---ケン---
アインズヘイルの件で、隼人達は国に敵対した。隼人達の屋敷は、あの国の王都にあったのだが、アインズヘイル防衛戦を契機に、アルメリア公国の行政区に敷地ごと転移していた。そして、今日、俺はその屋敷に呼び出されていた。行政区なので特にガードは必要無いのだが、マイルとプライド、そしてアイリスが同行している。
「今日は紹介したい方がいるんですよ」
笑顔の隼人。
「婚約者か?」
「仲間に背中から刺されそうなことを言わないでくださいよ」
まぁ、隼人のパーティーはハーレムパーティーだものな。
「じゃ、新しい嫁?」
「違いますよ。アマツクニの商人さんです」
アマツクニ?まさか…
「ソウルカルチャー?」
頷く隼人。おぉ~!!
「入ってください」
部屋に、着物を着飾った少女が入って来た。
「初めまして、某はユウキ。アマツクニの豪商の娘で、普段は冒険者の傍ら、行商人をしております」
某…江戸時代くらいの文化レベルかな?
「俺はこの国の王配のケンだ」
一応、行政区なので『王配』と名乗っておく。
「なぁ、作務衣は扱っていないか?」
早速、商談だ。
「着物では無くてですか?」
「着物は動き難い。藍染めの作務衣を欲しい」
「今回はお持ちしていないですが、国に帰ればありますので、今度お持ちします」
「後、大豆、米、麦が欲しい。脱穀しない状態でだ。間違っても米は精米せず、大豆、麦はまるのままでだ」
「えっ?」
「色々な種類が欲しい。俺達の必要としている品種に改良をしたいんだ」
「あ…あの…この国でも米、麦、大豆を栽培しているのですか?」
「しているよ。品種改良中で、売るほどは収穫できていないけど」
アイテムボックスから炊きたての米、納豆、味噌汁、鰺の開き定食を取り出し、ユウキの前に配膳した。
「おいしい…米がこんなに甘いとは…この黒い液体は?」
「醤油だ。俺達のソウルソースだ」
アマツクニには醤油が無いのか?
「製法を売ってください。この干物も…」
えっ?俺達が買手では無いのか?
◇
「文化大革命ですよ。こんなにも知らない商品があったなんて…」
アルメリア公国の方が和風文化色が強いって、どういうことだ?
足袋に対抗して、ダリヤの開発した5本指靴下を見せたら、買いたいと言われた。あとアズータ商会のチョコ、エチゴヤの羊羹、ミツゴシ商会のエアクッションソールのサンダルなど…買う気満々だった俺達の国から買いたい物が沢山って…
「本国から様々な種を取り寄せますので、今後もご贔屓にお願いします」
お土産に、おかきとおせんべいを貰ったのだが、醤油が無い為に塩味だけだった。
「品物が入りしだい、お持ちしますので、今後とも宜しくお願いします」
と、ユウキが帰って行った。貿易収支が黒字になりそうなんだが…まぁ、作務衣と、様々な種子が手に入るし、製法を売れば、アマツクニで製造しての逆輸入が出来そうである。
「作務衣…本当はジーンズ生地が良かったんだが、そこまで丈夫な生地では無いのが残念だ」
「ジーンズ生地は、専用織機が無いと無理ですよ」
ダリヤとマイルが設計図の打ち合わせをし始めた。
◇
アルファからの定時連絡…アインズヘイルの北東に温泉街であるユートポーラがあると言う。
「温泉地か…別荘も良いなぁ」
温泉街かぁ…温泉まんじゅうに、温泉卵、湯上がりの珈琲牛乳…
「日本と同じ文化とは限りませんよ」
と、隼人。俺達は湯治旅行の計画を練っていた。護衛に隼人パーティー、俺、プライド、マイル、シロがメンバーで、別荘を手にいれ次第、他の転生者も転移で連れ出す計画である。セイはアマツクニから送られて来た米の品種改良があるので、一緒に旅は出来ない。あの垂れ流し聖女の能力、植物の成長を爆発的に早めるのであった。おかげで米は年に5回ほど収穫できるらしい。