カノジョ探しの異世界行   作:もっち~!

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3章 問題解決の為の異世界行
指名依頼


---ケン---

 

野暮用を終えて戻ると、棺の中にオリヴィエがいた。

 

「これ、どんな状態なんですか?」

 

マイルに訊かれた。

 

「たぶん、マインと同じ身食いなんだと思う。ただ、誰かがオリヴィエに魔力の増加を抑える封印を施し、ある時期になると、その封印が解かれ、何かを身体にリロードする魔方陣も発動するようにしたようだ」

 

「何かって?」

 

「称号に『始祖魔王を葬り去った者』ってあったから、始祖魔王なんじゃ無いか?魔王って言っても悪魔王で無く、推測だけど、魔導大国を建国した最初の異世界人である魔導王のことだと思う」

 

アレから読み取った情報だから、推測でなくて事実である。オリヴィエは始祖の血筋で、保有魔力も膨大になる器であった。だから、依り代に選ばれたのだ。

 

「どうするの?」

 

「リミッタを外されたから、マインよりも急激に身体にダメージが入りそうだな。う~ん、青汁につけ込んでみるか?いや、青汁のお風呂に漬け込むというか。青汁なら最大MPを増加させてくれるし、身体へのダメージも自動回復してくれそうだよな?」

 

確信は無いが魔力を馴染ませるには良さそうな気がする。濃縮すればエリクサーになるんだし。

 

マイルの土魔法でモルグに湯船を作って貰い、その間、俺は冒険者ギルド本部で青汁をいつもの3倍ほど買い込み、モルグに戻った。湯船にオリヴィエを置き、首から上が潜らないように固定してから、湯船に青汁を並々と注いだ。これで大丈夫か?

 

 

俺が一人になった瞬間、セイが俺に詰め寄って来た。

 

「ねぇ、萌ちゃんをどうしたの?」

 

「帰したよ。方法がわかったから、萌を帰すことにした」

 

「なんで言ってくれなかったんですか?お別れくらいしたかったよ~」

 

涙を蓄えた瞳で俺を見るセイ。

 

「帰還方法がちょっと問題があって、みんなには見せられなかった。誰かの魂に帰りたい者の魂を憑依させて、憑依をした者を死なすことで、魂が元の世界に帰ることが出来るらしい。だから他人の魂を取り込めるように、転生者、召喚されし者の魂は二重に見えたのだろう。この世界仕様の魂を着た本来の魂。この世界の魂を憑依させた者にあてがい、本来の魂は本来あった世界に戻れる。だから、アレはオリヴィエに憑依し、元の世界へ帰ろうとしたのかもしれない」

 

「その理論だと、ケン、あなたは…」

 

俺は俺の手で大切な存在である萌を殺し、その魂を憑依させた者を殺した。俺の手は血で汚れている。まぁ、今更であるが…

 

「一人で背負わなくていいんだよ」

 

セイが俺を優しく抱き締めた。

 

「『浄化』」

 

俺を浄化するセイ。しかし、血にまみれた俺は聖属性の『浄化』では効果は無い。魔が差したのでは無く、闇に堕ちたのだから。

 

「ねっ。私達は夫婦なんだから…」

 

こんな俺の為に、涙をこぼしてくれたセイ。それだけで、俺の心は少し救われた気がした。

 

 

 

---ヴェロニカ・W・フェアリーガー---

 

オリヴィエの婚約者の横暴により、私が人質となり、抗争相手に引き渡されることになった。当初、カサンドラ・ハーゲンドルフ公爵が人質候補であったが、神隠しにあったのか、消息不明になったことで、私にお鉢が回ってきたのだ。

 

「いいか?相手は、我が国よりも強大な組織である。その事を肝に刻み、我が国を護る為に出来る事をしてくれ」

 

って、国王様のお言葉…なんで、オリヴィエの婚約者の尻拭いをしないといけないの?沸々とアレコレ考えている間に、目隠しをされ抗争相手に引き渡された。

 

一瞬、浮遊感を感じると、懐かしい声が聞こえてきた。

 

「ヴェロニカ…なんで、あなたが旦那様の婚約者になったの?」

 

オリヴィアの声だ。あれ?ここはどこ?自宅である王宮にいたはずだけど…目隠しを外されると、目の前に異民族の服装を着たオリヴィエがいた。

 

「ここは?」

 

「旦那様のお屋敷です」

 

旦那様?オリヴィエの?あれ?それって、ジャレッド・マーフィーじゃないの?

