好きらしいが…
「下水設備はありますか?」
「なんだ、それは?」
まさか、ボットン式なのか?垂れ流しなのか?それは問題外である。
「糞尿を処理する設備ですよ。一番安価なのは、スライムに喰わせるですね。そうなると、地下にスライムを育成する部屋が必要になり、大規模な工事を費用が必要になりますが…」
どこかの場所に転移させれば良いんだが、その方式では儲からないし。転移先が必要になるし。概算の見積書をマイルが取り出し、爺の前に置いた。
「こんなにするのか?」
森の館とアルメリア公国の館では、下水処理場をつくってあるし。ゼロス君や支店では、汚水タンクに転移させている。発酵させてメタンガスを取り出し、発電の実験をしていたりするのだ。
「今後のことも考えて、街に下水処理場を作るのはいかがですか?」
マイルが見積書を爺の前に置いた。公共工事になるので、桁が2つ位上がるが…
「こんなに予算が無い…息子に相談する」
前向きなのかな?
さて、ゼロス君の家に寄って行くかな。