カノジョ探しの異世界行   作:もっち~!

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1章 カノジョ探しの異世界行
ここはどこ? Part1


目の前で元カノと現カノが揉めている。俺の所有権を巡って…

 

「私は身体は興味無いの!彼の知識を借りるだけよ!」

 

「彼はあなたの猫型ロボットじゃ無いのよ!」

 

話して楽しい元カノ、鬼龍院静。一緒にいると安らぐ現カノ、若草萌。さて、どうするか…そんな事を悩んでいると、いきなり光のベールに包まれていく。足下をふと見ると、魔方陣らしき物が浮かんでいた。これは、異世界召喚ってヤツか?光に飲み込まれていくと、意識が遠くなっていった。

 

 

 

---若草萌---

 

あの女と揉めていたら、光に飲み込まれ、知らない場所にいた。あの女は王子らしき者に連れ出され、彼は兵士達に連れて行かれた。そして私は、残った者達に客間らしき場所に連れて行かれた。

 

「ここはどこですか?彼はどこですか?」

 

彼の行方を知りたい私は、目の前にいる者に訊いてみた。

 

「ここはスランタニア王国。君達は聖女召喚の儀により、この世界に召喚されたんだ。そして彼は男で聖女では無いのが確定で、王子により国外追放処分された」

 

処分?なんで?男と言うだけで…待て待て、異世界召喚?それって、誘拐じゃないか??

 

「彼に会いたい。どこにいるんですか?それに召喚って、誘拐でしょ?ねぇ、私達を元の世界に帰して!!」

 

「聖女候補である君達は、王国で保護する。君達のいた世界には帰れない。仮に聖女で無くても、責任を以て保護は続ける」

 

誘拐したのに保護?ここは傲慢な世界なのか?

 

「しばらくは、王宮で暮らし、この世界になれてくれ」

 

そんなことを言われても…

 

 

 

---ドミニク・ゴルツ---

 

数百年ぶりの聖女召喚の儀は成功した。しかも三名も召喚できた。だが、第一王子が召喚された聖女候補の一人を気に入り、勝手に連れて行ってしまった。その上、彼女のボーイフレンドらしき男は邪魔だからと、国内から追放してしまったのだ。国王に判断を仰ぐこと無く独断でだ。

 

そして今、目の前には残ったもう一人の聖女候補がいる。彼に会いたい、帰りたいと、興奮状態であったのでは、魔法で眠ってもらった。

 

「どうするんだ?」

 

今回の儀式の発案者である宮廷魔道師団の師団長、ユーリ・ドレヴェスに訊いた。

 

「どうもこうも…まさか三名も召喚出来るとは。想定外だったのは、王子の行動かな。お気に入りを連れ出し、彼女達の連れを処分とは…」

 

状況判断が速く、即断出来るのは良いが、向かう方向がお粗末である。国家事業である為、まずは国王に判断を仰ぐの筋である。

 

「彼を城に戻せないか?」

 

罪悪感がある。彼女の指摘した通り、召喚された彼らからすると、誘拐とか拉致とかと同じ行為である。

 

「無理…強制転移用魔方陣での国外追放だよ。どこに飛ばされたのかも不明だし、戻る手立ても不明なんだから」

 

その昔、手に負えない魔物を遠くの地へと投げ捨てたとされる魔方陣。王子からの命令でそれを使ったらしい。

 

「王子の命令だからね、逆らえなかった」

 

ユーリが難しい顔をしていた。彼を探し出すのは、ユーリでも無理なんだろう。

 

「問題は残った彼女達が聖女かどうかだ。もし彼が聖者だったら、王子はどう責任とるのかな?」

 

そうか、その可能性もあるな。聖なる力を持つ者を呼ぶ召喚術だからな。

 

 

 

---ケン---

 

別室に案内されたと思ったら、森の中に転移させられていた。ここはどこだよ。そもそも、あそこの国名を知らないし。国内転移なら良いのだが。

 

まずは現状を確認する。道具と言えるのは、彼女から貰ったゾーリンゲン製の万能ナイフ。どれも切れ味は抜群である。入れ物はバックパック。多用途であるが、割と大容量である。中にはサバイバル用途のusb出力のソーラー充電器、バッテリー、懐中電灯、スマホなどなど…有ると便利なグッズ類である。後は、愛用の風邪薬、胃薬、絆創膏、軟膏…

 

所謂、彼女と一緒にお泊まりセットと言うか…

 

森の中を闇雲に歩いていると、剣戟の音が聞こえてきた。音のする方へ向かうと、馬車が剣を持った一匹?一頭?のゴブリンに襲われていた。剣で身を守っていた御者がゴブリンに屠られた瞬間、俺はゾーリンゲン製の千枚通しをゴブリンの首筋に深々と刺していた。その場で息絶えるゴブリン。

 

馬車の中を覗くと、結構有名な人が…あれ?ここってゲームの世界なのか?ラノベでありがちの…

 

「お前、『FORTUNE・LOVER』のカタリナ・クラエスか?」

 

「あなたは誰?転生者?」

 

驚いたような顔の囚人服らしき服装の女性。

 

「いや、異世界召喚されたんだけど、ここはどこ?」

 

「ゲームと同じでソルシエ王国よ」

 

 

 

御者の服を剥ぎ取り、カタリナに着せた。彼女は囚人服を着ていたので、主人公がハッピーエンドを迎えたカタリナなのだろう。

 

「あのね…別にハッピーエンドじゃないからね」

 

バッドエンドだと、王子に殺されるはずだが…

 

「嵌められたのよ。破滅から逃れる為、フラグをへし折ったんだけど…」

 

あのゲームの主人公であるマリア・キャンベルとも仲が良いそうだ。あくまでカタリナの主観であるので、話半分かな。

 

「ねぇ、手を貸して…」

 

その言葉…何かに巻き込まれそうだ。でも…旅は道連れ世は情けとも言うし。

 

「いいけど…」

 

「この国から脱出しようと思うの」

 

嵌めた相手を潰すんじゃなくて、これ幸いと逃げるらしい。流石は破滅フラグしかない悪役である。

 

「なぁ、この国って、異世界召喚ってある?」

 

「無いと思うけど…私以外の転生者にも転移者にも会ったこと無いもの」

 

無いのかぁ~。

 

カタリナの現況を訊くとゲームと違い、悪役令嬢ではなかったらしい。驚くことに、逃亡後の生活を考え手に職をと、農業女子をしていたそうだ。中々の努力家のようだ。

 

 

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