カノジョ探しの異世界行   作:もっち~!

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奇病の少女 Part1

---アラン・スティアート---

 

この国で何かが起きているようだ。宰相であったアスカルト伯爵のお屋敷が深夜に前触れも何も無く、突如爆発した。お屋敷のあった場所には爆発した痕跡である大穴が開いている。深々と開いた穴のせいで、付近の家々は土が降り積もっている。大量な土砂が爆発と同時に噴き上がったそうだ。

 

「何もかもが粉々です」

 

現場を捜査している兵士からの報告。死体も粉々に吹き飛んだのだろうか。

 

その後に発覚したのがシェリー男爵一家が変死しているのが、男爵邸内で発見された。更に、引退した豪商が自分の趣味の道具の中で死んでいた。この国では一体何が起きているのだ?

 

王城内ではカタリナ・クラエスの呪いだと噂されていた。噂の出所は、カタリナに手を掛けた第一王子と、第二王子の側近達であった。

 

不審な出来事が続いたことから、怯えている者達への尋問をし始めた。その結果、カタリナの『人タラシ』スキルを『魅了』と勘違いした件の側近達が、カタリナを魔女として、ゴブリンの生息地へ放逐しに行ったことがわかった。ただ、移送中にゴブリン達の襲撃に遭い、カタリナの生死は不明らしい。

 

お前ら、なんてことをしたんだ?!あれでも一応、第三王子の婚約者だぞ…

 

 

 

---ケン---

 

久しぶりに隼人から連絡があり、冒険者ギルド本部で待ち合わせすることになった。何の用だ?場所が場所だけに何かのクエストが発生したのだろうか。

 

「ケンさん、お久しぶりです」

 

しばらく会わない間に、ため口から敬語になった隼人。どうした?

 

「何をおっしゃっているんですか?ケンさんの方が冒険者として、僕よりも格が上ですよ」

 

ランクSの隼人に言われても、実感がまるで無い。だって、俺はランクAだし。

 

「冒険者の格って、冒険者ランクは関係ないですよ。ランクSへの昇格条件は国からのクエスト達成ですから」

 

そう言えば、俺は国からのクエストって受けた事無いなぁ。主に冒険者ギルド本部からのクエストが殆どである。ギルド本部案件は移動距離、拘束日数が長い割に、報酬が低い為、受ける冒険者が少ないらしい。その点、

俺は報酬よりも色々な国に行け、色々なコネを作れ、色々な情報が得られる為に、スケジュールに問題が無ければ受けることにしていたので、必然的にギルド本部への貢献度が高くなったらしい。

 

「それで、今回は何?」

 

「幼児が原因不明の高熱でダウンしているそうなんです。その子の救助要請がギルド本部に寄せられたそうです。僕のパーティーは火力は高いんですけど、そっち系のクエストは役立たなくて…」

 

「で、その子はどこにいるの?」

 

 

件の少女は俺の行ったことの無い国、ユルゲンシュミットって封建制の王政国家にいるそうだ。静と萌の情報が手に入るといいなぁ。冒険者ギルド本部から地図を貰い、その場所へ向けて、短距離転移を繰り返している。ギルド本部の資料室で調べて貰った結果、何かを降臨させる儀式があるらしいことがわかった。この国が臭いなぁ。

 

ゴツン!

 

ナニカにぶつかった。頭が痛い。転移による正面衝突か?

 

「痛い!何?何が起きたの?ナノちゃん?!」

 

目の前には額を押さえ蹲る少女がいた。うん?魂が二重になって見える。転生者か?

