---ケン---
久しぶりに、冒険者ギルド経由で、ヤーシスから連絡が来た。
『掘り出し物あり』
と…何をサルベージしたんだ?あの奴隷商は…早速、一人でヤーシスの元へ転移した。
「これ、なんですが…」
立派な棺の蓋を開けたヤーシス。中にはしなやかそうなブロンドヘアの女性が横たわっていた。死に装束すら着ず、全裸の状態であり、胸元には奴隷紋が刻まれている。
「この奴隷紋は見たこと無いけど?」
「これは犯罪奴隷の奴隷紋です。罪状は国家反逆罪で刑期は10年とあります」
添付資料を読んでいるヤーシス。問題は、この女性、呼吸をしていないこと。死人の割に体温があり、肌に張りと艶が残っていることだな。
「呪いも受けているよね?」
「履歴には呪いについては記述がありません。なので所謂訳あり物件かと思います」
訳ありかぁ。
「どこの誰かはわかる?」
「某国の公爵令嬢とあります」
身体をチェックしていく。脈を打ってはいない。未使用なのか、きれいなピンク色である。年齢は20代かな?
「いくら?」
「2000万でいかがですか?」
ヤーシスの前に3000万を置いた。
「追加情報を宜しくな」
「はい、わかりました」
◇
領都の教会のモルグに、棺を運び込んだ。屋敷に戻り、マイル、マイン、マリア、セイ、シロ、プライドを連れてきた。
「この方は死んでいるんですか?」
セイに訊かれた。
「う~ん…分からない。脈は無い、呼吸も無い。だけど、肌に艶と張りがあるんだよ。問題は死んだら奴隷紋は消えるらしい」
なので、死んではいないのだろう。敢えて言うなら仮死状態とでも言うのかな。
「マイルはナノちゃんとどんな呪いか調べて、マイン、マリア、セイと俺は浄化術や治癒術を一通り試してみよう。シロとプライドは、万が一、ゾンビとかリビングデッド化した時に無力化にしてくれ」
アレコレと試すが、呪いが解けない。心臓の鼓動、呼吸による肋骨の運動も感じられない。
「あぁ、これ呪いじゃ無いみたいですよ」
と、マイル。
「彼女の生の時間が止まっただけみたいな…」
時間経過しないアイテムボックスに入っている感じか?もしかして、この棺がアイテムボックスだとしたら?彼女をお姫様抱っこして、棺から取りだして見た。
「ぷっはぁ~」
呼吸をし始め、脈が弱いながらも打ち始めた。彼女を床の上に下ろして、損傷箇所を修復していき、回復術や浄化を掛けていく。だけど、目覚めない。この奴隷紋のせいかな?
「マイル、この奴隷紋を解析して」
「了解です…刑期10年永眠の刑のようです」
王子様のキスで目覚めるあれか?眠っている女性にキスをしてみるが、目覚めない。
「それはベタすぎるでしょ?」
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確かに…後は?あっ!懐からポーションを取り出した俺。ソレを見て、みんなが俺から距離を取っていく。
「モルグで、それはテロ攻撃ですよ」
物騒なことを言うマイル。一応回復薬であるけど…臭いがなぁ。濃縮度を高めた為、臭いがもの凄いことになっている。回復薬であるのに、嗅いだだけで意識が飛びそうになるのだ。モルグは密閉空間だからなぁ~。
「改良版だよ。剛毛になって刺さることは無い」
「じゃ、みんなで上に上がってますよ」
うちの女性陣がモルグから出て行った。残ってくれたのはシロとプライドだけだ。では。目覚めない女性の口から、改良版を流し込んでいった。
ピクッとした直後、女性の身体がノッキングし始めた。まるでオカルト映画でもみているようだ。身体が臭いを拒絶しているのか?
「リビングデッド化だけはカンベンしてくださいね」
って、プライド。それは俺もカンベンして欲しい。アイツら、ただでさえ息が臭いんだから…