カノジョ探しの異世界行   作:もっち~!

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鑑定

---セイ---

 

この男、薬剤師じゃなかった。ポーションの作り方が、私とまるで違うし。なんか、騙された気分である。

 

「錬成術って、ずるいよ~」

 

熱や媒体を使わずに、異なる物質を混ぜ合わせるスキル。私が調薬するよりも魔力の消費も少ないらしい。

 

「まぁ、錬成術師の特権だな」

 

スキルを見せて貰ったのだが、

 

スキル:剣術、回復術、治癒術、浄化術、錬成術→錬金術、修復術、魔法(無、時、聖、闇)、念動力、祝福、

龍殺し、封印無効、結界無効、状態異常無効

 

って…あなた、聖者でしょ?『祝福』があるじゃない。私には無いのに…

 

ギルドカードも見せて貰ったのだが、

 

冒険者ギルドランクSランク、錬金術ギルドランクSS、商業ギルドランクA

 

これって、勇者クラス?

 

「ランクSSって、何?」

 

「あぁ、エリクサーもどきを作ったから…」

 

「どうやって、作ったの?」

 

「これを濃縮したんだよ」

 

ケンがアイテムボックスから樽を取り出し、青汁のような物をジョッキに注いだ。臭い…臭すぎる…涙が止まらない。鼻水も…女性の品格に関わる臭さである。

 

「これ、何?」

 

「うちでは青汁って呼んでいる。販売元の冒険者ギルドでは物体Xって呼ばれていたかな」

 

これ、販売されているの?何の為に?

 

「これ自体に、効能ってあるの?」

 

「飲んだ瞬間からHPとMPの回復速度が上がり、HPとMPの最大値が上がる。レベルが上がらなくなるみたいだけど、スキルの覚えが良いかな。俺、未だにレベル1だし」

 

はぁい?レベル1?レベルが上がると、スキルがどう変化するんだ?すでに攻撃職、生産職、回復職的には良い感じにスキルが揃っているし。研究所に戻って所長に訊いてみるかな?

 

「なぁ、青汁の共同研究をしないか?これ、最新のもどきなんだけど…」

 

脇腹に刺さると言われているヤツかな?

 

「しなやかさは欲しいって、現場から要望が出ているんだよ」

 

出るでしょ?腕を動かすと脇毛が脇腹に刺さる回復薬って、あり得ないし。

 

 

 

---ケン---

 

セイに共同研究を持ちかけた後、マインが聖シュルール協和国の神殿書庫から錬成コピーしてきた書物から、物体Xについて書かれた記述を見つけた。

 

『正式名称:神々の嘆き、仮称:物体X 開発者:いにしえの賢者 効能:飲んでいる期間は冒険者の潜在能力を覚醒させる。 元々は色々な薬草、龍の心臓、精霊の水、世界樹の根などを混ぜ合わせて開発された丸薬であったが、魔導具で作り始めると液状化してしまった。 飲んでいる期間は、レベルがとても上がりづらくなり、性欲が減衰することがデメリット効果…』

 

メリットの効果は、俺の推察通りであったのだが、性欲が減衰する?それは、飲むのを止めると、アイツらの全裸に悶々とすることになるのだろうか?待て待て…アイツら、俺が寝た後に何かやらしているけど、減衰してあの頻度なのか…少し、逃げたくなる俺がいた。

 

「何?そのデメリットは…」

 

セイが息を飲んだ。

 

「多分、性欲を生命力に変換しているのだろう。性欲って子孫を残す欲だし、死にやすい種族って子だくさんだろ?」

 

「それは否定しないけど…ケン…婚約者達って、飲んでいるんだよね?」

 

「ティアラも最近は飲んでいるから、全員飲んではいる。1日3回ジョッキ1杯…」

 

なんか、鳥肌が立ってきた。アイツら、物体Xを飲まなくなると、どうなるんだ?反動って起きるのか?

 

「検証しないとダメだね」

 

 

翌日、セイと共に、スランタニア王国の薬用植物研究所に向かった。物体Xについて、専門家の意見を訊くために…デメリット情報はマインの口から、婚約者の皆さんに伝わっている頃だろうし。

 

「これが、エリクサーもどきの原料なのか?」

 

所長が青汁の臭いを嗅いで、咳き込んでいる。あれ、臭いを吸い込んだら負けである。息をせずに一気に飲まないと、飲みきれない。

 

「く、苦さぁ~…で、正式名称が神々の嘆きなのか…嘆くよな。この臭さは…元々は丸薬って、納得だな。これを液状で飲むのは何の拷問だ?」

 

俺もそう思う。拷問でしょう。何の効果も無ければね。でも効果があるからなぁ。一種のドーピング中毒に近いか。

 

「で、これを濃縮して、更に薬草を加えてエリクサーもどきになったと?」

 

頷く俺。

 

「濃縮の方法がチートなんですよ、この男は…」

 

セイから『この男』呼ばわりされている。

 

「この青汁から水分だけを取り除くスキルを持っているんですよ。熱を加えずに取り除くってズルいでしょ?」

 

「温度変化させずに濃縮出来るのか。それはズルいというか。薬剤師には欲しいスキルだな」

 

と所長。

 

「錬成術を学べば出来るようになるのかい?」

 

「いや、別のスキルです」

 

うん?なんで、コイツ、俺のスキルを知っているんだ?

 

「別?」

 

「切り札なので、言えません」

 

『強奪』スキルは他人に言わない方が良いだろう。使い方によっては犯罪行為になりかねない。

 

「まさか、念動力ですか?」

 

セイには『強奪』と『隷属術』があることは見せていない。犯罪行為を疑われるのは心外であるから。

 

「まぁ、そんな感じだね」

 

「では、本題だ。君の称号を見せてくれないか?」

 

本題?それは、俺が聖者かどうかってことか?

 

「無理やり見せてくれとは言わないが…先ほど、こっそり『鑑定』をさせてもらったのだが…」

 

鑑定をした?俺のステイタスか?盗み見たのか?一言断るのが礼儀じゃ無いのか?

 

 

 

---セイ---

 

「無理やり見せてくれとは言わないが…先ほど、こっそり『鑑定』をさせてもらったのだが…」

 

所長の言葉で、部屋の空気の質が変化した。全身の毛穴が全部開き、冷や汗が溢れ出て行く。全身の穴と言う穴から液体が浸み出していく感覚もある。これ、マズいヤツだ。女性の尊厳を踏みにじる結果になりそうな。

 

「待て!怒りを鎮めてくれ」

 

所長のかすれるような声。瞳が血走っている。涙には血が混じっている気がする。

 

「なぁ、そういうのって、無断で見るのは禁止だよね?敵対勢力以外は…この国は未だに俺の敵って、ことでいいか?」

 

「違う…」

 

「どう違うんだ?」

 

「止めて…助けて…」

 

彼に縋り付いている私。死にたくないと言う本能だろうか?何も考えずに、自分の身体を彼に押し当て、アピールしている。

 

彼の手のが私を抱き締め…そう言えば、コイツ、今日青汁飲んだっけ?

 

 

 

---ケン---

 

『威圧』の上位スキルである『畏怖』を発動した俺。その途端、二人共、変な汗や赤い涙を流し始めた。あれ?『畏怖』ってヤバいスキルだったのかな。

 

やがて酷い顔になっていくセイが命乞いをし始めた。なんか、エロく見える。あっ!今日はまだ青汁を飲んで無かった。性欲が減衰していないのか…マズいなぁ。性欲に飲まれると、どうなるんだ?

 

 

 

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