---ケン---
「王は体調が悪いゆえ、私、ジギスヴァルトが戦後処理を任されました」
コイツは何者なんだ?俺の同行者は、守護者である男装麗人なプライドと交渉人であるマイルだ。
「あなたは何者ですか?」
俺の思った疑問をマイルが訊いてくれた。
「私は王太子であり、次期国王である」
「で、戦争をした訳でも無いのに、戦後処理とは?」
「コチラからの要求は、聖女の引き渡しである。それが為されれば、そちらのした事を許そう」
敗戦国が何を言っているんだ?
「待て!そちらが負けたのだろ?」
「ふふふ、お前らは一領主を倒しただけで、我が国には勝て無い。直ぐに聖女を引き渡せ!」
話し合いでは無く、命令なのか…
ズドーン!
あっ!しまった。怒りにまかせて、天井にエクスプロージョンを撃ち込んでしまった。上を見上げると青空が見える。目の前の次期国王が固まっている。
「お話し合いの為に俺達を呼んだんだよな?」
「そ、そうだ…」
彼の顔から血の気は失せていた。
「でも、一方的な命令だよな?」
「当たり前だ。貴様らが我が国に勝てる訳無いだろう。我が国は魔法大国であり、大陸の覇者であるぞ」
震える声で言われても、なんにも怖くない。
「教皇の指示で来たんだが…それは教皇にウソの情報を流したってことでいいか?」
「教皇には内政干渉する資格は無い。たがが、神殿の名誉職だろ」
「わかった。正式に宣戦布告をされたと、教皇に報告する」
話し合いは成立しないと判断をし、その場から転移をして、教皇の元へと飛んだ。
◇
1週間後…目の前に、王族一家が並んでいる。今回は教皇も同席している。流石に、この前のやりとりには、温厚が売り物の教皇がキレたようだ。
「前回と同じ話でしたら、拒否します」
「息子が何を言ったのですか?」
本物の国王に訊かれた。息子から報告が上がっていないのか?
「無条件で聖女を引き渡せと言われました。その上で、教皇様は神殿の名誉職のクセに、内政干渉は許さないと…」
「ジギスヴァルト!貴様はなんてことを言うんだ。コチラがお願いする立場だろうが…」
本物の王は真面な神経の持ち主か?頭の悪そうな王太子はダンマリを決め込んでいるようだ。
「次期国王の発言ですから、こちらもそのように対処したいです」
俺の言葉に、あの次期国王以外の者達の顔色が変わった。
「まさか、コイツは次期国王を名乗ったのですか?」
「違うのですか?上からの物言いで…そちらの国の態度と受け止めております」
「違います。王家継承の証を持たぬ者は国王と名乗れない…」
そういえば、その証を探せって依頼だったなぁ。俺に次期国王と名乗った王子は、王により拘束された。そして、王の口から語られた真実…目の間にいる王も証を持っていないので、本物の王では無いという。そして、本物の王を得る為に証を探して欲しいってことらしい。
「在処の予想は出来ているの?後、どういう物?」
物が分かれば『強奪』で引き寄せられるはず。古い資料を見たが、結局『強奪』で引き寄せられなかった。
「では、せめて聖女を息子の嫁に貰えぬか?」
何を言っているんだ、この偽りの王は…
「拒否に決まっているだろ?」
「そうじゃ、探す努力もせずに、献上しろとは…聖女は物では無い。尊き存在であるのに…」
教皇がブツブツ言っている。
「で、何を貰えます?」
敗戦国として、何を差し出すのかな?
「聖女の代金か?無償で引き渡せ、この銭ゲバめ!」
あの自称次期王が酷いことを言う。引き渡さないと言っているだろうに…
「わかりました。今後一切関わりたくないです。教皇、いいでしょ?」
「あぁ、ここまで酷い王族とは思わなかった。好きにおし」
好きにする。前以て目を付けていた図書館があるんだ。ソレを貰っちゃおう。どこかの学校の図書館らしいのだが、魔導具がたくさんあるのだった。
◇
貰って来た図書館をアルメリア公国王配公邸の庭に設置した。別邸の庭には整地した土地が未だ無いから。いずれ移転させる予定だ。
「凄く良い図書館ですね」
マインとソフィアが目録作りをし始め、ダリヤは魔導具の仕組みを調べ始めた。その結果、この図書館の魔導具は触れるだけで魔力を注ぎ込める。それは身食いの予防に使えると言うことである。
我ながら良い物をがめてきたと思う。