カノジョ探しの異世界行   作:もっち~!

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婚約破棄は突然に

 

---ケン---

 

「この国を目指してサンディス王国の間者や隠者達が放たれているようです」

 

アルファから定時連絡を聞いている。アルファは独自に諜報組織を作り上げ、世界中の情報を集めてくれているようだ。

 

「目的はアルベルティーナの奪還かぁ…彼女の意思は無視なんだろうな」

 

「どうします?羽虫は消しますか?」

 

「無理はしなくて良いが、ヤルなら証拠は残すなよ」

 

「わかりました」

 

王家の瞳を返せば、諦めてくれるのか?下手に奪うと、アルベルティーナが失明しちゃうしなぁ。どうするかな。

 

「王家の瞳の組成を分析して、王家の誰かの瞳を錬成するのは?」

 

と、俺の心を読んだのかマイルが、そんな提案を上げて来た。

 

「マイルは分析出来るか?」

 

「やってみます」

 

目の前からマイルが消えた。アルベルティーナの元へ転移したようだ。じゃ、アルベルティーナを強引に王家に引き渡した人物の瞳を錬成するかな。でも爺だから老い先が短いか。若いやつで誰かいないか?王子は二人いるはずだが…碌な王家でも無いし、潰すか?

 

そんなことを悩んで居る俺の元に、冒険者ギルド本部のギルマスがやってきた。

 

「支部のギルマスが、あなたたちの個人情報をサンディス王国の重鎮に漏らしたようです」

 

「この国に向けて隠者や間者を大量に撒いたらしいんだが…潰してもいいかな?」

 

「こちらでもサンディス王国を調べましたが、公にはなっておりませんが、二人の王子は共に犯罪歴ありのようです。碌な王家では無いでしょう。アルベルティーナ様の件も、拉致して離宮に監禁した後に、強引に養女にしたようですし、宰相の息子は麻薬中毒らしいです」

 

こんな王家は要らないだろう。どう考えても…ゴユラン国の王家も酷かったが、その隣国も酷いなぁ。

 

「代わりになる人材はいるか?飛び地過ぎて統治は無理だよ」

 

「隣国だったゴユラン市と併合して、統治は無理ですか?」

 

「無理だろうな。規模がデカ過ぎる」

 

「では代わりの人材を見つけ次第、掃除をお願いします」

 

冒険者ギルド本部から指名依頼になりそうだ。

 

 

 

 

---ダリヤ・ロセッティ---

 

「すまない、ダリヤ。婚約を破棄させてほしい」

 

結婚式を明日に控え、新居に引っ越しをした私の目の前で、そんなことを言う婚約者。頭の中が真っ白になった。婚約して2年も経つのに…

 

「どうして…」

 

「俺は…俺は真実の愛に目覚めたんだ!」

 

自信有り気に言う婚約者。私と彼は、双方の父親同士が決めた婚約者であるが、目の前でそんなことを言われると、流石にショックである。既に、新居に家具などを家から運び込んだ後だよ。どうするの?

 

この新居には、新しい婚約者と住むから、出て行ってくれと言う。理不尽過ぎる。言いたいことを言い終えると婚約者は新居から出て行った。

 

私も新居から出て、引っ越しを手伝ってくれた友人宅へ向かう。取り敢えず、家具を回収しないと、処分されてしまうかもしれない。

 

「いよいよ、明日だね。よっ!幸せ者」

 

と、はやし立ててくる友人。

 

「婚約を破棄されたの。申し訳ないけど、家具を私の住処に戻してください」

 

輸送業をしている友人の旦那様にお願いをし、頭を下げる。

 

「え?冗談だろ?式は明日…なぁ、マジか?あの野郎…」

 

怒り心頭になる私と婚約者との共通の友人である彼。

 

「もう、あの人のことは考えたくないの。お願い、引き受けてください」

 

「分かった。後で運ぶよ。アイツを見つけたら殴っておくよ」

 

殴っても何も変わらないと思う。

 

