---キース・クラエス---
「姉さん…」
或る晩、家に消息不明だった姉さんとアン、アスカルト伯爵と知らない男性が、クラエス公爵邸を訪れた。
「どういうことだ?カタリナ…」
お父様もお母様もそして僕も混乱している。今まで何の連絡もくださらず、消息不明だった姉、カタリナ。
「お父様、紹介いたします。彼が私の旦那様で、タスメリア国アルメリア公爵名代のケンです」
姉さんの旦那様?なんか、寝耳に水なことを言っている姉。まさか、駆け落ちってオチなのか?
取り敢えず、アスカルト伯爵と姉さんの旦那様?の話を聞いたクラエス家の人々。要約すると、アルメリア公爵領に移住して、公務を手伝って欲しいってことだ。
「カタリナ…王家があなたにしたことは本当なの?」
「本当です。ケンが来てくれなかったら、私はゴブリンに喰われていたでしょう」
姉さんが旦那様?の腕に抱きついて、甘えているように見えた。こんな表情の姉さんは見た事が無い。元?婚約者のジオルド様を前にしても、こんなにも幸せそうな表情は見た事が無い。
「一緒に来て貰えますか?」
「娘が幸せそうに住んでいる地に行きたいが、引っ越しが大変そうだな」
お父様もお母様も顔が蒼い。公爵邸は広い。故に荷物も多く、引っ越すには、馬車が何台あっても足り無いだろう。
「問題ないです。アスカルト伯の様に、家ごと転移させますから」
彼がそう言うと少し家が揺れた。
「着きましたよ。場所はアスカルト伯のお屋敷の隣です」
「「「えぇぇぇ~!」」」
家の外に出ると、未開地のような風景が広がっていた。それは一瞬のことであった。こんなに簡単に転移って、出来るものなのか?
「ここに新たな行政区を作るんです」
姉の彼は、自信を持ってそう、僕達に告げた。マジですか?
---ケン----
クラエス家の皆さんが来てくれて、土木工事が捗っている。下水システムと並行して治水対策もしていく。俺は行政区の下水システムを設計中である。下水道は土魔法使い達が、地下2階程度の深さにU字溝を掘り硬化させ、俺の錬成術で逆U字に作った蓋を被せて完成である。地下2階の深度には、マンホールから通じる地下通路にして、メンテをしやすくしておく。下水道を作り地下通路にして、地下1階部分の造成作業に入る。因みに流れを良くするために、下水道は川に向かって徐々に下る感じにしてある。
せ、俺の錬成術で逆U字に作った蓋を被せて完成である。地下2階の深度には、マンホールから通じる地下通路にして、メンテをしやすくしておく。下水道を作り地下通路にして、地下1階部分の造成作業に入る。因みに流れを良くするために、下水道は川に向かって徐々に下る感じにしてある。
どの家も地下一階部分に下水道へ通じる穴を設置してある。その穴に水場からパイプを引き込めば、下水道への流入路は完成する。
現在テスト施工で、新しいアイリス邸を建設している。塩ビ管が無い世界であるので、魔物の腸を腐敗防止加工し、塩ビ管代わりに使っている。これでどのくらい耐用年数を稼げるかな。
「これは何の腸?」
マインに訊かれた。
「ゴブリンとかオークだな」
オークは肉を食べられるが、ゴブリンはGと同じで退治するだけであるので、その小腸を利用することは有効利用とも言える。
下水処理方法は悩んだ結果。汚物を喰わせるとか微生物で分解させるとかの生物頼みの浄化システムにした。当面は雑食性のスライムを入れて、汚物分解出来るかをテストだ。臭いの問題は密閉施設にして対処である。
冒険者ギルドでの魔物討伐クエストに積極的に参加し、汚物を食べる魔物や動物を採取して、浄化システムに強制転移させている。
「どんなのが処理しているの?」
「殆どが雑食性のスライムだよ。水しか排泄しないからね」
スライムは培養土を出してはくれなかった。ミミズのような生物が欲しいのだが、ワームというミミズ系の魔物は肉食だった。汚物は食うには食うが、スライムごと喰う始末である。NGだろうな。
「そうだ、マイン。紙の方はどうだ?」
「わら半紙は順調。白い紙は木材を液状パルプにするのに難航中です」
紙すき場を作って上げたら、マインが楽しそうに紙をすいていた。