---ツバサ---
セイ、シロと共に、あのアンデッド系の迷宮に挑んだ。勿論、今回も無許可である。
「この迷宮はアンデッド系だから、セイだけでもクリア出来るはずだよ」
「あれ?先輩…この迷宮って、開発中だったゲームに似ているような…」
「気のせいだよ。さぁ、さっさとクリアをしてしまおう」
深く考えたら負けだと思う。前回は床をぶち抜いたような…今回は正攻法で、ドロップ品は強奪で拾い、俺とセイの浄化術で次々と迷える魂を成仏させていった。
そして、クリアして、聖なる龍の骨一式と今回はダンジョンコアをゲットして離脱した。
---ルミナ(ルミナリア・アークス・フランシスク)---
聖シュルール協和国戦乙女聖騎士隊隊長である私ですら、パニック状態に陥っていた。神殿を取り囲んでいた結界が突如消え去ったのだ。
「まさか、誰かがダンジョンをクリアして、ダンジョンコアを持ち去ったとか」
元上司のカトリーヌ様と共にダンジョンの入り口に向かう。そこにはダンジョンとは思えない只の洞窟が広がっていた。禍々しい気で充満していた洞窟は、清々しい程に浄化されきっていた。
「ダンジョンをまるまる浄化って…そんな聖女っている?」
カトリーヌ様の問い掛けに、正解を答えることが出来ない。
「そう言えば、最近、聖女召喚したらしい国があるそうですから、そこに問い合わせしてみるのは?」
苦し紛れの答えだったが、正解に近づくことになるとは。
◇
聖女召喚をしている国、スランタニア王国に問い合わせてみると、前回の召喚時に、聖女一人とそれに付き添う男が一名が、忽然と姿を消したそうだ。
「その者達の仕業でしょうか?」
「何故、聖女召喚で男が…」
教皇様が違うことに興味を持たれた。
「まさか、聖女の上位存在である聖者だったのでは無いか?」
聖者…聖女は後衛で癒やしがメインであるが、聖者は前衛で、癒やしも出来る聖騎士の上位互換とされている者である。
「魔力量にもよるが、その聖者かもしれぬ」
その日、教皇の名で聖者の捜索が、各国の神殿、教会に依頼された。
---セイ---
先輩の前回の記憶を元に、マインちゃんの病気がほぼ治った。予防として、毎日魔力を使い、物体Xを飲むこと…この物体Xが厄介であった。マズい青汁の味なのだ。それをジョッキで1日に3杯飲むと言う。一緒に先輩が飲んでいるので、私も飲んでいるけど、慣れない不味さである。
効能は魔力の流れをスムーズにし、精力は減退…先輩は溜まっているようだ。そう言えば、大人の階段を昇る前に召喚されて、それっきりだし。目の毒とも言えるアイリスさんの全裸姿を見ての診察と診療。誰かで出して貰わないとダメかな?
「いや、、俺は発情なんかしていないぞ」
と先輩…本当か?
「いいか?アイリスもプライドも教え子だよ。教え子に手なんか出さない」
それは、教え子で無い私と奴隷であるウェンディさんが危険ってことか?
「セイは俺の妻だし、ウェンディは俺の奴隷だろ?問題は少ないだろうに…それに物体Xのおかげで、性衝動が起きない」
いいのか?それで…ねぇ、先輩。
その夜、女性だけの話し合いをした。先輩の下の処理問題である。成人しているのは私とアイリスさんとウェンディさんである。三人で抜いた方が良いのか?
「私は構いませんよ。婚約者ですから」
と、アイリスさん。
「私も大丈夫です」
と、ウェンディさん。覚悟が出来ていないのは私だけのようだ。
「問題は私達が迫っても、行為に及ばないんですよ」
って、二人は既に先輩に迫っていた。なんか、出遅れた感が強い私でした。
---ツバサ---
久しぶりに冒険者ギルドに行くと、スランタニア王国から脱走した聖者と聖女が指名手配されていた。脱走したくなるだろうに。異世界から拉致され牢屋に監禁されていたんだから。あの国は今回もアウトかな。
「男と抱き合っている聖女なんかいないって、私なんか、後宮に監禁されていたんですよ」
と、セイ。扱いから言って、俺とセイは聖者と聖女では無いと思われるので、無視だな。人捜しクエストは俺達には無理だし。
「ねぇ、ツバサさん…」
隼人が寄って来た。
「僕は言いませんから」
って…
「俺達は違う。俺は召喚されて牢屋にぶち込まれ、セイは召喚後後宮行きだったんだ。聖者と聖女にそんな扱いはないだろ?」
「無いですね」
隼人は、俺とセイが召喚された者であると伝えある。
「拉致されて監禁って、脱走じゃなくて脱出ですね。何かあったら、僕達も協力しますよ」
バレバレである。
◇
レインリヒが世界樹の葉っぱをオークションに出して、白金貨100枚を手にしたらしく。50枚を白金貨75枚で売ってくれと言う。迷わず売る。量産体制は出来ている。1000程度なら売っても問題は無い。
「枝は売って貰えるか?」
「いいけど、いくらで?」
「杖が作れる大きさなら白金貨1枚でどうだ?」
迷わず売る。
「これが世界樹の枝かい。…硬い。どう加工するんじゃ?」
マイルの本気の斬撃でも傷が付かなかった、この世界で最も硬いと思われる物質である。普通の加工具では削れない。
「加工賃も白金貨1枚かな?」
「銭ゲバか?加工方法くらい開示せぇ!」
「秘匿する技術ですから…」
俺の言い分に折れたレインリヒからの依頼で、後日錬成した杖を手渡した。毎度あり!
まさか加工方法が錬成術のみとは思わないだろう。錬金術師は錬成を出来ない場合が多いのだ。錬成士をマスターして錬金術師になるのが正解ルートになる。だけど錬成術師は軽視され、錬金術師にいきなりなる者がほとんどである。錬成では単一物質にしか効果が無いからだ。液体錬成などは、錬金術師でも出来るが、木材加工は錬金術師の範囲外である。