---オリヴィエ・アルウェイ---
ウェザード王国アルウェイ公爵家の令嬢である。今年で27歳の行き遅れであるが、一応婚約者はいる。敵の罠に嵌まり、敵の手に落ち、恥ずかしい姿を敵に見られ、無理矢理奴隷に堕とされ、売られてしまった。そして、暗い箱の中に入れられ、どこかに運ばれている途中で意識が失せた。
久しぶりの柔らかい感触の寝床で目が醒めた。ここはどこだろうか?ベッドから降りると、何も着ていなかった。ここって、売られた先なのか。いや、奴隷にこんな良いベッドは与えられない。もしかして性奴隷とか、ペット枠なのだろうか?
窓から外の様子を窺う。どこかの貴族街のようで、広めのお屋敷が並んでいた。
「目覚めたか?」
見た目、私よりも若い男性が部屋に入ってきて、私に声を掛けてきた。
「お前の名前は?」
「オリヴィエ・アルウェイです。ウェザード王国のアルウェイ公爵家の長女です」
「何?!ウェザード王国だと。お前のいた国には、魔導大国の情報は残っているか?」
魔導大国?
「大昔に滅んだ国ですよね?たぶん、残っていないと思います」
「そうか。で、ウェザード王国って、どこにあるんだ?」
どこって?うん?
「ここはどこですか?」
「ここはタスメリア王国のアルメリア公爵領の行政区だ」
行政区…この男性は領主なのか?
「タスメリア王国って?それよりも、私をどうするおつもりですか?」
「お前を3000万で買った。それだけの価値を見せてみろ」
貨幣価値が分からない。
「私の身体に価値は無いですよ。若くないし」
20代後半だもの…
「身体?女体は間に合っている。俺の欲しているのウェザード王国の情報だ。覚えている情報は全部吐けよ。お前は犯罪奴隷として買い、刑期が10年あるそうだ」
犯罪奴隷ですって…それも10年って…10年働かないと帰国出来ないのか…
---ケン---
彼女の奴隷紋が完全に外せない。服を着られない呪いって何?青汁を飲み忘れると危険が一杯な予感だ。20代後半らしいが、そそると言えばそそるような気がする。
「いいんじゃ無いの?ケンの奴隷だし、好きにすればさぁ」
とカタリナ。
「でも、好きにした後…」
当然、婚約者達を満足させないとダメだろう。青汁を飲んだ上で、満足させる自信がまるで無い。
「当然でしょ?成人している婚約者とセイさんに奉仕してくださいね」
って、アイリス。いや、俺の性欲はそこまでは…無い。婚約者二人、セイと奴隷の4人って、保たない。栄養ドリンク代わりに青汁を飲めないし。どうするかな。
それよりもウェザード王国の場所をどう探すかだな。直接行って、古文書の類いを錬成コピーして来ないと、情報が得られそうも無いな。
「あ!ケンさぁ~ん!教皇様に訊けば分かるんでは?世界的に教会、神殿のネットワークがあるんでしょ?」
マイルの閃き、それは良い案だ。そう言えば、そうだな。良し、善は急げだな。
◇
地理的な問題は解決した。教皇に訊いたら、ウェザード王国の王都にある教会への転移陣をくれた。今、ソレを使って、王都に来ている。一度来てしまえば、俺とマイルの転移術で何度でも来られる。今回のメンバーは俺、セイ、マイル、シロ、プライドと言ういつものメンバーである。
「まず、どうします?一気に城を落としますか?」
笑顔で物騒なことを言うマイル。
「先ず、アルウェイ公爵に会おう。で、協力を煽ぐ。拒否されたら、その時にポーションを使って逃げるか」
今回のポーションは全身に雷撃が走り、心臓の再起動を促す効果があった。オリヴィエの全身がノッキングしたのも頷ける。
翌日、アルウェイ公爵と会う事が出来た。
「うん?娘を奴隷商から買われたのですか?」
「訳あり物件でしたよ。10年刑期の犯罪奴隷として売られてました。なので現状は、返したくても返せません」
犯罪奴隷は転売に次ぐ転売は出来ないらしい。しっかりと懲役を受けさせる為、1箇所に最低1年はお勤めしないといけないそうだ。
「犯罪奴隷ですと!なんてことをしてくれたんだ、アイツらは…」
政敵に嵌められたらしい。
「娘は無事なんですか?」
「まぁ…」
「で、あなた様の身分は?」
「俺は平民だけど…」
「「「ダウト!」」」
何故、味方からダウトされるんだ?解せない。
「おい!オリヴィエ様を返せ」
完全武装した男が突然、俺の目の前に立って、そんな事を言う。
「タダでは返さない。刑期が終わったら、1億で返してやる」
貰えるところからは貰おう。
「何を言っている。今すぐ返せ!」
男はナイフを抜き、俺に襲い掛かってきた。だけどシロに止められ、次の瞬間、今度は魔法攻撃を放ってきた。これはプライドの剣が魔法攻撃自体を斬り裂き、無効化してくれた。
「これが公爵の返事ってことですか?」
「待ってくれ。ジャレッドくん、落ち着きたまえ、ここは私が交渉をする」
「交渉する余地なんか無いですよ。今すぐ力尽くで返して貰う。どうせ、コイツらもアイツらと一緒なんでしょう?」
「おい!三下!アイツらって、ドイツらだ?」
なんか、腹ただしい。ザコと一緒にされた気分である。
「マイル、みんなを連れて帰れ」
「了解!」
俺以外の仲間達が転移して帰っていった。ここが、多分使いどころだろう。『畏怖』を発動した俺。俺の周囲にいたヤツラが、次々と跪いていく。俺に攻撃をしようとした男だけが耐えているよう見える。
「おぉぉぉぉ~」
屋根をぶち抜いて、突然ドラゴンが俺を襲ってきた。コイツ、ドラゴンテイマーなのか?聖魔力を左手に集めて、聖剣を錬成していく。
「食らえ!エクスカリバー!」
聖なる斬撃がドラゴンの腹部に穴を開けた。
「まだやるか?次はドラゴンスレイヤーで、殺すぞ」
エクスカリバーをアスカロンに再錬成すると、龍殺しオーラを感じたのか、ドラゴンが逃げていく。
「死ねぇ~!」
今度は目の前から槍が降ってきた。空間を斬り裂いて、別の空間から吐き出す。降ってきた槍は、総てここの城へ向けて放たれていく。
「これでどうだぁぁぁ~!」
床が盛り上がり、土の槍が俺に襲い掛かって来た。コイツ土魔法使いか?目の前の空間にブラックホールを発生させ、攻撃を吸い込んで、やっぱり、ここの城へと排出していく。
「これならどうだぁぁ~!」
ヤツの周囲の物が石化していく。今度は石化魔法か?状態異常無効持ちの俺に石化攻撃は効かないはず。では、『強奪』で富と情報を奪わせて貰うか。ヤツが俺の懐に入った時点で、転移して帰った。
◇
目の前に金貨や白金貨の山がいくつも出来ていた。古文書は書庫に収めてきた。劣化して傷むと困るから。
「今回も稼いで来たわね」
って、アイリス。別に出稼ぎに行った訳では無い。
「おい!あの石化魔法の遣い手は誰だ?」
オリヴィエに訊いてみた。
「私の婚約者のジャレッド・マフィーです」
「そうか。疲れたので抱き枕になってくれ」
と言うだけ言って、その場に倒れた。これって、魔力の使い過ぎによるマインドロストだな。