カノジョ探しの異世界行   作:もっち~!

115 / 122
面会すら命がけ

 

---ツバサ---

 

半月後、あの患者の家族が見舞いに来たいと言う。ミトが転移術で一般病棟の待合室まで連れて来ちゃったそうだ。

 

「面会謝絶なんだが…」

 

物体Xを扱う部屋は、基本俺以外は立ち入り禁止である。見た目が人間には見えないし。なんせ肉の塊を世界樹の葉っぱの漬物で包んでいるし。見た目が狂気の沙汰で、その上、臭いすら人間には凶器であるし。

 

「そこをなんとか…」

 

中年?老年?の男性が頼んで来た。

 

「セーラの祖父のオーユゴック公爵だよ」

 

と、ミト。ティーナの爺より若く見える紳士であった。

 

「彼が身食い専門病棟の責任者の聖者のツバサです」

 

「一目会えないか?」

 

「ハッキリ言って、見た目が未だ人間で無いですが、良いですか?」

 

「人間では無い?では何だというんだ?」

 

骨付きのハムの世界樹の漬物巻きとは言え無い…家族が人間でない見た目って、衝撃だろうな。俺の胸ぐらを掴む公爵、それを引き離すミト。

 

「落ち着いて下さい。オーユゴック公爵」

 

 

「しかし…あの目に入れても痛くないセーラが人間でないって…」

 

「わかりました。特別ですよ。ただ見た内容は他言無用ってことで…」

 

ミトと公爵を連れて物体Xの部屋へ向かい。二人を観察室に入れ、俺だけ物体Xの部屋に入り、密閉してある蓋を開け、二人に患者の姿を見せた。

 

 

混乱し絶叫をした公爵をセイの麻酔術で眠らせ安静にした。ムンクの叫びのようになっていた。老人故、心臓は大丈夫だろうか。

 

「だから言ったのに…」

 

ケーナですら、未だにショックから立ち直れていない。夢に、あの肉塊が出てくるらしい。ミトもショックを受け、目を見開いたまま、意識を手放していたし。

 

一般病棟に入院したアリサは、物体Xの毎日の摂取が義務づけられたが退院している。魔力回路が正常に機能し固定化すれば物体Xの摂取は止めて大丈夫だが、人間で摂取を止めた事例は未だいない。アルファやベータなど亜人種であれば、止めても大丈夫だが、やはり止めた者はいない。それだけ、本人達も再発が怖いのだろう。

 

「どの位かかりそう?」

 

セイが心配そうに訊いてきた。

 

「塩化状態は初めてだから、わからない。何かが取り憑いたのは確かだし」

 

トライアンドエラーで経験していくしか無い。正解なんか、どこにも書かれていない。身食いの治療を研究しているのは俺だけだから…

 

 

身食い騒ぎ収まらない。邪神崇拝者達のパーティーを強襲したアルファたちが、新たな患者を助け出したようだ。ミドガル王国の第二王女のアレクシア・ミドガル、オリアナ王国の第一王女のローズ・オリアナ 、ミドガル王国カゲノー男爵家長女のクレア・カゲノーの3名である。

アレクシアは身食いではなく、何らかの理由で血を大量に抜かれていた。造血剤を投与していく。魔法では造血が出来ないのだった。

 

残りのふたりのは身食いの肉化初期段階で、心臓の辺りの表面が肉塊になり始めていた。二人の意識を狩り、呼吸経路を確保して、物体Xを満たしたバスタブに沈めて安置する。

 

アレクシアの血液を悠の元で精密検査に出した。血を抜かれる理由が知りたいので。

 

ここ最近、重傷者が増えてきたので、物体X処置室を増築した。隔離を完璧にしないと、二次被害が怖い。

 

 

 

---アイリス・ミドガル---

妹のアレクシアが邪教崇拝者達により、なんらかのことされたそうで、付き添いとし、アルメリア公国の治療院へ同行した。

 

初めて訪れたアルメリア公国は、活気に溢れている国だった。我がミドガル王国が一番栄えている国思っていたが、初めて見るアルメリア公国は、驚きに満ちあふれていた。

 

公都は高い壁に囲まれていた。公都に面して行政区、研究機関、教皇領、学園都市、ギルド本部区が隣接し、それぞれが結界により守護されていた。訊けば、国境にも結界を張っているそうで、攻め込まれない工夫が幾重に為されているそうだ。

 

国策として、教育に力を入れており、平民でもヤル気のある者は無償で高等教育まで受けられるそうだ。教育も文武ともにレベルが高いようだし。剣術の講師にはあの人類最強と呼ばれたプライド・ロイヤル・アイビーがいる。剣術において負け無しの私が、未だに一度も勝てて居ない。この国の王配の側近とも手合わせをしたが、勝てた試しがない。勿論、王配にすら勝て無い。たぶん、その気になれば、世界を征服できる戦力が、この国はある気がする。

 

「世界を征服なんかしたら、メンドーだろう」

 

と、王配はなんかの平和会議で公言したそうだ。国の方針として、売られたケンカは買うが、売る事はないそうだ。

 

 

妹が入院している病室に行くと、あの王配と女医さんがいた。

 

「どうですか?」

 

「サンプルが少ないので、まだ断定は出来ないけど、アレクシアの血液で身食いの進行が早まるみたいだ」

 

どういうことだ?

 

「それは妹が悪魔化していると?」

 

「いや、悪魔化はしていない。君達の祖先がなんであったかが問題なんだろう」

 

「何故悪魔化していないと断言出来るのですか?」

 

「俺の能力は悪魔系を塩化出来るんだよ。しかし、アレクシアの血液は塩化しなかった。だから、断言できる」

 

「塩化する能力?断罪者なんですか?」

 

「ある意味そうなんだと思う。で。今、ミトガル王国の起源を調べているところだよ」

 

「では、私の血液も検査してください」

 

姉妹だから、同じ物が検出できるはずだ。

 

「クレア達はいかがですか?」

 

「あともう少しかな。肉塊がなくなれば、一般病棟に移動しても大丈夫だろう」

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。