 

婚約破棄をされたので、婚約時の契約書を破棄しに商業ギルドを訪れた。受付で婚約時の契約書の履行立ち会いと、共同名義の仕事清算の為の公証人をお願いして、婚約者との契約破棄をする予約をした。

 

重い身体を引きずるように、家に帰り着いてしばらくすると、婚約者が訪れた。

 

「悪いんだけど、婚約の腕輪を返して欲しいんだ」

 

この世界では、いやこの国では婚約指輪では無く、婚約指輪と結婚指輪を足した意味合いで、婚約の腕輪を男性から女性に送る習慣がある。

 

「すまない。エミリヤに婚約の腕輪を急いで作りたいんだが、時間と、その…色々とゆとりがなくて……」

 

エミリヤとは、彼の新しい結婚相手である。アクセサリーケースから、彼から貰ったアクセサリー類を取り出し、その辺にあった袋に入れて、彼に差し出した。

 

「商業ギルドから連絡を貰った。じゃ、また明日」

 

そう言って、彼は去って行った。なんで、こんな男の為に2年間も尽くして来たんだろうか。

 

翌日、本来なら結婚式だった日なのに、商業ギルドで婚約破棄の手続きを二人でしている。共同財産の精算もする。私も彼も魔導具師であるため、魔導具の売り上げを商業ギルドの共有口座に預けてあった。残高は金貨40枚の為、20枚ずつ分配された。

 

そして婚約時の契約により、破棄の原因となった者は違約金を金貨12枚払うとあり、彼の取り分から金貨12枚を受け取った。

 

そして問題は発生した。共同名義の家である。お互いに金貨50枚ずつ出して購入したのだで、保有する方が相手に金貨50枚を払えば、保有することが出来るのだが…

 

「私が保有しますので、代金を払います」

 

彼は金貨28枚を私の目の前に置いた。はぁ?足り無いぞ。

 

「お支払いが終わるまで、名義のご変更はできませんよ?」

 

ギルド職員である立会人から待ったが掛かる。

 

「ええ、足りない分は、直接ダリヤに返していきます。ダリヤの了承があれば、役所で名義の変更は可能ですよね?」

 

絶句する私。何を言っているんだ?婚約破棄の原因が言う台詞では無い。逆に慰謝料を貰いたい気分である。どこの世界に婚約を破棄した女から、浮気相手と住む家の代金を借りようとする男がいるのか?それも立ち会い人、公証人の目の前で…

 

「支払いの無い状態での名義変更は大変トラブルになりやすいので、お勧めできませんが……いかがなさいますか?」

 

公証人が彼に待ったを掛けた。

 

「名義の変更は支払い後でお願いします」

 

勿論、私も拒否である。原因は彼にあるのに、なんで私が後始末に参加しなければいけないのだ?

 

「それは困る! エミリヤに、すぐあそこで暮らすと約束したんだ!」

 

私に詰め寄り、言い切った彼。開いた口がふさがらない。何を言っているんだ、コイツは…決定事項にするなよ!

 

「オルランドさんなら信用がありますから、商業ギルドでお貸しできますよ」

 

コイツはダメだと思ったのか、立会人から助け舟が出された。

 

「今後のお仕事もありますから、毎月の分割でお貸ししましょう。新しい女性とお住みになるのであれば、『清算』はしっかりなさらないと、嫌われますわよ」

 

「……すみません、お願いします……」

 

ギルド職員からの声に、蚊の鳴くような声で返事をした彼。コイツは…あぁ、結婚しなくて良かったのかもしれない。その後、沈黙が支配する部屋で、婚約破棄の関連と借金の書類を書き終えると、彼は逃げ出すように部屋から出て行った。これで、アイツとは無関係だ。

 

 

「ダリヤ嬢、お疲れ様でした」

 

そう言いながら、ギルドマスターが知らない男性二人と一緒に入って来た。

 

「心機一転出来る話を持って来ましたよ」

 

はぁい?

 

 

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