---プライド・ロイヤル・アイビ---
久しぶりに爽やかな朝を迎えられた。ここはどこだろうか?見た事の無い部屋で目覚めた。見た事の無い寝間着を着ているし。
「お目覚めですか?」
メイドが入って来た。見た事の無いメイドである。ここはどこ?
「ここは?」
「タスメリア国アルメリア公爵領の領主様のお屋敷でございます。昨夜、私のご主人様が、あなた様をお持ち帰りされたのです」
お持ち帰り?そう言えば、オークにやられた覚えがある。助けてくれたのか?いや、違うなぁ…記憶が曖昧である。
「その方に会えるかな?」
「今日はフリージア王国に巣くっている悪徳奴隷商人達を殲滅中です」
それって、うちの国じゃない。ここって、タスメリア国って言ったわよね?それって、聞いたことが無いけど、どこにあるの?
「ここって、どこにあるの?フリージア王国から、どの位離れているの?」
「日本人の感覚で言うと、太平洋を経由して南米から中東くらいの距離です」
部屋に入ってきた幼女が日本語でハッキリと私に告げた。日本語…彼女も転生者なのか?
「ウェンディさん、後は私が話し相手をします」
「お願いしますね。マイン様」
幼女に一礼をして立ち去るメイド。この世界の共通言語で…。
「聞きました。きみひかのラスボスに転生したそうですね、プライドさん」
この子…間違い無く転生者だわ。
「私をお持ち帰りした人も転生者?」
「ケンさんは召喚されて、この世界にやってきたそうです」
「その彼は私をハーレム要員にしたいの?」
「しないでしょう。ケンさんは、一緒に召喚されて別れ別れになった彼女を探しているから」
「じゃ、なんで私を?」
お持ち帰る理由が分からない。私の身体に用があるなら、多少は納得できるけど。
「私はきみひかをプレイした事無いから、よくわからないんですけど…ハッピーエンドを目指すだろうから、ほっとけないって」
彼はハッピーエンドの意味を知っているのだろう。だから、私を傷つけるであろう者達の前から浚ったのかもしれない。でも…
「私は、ここのみんなを傷つけるかもしれないわよ」
「それは、あり得ないです。ケンさんとマイルさんのコンビを前にして、あなたが無事に済むとは思えません」
不敵な笑顔で微笑む幼女。背筋がゾクッとした。
「あの二人の破壊力はハンパないですから。敵にならない方が良いですよ。現にマイルさんによると、昨晩は3秒程度でケンさんによって、悶絶死一歩手前まで追い込まれたそうですから」
幼女の口から幼女らしからぬ言葉が飛び出した。悶絶死一歩手間?じゃ、あのオークは幻覚で…私の取り乱した姿の一部始終を見られてしまったのか…そう思うと、身体に昨夜の刺激が蘇った気がした。
---ケン---
案件を終え、殲滅証明代わりに、頭部だけを冒険者ギルド本部に納めてから帰宅した。
「ケンさん、プライドさんがお話があるって」
マインに声を掛けられた。なんだろうか?俺は彼女が休んでいる客間に向かった。
「どうした?元気無さそうじゃないか」
部屋に入るとプライドが落ち込んでいた。
「ねぇ、見たのよね?」
「何を?」
「私が悶えて…恥ずかしい顔を…」
「あぁ、バッチリ見たよ。相棒のマイルとシロと一緒に…」
「もう…お嫁に行けない。ねぇ、責任を取ってね」
「平民は王女とは結婚出来ない。違うか?」
「それは…」
「俺は平民だ。その上で責任取れって言うんなら取るけど、手は出していないぞ。それにお前はまだ成人していないだろ?お前は幾つだ?」
「12…」
「せめて15を越えてから言えよな。そういう台詞は…」
俺の言葉で泣き笑い気味のプライド。俺達の介入で、きっと未来は変わるはずだ。もしもの時は、俺とマイルが止めるから安心しておけ。俺にしたらよっぽどマイルの方がラスボス臭がプンプンなんだが…いや、黒幕的要素で言ったら、アイリス母に勝てるヤツはいないか?