---ディアナ・クレスター---
一人で玉間にいらっしゃる王の下へ向かった。
「漸く来たな、ディアナ・クレスターよ」
覚悟はしていたが、王の視線が痛い。舐める様に私の全身を見ている。
「では、ここで味見をする。準備をせい!」
ここで?玉間で?着ている物を総て脱がされ、首に隷属の首輪を嵌められ、怪しげな薬を飲まされた。全身を何かが走り回っている。下腹部が濡れ、勝手に腰が動いている。
「悪女でも媚薬に溺れるのだな。どれ、塩梅はどんなものかな」
王の手が私の腰を掴み、私の中に入って来る。こんなのはイヤ!
「そこまでにして貰おうか!」
旦那様の声…王が弾き飛ばされ、私はセイさんに浄化され、肌襦袢を掛けてもらっていた。
「貴様!何者だ?!」
私を護る様に旦那様とプライドさんが立っていた。
「私はプライド・ロイヤル・アイビー。フリージア王国の次期女王よ。こちらは私の将来の旦那様で、聖シュルール協和国次期教皇候補で、アルメリア公国王配のケン・マキノハラですよ。頭が高いのはどちらかしら?」
プライドさんから威圧するようなオーラが放たれていた。王やその側近が強制的に跪かされていた。
「ディアナに薬を盛って味見?随分と勿体無いことをするな。なぁ、ここの後宮に入るには皆、その儀式をしているのか?」
旦那様の一言で空気が重く苦しくなっていく。畏怖させるオーラか?長時間当てられると危険である。
「おい!その者達を取り押さえろ!」
跪きながら、王令を下す王。だけど、誰も動けない。畏怖に逆らえば死が訪れるはずだ。それ以前に、逆らうことすら出来ない威圧…
「なぁ、一人で100名近くの女体を手にして、どうして子供が出来ない?お前、タネがないんだろ?何人あてがっても子供は出来ないだろうな。お情けだ。後宮から一人選べ、子供を授けてやる」
聖者にそんなスキルがあるのかな?
「ぐ、ぐ、愚弄するな!誰がタネ無しだぁぁぁぁ!」
顔を真っ赤にして反論する王。
「お前だよ。お、ま、え、だ!あぁ、そうか破綻した性癖を満たす為だけの後宮か。で、本命は別に確保か?女を玩具にしすぎるだろう。天罰でも与えるか。『天罰!』」
王の身体が一瞬、光に包まれた。
「お前は2年間ほど、女を抱け無い身体にした。後宮のオンナ達は全員、聖シュルール協和国の修道院で2年間、修行をし、魂に汚れの無い者だけ、後宮に戻してやる。今回の代金はディアナ・クレスターの身柄でチャラにしてやる。じゃ、良き人生を送れよ」
次の瞬間、アイリスさんの館に戻っていた。
---ケン---
教皇の話では半年ほどで、選別できるってことである。本人の意思で後宮に入った者は、後宮に戻す。本人の意思とは反して無理矢理の場合は、親に罰を与えて、家に戻す。それ以外の政争の種の場合は、魂の汚れ具合で扱いを決めるそうだ。
「これで良かったのか?」
「まぁ、これで維持経費など、国庫への圧迫は減るでしょうね」
と、満足そうなクレスター伯爵。
「ディアナは返そうか?」
女体に困っていない。いや、青汁のせいで性欲が無いんだが…
「預かっていてください。ディアナの意思でもありますから。あなたの傍なら、我々も安心ですしね」
あんなこと、こんなことをしたいんだけど…気力は無い。性欲も無い。脳内で妄想だけが暴走していく。
「ディアナが嫌がらない程度は、お好きにしてください」
おい!嫌がれよな。両親の見ている前で、全裸で俺に抱きついているディアナ。ピクリとも反応しない俺のアレ…なんか哀しい
ディアナを引き剥がし、クレスター伯爵達を伯爵邸に送りつつ、死の森の開拓へと向かった。
◇
囲っている山脈の麓近くにやってきた。山は普通の植生のようだ。雑草が生い茂り、キノコも生えている。この囲まれている盆地部分だけ、謎の樹木のみと言う変な植生のようだ。
「どう思う、マイル?」
「ここが特別な地なんでしょうね。地下に何かがあるとか」
埋蔵されている何かを隠す為に、硬い地盤で地表を覆っているってことか?どう調査するかな。シロもミャも猫だしなぁ。犬が居れば、ここ掘れワンワンになるんだろうか?