 

「お前、転生者か?」

 

「えっ!?」

 

俺の話した日本語を聞き、驚いた顔で俺を見上げた少女。転生者で確定だな。アイテムボックスから、おにぎりと味噌汁を出して差し出した。俺のアイテムボックスは時間停止タイプで、作りたてをそのまま保温状態で収納出来るのであった。

 

「おにぎり…味噌汁…食べていいの」

 

目をキラキラさせて訊いてきたので、俺は無言で頷いた。涙をポロポロさせながら、ソウルフードを食べる少女、マイル。食べながら、彼女の事情を聞いた。

 

日本名は栗原海里で、本名の海里からマイルと言う名を名乗っているそうだ。この世界での本名はアデル・フォン・アスカム。入り婿である父親に祖父と母親を殺されて、父親の再婚相手の子供に、家督を取られたそうで、次は自分が殺される番だと思い、見つからないように逃亡中だそうだ。

 

「一緒に来るか?別の大陸で、転生者仲間と暮らして居るんだよ。別の大陸だから、追っ手は来ないと思うぞ」

 

「えっ?いいの?」

 

「問題無いよ。冒険者ギルドに顔が効くから、身分証明書も作ってあげる」

 

冒険者ギルド本部に一旦戻り、マイルの冒険者ギルド証を発行してもらい、パーティーとして組んだ。パーティー名はマイルの発案で『エチゴヤ』に。隠密旅ならちりめん問屋でしょうって。転生者に話せば受けるだろうな。

 

そして再度、マイルとシロと三人で、奇病に苦しむ女の子の元へと急いだ。

 

「モフモフ最高ですね!」

 

ってシロをモフりながら就寝するマイル。一人での逃亡生活から解放されたのか、3モフり半で爆睡し始めた。

 

まぁ、ゆっくり寝ていいよ。夜の間はね。短距離転移のデメリット、夜間の転移は危険なこと。遠くまで見えないので、昼間より転移距離が短くなる上、障害物が見えないし。消費MPが多くなって、疲れが激しいので、夜は寝ることにしているのだった。

 

翌日の昼くらいには、目的地に着いた。門番にギルドカードを見せると、女の子の元へ連れて行かれた。門番が女の子の父親だったのだった。

 

「知り合いの冒険者の隼人に依頼を出したんだ。頼む、娘を助けてくれ」

 

隼人がギルド本部に持ち込んだ案件のようだ。冒険者同士が知り合いであっても、仲介者としてギルドを通すのがルールである。冒険者同士のいざこざに発展させない為である。知り合い同士での依頼であっても、取り分で揉めたり、責任の所在で揉めたりすることが多々あるそうだ。

 

家に入り、まずは浄化、清浄の術を掛けた。思いの他、家の中が清潔で無かったのだ。そして、女の子の元へ…この子も魂が二重に見える。転生者であるようだ。

 

「マイル、この子も転生者だ」

 

父親に分からない様に、日本語で伝えた。

 

「なんで、分かるの?」

 

不思議そうな顔で俺を見るマイル。

 

「何かのスキルだと思うんだけど、転生者だと魂が二重に見えるんだよ」

 

何のスキルかはわからない。ステイタスには、それらしいスキルは載っていない。

 

「そうなんだ」

 

女の子を鑑定する。魔力過多、器である身体が壊れる位、魔力が増加している。彼女の身体は本能的に、魔力を圧縮しているが間に合っていないようだ。取り敢えず、彼女の秘めている魔力の一部をマインドロストしない程度に『強奪』する。効果があったようで、呼吸が穏やかになっていった。

 

魔力の流れを精査していくと、所々魔力が無理矢理圧縮され瘤のようになり、魔力の流れを阻害しているようだ。

 

「血液の流れで言う動脈瘤だ。魔力の流れで瘤が出来ている」

 

マイルに日本語で伝えた。

 

「ナノちゃん、治せる?」

 

マイルにはナノちゃんっていうアシストピクシーが付いているらしい。いいなぁ~。俺もナビゲーションピクシーとか欲しい。

 

『固結び状態だから、気長に解けば消えます』

 

どうやって、解くんだよ?ステイタスとにらめっこする。あっ!念動力って、いつ会得したんだ?これで、ほどけるかな?

 

「マイルは手立てある?」

 

「う~ん。ナノちゃん頼みかな?」

 

父親と相談して、女の子、マインを家に連れ帰ることにした。ここでは、俺達がマインドロストした場合の対処が難しいので、二次災害が起きそうなのだ。

 

 

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