カノジョ探しの異世界行   作:もっち~!

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交渉事

 

 

---オリヴィエ・アルウェイ---

 

私に抱き枕になれと命じた男が、目の前で倒れた。

 

「マインドロストだわ。あなたの彼氏のせいみたいだから、あなたが癒やして上げてね」

 

倒れた男をベッドまで運び、彼の隣に置かれた私。

 

「ケンがマインドロストかぁ~。敵の戦力は高そうだね」

 

「で、向こうの言い分は?」

 

「タダで、直ぐに返せって。無茶ぶりでしょ?」

 

ジャレッドが交渉のテーブルをひっくり返し、武力で私の奪還を目指したらしい。

 

「まぁ、今回稼いで来たからタダでの返却はいいとして、直ぐには無理よね。犯罪奴隷だから、契約後最低1年は所有権を移せないから」

 

穏便に返却してくれるらしいのだが、今日のジャレッドの態度で、方針を変えるのかもしれない。

 

「明日、一筆書いて貰います。教会経由であなたの父上に送ります。今回の慰謝料と賠償金は貰う方向です。大事な事ですが、あなたの任期についても書いてくださいね。後、あなたの現状もね」

 

服が着られない呪いがキツい。外出が出来ない。部屋から出られない。家に帰れない…

 

 

 

---マイル---

 

交渉相手を攫って来た。

 

「ここはどこだね」

 

ウェザード王国の国王ホルスト・W・フェアリーガーが狼狽えている。

 

「ここは聖シュルール協和国の教会本部の会議室ですよ」

 

コチラの住処の場所を知られる訳には行かない。セイさんが教皇に頼んで、会議室を借りてくれた。

 

「君は何者かね?」

 

「このたびの交渉人です」

 

ケンさんはマインドロストから、未だ目覚めていない。目覚めていない状態で青汁の効果が切れ、今猛獣状態でオリヴィエ、ウェンディに癒やされている最中である。きっと、理性を持って目覚めても、記憶に残らないのだろう。いい思いの記憶が残らないって、不憫だなぁ~。

 

「オリヴィエの返還の件かね?」

 

「そういうことです。あぁ、これは彼女からの手紙です。交渉前にお読みください」

 

「待て!彼女の父親のアルウェイ公爵では無く、何故、交渉相手が私なんだ?」

 

「それは、昨日交渉に参った次期王配との話し合いをスルーして、そちらの国民が攻撃を仕掛けた為です。次期王配が襲われたんですから、交渉相手は王様に格上げされて当然でしょ?」

 

「次期王配だと…どこの国のだ?」

 

更に狼狽えている王様。

 

「フリージア王国ですよ」

 

「フリージア王国…」

 

顔が青白くなっていく王様。フリージア王国って戦力と王族への忠誠心が高いと有名らしい。

 

「言わせて貰うが、彼はここの次期教皇候補でもある」

 

戦乙女聖騎士隊隊長のルミナリアさんが口を挟んできた。まぁ、聖者だからねぇ。候補にはなるかぁ。ケンさんの性格、目的の為ならば手段を選ばない行動原理などを教皇が気に入ったようだし。

 

「ちょっと待ってくれ。フリージア王国の次期王配で、聖シュルール協和国の次期教皇候補だと言うのかね」

 

私とルミナリアさんが頷いた。実際問題、どちらもケンさんは断ると思うけど、候補は候補であり、次期は次期である。交渉術的には、相手にこちらの立場が上かを知らせる必要がある。

 

「そんな方を相手に、無礼な振る舞いをしたのか…」

 

「少し、慰謝料を考えてくださいね」

 

王様を彼の国の玉間に強制転移させた。今日のお仕事は終了だ。教皇様に付け届けをしておくかな。アイリスさんお手製のチョコの盛り合わせセットを。

 

 

 

---ケン---

 

う~ここはどこだ。右にウェンディがいて、左にオリヴィエがいる。

 

「お目覚めですか?まずは目覚めの一杯をどうぞ」

 

ウェンディからジョッキを渡され,一気に飲み干した。

 

「あぁ、マズい」

 

また性欲が爆発してのか?で、俺の奴隷であるウェンディとオリヴィエで防波堤を作ったのだろうか?

 

「どの位、寝ていたんだ?」

 

「3日くらいです。多少、問題が起きていますが、些細な問題かと思います」

 

と、ウェンディ。どんな問題だ?

 

俺が眠っている間に、マイルが代わりに交渉をしてくれ、向こうが人質を差し出す方向だと言う。

 

「奴隷かな?」

 

「いや、奴隷じゃ人質にならないですよ…うっ!」

 

急に目の前でオリヴィエが光の渦に飲み込まれていった。青白い魔方陣がオリヴィエを中心にして発現していた。何が起こっているんだ?

 

「ウェンディ、マズい事態だ。護衛陣とマイル、セイを呼んできてくれ」

 

「わかりました」

 

ウェンディは急を要する事態だと分かったのか、全裸で部屋から飛び出して行った。目の前のオリヴィエの体内魔力が高まっている。このままではオリヴィエの身体が保たない。どうするかな。

 

「旦那様…私にはわかります。ものすごい力が、私の中にあるのです。でもその力がすべて、違う誰かに奪われていく。そんな感覚が……」

 

憑依か?なら

 

「『強奪』オリヴィエに憑依した者よ」

 

オリヴィエから何かが飛び出し、光の渦と魔方陣が消え去ると同時に、その場に崩れる様に倒れたオリヴィエ。俺の左手には、何かの魂がある。それを鑑定してみると…

 

「……ああ……ようやくだ。長い長い時間を経て、ようやく私は復活出来る。なのに、何故、貴様はジャマをするのだ?」

 

何かから情報を読み取り、不要になったソレを『浄化』した

 

パリン!

 

俺の手の中で粉々になって消えていくソレ。

 

「大丈夫?」

 

セイが走り込んできた。

 

「マイルに、あの時を止める棺を持って来させて、オリヴィエをぶち込んでおいてくれ」

 

「どこかに行くの?」

 

「ちょっと野暮用だよ」

 

 

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