---ツヴェイト・ヴァン・ソリステア---
まさか、惨敗するとは。妹のセレスティーナは魔法の使えない忌み子であったのに。ことあるごとに、小馬鹿にしていのだが、今日は「では、勝負しましょう」と、挑発的であった。魔法が使えないくせに、生意気だと、勝負を受けたのだが、俺の放った魔法を杖で消し飛ばし、魔法で反撃されていた。
そう言えば、お爺様が、セレスティーナは生まれ変わったとか言っていたような。それはこういうことなのか?
セレスティーナは魔法だけでなく、接近戦も強かった。魔法の発動速度と威力が俺とは桁違いに強くなっているし。何をすれば、忌み子が戦士になれるのだろうか。
---ツバサ---
ティーナの父親である領主は女好きで、公爵家のメイドにムラムラ来て、結果ティーナが生まれたそうだ。妾腹から生まれたせいで、爺に引き取られ、別邸で暮らしているそうだ。で、先ほどの相手は、公爵家の次期当主候補らしい。虐められないように、もっと鍛えようとマイルがノリノリであるが、ゼロス君が近くにいるから、そうそうマズい事態にはならないだろう。万が一の時は街を壊滅して、森の館に帰ってくるだろうし、
最近の爺は、『権力に固執する様な奴は魔導士では無い、己を高める事が魔導士に本来の姿だ』と言い切り、魔導師の各派閥にケンカを売っているらし
い。吠えるくらいなら、もっと魔術を研究すればいいのに。平和が一番だよ。
ティーナに現公爵の元へ連れて行ってもらった。
「お父様、この方が、私に魔法を教えてくださり、戦い方を教えてくださったツバサさんと、マイルさんです」
目の前にはゼロス君と同年代の身なりの良い中年紳士が立っていた。この人が現公爵なんだろうな。
「直接会うのは初めてだったな。私がセレスティーナとツヴェイトの父で、あの面倒な老人の子でもあるデルサシスだ」
あの爺の子供なのか。見た目は普通である。とても女好きなダメ人間に見えない。仕事はできそうである。物体Xを薦めて精力を減衰させてやろうかな。
「どうも、ツバサです。これは秘書のマイルです」
マイルは護衛であるが、幼女に見られがちで胡散臭そうに見るので、秘書ということにしてある。
「ウチの爺が無理難題を言って、申し訳ない。公共事業の件は前向きに検討したいが、費用がなぁ…」
「分割でもいいですよ。工期も長くなるし」
「それなら…」
公共工事はまとまりそうである。
「それに先立ち、我が家のトイレ、風呂を改装したいんだが、簡易の下水処理ユニットもあるようだな」
「あります。簡易と言っても、きっちりつくらないと、衛生上良くないですから、費用は…」
「う~ん…君の商会に便宜を図ろう。なので、もう少し、どうにならんか?」
マイルの交渉術の結果、商会がタックスフリーになる代わりに、大幅値引きをした。儲けも出るだろうな、タックスフリーなら。
「話は変わるが、娘の教育なんだが、面倒みてくれるか。学校での勉強が無意味に思えているんだ」
学校に通ってもバカにされるだけで、魔法はまったく使え無い訳だからな。教え方が悪いとしか言え無い。
「我が家の鍛錬で良ければ…ただ、住み込みになりますよ」
毎日送り迎えが出来る程、暇ではない。
「それは問題ない。学校も寮制だから。で、息子も面倒見てくれないか?学校では、シガラミが多々ある上、ウチの爺のせいで肩身が狭くなりそうなんだよ」
爺は家庭でも問題をおこしているのか。
「泣き言を言ったら、返還で良いですか?」
アイリス母のブートキャンプは厳しいからな。
「スパルタで良い。学費はこんな感じでどう?」
「えぇ、いいですよ」
俺とティーナ父は固い握手をした。
---ツヴェイト・ヴァン・ソリステア---
セレスティーナとお爺様と共に、アルメリア公国に留学の為に向かっている。今まで通っていた学校は辞めて、新しい学校に通うそうだ。セレスティーナは楽しそうであるが、片道2ヶ月だという。船で海を渡らないといけない程遠くにある国だそうだ。
「教皇猊下の住まれる教皇領もあり、様々なギルドの本部があるそうじゃ。教皇猊下がおっしゃるに世界で二番目に安全な国だそうじゃぞ」
二番目?
「一番は?」
「たぶん、トキオ共和国じゃろうな。あそこは攻め込まれる心配がないし。そもそも戦争に巻き込まれる心配がないじゃろうし」
聞いたことがない国だ。
「どこにあるのですか?」
「神々が封印されているといわれている禁足地じゃ。今から行くアルメリア公国はそこの属国になるそうじゃ」
禁足地で建国?正気の沙汰では無い。魔王の治める国にかこまれるようにある地域だったはずだ。学校で習った限りは。だが、人類がそこ到達した記録が無いと言う。不思議な地域である。
「本当にあるのですか、そんな国が?」
お伽噺なんだろうな。だが、
「ある」
お爺様は断言した。
「儂とセレスティーナはそこで、魔法の神髄を学んだのだ」
「どうやって行ったのですか?」
未だに勇者パーティーでされ、到達してこは無いはずだが。
「転移魔法でよ、お兄様」
笑顔で答えた妹。転移魔法?それ自体がお伽噺クラスの魔術ではないか…
「ウチの近所に住んでいるゼロスさんは、トキオ共和国の駐在大使なのよ」
はぁ?あのボロボロのローブを着た冴え無い男がかぁ?