---セイ---
転移した先は、お屋敷だった。見た目はこの世界にありがちのお屋敷であったが、内部は日本家屋であり、畳のある部屋を見て目尻に涙が…。なんか元の世界へ帰ってきた気分になれたのだった。
「お前ら、二人同部屋だからな」
ティアラ様と同部屋?
「モエちゃんと同じ部屋で良いんですが…」
「私はお姉様と同じ部屋で……」
「モエの部屋は…カプセルホテルみたいな感じだぞ」
へ?カプセルホテル?連れて行ってもらったのだが、確かにカプセルホテルのような部屋だった。ベッド回りにだけ家具がある。床は板張りで畳では無い。
「ヒッキーをしていた時にこうしたら、安眠できたらしい」
ヒッキー?引き籠もりしていたのか。
「ここの暮らしに慣れていないんだったら、連れ帰りますよ」
環境の変化に弱いのかな?なんで、こんなにも殺風景な部屋で引き籠もったんだ?
「連れ戻りは禁止だよ。アイツはエチゴヤ商会の戦力だから」
エチゴヤ?越後のちりめん問屋?
---ティアラ・ロイヤル・アイビー----
セイさんは知り合いの部屋に置き去りにされ、私はお姉様の部屋へ案内された。そこは大きな部屋であった。ベッドの幅が広い…4~5人並んで寝られるくらい…って、まさか…ハーレム部屋?
「この部屋で暮らして居る。元々俺の部屋だったが…」
彼は床にひかれた布団の上で横になった。
「お姉様…これは?」
「そういうことよ。私と同じ部屋で寝ると言うことは、彼と一緒にねることになるわ」
お姉様…私のお姉様が男の人と…夜はあんなこと、こんなこと?
「ケン、またお持ち帰り?」
とてもきれいな女性が二人、部屋に入ってきた。お姉様よりも歳上に見える。
「いや、プライドの妹だ。プライドの生活を見ておきたいんだそうだ」
「ふ~ん…意外にかわいいじゃない。プライドに似てなくて」
似ていない?そんなことは無い。同じくらいかわいいはずだ。
---ケン---
翌日、ティアラをお城まで送っていくと、プライドの母親にお願いされた。
「毎週末、この子をプライドの元で、過ごさせて欲しい。仕事をさせてもいい。嫁に欲しいなら、あなたが王配になってもいい。だから、お願い出来ないですか?」
家系的にプライドだけで無く、ティアラ、母親も未来予知能力持ちで、あのハッピーエンドが見えたそうだ。ゲームとは違い、本当の意味でのハッピーエンドでは無かったそうだ。泣きながら、辛そうな表情をしながら、プライドを討伐するプライドの愛しき者達…国を破滅へと追い込もうとした極悪非道王女が死ぬと、皆に惜しまれつつ国葬をした。そんなビジョンが見えたそうだ。未来ビジョンでは、突然プライドがラスボスに変身したそうだ。ゲームでもそうだったな~。その上、原因については明かされていなかったような。
「今は違います。未来ビジョンに見えるプライドは、幸せそうな顔であり、皆が祝福している情景が見えるようになりました」
柔らかな表情の女王。
「でも俺は平民だよ。王女と結婚は出来ないはず」
「ですから、あの子達を平民の嫁として貰ってください。あの子も、ずっとプライドと共に一緒にいられるなら、幸せだと思います。幸い、我が国は女系君主制です。あなたの元では平民として暮らし、国に戻れば女王になれば良いのです。ですから、どうかティアラも貰ってくれませんか?」
あれ?プライドだけじゃないの??
「プライドには女王の座は渡せません。いつ変貌するかわからないし、そもそも変貌する理由が分からないのですから。プライドは差し上げます。その上で、ティアラも貰ってください。たまには里帰りはさせてくださいね」
でもいいのか?平民の俺が第一王女と第二王女を貰っても?未来予知が見えるから、事件が起こりそうな時に俺達と共に戻れば良いのか?
「プライドが認めたあなたなら、ティアラも安心ですよ」
俺が安心では無い。アイリスとカタリナはきっと『ずっる~』って合唱しそうだ。
なんか分からないが、その後に言いくるめられ次期王配にされてしまった。勿論、ティアラを貰った場合であるが…王女が二人とも側室になるのだが、女王からは文句はなかった。本当にいいのか?ダメって言われても、アイリスの正室、正妻の座は揺るが無いと思うけど。
「何か有れば、我が国の名を出していいですから」
アイリスには迷惑料として、フリージア王国は、タスメリア国とでは無く、アルメリア公爵領と友好条約を締結した。