---コゼット・エーデルワイス---
「アタシ?アタシはアンジェ。この世界の主人公よ!!」
知らない少女が、私の大切なお花畑の真ん中で、宣言をした。誰?この子…
「そうですの、アンジェ様とおっしゃるのね。ところでお伺いしたいのですが、この花畑は当家の私有地でございますの。本日はお茶会を催していたのですが、招待客の中にアンジェ様というお名前は無かったように思うのですが……」
私からの問い掛け
「招待状なんて知らないわ。アタシ……私は、ここでイベント……じゃない。花を摘みに来たんだもの!病弱なお母さまのための花をね!」
不敵な笑みを浮かべて、お花畑を舞台にして、まるで花形女優のように周囲に向けて言い切った。私の大切なお花畑が踏み荒らされていく。イベント?私のお花畑を蹂躙するイベントって何?こんな展開は悲しすぎる…涙が零れていく。
「花を摘みに来ていただけなのに!なっ、な、なにをなさるんですか!」
そう言いながら、お花畑にボディープレスをする少女。あぁ~、私のお花畑が…丹精を込めて育てた花々が…無惨にも潰れている。何の罰ゲームなのよ!
「なにをしている!!」
いきなり私の胸ぐらが掴まれ…突然のことで放心していると、
「なにをしていると聞いているのだ!言え無いことをしているのか?!」
更に私に怒声をぶつけて来た王太子殿下。まさか、王太子殿下のお連れ様とか?それでも招待状が無いので、マナー違反ですよ。なんて王太子殿下に言え無い。
「私はお花を摘んでいたのです。病気のお母さまのためのお花を……そうしたら、この方が……」
私を指差し、事実無根なことを言う少女。私は何もしていない。問い掛けただけである。寧ろ、貴族の私有地に、それも私のお茶会で私が丹精込めて育てたお花畑に無断で入って来たあの少女の頭がおかしいと思う。
「花を摘んでいただけのアンジェに暴力を振るうなんて、それでも、伯爵令嬢か!君には失望した!帰ってくれたまえ!もう二度と戻って来るなよ!!」
門の外へと放り出された私。帰れって…ここは私の家なのに…理不尽過ぎる。家に戻ろうにも、王太子殿下の取り巻き達に追い立てられ、森の中へと逃げ込んだ。どうしよう…家にもう帰れない。
---ケン---
日課にしているお散歩中である。マイルの脳内マップの空白を埋める為、短距離転移で未だ訪れていない地域を転移している。そんな時、どこかの森の中で、転生者を発見した。凄い重量級の令嬢ぽいが、森の中を移動する服装で無いのが妙である。
「敵がいるかもしれない。探査をしておいて」
マイルが黙って頷いた。
「こんな森の中でどうしたんだ?」
どこかで見覚えのあるキャラに見える。その上、魂が二重に見えているし。えぇっと…確か…そうだ!『エンジェリック!恋の令嬢勝ち抜き戦!』の悪役令嬢の取り巻きBだったか。
「取り巻きBさんでしょ?」
「あなたも転生者?」
そう言い残し、取り巻きBさんが崩れる様にして倒れた。どうしようかな。放置は出来ないよな。転生者なら人材になるかな。うん、ダイエットはして貰おうか。
---コゼット・エーデルワイス---
転生者の男子に見つけて貰えた瞬間、走馬灯のように前世の記憶が脳裏に浮かんだ。そうだ、前世では娘がいるオバチャンだった。そうだわ、あのアンジェって、娘の嵌まっていた乙女ゲーの主人公で…ここって、ゲームの世界なのかしら?
走馬灯を見ているうちに意識がブラックアウトし、気づいたら知らない部屋のベッドで寝ていた。
「ここは?」
「ここは、アルメリア公国の公爵補佐のお屋敷です」
あぁ~、この人見たことがある。娘の嵌まったゲームのラスボスだわ。じゃ…
「あなたも転生者?」
「そうです。『きみひか』のプライド・ロイヤル・アイビーと申します」
そう、『きみひか』…正式名称は『君と一筋の光を』だわ。
「わたしはコゼット・エーデルワイス。アルトリア王国、エーデルワイス伯爵家の娘です」
「アルトリア?どこにあるのかしら」
どこに?って、アルメリア公国って、どこ?
「ここってどこですか?」
「アルメリア公国の公都だけど…日本の知識で言えば、ここは北米、あなたがいたのは欧州って言えば、大体の位置が分かるかな?」
私に声を掛けてくれた男子が部屋に入ってきて、教えてくれた。アメリカとフランス?それは遠い…へぇ?もう帰れない距離じゃないの?一体、旅費はいくら位掛かるのやら…
「あなたの選択肢は一択よ。ダイエットをして領主補佐をして貰います。これ、決定事項だからね」
ラスボスが凄んだ顔で迫って来た。イヤと言え無い雰囲気であるが、実際問題、帰る当てが無さそうである。
「ダイエット?」
「そんな体形じゃ、仕事に支障が出るからね」
う~ん…ダイエット…なんで、こんな体形になっていたの、私?