「隼人は、何か、そっち系のスキルある?」
「無いですよ。僕は勇者ですよ。シーフ系、レンジャー系のスキルは無いです」
無いんかぁ~。そうなるとシーフ系の人材も欲しいなぁ。いや、鉱山師でもいいか。
「巨大な猪みっけ!」
マイルが瞬殺して、アイテムボックスへ放り込んだ。今夜はボタン鍋でもするか?
「兎とか、食べられるキノコとか豊富ですよ」
隼人が山の幸を確認している。兎は解体初心者の教材になるかぁ。
「うん?コカトリスか?」
一刀両断で首を刎ねたプライド。うん?何かがいる。草むらを入って行くと二匹の子犬がいた。抱きかかえて、皆の元へと戻った。チェックをすると怪我をしているようなので、セイに丸投げした。
「この犬…魔犬かな」
ヒールをしていたセイがそんなことを言った。その言葉を受け、直ぐにマイルが鑑定していく。
「わっ!なんで、ここにいたのかな?フェンリルの幼体とケルベロスの幼体ですよ」
神喰い犬と地獄の番犬の幼体?なんで、ここに?
「まぁ、保護して、番犬にしよう。狩猟犬とか、ここ掘れワンワン犬になるかもしれない」
魔犬であっても犬は犬である。鼻が効くだろう。
「聖者がケルベロスを飼うのって、問題になりませんか?」
セイに訊かれた。
「死の森限定だよ。アイリスの元とか、教皇の傍に連れて行ったら問題だろうな」
それは、俺でも分かるぞ。成長すれば、ケルベロスは三つ首になるし、フェンリルはバカデカくなるし。
「ケルベロスも大きくなりますよ」
っと、マイル。そうなのか。まぁ、いいか。エサが問題か?屋敷に戻り、猪肉を二頭の前に出すと、勢いよく食べ始めた。エサが問題かぁ。俺達の喰わない内臓肉をあげれば良いのか?解体実習があるため、毎日、結構な量のホルモンが出るはずだ。
◇
名前を付けてみた。白銀色のフェンリルのオスはシロガネ、黒いケルベロスのメスはクロである。解体実習で得た内臓肉や骨でスクスクと育っている。可愛かった幼体の時期は短かった。一月もすると、成獣になっていた。デカイ…
「フェンリルとケルベロスで子供って出来るんですかね?」
マイルに訊かれたが、俺には分からない。シロガネとクロに聞いてくれ。
って、いうかマイルの質問がフラグになったのか、その日、帰宅すると晩ご飯は赤飯だった。
「出来たわ。逃げないでね」
って、アイリス。
「う~ん、私は出来ていない。なんか、ズルい」
とは、カタリナ。出来たって、アレだよね?俺の記憶には、した記憶が無いんだけど、野獣になった時か?
「と、いうことで、結婚式をしましょう。プライドちゃんには申し訳ないけど、今回は私とカタリナだけでね」
なんか、俺抜きで話が進行している。アイリス母の俺を見る顔が笑顔なんだが、どこか怖いのはどうしてだ。
「教皇様に式を頼んだら、喜んでやってくれるそうよ」
アイリス母よ、どうして教皇に頼んだ?大事になるでは無いか。翌日、俺はアルメリア公国の王配となった。今回の式の代金代わりに、次期教皇はセイで、俺は次期教皇補佐で決定と、結婚式で宣言までされた。教皇の発言は世界を駆け巡っていく。
結婚記念日は国の記念日にもなる。どうして、こうなった。逃げ場は無い。
「やることやったからよ~」
ヨッパのアイリス母に絡まれている。お宅の娘さんと寝た記憶はあるが、やった記憶が無いんだけど…
「間違い無い。ケンの子供よ」
と、セイ。聖女様は生まれる前の子供の父親を見分けることが出来るらしい。