 

「オリヴィエ、人質って婚約者にする者なのか?」

 

「貴族、王族の場合はそうですよ」

 

「俺、平民だよ」

 

はい?オリヴィエの旦那様って、平民なの?

 

「平民はダウトですよ。少なくても教皇候補ではあるでしょ?」

 

女の子がオリヴィエの旦那?に言い聞かせるように言葉を投げつけていた。

 

「う~ん、セイが教皇候補でいいじゃないか。俺は平民ってことで…」

 

「はぁ~、諦めが悪いようですね。次期王配と次期公爵補佐からは逃げられないでしょ?」

 

何者だ、この男…

 

 

 

---ケン---

 

最近、婚約者が増えている気がする。オリヴィエも俺の婚約者になると言う。マインと同じ身食い発症者の為、完治するまで、俺の傍にいないといけないのだった。それが刑期より長くなる可能性もあるし。それ以前に完治するのだろうか?まだマインも完治していないぞ。その結果、オリヴィエの父親と極秘理に相談をし、そのような決定になったのだった。

 

ヴェロニカの方は、ウェザード王国からの誠意ある慰謝料代わりと言うが、オリヴィエよりも歳上らしい。訳あり令嬢だけでなく、難あり令嬢すら集まって来ているのはどういうことだ。別に曰く付きの令嬢が好みってことでは無いんだけど、誤解をされていないか?

 

そうそうオリヴィエの服が着られない問題は解決した。肌襦袢なら羽織れた。肌襦袢に限らず和装ならオーケーらしいが、俺の好みの問題で肌襦袢を羽織って貰っている。この世界の理では衣服は洋服であって、和装は洋服では無いってことらしい。

 

萌のことは、セイがみんなに話してしまった。それによって、何かが変わるって事も無く、今日も平常運転であるけど…セイとは彼女の要望で、二人でお墓参りをしてある。

 

平和で穏やかな日…萌は無事に帰れただろうか?そんなことを考えていると、隼人経由で冒険者ギルド本部からの連絡が届いた。いつものメンバーで本部へと向かった。

 

本部には大人しそうな女性が待っていた。俺が着くと、ギルマスが目配せをし、一通の書状を俺に手渡して来た。

 

『問題が解決するまで預かってくれ エルグランド王国クレスター伯爵家』と…エルグランド王国ってどこだ?知らない貴族からのクエスト。面倒なことに巻き込まれそうだ。

 

「これ、どういうこと?」

 

ギルマスに訊いた。

 

「どこかでお前の噂を聞いて、お前に預ければ安全と判断したようだぞ」

 

どう安全なんだ?青汁を飲み忘れると野獣になるらしいんだけど…

 

「クレスター伯の話では、国王の指名で、そのお嬢様を後宮に差し出せって、命令が来たそうだ。クレスター伯的には、お嬢様を後宮に上げたく無いそうだ」

 

いや好き好んで後宮に娘を上げる親はいないだろう。居るとすれば、娘は政治の駒だと錯覚している貴族くらいだろう。

 

「俺、後宮は嫌いなんだけど…」

 

「最適な人選だろ?お前なら、後宮から護り切れると踏んでいるのだろう」

 

「報酬は?」

 

ギルマスの視線がお嬢様に向いた。マジかぁ~。婚約者にしろって?俺、婚約者コレクターで無いぞ。

 

 

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