カノジョ探しの異世界行   作:もっち~!

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み~つけた!

---ティアラ・ロイヤル・アイビー---

 

お姉様が消息を絶った。夜、散歩に出たきり、そのまま。その報告を聞き、胸をなで下ろすお母様。きっと、お母様も見たのだ。お姉様が共に居る未来の悲しいビジョンを…私達の家系は代々予知能力を持つ女系が王位を継ぐ。お父様は王ではなく王配となる。第一王子であるお兄様は養子であり、将来の王配候補かもしれない。

 

私のお姉様の未来…悲しい未来である。だからこそ、皆の記憶に深く残る前に、消えたのかもしれない。

 

「ティアラ…」

 

「お母様…」

 

私のことを優しい眼差しで見つめるお母様。

 

「初めて、プライドの未来が明るく見えました。あの子は、どこかで幸せになって暮らすのでしょう」

 

「もう誰も哀しまない?」

 

「今、哀しんでいる者達が居ます。彼らの心には深く刻まれるかもしれないわ」

 

でも…お姉様の悲しい未来よりはまし…

 

 

 

---ケン---

 

冒険者ギルド本部に、スランタニア王国、聖シュルール協和国から、俺と会談をしたいと申し込みがあったそうだ。前者は薬用植物研究所で、後者はダンジョンの件だろう。

 

「神官の方はパス。植物研究所の方は興味ある。乗り込めばいいのか?」

 

「勝手に乗り込まないでくれ。お前、聖シュルール協和国のダンジョンを勝手に踏破したようだが…」

 

「踏破した証拠は?俺は宗教国は嫌いだ」

 

「証拠は無い。向こうがそう言っているだけだ」

 

冒険者ギルド本部に文句を入れているのか?もう少し壊せば良かったかな?

 

「いいな、勝手に乗り込むなよ」

 

「乗り込めない。俺はスランタニア王国の場所を知らないから」

 

「お前、どの辺りまで転移で行けるんだ?」

 

結構方々に行っているよな。クエストとか案件で…本部のギルマスが地図を見ながら唸っている。

 

「うぅぅぅ~、そうか。この前の案件で行ったフリージア王国はどうだ?」

 

「まぁ、行ったことのある場所なら転移出来ます。俺もマイルもねぇ」

 

転移能力者が二人いるパーティーは珍しいらしい。

 

「じゃ、フリージア王国で会談をセッティングしておく。そうそう、フリージア王国の第一王女が行方不明らしいが、お前、知らないよな?」

 

「女は間に合っていますし。領主代行が変な女は許してくれませんよ」

 

「だよな…」

 

本部のギルマスは俺達がアイリスのお屋敷に住んでいるのを知っている。知っているけど、調査には来ない。なんせ遠いからねぇ。飛行機が無いこの世界、遠距離移動は難しい。野盗や奴隷狩り、魔物などが平気で出てくる世界で、陸地の移動は馬か馬車である。怖くて遠距離移動はしない。隼人クラスの冒険者で無い限りは…

 

 

フリージア王国の迎賓館に来ている。薬用植物研究所のメンバーとの懇親会という名の会談である。今回のメンバーはいつものメンバーである。俺、マイル、シロの冒険者パーティー『エチゴヤ』である。

 

お土産にアズータ商会のチョコ菓子詰め合わせを、ティアラ王女に渡してある。因みに女王様には大人バージョンのセットを手渡してある。今夜は王配様は大変だろうな。知らんけど…

 

「トイレが和式便器のボットン式だったよ~」

 

凹んでいるマイル。まぁ、あの屋敷の俺の部屋のトイレは、洋式のボットン式であるが、お尻洗浄&乾燥装置付きである。トイレットペーパーの無い世界、そのせいか、地主様が多いらしい。固い紙や木べらできれいにするからだ。そのことから、転生者の女性達は俺の部屋のトイレを愛用していた。マインは踏み台を持ち込んでいるし。成長不良でまだ4歳児程度の体形のマインには、洋式便器に座るのに背が足り無かったのだった。

 

「こう考えると、もう他の場所に住めないよ」

 

口をとがらせて言うマイル。

 

「いずれ、各々の家が建てられるようになったら、下水とか、下水処理場も作らないとな。洗浄便座があってもボットン式だから」

 

一応ボットンした後はおがくずを撒いて発酵を促し、メタンガスを取り出す工夫をしている。

 

「汚物槽を攪拌しないとダメでしょ?あれって」

 

そんな気はするが、元々建っている屋敷のトイレの改造って、そう簡単では無い。それに、洗浄便座を駆動するには魔力を流さないとダメである。一応、魔力の弱いカタリナ、アイリス用に、魔力を充填した魔石を用意してあるけど。この前、魔石を大量にゲットしたし。

 

コンコン

 

「よろしいですか?」

 

知らない女性の声である。マイルはシロをモフモフしている。俺はベッドで横になっている。昼間に出来ることは少ないから。

 

「どうぞ」

 

見た事の無い細身の女性が入って来た。多分、薬用植物研究所の所員だろうけど、魂の色が特殊であることから、転生者か召喚されし者だろう。

 

「敵じゃないから大丈夫」

 

俺が身構えたら、モフモフの手を止めず、マイルが鑑定結果を教えてくれた。

 

「小鳥遊聖さん?セイさんて呼べば良いのか?」

 

情報が読めるマイルが俺の代わりに訊いてくれた。俺にはそこまで鑑定が出来ないから。

 

「あなたが転生者なの?」

 

「ここじゃなんだから、別荘に行こうよ」

 

入って来た女性の質問をスルーして、俺がアナザーワールドの魔方陣を出し、そこにマイルが魔力を注ぐ。すると、空間に扉が現れ、そこに四人で入って行った。

 

「空間拡張術ですよね」

 

アイテムボックスの拡張版である。荷物をいれる箱ではなく、家を別空間に作り出すスキルである。しかし、魔力の消費が激しいので魔力の維持はマイル担当で、発動の魔方陣は俺担当である。

 

「家の中に家って斬新ですね」

 

「維持コストが高いから、あまり使っていなけど。ここなら盗聴、盗撮の危険は無い。で、お前は何者だ?転生者で無いようだが」

 

俺の言葉で顔色が変わったセイ。

 

「えっ?転生者じゃないの?じゃ、ケンの探している召喚されし者?」

 

マイルが笑顔から真顔に切り替わった。

 

「お前は聖女召喚で呼び出されたのか?」

 

「ねぇ、あなたが牧之原研くん?」

 

萌達の関係者のようだ。そうなると、スランタニア王国が目的地だな。俺の目配せで、シロが聖女候補者の意識を狩った。さてと奪える物は奪って、奪えない物は破壊するか。

 

 

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