---ケン---
「おめでとう!女の子よ」
ついにアイリスが子供を出産。名前はアリスと、既にアイリス母が命名していた。父親に相談無しですか?
「じゃ、私とアイリスちゃんとアリスちゃんを別邸に連れて行きなさい」
と、アイリス母。お世話係としてコゼットもらしい。コゼットには褒美?にブートキャンプを死の森でも行うとか。4人を連れて、死の森へ転移した。
「お赤飯を作らないとね」
とマイル。マインとトゥーリがアリスをあやしてくれている。暇なのだろうか?アイリスが何故か俺に甘えている。こんな態度のアイリスなんて、初めてでは無いのか?戸惑う俺…
俺の目の前では鬼軍曹であるアイリス母が、テキパキと指示を飛ばしている。現在の住民は、俺、マイル、プライド、シロ、セイ、マイン親子、アイリス、アイリス母、アリス、コゼットに隼人パーティーである。こき使われるのはマイルとコゼット、それに隼人パーティーである。が…オロオロする隼人。鬼軍曹に命令されることに慣れていないようだ。
「尾頭付きも要るか」
海に行って、鯛もどきを数匹手に入れ、塩焼きにしていく。料理中も俺に甘えるアイリス。これって、幼児退行か?
◇
そんなこんなで慌ただしい日常を迎えた俺に、冒険者ギルド本部経由でヤーシスから連絡が入った。
『掘り出し物あり』と…
急いでヤーシスの元へ向かうと、檻に入った腐った肉塊があった。肉塊は辛うじて人の形を留め居ているが、性別も年齢も分からない状態である。
「とある盗賊が所持していました。まだ息があるが救えるか?」
肉塊だぞ…救えるのか?肉塊にヒールを掛けながら、目の前の肉塊を錬成していく。イメージは人であるが…何だろうか、人間にしては違和感がある。ミスター・ス●ックのような切れ長な耳…エルフかな?体内に魔力塊がある。これって身食いの末期か?人間であれば、器が保たないが…エルフだとなまじ頑丈な為に、こんなに膨れて肉塊のようになるのだろうか?
えぇ~い、エリクサーもどきをかけていく。錬成で進めると俺好みの女性になりそうだし、エリクサーもどきであれば、正しい形に修復されるだろう。バスタブに入れて、頭からかけ、口らしき場所からもエリクサーもどきを注ぎ込む。徐々に顔ダチやら体形やらが判別出来るようになっていく。女性のエルフっぽい。髪は金髪…
疲れて来たので、セイとマリアとマイルを『強奪』で引き寄せた。
「末期の身食いみたいだ。俺は少し寝るから、現状維持で構わないから、後を頼む」
と…俺の意識が消えていった。
◇
意識が戻ると、自分の屋敷のベッドの上にいた。俺の上には金髪で青い瞳のエルフの少女が載っていた。
「マインドロストしていたのよ」
と、セイ。肉体疲労ではなく、魔力切れで疲れたのか。
「その子がケンの鞘になってくれて、今回は被害が少ないわよ」
左からはディアナが抱きついていた。俺はまた野獣化したようだ。まったく記憶に無いのだけど。
「その子、記憶が無いみたい。名前はアルファって付けておいたわ」
その名付けは安直であるが、今後も肉塊に遭遇するってフラグなのか?ベータとかシータとか増えていきそうだよ。
「この子の代金は?」
「要らないって。治す過程が見られただけで儲けものだそうよ。身食いが酷くなると膨れて肉塊のようになるのね。教皇には報告しておいたわよ」
セイは聖女としての仕事をしたようだ。原因不明の奇病である身食い…原因は俺達の推測では、魔力溜まりが体内に出来ることだと思われる。なんで体内に魔力溜まりが出来るのか、その原因は今だ不明である。
世間的には治療方法がこれといって無い。体内の魔力溜まりを解消し、身体の欠損を治すことくらいである。魔力溜まりを解消するには、単なるヒーラーでは無理で、魔力操作のできる者が必要になる。
今後の決定打になる治療法は…エリクサーもどきかな?今後も実験を重ねないと。
◇
アリスが離乳食になった頃、セイのお腹が…
「てへへへ…」
苦笑いしているセイ。
「この前の野獣化の折に、ちょっとねぇ~」
ちょっとねぇ~じゃないぞ!俺はやった記憶が無いんだけど…
「間違い無くケンの子供だからね」
って、笑顔を俺に向けるなぁ~。お前、一応、聖女なんだから、腹ぼてはマズいだろうに…
「う~ん、なんで出来ないかな~」
って、カタリナ。いや、お前とやった記憶すら無いぞ。
「毎回、たらふくぶちまけてもらっているのに…なんでかな」
俺って、そんなに溜めているのか…それはそれでショックだけど。
セイがリタイヤする為、パーティーメンバーを変更することに。セイの代わりにはマリアかな。
「聖女をスカウトしてきてもいいわよ」
と、アイリス。おい、我が家は大奥じゃ無いんだから…と言うよりも、やった記憶が無いのは虚しい…
◇
最近多いのだが、冒険者ギルド本部から指名依頼が入った。誘拐されたカゲノー男爵家令嬢の捜索だと言う。誘拐現場へ向かうSランククラン『エチゴヤ』。クランとは複数パーティーの集合体で、所属パーティーはエチゴヤと隼人パーティーである。
捜索者は寝込みを襲われ、寝室から連れ浚われたようだ。部屋には争った形跡は無く、窓には外から強引に開けた痕跡が残っていた。
「どう思う、隼人」
「手当たり次第では無く、ピンポイントだよね。そうなると性奴隷が濃厚かな」
目を付けた女性を浚って、高値で売るか、地下牢で飼うってヤツか。そうなると生きている可能性はデカイか。被害者のブラシの臭いをシロガネに嗅がせ、後を追跡する。シロガネは臭いだけで無く、残留オーラも探知出来るらしい。
着いた場所は、オルバ子爵邸だった。わらわらと湧き出る怪しい用心棒らしき者達を制圧していく俺達。中でもアルファが良い働きをしていた。確実に相手を仕留めていく。エルフって魔法職のイメージだったのだが、アイリス母のブートキャンプのおかげで徒手空拳の遣い手になっていた。
「隼人、地下への入り口を探すぞ」
「了解です」
入り口は俺、隼人よりも早くシロガネが見つけ、突入していた。人間は犬に勝て無いなぁ。
地下通路を経て、地下牢エリアになっていた。そこで鎖に繋がれていた少女を発見。生地の薄いネグリジェ姿で、豊かな胸の膨らみと瑞々しい太ももが露わになっていた。イタズラした後か?
地下牢エリアにいた者達は、アルファとシロガネ、マイル、シロ、隼人によって制圧されていた。マリアが被害者に駆け寄り、ヒールを掛けていく。
「ケンさん、この子…」
何か異変を察知したマリア。俺も近寄り、診断をしてみると…
「身食いかぁ…連れ帰って、治療をするぞ。隼人、後をまかせていいか?」
「まかせてください」
俺は被害者の少女、クレア・カゲノーと、マリア、アルファ、シロガネと共に帰宅し、治療を開始した。治療室のバスタブにはアルファと同じ様な少女の肉塊が置かれていてエリクサーもどきに浸かっている。隣のバスタブに全裸にしたクレアを横たえ、エリクサーもどきを注いでいく。1週間も漬ければ大丈夫だろう。