カノジョ探しの異世界行   作:もっち~!

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魔導コンロ

 

---レーナ---

 

パーティー『赤き誓い』はアルメリア公国の冒険者ギルド本部に辿り着いた。

 

「おぉ~、ここの冒険者養成学校に入るのだな」

 

パーティーリーダーのメーヴィスが吠える。ゴーレムから私達を救ってくれたパーティーが、ここ冒険者ギルド本部の所属と聞き、あの時のお礼を言う為と、冒険者ギルド本部直営の冒険者養成学校へ入る為に、遠路はるばるやってきた。

 

「本部で養成学校は運営していないわよ」

 

と、受付嬢…はぁい?事前情報と違うのか?

 

「そんな訳無い。私達は冒険者から聞いたのだ、ここの養成学校を出れば、冒険者としてクラスアップ出来るって」

 

「あぁ~、それはアルメリア公国の養成学校のことね。確かに暮らしのレベルがアップすると思うわ。私もあの学校の卒業生なのよ」

 

え?聞き間違いなのか。

 

「国立の学校で、まず文字を習い、次に計算、あと法律の3つが基本で、剣術や魔法も習えるわよ。入学試験とかは無いし、国民になれば授業料も発生いないし、衣食住も卒業まで面倒を見てくれるわよ」

 

なんか、良い事尽くめで逆に怖いんですが…

 

「体験入学も出来るから行って見るよいいわよ。あぁ、これが入学の願書」

 

願書を三人分貰い、取り敢えず宿へチェックインした。

 

「どう思う?」

 

「剣術が学べるなら、私は通おうと思う」

 

「魔法の勉強が出来るなら…」

 

メーヴィスとポーリンの二人は乗る気である。願書に目を通していくか…そこには甘い言葉が書かれていた。「全科目を履修し卒業すれば、望む仕事に就けるかも」と…初級クラスは文字の読み書きと計算と一般的なルールを学び、中級になると剣術、魔法などの戦闘スキルと一般教養を学び、高等クラスでは専門分野を学ぶようだ。専門分野は代官、騎士、魔法師など高収入が見込める職の知識が学べるらしい。

 

「商人コースもあるんだぁ」

 

ポーリンの目が輝いている。メーヴィスは騎士一択だろうな

 

 

翌日、宿を出て、養成学校へと向かい、入学手続きをした。全寮制で集団生活を学ぶとある。私達は三人で一部屋を貰い、卒業まで住み続けることになるはずだ。

 

「ここのトイレ…魔導具が設置してあるわ。お風呂場にも…」

 

いや、部屋の灯りも魔導具だし、魔導具師のコースもあるのか。資料を見るとあった。う~ん、レベルの高そうな学校だな。

 

食事は食堂で食べるそうだ。入り口で食べたい定食の食券を貰い、配膳場で定食と食券を交換するそうだ。食事は1日に何食でも食べられるが、成績不振者や学習意欲の無い者は即退学らしい。タダ飯狙いはダメってことだな。

 

服や下着など、最低限の物は支給されるそうだ。それ以外に欲しい場合は、バイトをして街で買えってことのようだ。バイトは学校内で斡旋されているそうで、安全な仕事がメインであるようだ。高収入を狙うなら冒険者ギルドでクエストを受けるか。

 

ノートや筆記具なども支給された。見た事の無い筆記具、羊皮紙では無い紙…この国は独自文化なのか。

 

まず文字の読み書きから…世界共通言語は良いとして、日本語というアルメリア公国の公用語も学べるようだった。他の言語と違い、文字数が多い。だけど、この国の子供達は、この日本語を使って会話しているようだ。基本文字は平仮名55文字であるが、片仮名55文字、アルファベット52文字、数字10文字に、漢字と言う文字セットが数千文字あるらしい。

 

「なんで、こんなに文字数が多いのに、公用語に?」

 

「共通言語だと長い文字数で表す文字が1文字に置き換えられるの。便利でしょ?」

 

と、先生がこやかに言う。例えば「ウォーターボール」が「水玉」と置き換えられるそうで、魔方陣でこの文字セットを使うと、細やかな設定が出来ると言う。

 

「どこの国の言葉なんですか?」

 

「古代文字らしいわよ。この国の上層部の方々が発見して、用いているのがルーツらしいわ」

 

先生自体もこの学校の卒業生で、詳しい事は分からないらしい。

 

「専門コースで研究してみるといいわよ」

 

って…

 

 

 

---ケン---

 

ディアナの予定日が近いので、公邸庭の図書館で読書をしていると、商業ギルド本部から呼び出しが掛かった。そう言えば、今日はダリヤがIH調理器具の出願に向かった。何か問題でも発生したのかと、急いで向かった。

 

この世界でも特許制度に似た物がある。商業ギルドに登録した魔導具は、売り上げ利益があがる度、一定の金額が開発者に入る仕組みである。登録した魔導具に問題が発生した場合、開発者が責任を負うことになるが、取りっぱぐれが無く、特許侵害時には商業ギルドが責任を以て対処してくれる。Win-Winな制度である。

 

「何か、問題が起きたのか?」

 

「私が登録した魔導コンロの名義が知らない間に変更になって、利益が入らなくなっていたんです」

 

と、悔しそうなダリヤ。話を聞くと、元婚約者が、婚約破棄前に、夫婦の共同財産につき、亭主に名義をまとめることになったと、名義変更をしたらしい。

 

「ダリヤの同意書はあったのか?」

 

夫婦と言え、権利問題なので、名義変更時には同意書が必要である。

 

「支部の職員が、夫婦の共同財産という言葉で確認を怠ったらしい」

 

「ダリヤが貰うべき金額は、商業ギルドで補填してくれるよな?後、名義の再登録もだ」

 

「訴えるの?」

 

「それで戻るなら、提訴する。エチゴヤとしては傘下の商会に不利益が生じたとして、詐欺、公文書偽造辺りで提訴したい。相手は個人か?」

 

「いや、オルランド商会として登録してあった」

 

「そんな…」

 

ショックを受けたダリヤ。

 

「個人なら賠償金と違約金だけで済ませるが、相手は商会か…徹底抗戦する。相手のランクは?」

 

「件の魔導コンロのおかげでランクBに昇格してようだ」

 

「俺達が勝訴したら、どうなる?」

 

「2段階降格でランクDに落とすよ。ギルド本部のグランドマスターの私が、自ら事実確認をしたから提訴しなくてもだ。ケン達が勝訴すれば、更に2段階降格でランクFなんだが、ランクEまでにしか落とせない。相手は商会だからな。ただ商会ぐるみの不正となれば、所属する魔導師総てがランクFになる」

 

結構重い罪だな。

 

「こういうのは舐められると同様の被害が出やすいから、徹底的に叩くよ」

 

 

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